日本人男性ホームレス生活者の糖尿病有病率を調査 岐阜大の研究グループ

日本人の男性ホームレス生活者における糖尿病の有病率は、一般集団と変わらない可能性があることが、岐阜大学保健管理センター准教授の西尾彰泰氏らの研究グループの検討で分かった。また、社会的支援を受けている人では、受けていない人に比べて耐糖能異常(いわゆる糖尿病予備群)の頻度が低いことも示された。詳細は「Journal of Diabetes Investigation」9月28日オンライン版に掲載された

 ホームレス生活者の実態を現場で調査することは難しいため、その糖尿病有病率は明らかになっていない。また、ホームレス生活者は保険未加入者が多く、糖尿病は重症化するまで自覚症状が現れないため、たとえ糖尿病状態であっても医療管理下にある者は少ないと推察される。

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 そこで、ホームレス生活者の糖尿病ケア支援システムを構築するために、研究グループは、ホームレス生活者における糖尿病と耐糖能異常の有病率を調査し、それらの有病率と社会的背景、精神疾患および認知機能低下の有無との関連を検討した。なお、本調査は、名古屋市でホームレスを支援するNPO、ささしまサポートセンターが中心となって実施され、同センター長の山本眞由美氏(糖尿病専門医)が解析を担当した。

 研究では、名古屋市内の男性のホームレス生活者106人(平均年齢54.2歳)の社会的背景、精神疾患や認知機能低下の有無と血液検査によるHbA1c値の関係を詳細に解析した。HbA1c値で6.5%以上、6.0~6.4%、5.9%以下をそれぞれ糖尿病、耐糖能異常、正常と推定した。精神疾患は精神疾患簡易構造化面接法(Mini International Neuropsychiatric Interview)を、認知機能はウェクスラー成人知能検査を用いて評価した。

 その結果、7人(6.6%)が糖尿病、12人(11.3%)が耐糖能異常で、これらの有病率は国民健康・栄養調査による一般集団と同様の傾向であることが分かった。また、耐糖能異常の有病率は、社会的支援を受けている人では受けていない人に比べて有意に低かった(P<0.05)。一方、糖尿病および耐糖能異常の有病率は、精神疾患や認知機能低下の有無、ホームレス生活者であった期間や経験回数、喫煙や飲酒といった生活習慣、教育レベルで差はみられなかった。

 以上の結果を踏まえ、研究グループは「都会の日本人男性ホームレス生活者における糖尿病と耐糖能異常の有病率は、日本人の一般集団と同様の傾向であるため、ホームレス生活者においてもこれらの疾患の早期発見、早期治療が必要である。また、社会支援の提供は糖尿病予防に寄与するだろう」と結論づけている。

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HealthDay News 2018年10月22日
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