急性心筋梗塞後の正しい運動の継続で腎機能が改善 東北大

急性心筋梗塞(AMI)で入院中も適度な運動を行うと、腎機能の低下を防げる可能性があることが、東北大学大学院内部障害学分野教授の上月正博氏と佐藤聡見氏らの研究で明らかになった。AMI発症後の身体活動量が多い患者では、腎機能の指標とされる推算糸球体濾過量(eGFR)の値が有意に増加し、身体活動量が少ない患者よりも腎機能が保たれていることが分かった。同氏らは「AMI後の腎機能を維持または改善させるには、退院後も心臓リハビリテーションの運動療法を、自主的にきちんと続けることが重要な鍵となる」との見方を示している。詳細は「PLOS ONE」2月19日オンライン版に掲載された。

 これまでの研究で、AMIを発症後には腎機能が低下しやすいほか、AMI患者が腎機能障害を来すと生存率の悪化につながることが報告されている。そのため、AMI患者の腎機能を保ち、改善する治療法の確立が求められている中、近年では、AMI発症後に自転車エルゴメーターなどの運動療法を実施すると腎機能が維持されるとの報告もみられている。そこで、上月氏らは今回、運動療法の腎保護効果に着目。AMI発症後の身体活動量と腎機能の変化との関連を前向きに調べる観察研究を実施した。

心筋梗塞に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。

 対象は、AMIを発症後、経皮的冠動脈形成術と入院中の包括的な心臓リハビリテーション(運動療法と食事療法、服薬・禁煙指導、患者教育で構成)を実施した患者41人(平均年齢67.5±12.6歳、男性35人)。退院後3カ月間の身体活動量を評価し、eGFRの変化との関連を調べた。身体活動量の指標には、活動量計で記録した1日の歩数を用いた。

 対象患者を1日の歩数が少ない群(1日当たり平均2,335歩;21人)と歩数が多い群(同7,102歩;20人)に分けてeGFR値を比較検討した。その結果、歩数が多い群では、ベースラインから3カ月後までにeGFR値が有意に増加したが(76.5±13.8mL/分/1.73m2→83.2±16.0mL/分/1.73m2、Q=0.004)、歩数が少ない群では有意な変化はみられず、むしろ低下する傾向が認められた(65.1±15.9mL/分/1.73m2→62.2±20.2mL/分/1.73m2、Q=0.125)。

 また、年齢や血圧、血糖など複数因子で調整して解析した結果、身体活動量とeGFRの変化との間には有意な関連が認められることも明らかになった(P=0.003)。

 上月氏らによれば、AMI患者は退院後には、さまざまな理由で外来の心臓リハビリテーションに通う患者の割合はきわめて低く、退院後はウォーキングなどの運動を自己管理で継続している患者が多いという。今回の結果を受け、同氏らは「AMI後の腎機能低下を抑えるには、退院後も入院中に行った心臓リハビリテーションの運動療法を、自主的にきちんと続けることが重要な可能性が示唆された」と結論づけている。

治験に関する詳しい解説はこちら

治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

治験・臨床試験についての詳しい説明

参考情報:リンク先
HealthDay News 2019年2月25日
Copyright c 2019 HealthDay. All rights reserved.
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
記載記事の無断転用は禁じます。