自律神経が肝臓の再生促す仕組みを解明 マウス実験で、東北大

肝臓が大きく傷害されると、自律神経による信号が肝臓内の免疫細胞を刺激して肝臓の再生を促す仕組みが働くことを突き止めた研究成果を、東北大学大学院糖尿病代謝内科学分野准教授の今井淳太氏らの研究グループが「Nature Communications」12月13日オンライン版に発表した。この仕組みを利用することで、意図的に肝臓の再生を促すことが可能になり、肝臓がんや肝障害の新しい治療法の開発につながるものと期待される。

 肝臓が大きく傷つけられると、早期から肝臓の再生が急速に進むことが知られている。しかし、この肝臓再生の意義やメカニズムについてはほとんど分かっていなかった。そこで、今井氏らはマウスの肝臓の70%を切除して重症の肝臓傷害を起こし、肝臓再生のメカニズムを探る実験を実施した。

肝障害に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。

 その結果、脳からの自律神経による信号によって、肝臓の急速な再生を促すという仕組みを突き止めた。そのメカニズムは、まず、脳からの信号は、迷走神経と呼ばれる全身の臓器の働きを調節する自律神経を介して肝臓に届けられ、次に、迷走神経はアセチルコリンを分泌して肝臓内の免疫細胞(マクロファージ)を刺激して、インターロイキン6(IL-6)の分泌を促す。さらに、IL-6は肝臓細胞内のシグナル伝達経路(FoxM1経路)を活性化することで、肝臓の再生を促すというもの。肝臓内に多数あるマクロファージを刺激することで、神経信号を肝臓全体に波及させる仕組みが働いていると考えられるという。

 研究グループはマウス実験で、この脳からの信号がない状況では、重症肝臓傷害を起こしたマウスの生存率が低下することも見出した。さらに、この状態下でFoxM1経路を活性化させることで生存率の回復に成功した。

 これらの結果を踏まえ、今井氏らは「肝臓がんの外科手術では、がん細胞を含む正常な肝臓を、いかに広範囲に安全域を確保して切除できるかが再発予防に重要となる。今回明らかになった神経信号が肝臓再生を促す仕組みをコントロールすることで、より広範囲な肝臓がんの切除が可能になるだけでなく、肝臓の再生を促し、肝臓切除後の合併症を減らすことにつなげられる可能性もある」と述べている。

治験に関する詳しい解説はこちら

治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

治験・臨床試験についての詳しい説明

参考情報:リンク先
HealthDay News 2018年12月25日
Copyright c 2018 HealthDay. All rights reserved.
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
記載記事の無断転用は禁じます。