• 胃酸逆流による喉症状、食事療法に薬と匹敵する治療効果

    胃酸の逆流によって喉のかすれや痛み、咳といった咽喉頭の症状が生じる病態は咽喉頭逆流症と呼ばれ、その治療には胃食道逆流症(GERD)の治療薬としても知られるプロトンポンプ阻害薬(PPI)が広く使用されている。

    こうした中、咽喉頭逆流症に対する治療として、植物性の食品を中心とした食事とアルカリ水による食事療法を実施したところ、PPIと匹敵する効果が認められたとする研究結果が明らかになった。詳細は「JAMAOtolaryngology–Head&NeckSurgery」9月7日オンライン版に掲載された。

    この研究は、米ニューヨーク医科大学耳鼻咽喉科のCraigZalvan氏らが実施したもの。
    同氏らは今回、2010~2012年にPPIを用いた薬物療法を行った咽喉頭逆流症患者85人と、2013~2015年に食事療法を実施した咽喉頭逆流症患者99人の医療記録を比較した。

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    食事療法は食事全体の90~95%を野菜や果物、全粒穀物、ナッツなどの植物性食品とし、肉類や乳製品などの動物性食品を5~10%以内に抑えた地中海風の食事を取るというもので、飲み物はアルカリ水(pH8超)に限定した。
    両群の全ての患者に対してコーヒーや紅茶、アルコール飲料、チョコレート、炭酸飲料、揚げ物、高脂肪食などを避けるといった基本的な食事の指導も行った。

    その結果、治療開始から6週間後に咽喉頭逆流症の症状スコア(RefluxSymptomIndex;RSI)が6点以上改善した患者の割合は、PPI治療群で54.1%、食事療法群では62.6%で、PPI治療に食事療法を上回る効果は認められなかった。
    今回の解析では両群の間に統計学的な有意差はなかったが、Zalvan氏は「食事療法の効果はPPIを上回るとは言えないが、少なくとも同程度だとは言える」としている。

    なお、Zalvan氏は以前、自分の患者にPPIを日常的に処方していた。
    しかし、一部の患者では効果がみられないことに加え、PPIの使用が心筋梗塞や腎臓病、認知症、骨折などのリスクをわずかに上昇させることを示唆した研究報告が相次いだため、咽喉頭逆流症の治療アプローチをPPIから食事療法へと切り替えたという。

    ただし、同氏らは今回の研究の限界として、薬物治療と食事療法を直接比較した臨床試験ではないことなどを挙げている。
    また、この研究で検討した食事の90%を植物性食品とする厳格な食事療法ではなく、よりゆるやかな食事療法でも効果があるか否かは不明である

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    HealthDay News 2017年9月7日
    Copyright c 2017 HealthDay. All rights reserved.
    SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
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  • 統合失調症患者の幻聴に脳の特定領域を刺激する治療が有望

    統合失調症患者は音や歌、話し声などさまざまな幻聴に悩まされることが多い。中でも最も頻度が高いのが、自分の内側あるいは外側から話し声が聞こえてくる「言語性幻聴」だ。

    この言語性幻聴の軽減に、磁気エネルギーを利用して脳の言語に関連する領域を刺激する「経頭蓋磁気刺激(TMS)」が有望であることが、フランスの臨床研究で示された。
    この研究結果は欧州神経精神薬理学会議(ECNP2017、9月2~5日、パリ)で発表された。

    統合失調症患者には幻覚や混乱、幻聴などさまざま症状が現れるが、中でも言語性幻聴を経験する患者の割合は約70%に上ると推定されている。
    言語性幻聴の内容はさまざまで、複数の声の会話が聞こえることもあれば、単一の声が患者に話しかけてくることもある。
    また、話し声が敵対的である場合もあれば、友好的である場合もある。

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    今回、カーン大学病院(フランス)のSoniaDollfus氏らは、うつ病をはじめとするさまざまな精神疾患の治療法として注目され、統合失調症患者の幻聴にも有効であることが示唆されているTMSに着目。
    これまで検討されたことがなかった脳の側頭葉における言語関連の領域をターゲットとして刺激する治療を偽治療と比較する初の臨床研究を実施した。

    対象は、フランスの統合失調症患者59人。このうち26人には1日2回のTMS治療を20Hzの刺激頻度で2日間実施し、残る33人にはTMS治療に見せかけた偽治療を行った。
    その結果、2週間後に言語性幻聴の評価スコアが30%以上低下した患者の割合は、偽治療群の9.1%に対してTMS群では34.6%に達していた。
    なお、TMS群で重大な副作用は認められなかったとしている。

    今回の研究について、Dollfus氏は「統合失調症患者の言語性幻聴を軽減するためにTMSがターゲットとすべき脳領域を特定した初めての臨床研究として位置づけられる」と説明。
    ただし、TMS群でみられた治療効果は一過性のものだったことから、同氏は「効果をさらに長期間持続させるために研究を続ける必要がある」と話している。

    この研究結果について、米国の非営利団体である脳・行動科学研究財団の会長であるJeffreyBorenstein氏は「TMS治療は薬物治療との併用で幻聴に対処できる可能性があるという点でも有望な治療法」との見解を示している。

    ただし、同氏は今回の研究は小規模である点を指摘した上で、「幻聴の治療におけるTMS治療の実現性について明らかにするためには、さらに研究を重ねる必要がある」と述べている。

    なお、学会で発表された研究は、査読を経て医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

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    HealthDay News 2017年9月7日
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