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10月 04 2017 血糖・血圧・脂質の同時強化介入が大血管合併症を抑制 J-DOIT3、EASD2017で発表
糖尿病患者の血糖・血圧・脂質の管理指標がより厳格なものへと見直しが進むかもしれない。
約2,500人の糖尿病患者を対象とした大規模臨床試験(J-DOIT3研究)で、これらの管理指標を現行よりも厳格に設定すると、2型糖尿病患者の心筋梗塞や脳卒中といった大血管合併症リスクの低減につながる可能性があることが分かった。血糖・血圧・脂質を同時に強化介入することで大血管合併症を減らせることを大規模な研究で示したのは世界初。今後、国内外の糖尿病診療指針に影響を与えるものと注目される。研究結果は、東京大学病院糖尿病・代謝内科教授の門脇 孝氏と国立国際医療研究センター研究所糖尿病研究センターのセンター長を務める植木浩二郎氏らが第53回欧州糖尿病学会(EASD 2017、9月11~15日、ポルトガル・リスボン)で発表し、詳細は「Lancet Diabetes & Endocrinology」にも掲載される予定だ。
J-DOIT3(Japan Diabetes Optimal Integrated Treatment study for 3 major risk factors of cardiovascular diseases)研究は、糖尿病に伴う心筋梗塞や脳卒中などの大血管合併症の発症や進行を抑制する介入法を見出すため、2006年に厚生労働省の研究事業の一環として開始された臨床試験。
全国81の施設から2,542人の大血管合併症のリスクが高い2型糖尿病患者が参加した。対象の2型糖尿病患者を、現行のガイドラインに沿った治療を行う従来療法群または血糖・血圧・脂質の管理指標を厳格に設定して強化介入を行う強化療法群にランダムに割り付けて、平均で8.5年間追跡した。
現行の管理指標は、合併症予防のためのHbA1c値は7.0%未満、血圧は130/80mmHg未満、LDL-コレステロール(LDL-C)値は120mg/dL(冠動脈疾患の既往がない場合)であるのに対し、強化療法群ではそれぞれ6.2%、120/75mmHg、80mg/dLの目標達成を目指した。
主要評価項目は心筋梗塞、冠血行再建術、脳卒中、脳血管血行再建術、死亡と定義した。追跡期間中の治療状況をみると、強化療法群と従来治療群ではそれぞれ平均HbA1c値は6.8%、7.2%、平均血圧値は123/71mmHg、129/74mmHg、平均LDL-C値は85mg/dL、104mg/dLであった。
解析の結果、主要評価項目の発症率は、従来療法群と比べて強化療法群では有意ではないものの19%抑制されたほか、患者登録時の喫煙状況などの危険因子を調整した解析では、強化療法群で24%有意に抑制されていた(P=0.042)。
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お近くの治験情報を全国から検索できます。また、事後解析によると、総死亡および冠動脈イベントの発生率には両群間で有意な差はみられなかったが、脳血管イベント(脳卒中および脳血管血行再建術)の発生率は強化療法群で58%有意に抑制されていた(P=0.002)。
なお、細小血管合併症のうち、腎症や網膜症の発症や進展に関しては強化療法群で有意に抑制されたものの(それぞれ32%;P<0.001、14%;P=0.046)、下肢の切断などについては両群間で有意差はみられなかった。
両氏らの研究グループによると、今回の強化療法群では心筋梗塞や脳梗塞による死亡例は1件もみられなかったほか、10年以上前に日本行われた同様の小規模な臨床試験よりもこれらのイベント発生率には50%以上の低下がみられた。
このことから、両氏らは「現行のガイドラインによる治療法でも心筋梗塞や脳梗塞は減少しているが、血糖・血圧・脂質をより厳格かつ総合的に介入を行うことで大血管合併症の発症をさらに抑えられるのではないか」と述べており、国内外の糖尿病診療指針も厳格な治療を目指す方向で見直しが進む可能性があるとの見解を示している。
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10月 04 2017 低出生体重の女性は糖尿病になりやすい? 成人後に肥満がなくてもリスクは有意に増加、日本人看護師調査
低出生体重で生まれた女性は、成人後の肥満度(BMI)にかかわらず糖尿病になりやすい可能性があることを、国立がん研究センターがん対策情報センターの片野田耕太氏らが発表した。たとえ成人後のBMIが低めの正常値(18.5~20.9)であっても、出生体重が2,500g未満だった女性は3,000~3,500g未満だった女性に比べて糖尿病を発症するリスクが5倍近くに上るという。
詳細は「JournalofEpidemiology」9月号に掲載された。出生体重は成人後に発症する糖尿病の重要な決定因子であると考えられているが、成人期のBMIによる影響は明らかにされていない。
片野田氏らは日本の女性看護職員を対象とした疫学研究、日本ナースヘルス研究(JapanNurses’HealthStudy;JNHS)のデータを用いて、成人期のBMIを考慮した上で出生体重と成人発症糖尿病との関連を調べる観察研究を行った。対象はJNHSに参加した女性看護師2万6,949人。
30歳未満、妊婦、30歳未満で糖尿病を発症した女性は解析から除外した。
対象女性には2001~2007年のベースライン時に自記式質問紙による調査を行い、糖尿病の既往歴、出生児の体重に加えて、母親の妊娠期間、成人後(現在の)BMI、両親の糖尿病既往歴について尋ねた。糖尿病の治験・臨床試験(新しい治療薬)情報をsmtで検索
お近くの治験情報を全国から検索できます。その結果、年齢やBMI、両親の糖尿病既往歴を調整した解析によると、出生体重が低い女性ほど成人後に糖尿病を発症するリスクが高まっており、出生体重が100g増えるごとに糖尿病を発症するリスクは7%低下していた(オッズ比0.93、95%信頼区間0.90~0.96)。
なお、出生体重を妊娠期間のパーセンタイルに置き換えても同様の結果が得られた。また、対象女性を現在のBMIで5つの群(18.5~20.9、21.0~22.9、23.0~24.9、25.0~26.9、27.0以上)に層別化して解析したところ、成人期に過体重~肥満(BMI25.0以上)の女性では出生体重にかかわらず糖尿病リスクは高まっていたが、BMIが低めの正常値の女性では、出生体重が低いほど糖尿病になりやすく、2,500g未満だった女性は3,000~3,500g未満だった女性に比べて糖尿病の発症リスクは4.75倍に上っていた。
以上の結果を踏まえ、片野田氏らは「出生体重は成人後の糖尿病発症に影響を及ぼす可能性がある」とし、成人後に肥満がなくても出生体重が低い女性では糖尿病リスクが高まる点に留意すべきだとアドバイスしている。
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10月 04 2017 自宅ホワイトニングで白い歯に‼
自宅ホワイトニングについて芸能人などの白く美しい歯に憧れたことはありますか?実は、ホワイトニングは自宅でも行うことができるのです!ホワイトニングに興味はあるけれど、お金がっかかると二の足を踏んでいる方の為に、自宅で行えるホワイトニングの方法を解説していきます。はじめに「白い美しい歯を手に入れたいけど、あまりお金はかけられない…」と二の足を踏んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
確かに歯科医院でホワイトニングを行えば、確実に白い美しい歯を手に入れる事が出来るでしょう。
しかし、ホワイトニングを歯科医院で行うと保険適用外なので自費負担になってしまいます。そこで今回は自宅で行えるホワイトニングの方法をお伝えします。
ホワイトニングとはホワイトニングは歯の表面に付着した色素のみを落とすのではなく、歯全体を白く美しくする方法です。歯の表面を傷つけずに歯の中にある色素を分解して歯の明るさを上げ、歯を白くしていきます。
歯医者で行う場合は、使用する薬剤や治療院によって費用は大きく異なり、数千円から数万円で行うことができます。歯に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報をsmtで検索
お近くの治験情報を全国から検索できます。歯が変色する原因歯を変色する原因は外因性と内因性に分かれます。
では、具体的に見ていきましょう。<外因性>
1.飲食物が原因
色の濃い飲食物や酸性度の強い飲食物、硫黄成分を多く含む食べ物が挙げられます。・色の濃い飲食物‥コーヒー、紅茶、カレー、赤ワイン、ココア、ウーロン茶、チョコレート、ほうれん草、醤油、ソース、ケチャップ等
・酸性度の強い飲食物‥柑橘系の果物、炭酸飲料、白ワイン、スポーツドリンク等
・硫黄成分の高い物‥ネギ類、ニンニク、ニラ等またアルコール度数の高い飲み物も歯の表面の水分を奪ってしまって歯の変色を招いてしまうので注意が必要です。
2.タバコ
歯の表面はペリクルという膜で覆われていて、ペリクルにはエナメル質を酸から守る働きがあります。しかし、このペリクルは粘着力を持っており、細菌やポリフェノール等の着色成分を付着させてしまうのです。ここでポイントとなるのは、タバコに含まれているタールも粘着力の強い成分だという事です。この2つはお互い粘着質ですので、お互い引付ける力も強く、その為歯にヤニが付着しやすくなります。そのためヤニが歯に付着する量が他の着色成分より多くなり、歯が黄ばんで見えます。またヤニは一度付着してしまうと執拗に付着してしまうので、なかなか取れないという特徴があります。
3.虫歯や詰め物が原因
汚れが原因で虫歯になってしまうと、歯が変色してしまう原因になります。
また口の中に入れる詰め物は様々な種類がありますが、どの詰め物にしても材質が劣化してしまうと変色する可能性があります。そしてそれが黒ずみ、黄ばみの原因になるケースもあります。<内因性>
次に内因性について見ていきましょう。
1.加齢
歯の表面はエナメル質という半透明のもので覆われていますが、その下には象牙質があります。歯磨きの時に強く擦り続けたり、歯ぎしり等が原因で、歯の表面にあるエナメル質が少しずつ年齢を重ねるごとに削られてしまいます。
そのことにより、象牙質の歯が見えてしまって歯が黄ばんで見えてしまいます。これはいわゆる老化現象によるものなので、どんなに気を付けていても避けられるものではありません。2.テトラサイクリン系の抗生物質
最近は使用が避けられる傾向にありますが、大体20代から40代位の方が小児の時に風邪薬で処方されたシロップに使用されていたのがテトラサイクリン系の抗生物質です。
このテトラサイクリン系の抗生物質が入ったシロップを歯の形成時期に服用していると歯がグレーっぽく変色してしまう場合があります。3.フッ素
高濃度のフッ素によって、歯に白斑が出来てしまう事があります。また重度の場合、歯が黒褐色になってしまう事があります。
ただし通常の濃度のフッ素では歯の変色は起こりません。4.失活歯
失活歯とは神経を取った歯の事です。
失活歯は色素沈着が多く見られ、歯の変色の原因になります。自宅でホワイトニングを行う方法自宅で歯のホワイトニングを行う方法は主に4つあります。
1.ホワイトニング専用の歯磨き粉を使う
ホワイトニング専用の歯磨き粉は研磨剤の成分が含まれていて、歯の着色をキレイにしてくれる働きがあります。
ただし、磨き過ぎると歯の表面のエナメル質まで傷つけてしまう可能性があります。
エナメル質を削ってしまうとその下の象牙質が露出して却って黄ばんで見えてしまうので注意しましょう。それを予防するのにお勧めなのはフッ素です。
フッ素は歯をコーティングしてくれる働きがあるので、歯磨きの跡にフッ素を使うと効果的です。歯に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報をsmtで検索
お近くの治験情報を全国から検索できます。2.重曹を使う
重曹は大掃除等に大活躍しますが、歯を白くする時にも大活躍してくれます。重曹を使用するとタバコのヤニを落としたり、歯の黄ばみや黒ずみを落とす事が可能です。ただし、重曹を使い過ぎるとこれも研磨剤の効果が強く出てしまって歯の表面のエナメル質を傷つけてしまうので注意が必要です。
また重曹を使用する場合の注意点として、食用のものを使って下さい。
ちなみにお掃除等に使用する重曹は工業用の物です。これを万が一、飲み込んでしまうと身体に悪影響を及ぼしてしまいます。
また研磨剤の効果が強いので、歯磨きした後はフッ素を使う事をお勧めします。3.歯の消しゴムを使う
歯の表面に付着してしまったコーヒーなどのステインやタバコのヤニ等を効果的に落とせる消しゴムが売られています。
」これは歯と歯の間に汚れがあって落とせない時にお勧めです。歯のホワイトニングに使用する消しゴムの注意点ですが、使用する時は歯茎に当たらないように気を付けて下さい。
また早く汚れを落としたいからといって、ゴシゴシ擦れば良いという訳ではありません。
磨き過ぎるとこれも黄ばみの原因になりますので注意しましょう。4.ホワイトニングペンを使う
これは歯に塗るだけで歯を白く美しく見せられる物になります。
持ち運びも便利でお手入れが簡単で、気になった時にサッと使える便利グッズです。
歯の色が気になる方は一度試してみてはいかがでしょうか。歯の着色を防ぐ為には歯の変色はホワイトニングをしていても起こってしまいます。そこで気を付けたいのは日頃の生活習慣です。
では、どんな事に注意して生活すれば良いのでしょうか?1.着色しやすい飲食物や嗜好品をセーブする
コーヒーやワイン、カレー等の飲食物は摂取するのを控え、摂取したらすぐに口腔ケアをしましょう。
またタバコも歯の黄ばみの大きな原因になりますので、出来れば禁煙する事をお勧めします。2.着色しやすい飲食物や嗜好品を摂取したらうがいしよう
着色しやすい飲食物でも、身体の事を考えたら摂取した方が良い物はたくさんあります。
そして外出中では歯磨きが出来ない事もあると思います。
摂取したら歯磨きするのが鉄則ですが、それが無理な場面ではうがいをするようにしましょう。うがいするだけでも色素が沈着するのを防げます。3.歯磨きをマメに行う
歯の三大不潔域をいうものをご存知でしょうか?これは「歯と歯茎の間」「歯と歯の間」[奥歯の噛む表面」の事です。
ここは歯磨きしていても磨き残ししやすく、歯垢や歯石が溜まりやすいです。
ここを重点的に歯磨きしましょう。4.研磨剤の入った歯磨き粉を使おう
歯磨き粉の殆どに研磨剤は含まれていますが、ジェル状等の歯磨き粉には研磨剤が含まれていない事がありますので、成分をしっかり確認して購入しましょう。まとめホワイトニングは歯全体を白く美しくする方法です。歯が変色する原因は外因性と内因性の2種類があります。
自宅でのホワイトニングの方法は主に4つありますので、自分に合った方法を選んでください。歯の変色を防ぐ為には、着色しやすい飲食物やタバコを控え、これらを摂取したらすぐにうがいや歯磨きを行いましょう。
今回ご紹介したことを意識しながらホワイトニングをして、きれいな歯を手にいれましょう!
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治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。
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10月 04 2017 今どきの中高生は「大人の経験」が遅い?
一昔前の中高生と比べ、現代の中高生では飲酒やデート、セックス、アルバイトといった「大人の経験」をしたことがある者の割合が低下していることが、米サンディエゴ州立大学心理学教授のJeanTwenge氏らによる研究で明らかになった。同氏らは「最近の若者は成長が遅れているのではないか」と指摘している。詳細は「ChildDevelopment」9月19日オンライン版に掲載された。
Twenge氏らは今回、1976~2016年に米国の13~19歳の男女約830万人を対象に実施された調査のデータを分析した。
その結果、2010年代の中高生では、1970年代~2000年代の中高生と比べ、飲酒やデート、セックス、アルバイト、自動車運転、親の同伴なしでの外出といった「大人の経験」をしたことがある者の割合が低いことが分かった。
また、こうした傾向は性別や人種、社会経済的状況、居住地域などに関係なく認められたという。具体的には、12年生(日本の高校3年生)のアルバイト経験者の割合は、1990年代には72~73%だったのに対し、2010年代には55%に落ち込んでいた。
また、デート経験者の割合も、1990年代の81~84%から2010年代には63%に低下していた。セックスの経験者の割合は、9年生(日本の中学3年生)では1990年代の38%から2010年代には29%に低下し、12年生では同じ期間に64~68%から62%に低下した。
さらに、飲酒の経験者の割合も、10年生(日本の高校1年生)では同じ期間に71~72%から51%に低下し、12年生では81%から67%に低下していた。飲酒やセックスの経験がある中高生の減少は、歓迎すべきニュースともいえそうだが、今回の研究では、かつて大人になる上での重要な節目となっていたアルバイトや自動車運転の経験のない若者が増えていることも明らかになった。
Twenge氏は「中高生の成長のスピードが遅くなっているのが良いことなのか、悪いことなのかは、受け止め方次第だ」としているが、「(成長が遅いと)自立心を養う経験が全くないまま大学に進学し、就職することになる可能性がある」と指摘している。一方、今回のTwenge氏らの報告を受け、米ニューヨーク大学ランゴン医療センター小児精神科のYamalisDiaz氏は「確かに最近の学生は、学業成績は優秀でも計画を立てたり、時間を管理したり、問題を解決するといった基本的なライフスキルに乏しい者が多い」とコメント。
その上で、「ティーンエージャーは急いで大人になるべきというわけではない。ただ、大人と同様の責任を負う経験や、同級生たちと付き合う時間が少ないと、大人になった時に十分な筋力がないまま重い物を持ち上げなくてはならないような日々を送ることになってしまう」と警鐘を鳴らしている。治験に関する詳しい解説はこちら
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10月 04 2017 トライアスロン中の死亡リスクは予想外に高い
トライアスロンの参加者がレース中に死亡するリスクは、これまで考えられていた以上に高い可能性が、米アボット・ノースウェスタン病院ミネアポリス心臓研究所のKevinHarris氏らが実施した研究で示唆された。詳細は「AnnalsofInternalMedicine」9月19日オンライン版に掲載された。
Harris氏らは今回、米国のアスリートにおける突然死を登録したデータベース(U.S.NationalRegistryofSuddenDeathinAthletes)と米国トライアスロン連盟(USAT)のデータを用い、1985~2016年にトライアスロンのレース中に死亡あるいは心停止となった競技者のデータを調べた。
その結果、同期間に(1)突然死(2)心停止(3)外傷による死亡が計135件発生していた。このうちほとんどの突然死および心停止がスイミングのレース中に発生しており、発生件数は90件だった。次いでランニング中(15件)、自転車レース中(7件)が続き、レース後のリカバリー中にも8件発生していた。
このほか、自転車レース中には外傷による死亡が15件発生していた。突然死に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報をsmtで検索
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USATの大会への参加者(計477万6,443人)における死亡または心停止の発生率は、10万人当たり1.74人(男性2.40人、女性0.74人)で、男性の死亡リスクは女性の3倍を超えていた。
また、男性では加齢に伴い同リスクが上昇し、60歳以上の男性競技者の場合、死亡または心停止の発生率は10万人当たり18.6人に達していた。Harris氏によると、今回の研究で示されたトライアスロン中の死亡リスクは、これまでの推定を上回っているだけでなく、マラソンのレース中の死亡リスクの約2倍に相当するという。
同氏は「絶対リスクとしてはトライアスロン競技者の死亡リスクは高くはないが、特に40歳以上の男性はこのリスクについて心に留めておくべき」と強調するとともに、「トライアスロンの競技の中ではスイミングのレース中に最も死亡リスクが高まるため、スイミングのために準備を整えておくことは極めて重要」と話している。また、一見健康そうでも実際には深刻な心血管疾患があり、激しい運動によるストレスで症状が現れることも考えられるという。
このため、Harris氏は40歳以上の男性のトライアスロン競技者に対し、レースに参加する前に冠動脈疾患のリスク因子を精査しておくことを勧めている。治験に関する詳しい解説はこちら
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