日本人の糖尿病の有無に「所得」が関連か 東大など研究グループ

日本人の高齢女性では、糖尿病の有無に所得による社会経済的状況が関連している可能性があることが、千葉大学予防医学センターの長嶺由衣子氏と東京大学大学院健康教育・社会学准教授の近藤尚己氏らの研究グループの検討で示唆された。一方、男性ではこれらの関連は認められなかったが、研究グループは「結果に性差がみられた理由や今後の対策についてはさらなる検討が待たれる」と述べている。詳細は「Journal of Epidemiology」11月17日オンライン版に掲載された。

 これまでの研究で、職業や所得、教育レベルといった社会経済的な状況と糖尿病の有病率、発症率との間には逆相関がみられることが報告されているが、高齢者の社会格差はほとんど検討されていない。近藤氏らは今回、大規模な高齢者の横断データを用いて、社会経済的状況と糖尿病との関連について検討した。

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 対象は、日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study;JAGES)の2010年調査に参加した31市町村の約10万人の住民のうち、愛知県に在住の65歳以上で介護保険を受けていない高齢者6,813人(男性3,457人)。参加者には所得や教育歴、職業などの社会経済的状況や習慣的な行動に関する質問紙調査を実施した。

 参加者のうち男性の15.2%、女性の10.2%が糖尿病を有していた。参加者を男女別に所得で4つの群に分けて糖尿病の有病率を比較した結果、男性では所得が最も低い群では17.6%、最も高い群では15.1%と両群間に有意差はみられなかったが、女性ではそれぞれ11.7%、7.8%と両群間には有意な差が認められることが分かった(P=0.03)。

 年齢や他の社会経済的因子を調整した解析の結果、所得が最も高い群に対する最も低い群の糖尿病有病率の比は男性では1.16だったのに対し、女性では1.43であった。一方、教育レベルや職業といった因子は、今回のデータの分析では男女とも糖尿病であることとは関連しなかった。

 以上の結果を踏まえ、近藤氏らは「今回の調査からは、日本の高齢者で糖尿病にも所得による格差がある可能性が示唆されたが、今後、縦断研究などでさらに詳しく調べる必要がある。また、今回の結果に性差がみられた理由や、糖尿病の社会経済格差を解消する方策についても検討していきたい」と話している。

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HealthDay News 2018年12月3日
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