• 公園の砂場は細菌の温床     

    子どもが大好きな砂場遊びは、運動技能や社会的技能の発達にも役立つ。しかし、動物にトイレとして使われたり、複数の子どもが接触する場になったりすることで、砂場は細菌や寄生虫などの感染性の病原菌の温床となっている可能性があることが、「Zoonoses and Public Health」7月7日オンライン版に掲載の研究で明らかにされた。

     今回、マドリード・コンプルテンセ大学(スペイン)のJose Blanco氏らの調査で、52.5%の砂場からクロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)という細菌が見つかった。C. difficile感染症の症状は軽度の下痢から命に関わる腸炎までさまざまだが、腸内環境も変えてしまうため治療が難しいことで知られる。

     Blanco氏らは、同国のマドリード地域にある子ども用の砂場20カ所とイヌ用の砂場20カ所から砂を採取し分析した。その結果、子ども用の砂場9カ所、イヌ用の砂場12カ所からC. difficileが検出され、その中には毒素を多く産生する型や抗菌薬に対する耐性を示す型も認められた。

     砂場に潜む病原菌はC. difficileだけではない。米疾病対策センター(CDC)によると、米国の調査ではトキソプラズマや回虫、ギョウ虫などの寄生虫が砂場にいることが示されている。イヌやネコに由来するトキソカラ(Toxocara)という回虫の感染症による失明は米国で年間約70症例にも達し、その多くは小児だという。

     Blanco氏は、「身の回りには多数の病原菌が存在しており、私たちはその中で生きていく方法を学ばなければならない。今回、C. difficileが環境中に広く存在していることが示されたが、地域社会における実態を明らかにするには追加の研究が必要だ」と話している。また、別の専門家は、砂場は“塩素消毒をしていないスイミングプールのようなもの”だと評している。

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     米国小児科学会(AAP)は、砂場遊びで病気になることを防ぐための注意点を挙げている。

    • 砂場を使わないときは蓋をして、昆虫や動物を近づけない。
    • 砂が湿っていると細菌が繁殖しやすくなるため、乾燥させてから蓋をする。
    • 定期的に熊手を使い、破片や砂のかたまりなどの異物を取り除く。
    • 砂場をトイレと勘違いする可能性があるため、ペットには砂場で遊ばせない。

    Abstract:リンク先
    HealthDay News 2017年7月7日
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  • 寝室の騒音は男性不妊をもたらす?

    強くて健康な精子は、静かな寝室で作られる可能性が、ソウル大学校(韓国)医学部予防医学のKyoung-Bok Min氏らによる研究で示唆された。この研究では、同国の成人男性20万人超を調べた結果、騒音レベルが高い環境に一定期間住んでいた男性では、その後男性不妊と診断される確率が14%上昇することが示されたという。

     米国立衛生研究所(NIH)によれば、米国人夫婦の約15%は、1年以上にわたって避妊しない状態で性交渉を持っても妊娠に至らない不妊カップルと推定されている。その原因は男性側と女性側のいずれか、あるいは両方にある場合があるが、男性側の要因としては精子の濃度や運動、形状の問題が考えられる。

     Min氏らは今回、20~59歳の男性20万6,492人の医療保険データとともに、居住地と全国騒音情報システムの情報を用いて、2002~2005年の日中および夜間の騒音への曝露と、2006~2013年の追跡期間中における男性不妊との関連について検討した。

     その結果、8年間の追跡期間中に3,293人(1.6%)が男性不妊と診断された。年齢、収入、喫煙、BMIなどの因子で調整したところ、4年間にわたって55デシベル以上の夜間の騒音に曝露した男性では、男性不妊と診断される確率が14%高いことが示された。55デシベルの騒音は郊外の道路の騒音に相当するという。

     なお、これまでにも騒音レベルが女性の早産や流産といった出産アウトカムに関連することが報告されていた。今回の研究には関与していない米ヒューストン・メソジスト病院生殖内分泌・不妊症専門医のJames Nodler氏は、「寝室の慢性的な騒音は、妊孕性に重要な他のホルモンの放出を促す脳内のGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)の産生を抑制する可能性が指摘されている。GnRHの産生が抑制されれば、男女を問わず妊孕性を維持するためのバランスが崩れる」と説明。その上で、不妊が心配な男性に対する助言として、ベッドでテレビなどを視聴せず、寝室の騒音レベルを抑えて良好な睡眠衛生を維持することを勧めている。

     一方、この研究結果について別の専門家は「寝室の騒音と男性不妊との間に因果関係があることを示すものではない」と指摘。Nodler氏も、今後の研究で騒音のある寝室で眠る男性と静かな寝室で眠る男性のホルモンレベルを測定し、生物学的な要因を明らかにする必要があるとしている。

     この研究結果は「Environmental Pollution」7月号に掲載された。

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    HealthDay News 2017年7月7日
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  • 心不全患者の心臓突然死が20年間で半減

    この20年間で、心不全患者が突然の心停止で死亡する確率はほぼ半減しているという研究報告が、「New England Journal of Medicine」7月6日号に掲載された。研究を実施した英グラスゴー大学心臓病学教授のJohn McMurray氏は、「優れた治療薬を効果的に組み合わせて使用することで、心不全患者の寿命は延長した。現代の薬物療法や医療機器は極めて効果が高いため、心筋の機能不全が大幅に、あるいは完全に回復する患者も珍しくない」と話している。

     同氏らによると、低リスクの心不全患者の多くは薬物療法で十分な効果を得られるため、植込み型除細動器(ICD)を使用しなくても生命の危険はない可能性があるという。「ICDは高額で、植込みによる合併症のリスクもある。ICDで命をとりとめる人がいるのは確かだが、大多数の場合、植込み後のICDは一度も使用されない。ICDの使用基準について明確な結論は出ておらず、今回の知見も含めてもっと議論すべきだ」と、同氏は付け加えている。

     心不全は心臓の働きが低下して身体に十分な血液を送り出せなくなる病態で、特に心室が十分に収縮できなくなる(駆出率が低下する)心不全では、多くの患者が心臓突然死を防ぐためにICDを植込んでいる。

     しかし今回の研究では、1995~2014年に実施された12件の臨床試験に登録された4万人強の心不全患者のデータを分析した結果、この期間に登場した新たな治療薬により、ICDを植込んでいない心不全患者の突然死の発生率は44%減少したことが明らかになった。ランダム化から90日以内の突然死の累積発生率は、今回対象とした臨床試験のうち最も古い試験では2.4%であったのに対し、最新の試験では1.0%にとどまった。また、診断から3カ月以内の心不全患者における突然死の発生率は、診断からより長期間が経過した患者を上回るわけではないことも示された。

     現行のガイドラインでは、ICDの使用を決定する前に3カ月間の薬物療法を行う必要があるとしているが、今回の知見から、より長期間にわたって様子を見ても安全であることが示唆された。「薬物療法中に駆出率が十分に改善し、ICDが必要でなくなる可能性もあるため、植込みを急ぐべきでない」とMcMurray氏は指摘している。

     一方、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のGregg Fonarow氏は、「ガイドラインで推奨される薬剤を全て使用しても、突然死のリスクは残る。患者の多くはICDが不要だという見解には納得できない」と話す。「JACC: Heart Failure」編集長のChris O’Connor氏は、「臨床試験の被験者は一般の患者よりも厳格に経過を観察されているため、実際の患者にはこれほどの突然死の低減は認められないだろう」と指摘し、薬物療法のみで治療できる患者の特徴を明らかにするためには、さらに研究を重ねる必要があると述べている。

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    HealthDay News 2017年7月6日
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  • 米国では農村部でがん死亡率が高い    

    米国では全体的ながんによる死亡率は減少傾向にあるが、農村地域ではわずかな減少にとどまっており、都市部との差が拡大していることを示した研究結果が米疾病対策センター(CDC)発行の「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWP)Surveillance Summaries」7月7日号に掲載された。

     研究を実施したCDC国立慢性疾患予防・健康促進センター(NCCDPHP)のグループは、「地理的条件が単独でがんリスクの予測因子となるわけではないが、予防や診断、治療の機会には影響する可能性がある。このことは、米国における重大な公衆衛生上の問題だといえる」と述べている。

     今回、同グループがCDCのがん登録データなどを分析した結果、得られた主な知見は以下の通り。

    ・がんによる死亡率は都市部に比べて農村地域で高かった。人口10万人当たりのがんによる死亡数は都市部の158例に対して農村地域では180例に上った。
    ・がんによる死亡率は都市部では年間1.6%の低下が認められたが、農村地域では同1.0%の低下にとどまった。
    ・全体的ながん罹患率は都市部に比べて農村地域ではやや低く、都市部の10万人当たり457人に対して農村地域では同442人だった。しかし、肺がんなどの喫煙に関連するがんや、スクリーニングによる予防効果が期待できる大腸がんや子宮頸がんなどの罹患率は、都市部に比べて農村地域で高かった。

     米オハイオ州立大学総合がんセンターのElectra Paskett氏は「この結果は意外ではない」とコメント。「われわれは長年にわたって農村地域で調査などを実施してきたが、農村地域が広がるアパラチア地方ではかなりの期間、がんが死亡原因の首位を占めていた。農村地域にはがん死亡率を高めるさまざまな要因がある」と説明している。

     一方、今回の研究を実施したグループの一員でCDCがん予防・対策部門のLisa Richardson氏は「私ががん患者を治療するときは、私1人で治療しているわけではない。治療中も、治療が終了した後も、他の医療従事者や患者の家族が患者を支援している。これは、地域レベルでの予防を目的とした介入にも必要なことだ。関係者の連携が、がんの罹患率を低減し、それに関連する不均衡を解消するための鍵となる」と指摘している。

     なお、CDCはがん死亡率の地域間における格差の縮小を目指す上で、農村地域の医療従事者も一定の役割を果たしうると強調。「がんリスクを低減させる習慣、例えば喫煙や副流煙に曝露する機会を減らすこと、日光や日焼けマシンから紫外線を浴びる量を制限すること、運動や健康的な食事を心がけることなどを推進することで地域差を解消できる可能性がある」としている。また、大腸がんや子宮頸がんの検診、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンやB型肝炎ワクチンなどのがんを予防するワクチンの接種率を向上させることも課題として挙げている。

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  • 「住環境」と「外食頻度」が若年女性の栄養摂取状況に及ぼす影響は?- 日本人の女子学生約4,100人を解析

    家族と同居またはひとり暮らしといった居住形態は、中高年だけでなく若年女性の食習慣にも影響を及ぼし、居住形態によって栄養素の摂取状況には差がみられることが、東京大学大学院社会予防疫学分野の児林聡美氏らの検討で分かった。また、ひとり暮らしの若年女性では、外食の頻度を減らしても必ずしも食事の改善にはつながらないことも示された。詳細は「Journal of Epidemiology」6月号に掲載された。

     家族と同居あるいはひとり暮らしといった居住形態は、食習慣に影響を及ぼすと考えられている。特に中年や高齢者のひとり暮らしは、低栄養や不健康な食生活の危険因子であることが報告されている。児林氏らは今回、若年女性を対象に、家族と同居している女性とひとり暮らしをしている女性の普段の食事から摂取している栄養素の充足状況を比較し、さらに外食の頻度が食事の適切さに及ぼす影響についても調べた。

     対象は、85校の栄養関連学科の学生とその母および祖母が参加した、食習慣と健康に関する女性3世代の横断観察研究の参加者うち18~20歳の女子学生4,107人。このうち3,096人(75.4%;同居群)が家族と同居しており、1,011人(24.6%;独居群)はひとり暮らしをしていた。

     食事摂取量は自記式食事歴法質問票(DHQ)から推定し、「食事の適切さ」は「日本人の食事摂取基準(2015年版)」による基準値を用いて評価した。生活習慣病の予防のために目標量(DG)が設定されている5つの栄養素〔脂質、飽和脂肪酸(SFA)、炭水化物、食物繊維、食塩〕の場合はDG範囲外の摂取量を「不適切」とし、摂取不足の評価のために推定平均必要量(EAR)が設定されている13栄養素(たんぱく質、ビタミン、ナイアシン、葉酸、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、銅)の場合はEARに満たない摂取量の場合を「不適切」とした。なお、鉄に関しては海外の知見から基準値を設定した。

     その結果、独居群では同居群に比べて、ほとんどの栄養素の摂取量が有意に低かったが、炭水化物だけは有意に高かった。また、DG設定栄養素の摂取量が「不適切」だった学生の割合は、脂質、SFAおよび食塩は同居群で高く、食物繊維は独居群で高かった。EAR設定栄養素の摂取量が「不適切」だった割合は、ほとんどの栄養素が独居群で高かった。同居群ではDGを満たしていない栄養素数が独居群に比べて高かったが(3.3対2.9)、EARを満たしていない栄養素数は低かった(6.0対7.1)。

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     さらに、同居群では外食頻度が増えるに従い、DGを満たしていない栄養素数が増加した。一方で、独居群では外食頻度とDGまたはEARを満たす割合との間に関連はみられなかった。

     以上の結果を踏まえて、児林氏らは「居住形態は若年女性の食習慣に影響を及ぼし、食習慣の改善点はその居住形態で異なることが分かった。また、外食の頻度を減らすことは、家族と同居する学生では食事の改善の一助となる可能性があるが、ひとり暮らしの学生では必ずしも改善につながらないことも示された」と結論。ひとり暮らしの学生に対して健康的な食習慣を啓発する必要性があることを指摘している。

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    保健機能食品には、食品の目的や機能等の違いにより。国が安全性や有効性を個別に審査し許可した「特定保健用食品(トクホ)」・国が定める特定の栄養成分の規格基準に適合した「栄養機能食品」・科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品である「機能性表示食品」の3つがあります。

    健康食品試験についての詳しい説明

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    HealthDay News 2017年7月18日
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