• 手指の関節可動制限が頸動脈アテローム性硬化症と関連 -日本人2型糖尿病患者で検討-

    日本人2型糖尿病患者では、手指の関節動作が制限される関節可動制限(limited joint mobility)は頸動脈アテローム性硬化症と関連し、特に頸動脈エコー検査で評価したプラークスコアと強く関連することが、市立大津市民病院(滋賀県)内科の峠岡佑典氏と京都府立医科大学大学院内分泌・代謝内科学の橋本善隆氏、福井道明氏らの研究グループの検討で分かった。

    日常診療で診断しやすい手指の関節可動制限の有無は、2型糖尿病患者における無症候性動脈硬化症の有用な評価指標となる可能性があるという。詳細は「Diabetes Research and Clinical Practice」7月20日オンライン版に掲載された。

     糖尿病患者を含めた心血管疾患高リスク患者の転帰を改善するには、無症候性の動脈硬化症を早期に発見し治療することが重要とされる。峠岡氏らは今回、糖尿病合併症の1つに挙げられ、細小血管合併症との関連が指摘されている「手指の関節可動制限」に着目。2型糖尿病患者を対象とした横断研究を行い、手指の関節可動制限と頸動脈内膜中膜肥厚(IMT)およびプラークスコアで評価した頸動脈アテローム性硬化症との関連を調べた。

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     峠岡氏らは、2012~2014年の連続した外来2型糖尿病患者341人を対象に頸動脈エコー検査を行い、頸動脈IMTとプラークスコアを評価した。手指の関節可動制限の診断には、prayer sign(指を伸ばして両手を合わせ、両手指の間に隙間が空かないかを確認する)とtable test(テーブルの上に手指を隙間なく置けるかを確認する)を用いた。

     その結果、全対象患者のうち72人に手指の関節可動制限が認められた。解析の結果、手指の関節可動制限が認められた患者では、可動制限が認められなかった患者に比べて頸動脈IMTとプラークスコアが有意に高かった(それぞれ1.45±0.66mm対1.14±0.68mm、P=0.013、8.0±5.3mm対5.4±4.8mm、P<0.001)。

     また、多変量線形回帰分析の結果、年齢や性、糖尿病罹病期間、BMI、HbA1c値などの複数因子を調整しても手指の関節可動制限はプラークスコアと有意な正の関連を示すことが分かった。

     以上の結果を踏まえ、峠岡氏らは「2型糖尿病患者に併存する心血管疾患やそのリスクを予測するサロゲートマーカーとしては頸動脈エコー検査でIMTやプラークスコアを測定することが重要であるが、外来で簡便に確認できる手指の関節可動制限の有無も無症候性動脈硬化症の有用な評価指標となる可能性がある」と述べている。

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    糖尿病とは? 血糖値や症状に関する基本情報。体内のインスリン作用が不十分であり、それが起因となり血糖値が高い状態が続いていきます。症状など分類別に解説しています。

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    HealthDay News 2017年8月28日
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  • よい脂肪、悪い脂肪の見分け方      

    食事の中に含まれる脂肪は、必ずしも全てが悪いものというわけではありません。

     体によい脂肪は、積極的に食事に取り入れましょう。例えば、アボカドや青魚などに含まれる多価不飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸には、「悪玉」コレステロールやトリグリセリドの値を下げる作用があります。

     一方、チーズ、バター、クリームなどに含まれる飽和脂肪酸は、取り過ぎないように制限する方がよいでしょう。こうした脂肪は心疾患リスクを上昇させ、血液中の「悪玉」コレステロールの値を上昇させることがあります。

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     いっさい避けた方がよい脂肪もあります。トランス脂肪酸、硬化油、ヤシ油・パーム油などです。こうした脂肪は主に市販の焼き菓子などに含まれますが、飽和脂肪酸よりもさらに「悪玉」コレステロールの値が上昇しやすく、心疾患リスクも高まります。

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    治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

    治験・臨床試験についての詳しい説明

    情報元:米国心臓協会(AHA)
    HealthDay News 2017年8月15日
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  • 体外受精で助成金を受け取れる?不妊治療の助成金を徹底解説

    不妊治療は保険適用外のものが多いため、高額な費用がかかるのが現実です。いつ妊娠、出産できるのか確かではなく、費用も高額となるとなかなか不妊治療に取り組めないという方もいるのではないでしょうか?しかし、不妊治療には助成金制度があるのです。今回は、助成金制度の受け取り条件や金額、助成金申請の手続きの仕方などをご紹介します。
    1. 1. はじめに
    2. 2. 不妊治療の助成金制度
    3. 3. 助成金の受取り条件
    4. 4. 受け取れる金額
    5. 5. 助成金申請の手続き
    6. 6. 体外受精に関する助成金
    7. 7. まとめ

    はじめに

    不妊治療に対する関心は年々高まってきています。
    不妊治療の実施件数も増え、子どもが欲しいと望む方々の選択肢のひとつとして確立しています。
    しかし、不妊治療というと高額な治療費がかかるイメージが強く、それが理由で治療に踏み切れない方々もいるのではないでしょうか?

    しかし、不妊治療には助成金制度というものがあるのです。

    今回は、助成金制度の受け取り条件や金額、助成金申請の手続きの仕方などをご紹介します。

    不妊治療の助成金制度

    不妊治療にはいくつか治療方法があり、タイミング法は保険適用となりますが、それ以外の人工授精や体外受精などの治療方法は保険適用外となり費用はすべて自己負担となります。

    人工授精であれば1回15,000円程度ですが、体外受精となると1回20~50万円と高額な費用がかかります。

    さらに妊娠することができずに治療期間が長くなると、その分費用が重なります。

    そのため、不妊治療に取り組む人の経済的負担を減らすために、厚生労働省は特定治療支援事業制度を設けています。

    自治体の指定を受けた医療機関で不妊治療を受けた場合に助成金を受け取れるという制度です。

    助成金制度は都道府県が実施している制度と市区町村が独自に実施している制度の2種類があり、それぞれ対象となる治療方法などの内容が異なります。

    都道府県が実施している場合は、体外受精、顕微授精が対象となり、タイミング法や人工授精などは対象外です。

    市区町村の制度では人工授精やタイミング法なども対象になる場合や、通院にかかる交通費が支給の対象になることもあります。

    助成を受けられる上限や回数などもそれぞれの自治体によって異なるので、制度を利用する場合には事前にお住いの都道府県や市区町村に問い合わせ調べておきましょう。

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    助成金の受取り条件

    助成金を受け取るにはいくつかの条件があります。

    〔自治体の指定を受けた医療機関での治療〕
    助成金制度を利用するには、自治体の指定を受けた医療機関で不妊治療を行うことが条件です。
    それ以外の医療機関で不妊治療をした場合には制度を利用することができないので注意しましょう。
    これから不妊治療を行い、助成金制度を利用することを考えている場合には、自分が通院する予定の病院が指定医療機関であるかを確認する必要があります。

    〔年間所得730万円未満〕
    夫婦2人分の所得の合計が730万円未満でなければ助成金を受け取ることができません。
    ごく一部所得制限がないという自治体もありますが、ほとんどの場合は所得制限があります。
    所得制限で助成金が受け取ることができない場合には、医療費控除や高額療養費制度を利用することができます。

    〔戸籍上の夫婦〕
    助成金を受けることができるのは、戸籍上の夫婦のみに限られています。

    事実婚や内縁関係などの場合には、この制度を利用することができません。
    助成金の申請をする時には夫婦それぞれの住所や戸籍を確認できる書類を提出する必要があります。

    〔不妊治療が必要であること〕
    体外受精や顕微授精などの治療方法でなければ妊娠する見込みがない、妊娠する可能性が極めて低いと診断された場合に助成金を受け取ることができます。

    受け取れる金額

    助成金として受け取れる金額は都道府県や市区町村により異なります。

    国が定めている助成金の限度額は、体外受精、顕微授精1回につき15万円です。

    ただ、以前に凍結した卵子を解凍し移植を実施したり、採卵したが状態が悪く治療を中止したなどの場合には7.5万円になります。

    都道府県や市区町村によってはさらに上乗せされるというところもありますので、お住いの自治体に問い合わせてみましょう。

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    助成金申請の手続き

    助成金の申請は申請期限内に自治体の窓口で手続きしなければなりません。

    ほとんどの場合、申請期限は不妊治療が終了した日の年度内(3月31日)までに行わなければなりません。

    一部の自治体では治療終了した日から60日以内、治療終了した日が属する年度の翌年度4月末までといったところもありますので自治体に確認してみましょう。

    必要とされる書類は各自治体により異なりますが、

    • 住民票
    • 戸籍上夫婦であることがわかる資料
    • 自治体で指定された医療機関の領収書、明細

    これらの書類を各自治体の窓口に期限内に提出しなければなりません。

    体外受精に関する助成金

    不妊治療の方法はいくつかありますが、体外受精であれば都道府県が実施している制度の対象となります。

    市区町村が実施している制度でも対象となる場合が多いです。

    ごく一部ではありますが、体外受精に対し企業独自の健康保険組合や共済会で助成をしてくれるところもあります。1夫婦につき10回まで、初回は10万円、2回目以降5万円の助成をしてくれるという事例もあります。

    まとめ

    今回は、助成金制度の受け取り条件や金額、助成金申請の手続きの仕方などをご紹介しました。

    助成金の金額や手続きは、都道府県や市区町村によって内容が異なるので、事前に調べておきましょう。

    また、指定された医療機関でなければ助成金を受け取ることができないので、病院を選ぶときには注意が必要です。

    助成金制度を活用して、不妊治療の負担を減らしましょう!

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  • 体外受精での新鮮胚移植の方法が知りたい!

    妊娠・出産を望んでいるにもかかわらず子どもを授かることができない時には、男女ともに不妊症の検査や治療を行います。本記事では、体外受精の中でも新鮮胚移植という方法を取り上げ、新鮮胚移植とは何なのか、移植の注意点やスケジュール、着床率、移植後の症状や注意点をご紹介します。
    1. 1. はじめに
    2. 2. 体外受精の新鮮胚移植とは
    3. 3. 新鮮胚移植の方法
    4. 4. 新鮮胚移植のスケジュール
    5. 5. 新鮮胚移植後の着床率
    6. 6. 新鮮胚移植後の症状や注意点
    7. 7. まとめ

    はじめに

    不妊治療は一般的に精子と卵子がタイミングよく出会うように施す治療や、人工的に精子を女性の子宮に注入する人工授精などがあります。以前はこれらの治療で妊娠が出来なかった場合は諦めるしかありませんでしたが、体外受精によって子供を授かるチャンスが広がりました。

    体外受精は精子と卵子を体外で出会わせてできた受精卵(胚)を子宮に移植し、着床させ、妊娠・出産に導くものです。

    今回は、体外受精の中でも新鮮胚移植という方法についての着床率、移植後の症状や注意点をご紹介します。

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    体外受精の新鮮胚移植とは

    新鮮胚移植とは、一度の月経周期のうちに女性から卵子を取り出し、受精させ、胚を移植する体外受精の方法です。

    体外受精には他にも胚を凍結して次回以降の月経周期に移植する凍結胚移植があります。

    体外受精では排卵誘発剤処置などで女性から1~複数個の卵子を採ってその全てを受精させます。それらの中から最も妊娠の可能性の高い胚(発生をはじめたばかりの受精卵)を選び出し、移植します。

    このときに、子宮が着床する準備が十分に出来ていない場合には、胚を凍結させて次の移植のチャンスを探ります。

    新鮮胚移植の方法

    体外受精による不妊症治療を始めるにあたって、まずは治療周期に関する説明があります。
    生活との兼ね合いや1回の治療で子どもが授からない場合の事前相談などを積極的にする事をおすすめします。
    次に、卵子を採る確率を上げるための排卵誘発剤の前処置などを受けるか否かの選択と、受ける場合には前処置の開始があります。この排卵誘発剤処置は通院か自己注射かを選ぶことができます。
    良く使用される排卵誘発剤を下にまとめます(括弧内は商品名)。

    【卵胞を育てる薬】

    • クロミフェン(クロミッド、セロフェン、スパクロミン錠)
    • シクロフェニル(セキソビット)
    • レトロゾール(フェナミーラ)
    • アナストゾール(アリミデックス)
    • HMG(HMGテイゾー、フェリング、hMGコーワ、hMG「F」)
    • FSH(フェリルモンP、ゴナピュール)
    • recFSH(フォリスチム、フォリスチムペン、ゴナールF、ゴナールFペン)

    【卵胞の成長のコントロールと排卵を抑制する薬】

    • GnRHアゴニスト(スプレキュア、プセレキュア、イトレリン、フセット、ナサニール、ナファレリール、リュープリン、リュープライド)
    • GnRHアンタゴニスト(ガニレスト、セトロタイド、セトロレニックス)

    【卵胞の成熟と排卵を促す薬】

    • hCG(ゴナトロピン、hCGモチダ、プレグニール、hCG「F」、HCG)
    次に、女性から卵子を男性から精子を採取します。

    採卵前に超音波検査で卵子の入った卵胞が発育していることを確認できます。

    採卵は、麻酔下でモニターを見ながら卵胞をチューブで吸い出します。
    採取した精液からは運動性の高い精子を選んで濃縮します。

    その後の受精には卵子に精子を振りかける体外受精法と顕微鏡下で精子を卵子に細い管で注入する顕微授精法の2つがあります。

    受精卵(胚)は専用の機器内で培養し精子が卵子と融合しているか、胚が正常に胎児へと変化する準備をしているかを顕微鏡で確認します。最も状態良く胎児へ変化する準備が整った胚を専用のチューブを使って子宮の内膜に移植し着床させます。

    その後、尿の妊娠反応で妊娠の有無を確定します。

    新鮮胚移植のスケジュール

    以下に治療の流れを示します。
    • 【採卵当日】採卵と採精を行い体外で卵子と精子を出合わせます。
    • 【採卵1日後】受精しているかを顕微鏡で確認します。
    • 【採卵2~3日後】卵割が起こっているかを顕微鏡で確認します。
    • 【採卵5~6日後】卵割が順調に進んでいるかを顕微鏡で観察します。
    • 【採卵2~6日後】子宮内膜の状態に合わせて卵割した胚を子宮内に移植します。
    • 【採卵約2週間後】着床し妊娠したことを判定します。

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    新鮮胚移植後の着床率

    これまでの説明にあるように、体外受精には多くのステップがあります。どの段階からの成功率なのか、また着床をどのように確認したかによって成功率は大幅に変わります。

    ここでは日本産婦人科学会のデータを参考に、採卵してから子宮内に胎児の入っている袋(胎嚢)が確認できた時点を着床成功とします。

    1991年では採卵してから着床まで確認できた割合は15.5%でした。その後わずかにですが着床率は上がり、16.3%(1994)、18.5%(1997)、21.0%(2000)、23.0%(2003)となりました。

    その後は横ばいで現在でも22%前後という数値です。1回の治療における数値は決して高いものではありません。

    新鮮胚移植後の症状や注意点

    妊娠の確立を高めるために多く数の胚を移植することが考えられます。すると、多胎妊娠になる可能性が高まり母体と子供の安全が問題となります。

    日本産婦人科学会では2008年に原則1胚移植のみにすること、35歳以上の女性で2回以上妊娠不成立であった場合では2胚移植まで認めることが決められています。しかし、最近では1胚移植と2胚移植で妊娠率に差が無い事が分かっています。

    また、多くの体外受精実施施設で多胚妊娠の説明があります。多胚妊娠になった場合でも引き続きケアするために、新鮮胚移植施設と周産施設は連携していることが多いです。

    まとめ

    今回は、体外受精の方法のひとつである新鮮胚移植をご紹介しました。
    体外受精をする場合は、夫婦、家族で事前に治療の期間や方法についてきちんと話し合いをすることが大切です。
    事前の準備を入念にし、治療に専念できるようにしましょう!

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