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8月 21 2017 ちゃんと効かせる為に…薬の正しい飲み方とは!?
病院で処方してもらったり、ドラッグストアで購入できる医薬品ですがキチンと服用時間や用法用量、飲み合わせをきちんと守らないと効かずに病気が長引いたり、副作用が起こってかえって苦しい思いをすることになります、今回はそんな薬の正しい飲み方について解説します。はじめに近年、医療用の成分が市販薬にも配合されるようになりセルフメディケーションといって軽い症状であればドラッグストアなどで販売されている市販薬でも対応していける時代となりました。
また、医療技術の進歩によって病気に対して様々な薬が開発され、有効な治療ができるようになってきています。
しかし、どんなに症状や病気にあった薬を選んでいても正しい用法用量を守らないと薬の効果が100%発揮されませんし、用法用量以外にも薬の組み合わせにも気をつける必要があります。今回は、そんな薬をしっかり効かせる方法について解説します。
服用回数はなぜ守らないといけない?薬によって違う服用回数
薬は、1回〇錠 1日3回 毎食後とか、1日2回 朝夕食後など1日に服用する回数が決まっていて薬の種類によってそれぞれ異なっています。
これは何故かというと薬の効き始める時間や薬の効かせたい時間帯が薬によって違ってくるのと、薬が体内に留まっていられる時間が薬によって様々だからなのです。
その為、決められた用法を守らなければ薬が十分に効かなかったり、効きすぎて有害な副作用が起こったりします。1日1回服用する薬の場合
1日1回で服用する薬の場合は特定の時間に効かせたい場合に服用する場合と1度服用すれば約24時間は効果が続くものがあります。
例えば眠れない時に服用する眠剤はすぐに効果が発揮され、睡眠している時間にのみ効果が現れていれば良いので眠前のみに服用します。
血圧を下げる降圧薬や、血糖を下げる血糖降下剤などには1日1回服用すれば薬が体内で長く留まる為、24時間血圧を下げたり、血糖を下げる効果が続くものがあります。1日3回や2回服用する薬の場合
1日3回や2回飲む薬の場合は薬の効果が現れている時間が約8時間であったり、12時間であったりします。薬の効果が切れないように1日に複数回に分けて服用する必要があります。もし、薬を飲み忘れたら薬の用法によって対処が違ってくる
気をつけているつもりでもうっかり飲み忘れてしまう…誰にでも起こりうることです。
飲み忘れた場合に病気が悪化しないか不安に思われる方も多いと思いますが、安心てください、大丈夫です。
適切な対処をとることで問題なく薬による治療を続けることができます。基本的には飲み忘れの際の対応は主治医の指示に従うようにしましょう。
一般的な対応としては次回の服用時点までに時間感覚を見送る、あるいは下記のような時間感覚をあけて服用するようにします。1度に2回分を服用しないで下さい。
1日1回飲む薬の場合
→8時間以上間隔を空けるようにしましょう。
1回2回飲む薬の場合
→5~6時間間隔を空けるようにしましょう。
1日3回飲む薬の場合
→4時間以上間隔を空けるようにしましょう。お近くの治験情報を全国から検索できます。
薬の組み合わせにも注意が必要薬の相性(薬物相互作用)とは!?
複数の薬を併用した際に、薬の効果が減弱あるいは増強されたりして、効果が減弱したり、薬の作用が過剰に現れて副作用が起こることを指します。
相互作用を起こす薬の組み合わせは様々な種類のものがあります。病院でもらう薬と市販薬やサプリメントで起こりうる相互作用
よく起こりやすいのがアルミニウム(Al)やマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)など金属含有製剤との相互作用です。アルミニウムは市販の胃薬に含まれていることがあります。
マグネシウムやカルシウムはサプリメントでとられる方もいます。
金属含有製剤と組み合わせの悪い薬の一部を下に記載しておきます。
抗アレルギー薬 フェキソフェナジン(商品名:アレグラ)→AlやMgと組み合わせると体内への吸収が低下するので一緒のタイミングで服用してはいけません(時間を離してならOK)。
下痢に使用される止瀉薬 タンニン酸アルブミン(商品名:ビオフェルミン止瀉薬)→Caと結合して不溶塩という溶けない塊を作るので併用は禁忌とされています。
病院で処方される抗生剤には全てではありませんがAl、Mg、Caと組み合わせが悪かったり、時間をずらして服用しないと行けないものがあります。
上記以外にも沢山の相互作用が問題となる組み合わせが存在します。お薬手帳を活用しよう!
お薬の組み合わせは病院や薬局でチェックしてもらうことができます。
どんな薬をいつ飲んでいるか?
たくさんの薬やサプリメントを飲んでいる場合、覚えておくのは大変かもしれません。
そこで活躍するのがお薬手帳です。お薬手帳は、病院や薬局では処方してもらったお薬を記録してもらえます。
また自身の服用している市販薬やサプリメントを自由に記載することができます。
今はスマートフォンのアプリでもお薬手帳が使えるようになっています。
また2016年4月からお薬手帳を持参した場合、薬局での負担金が10円から30円安くなる制度が開始されました。
是非お薬手帳を活用して組み合わせを医師や薬剤師にしっかりチェックしてもらいましょう。まとめ血圧コントロールや血糖コントロール、コレステロール値を下げるなど、薬をきちんと服用せずに放置していると、ゆくゆくは合併症が起こり、その症状で辛い思いをしながら生きていかなればいけないということになるかもしれません。
そうならない為にも処方された薬をきちんと服用するのと薬の効き方に問題の無いように相互作用もしっかりチェックしてもらい、万全の状態で薬を服用していけるようにしていきましょう。
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8月 21 2017 一部のテレビゲームで脳の灰白質が萎縮?
アクション型のテレビゲームをプレイする人の一部で、脳の灰白質と呼ばれる部分の萎縮が認められたとする研究結果が「Molecular Psychiatry」8月8日オンライン版に掲載された。ただ、同研究ではゲームをプレイする際の脳の働かせ方やゲームの種類によっては灰白質の容積が増加することも分かったという。
これまでに、テレビゲームには注意力や短期記憶力を向上させる利点があるとの研究結果が報告されていたが、今回の研究からは、こうしたゲームによる効果を得るには代償を伴う可能性が示唆された。
この研究は、18~30歳の男女約100人を対象にモントリオール大学(カナダ)のGregory West氏らのグループが実施したもの。参加者にはゲームの熟練プレーヤーと未経験者が含まれていた。
参加者には、一人称視点で3次元(3D)マップを移動して敵を攻撃するファーストパーソン・シューティングゲーム(FPS)または三人称視点でプレイするサードパーソン・シューティングゲーム(TPS)である「コールオブデューティ」や「バトルフィールド」、「キルゾーン」などのゲーム、あるいは3Dプラットフォームでプレイする「スーパーマリオ」シリーズのゲームを90時間プレイしてもらい、MRI検査を実施して脳の海馬と呼ばれる空間や物事の記憶を司る領域への影響を評価した。
その結果、「空間的戦略(spatial strategies)」に基づいてゲームをプレイしていた人には、海馬における灰白質の容積の増加が認められた。それに対し、「反応学習(response learning)」に基づいてゲームをプレイしていた人では、灰白質の容積が縮小していたという。West氏らによると、空間的戦略では頭の中に地図を描いて地形を理解するのに対し、反応学習では単に左右に曲がる場所を覚える感覚でゲームを進めるという。
さらに、プレイ時の脳の働かせ方によって差がみられるだけでなく、「スーパーマリオ」シリーズのゲームをプレイした群では、海馬だけでなく嗅内皮質と呼ばれる脳領域の容積も増加することが示唆された。
この結果を踏まえ、研究グループの一員でマギル大学(カナダ)准教授のVeronique Bohbot氏は「ゲームをプレイする人が誰でも精神疾患を発症するわけではないが、海馬の灰白質が萎縮した人は統合失調症や心的外傷後ストレス障害(PTSD)、うつ病、アルツハイマー病などのリスクが高いことが分かっている」と説明している。
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一方、米ステッソン大学のChris Ferguson氏は、今回のようなテレビゲームによる脳への影響に関する研究には問題点があると指摘。「脳にはさまざまな領域があるが、その一部にたまたま認められた差を研究者が大袈裟に取り上げ、その原因はテレビゲームにあるとしている場合もあるのではないか」としている。その上で、同氏は「脳の研究を全体的に見ると、テレビゲームは安全であることが示されている。暴力的なゲームであっても脳に短期的あるいは長期的な悪影響を及ぼすとの報告はなく、脳の変化が実際の行動に関連することを示した研究もほとんどない」と説明している。
なお、West氏は「成人がシューティングゲームをプレイする時間は週2~3時間以内とすべき」と助言しているが、Ferguson氏は「ゲームによりストレスが軽減され、問題解決能力が向上することを示す研究もある。オフラインでの人付き合いや運動、仕事や学校、家族、十分な睡眠の時間を確保し、ゲーム以外の時間とのバランスを維持できれば、テレビゲームによる脳への有害な影響はない」としている。
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8月 21 2017 「腎細動脈硝子化」所見は糖尿病性腎症早期のアルブミン尿増加およびGFR低下を予測する -北里大の研究グループ-
腎病理所見の1つである腎細動脈硝子化(arteriolar hyalinosis)の重症度は、正常~微量アルブミン尿期の日本人2型糖尿病患者において、尿中アルブミン排泄量(UAE)の増加と糸球体濾過量(GFR)低下の予測因子となり得ることが、北里大学健康管理センターの守屋達美氏らの研究グループによる検討で分かった。詳細は「Diabetes Care」8月3日オンライン版に掲載された。
これまでの研究では、糖尿病性腎症(腎症)の典型的な組織所見である糸球体基底膜(GBM)の肥厚やメサンギウム領域の拡大などは、正常アルブミン尿期の段階で既に認められることが報告されている。守屋氏らは今回、腎組織変化の中でも腎細動脈硝子化に着目し、日本人2型糖尿病患者を対象に、この所見が腎症の進展予測に有用な因子であるかどうかを検証する研究を行った。
対象は、顕性アルブミン尿を有さない正常血圧の2型糖尿病患者29人(男性が22人、平均年齢49±10歳、平均GFR値119±27mL/分/1.73m3)で、15人は正常アルブミン尿(UAEが20μg/分未満)、14人は微量アルブミン尿(UAEが20~200μg/分)を呈していた。
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対象患者には経皮的腎生検を行い、電子顕微鏡検査や光学顕微鏡検査によりメサンギウム拡大率〔mesangial volume fraction;Vv(Mes/glom)〕や糸球体輸出入細動脈の硝子化インデックス(index of arteriolar hyalinosis;IAH)スコア、平均糸球体体積などの組織学的な因子を算出した。8.0±3.5年間追跡し、観察開始時と終了時のUAEおよびGFRの値と関連する組織学的因子を調べた。
解析の結果、組織学的因子はいずれも観察開始時のUAEとは関連を示さなかったが、Vv(Mes/glom)は観察開始時および終了時のGFRと負の関連を示した。一方、IAHスコアは終了時のUAEと有意な正の相関を示し、GFRとは有意な負の相関を示した。なお、IAHスコアは観察開始時のUAEとGFR双方との関連は示さなかった。
また、GFRの推移をみると、IAHスコアが観察開始時に2.0未満だった患者では、観察開始時と終了時のGFRに有意差はみられなかったが、IAHスコアが2.0以上を示した患者では、観察開始時に比べて終了時のGFRは有意に低下したほか、2.0未満であった患者と比べて終了時のGFRは有意に低かった。
以上の結果から、守屋氏らは「腎細動脈硝子化は腎症に特有な所見ではないが、光学顕微鏡検査のみで重症度を判定できる。この所見は正常~微量アルブミン尿期の2型糖尿病患者における腎機能低下の有用な予測因子となる可能性がある」と結論づけるとともに、腎症の進展における腎機能の変化とIAHスコア上昇との関連を、そのメカニズムも含めてさらに詳細に検討する必要があるとしている。
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糖尿病を患うと合併に悩まされる可能性があります。合併の中には命の伴うものもあり、透析治療を受けている中でも、原因の疾患の第一位と呼ばれるほど糖尿病性腎症について詳しく解説しています。
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8月 21 2017 日本の医療費増加に最も影響する心血管危険因子とは? 獨協医大の研究グループ
健康診断を受診した茨城県の住民を対象とした研究から、心血管危険因子の中でも「高血圧」が医療費の増加に最も影響を及ぼす因子であり、その影響度は糖尿病や脂質異常症よりも大きく、腹部肥満の有無にかかわらないことを、獨協医科大学公衆衛生学准教授の西連地利己氏らの研究グループが明らかにした。生活習慣病に関連した医療費を抑えるには、腹部肥満の有無にかかわらず高血圧の予防が肝要だという。詳細は「Journal of Epidemiology」8月号に掲載された。
これまで糖尿病や脂質異常症、高血圧といった心血管危険因子と腹部肥満が医療費に及ぼす影響は明らかにされていなかった。そこで、西連地氏らは、茨城県の健康診断を受診した住民を対象とした茨城県健康研究(Ibaraki Prefectural Health Study)のデータを用いて、肥満に関連した心血管危険因子の医療費への影響度を腹部肥満の有無別に比較検討した。
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対象は、同研究の第2コホートの参加者のうち、国民健康保険に加入する40~75歳の住民4万3,469人。2009~2013年の対象者の診療報酬データを追跡し、糖尿病、LDL-コレステロール(LDL-C)高値、HDL-コレステロール(HDL-C)低値、高血圧の各心血管危険因子による医療費への影響度を腹部肥満の有無別に比較検討した。なお、腹部肥満はウエスト周囲長が男性で85cm以上、女性で90cm以上と定義した。
その結果、心血管危険因子および腹部肥満がない場合と比べた医療費比(health expenditure ratio;HER)は、腹部肥満を伴わない場合には糖尿病が1.58倍、高血圧が1.31倍、HDL-C低値が1.27倍、LDL-C高値が1.06倍であり、肥満を伴う場合にはそれぞれ1.42倍、1.26倍、1.11倍、1.03倍、腹部肥満のみで他に心血管危険因子がない場合には1.15倍であった。また、腹部肥満を伴うLDL-C高値を除いて、各危険因子と医療費との間には有意な関連が認められた。
一方で、各心血管危険因子の人口寄与割合(population attributable fraction;PAF)を比較したところ、腹部肥満を伴わない場合には高血圧が6.5%と最も高く、糖尿病(2.8%)、LDL-C高値(0.8%)、HDL-C低値(0.7%)が続き、腹部肥満を伴う場合でも高血圧が5.0%と最も高く、糖尿病(2.3%)、腹部肥満(1.0%)、HDL-C低値(0.4%)が続いた。
以上の結果から、西連地氏らは「肥満に関連するとされる心血管危険因子の中でも高血圧は、腹部肥満の有無にかかわらず医療費の増加に最も大きく寄与すると考えられる」と結論づけている。
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