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7月 12 2017 自閉症の人が他人と目を合わせない理由
自閉症の人が他人の目をほとんど見ようとしない理由を追究した研究の結果が、「Scientific Reports」6月9日オンライン版に掲載された。
研究を実施した米マサチューセッツ総合病院のNouchine Hadjikhani氏は、「自閉症の人は一見、他人との対話に興味がないように見えるが、そうではないことが分かった。目を合わせないのは、脳の特定部位が過剰反応することに由来する過剰な覚醒状態(excessive arousal)の不快感を低減させるための手段であることが明らかにされた」と述べている。
アイコンタクトを避けることは、社会や個人に対する無関心を示すサインだとみなされることが多い。しかし、自閉症の人は「他人と目を合わせると不快感やストレスを覚える」と話すことが多いと、同氏らは指摘する。
今回の研究ではこの問題を検討し、皮質下系(subcortical system)と呼ばれる脳の経路が関与していることを突き止めた。この経路は、乳児期には人間の顔に関心を示すように促し、後には他人の感情を理解することを助ける働きがあり、アイコンタクトをしたときに活性化される。
同氏らは自閉症の人(23人)と定型発達の対照群(20人)に人間の顔の映像を見せ、自由に見てもらった場合と、目の領域だけを見てもらった場合の脳の活動を観察した。その結果、自由に見てもらった場合は両群で同様の脳の活動がみられたのに対し、目の領域だけを見た場合、自閉症の人では脳の皮質下系が過剰に活性化することが分かった。この傾向は特に怖がっている表情の顔を見たときに強くみられたが、楽しそうな顔や怒った顔、普通の顔でも同じ結果が得られた。
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お近くの治験情報を全国から検索できます。Hadjikhani氏は、この知見が自閉症の人の関心を引くための有効な方法につながる可能性があると述べている。「自閉症児に対する行動療法では、他人の目を見ることを強制すると大きな不安を与える可能性がある。アイコンタクトを少しずつ習慣化する方法を取ることで、自閉症児はこの過剰反応を克服し、長期的にみればアイコンタクトをできるようになるかもしれない。それにより、人と目を合わせないことが社会脳の発達に及ぼす連鎖的な影響も回避できる」との見方を同氏は示している。
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7月 12 2017 更年期障害にならない人の特徴から改善方法を考察
更年期は女性ホルモンの減少が大きくなっていく時期を閉経前後10年前後の時期をさしています。人により個人差はありますが、40代~50代が一つの目安で、更年期のホルモンの影響で発症する代表的な病気が更年期障害です。
主にエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンの低下により、イライラや感情の起伏が激しくなり怒ったり、うつ症状等も発症します。これに合わせて、身体のバランスが崩れることにより、多汗や火照り、自律神経が過剰に刺激されることにより自律神経失調症やそれに伴うめまいや頭痛、耳鳴りなども引き起こす場合があります。病気の原因と言われている女性ホルモンや起因となる症状を検証し、なりにくい人、ならない人の特徴を解説していきます。ポジティブ思考やストレスのない生活を送る人は症状が軽い症例女性ホルモンのバランス以外にもストレスなどの精神的な影響が強いといわれており、ネガティブな性格だと症状が重く感じる人が多く、ポジティブ思考の人はなりにくいと広くいわれています。職場の環境。家庭慣用など人とのコミュニケーションなど人との繋がりのよる問題を抱えて、その対人ストレスを多く抱えている人ほどやはり更年期障害になりやすかったり、症状が深刻化しているケースが多いといわれています。カウンセリングもストレス緩和にはよく用いられる改善方法の一つです。
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お近くの治験情報を全国から検索できます。医学的にはその結びつきはまだ謎の多い部分で、解明はしきれていませんが専門医の見解現段階での実証で、一般的に関連性が強い、可能性が高いとされているケースとなります。
身体をリラックスさせるという意味では、整体、ツボ、鍼灸など自律神経のバランスを整えるために併用すると症状が軽くなるという人も多いといえます。ホルモンバランスによる影響の症例更年期障害の一つの治療として行われるホルモン補充療法。サプリメントの不足する部分を補うことも有効とされています。普段から健康に気を使い、栄養バランスを整えている人や睡眠をきちんととり、適度な運動をしている人も更年期障害の症状が出にくいといわれています。
更年期に起きる更年期障害は年月の経過とともに自然と治まっていきます。始まりも終わり方も人それぞれで個人差があります。自然となりにくい人と自身を比べて、何が自分に負担がかかっているのかチェックも重要です。特に症状がひどい場合はは軽減負担のために、何か一つでも初めて見ると症状が軽くなるかもしれません。出来れば医師と相談できる環境も理想であるといえます。
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更年期及びそれに伴う更年期障害という言葉をニュースなどで耳にする機会も多くあると思います。だれでも訪れる更年期という期間ですが、必ずしも何か症状が起きるわけではありません。更年期のメカニズムを詳しく解説しています。
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7月 12 2017 1日1回のアスピリンに重篤な妊娠合併症の予防効果
妊娠中に毎日アスピリンを使用することで、重篤な妊娠合併症の1つである妊娠高血圧腎症を予防できる可能性を示した研究結果が胎児医学財団年次学術学術集会(FMF、2017年6月25~29日、スロベニア)で発表された。また、詳細は「New England Journal of Medicine」6月28日オンライン版に掲載された。
妊娠高血圧腎症は、母体だけでなく胎児あるいは出生児に深刻な合併症をもたらし、死亡の原因となる場合もある。これまでにも複数の研究で低用量(50~150mg/日)のアスピリンによる妊娠高血圧腎症の予防効果が報告されており、これらの研究データのメタ解析では10%前後のリスク低減が示されていた。これに対し、今回の研究ではより高用量のアスピリン150mg/日を使用した結果、妊娠高血圧腎症のリスクは62%も低下したという。
今回の研究は、英キングス・カレッジ病院のKypros Nicolaides氏らが実施したもの。対象は、英国やスペインなど欧州の5カ国およびイスラエルの産科施設13カ所で登録された、妊娠高血圧腎症のリスクが高い妊婦約1,700人。このうち798人をアスピリン(150mg/日)使用群(アスピリン群)、822人をプラセボ使用群(プラセボ群)にランダムに割り付けた。なお、妊娠高血圧腎症のリスクは、妊娠11~13週に母体の因子や動脈圧、胎盤成長因子などを組みあわせたアルゴリズムに基づき評価した。アスピリンまたはプラセボの使用期間は妊娠11~14週から妊娠36週まで、または出産が早ければ出産までとした。
その結果、妊娠高血圧腎症により妊娠37週までに分娩となった妊婦の割合は、プラセボ群の4.3%に対してアスピリン群では1.6%と有意に低かった(オッズ比0.38、95%信頼区間0.20~0.74、P=0.004)。また、妊娠高血圧腎症により妊娠34週までに分娩となるリスクは、プラセボ群に比べてアスピリン群で82%の低下が認められた(同0.18、0.03~1.03)。一方、アスピリンの使用による重篤な副作用はみられず、胎児の有害事象も認められなかった。ただし、アスピリンは出血リスクを増大させるため、妊娠中の使用については医師に相談する必要がある。
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お近くの治験情報を全国から検索できます。Nicolaides氏は、「アスピリンが母体から胎盤への血流を促進する可能性がある」と説明している。一方、米ハンティントン病院のMitchell Kramer氏は、「この研究から、アスピリンの使用によって正期産の妊婦における妊娠高血圧腎症だけでなく、妊娠高血圧腎症による早産の頻度も低減できる可能性が示された。早産は児にとって危険であるため、これは重要な点だ」と説明。さらに同氏は、低用量アスピリンは子癇の発生率を低減するのにも有効である可能性があると指摘している。
なお、米国産科婦人科学会(ACOG)では既に、妊娠高血圧腎症リスクが高い妊婦に対し、妊娠12~28週に低用量アスピリン(81 mg/日)の使用を開始することを推奨しているという。