• 日中できた傷は夜間の傷よりも治りが早い

    傷ややけどが治る速さには概日リズム(体内時計)が関与しており、日中にできた傷は夜間にできた傷よりも早く治癒することが英医学研究会議(MRC)分子生物学研究所のNathaniel Hoyle氏らによる研究で明らかになった。

    詳細は「Science Translational Medicine」11月8日号に掲載された。

    Hoyle氏らは今回、皮膚細胞(線維芽細胞および角化細胞)を用いた実験とマウスの実験を行い、日中にできた傷の方が夜間の傷よりも約2倍の早さで治癒することを確認した。
    また、やけど患者118人の医療記録を分析したところ、夜間(午後8時から午前8時まで)に負ったやけどは日中(午前8時から午後8時まで)に負ったやけどよりも治癒までの期間が60%長かった。

    こうした受傷のタイミングによる治癒速度の差は、体内時計の影響により夜間よりも日中の方が、皮膚細胞が修復のために創傷部位までより速く移動するために生じることも分かった。

    特に日中は皮膚細胞の移動や傷の修復にかかわるアクチンなどのタンパク質の活性化が認められ、このことが創傷の治癒を速める要因であると考えられたという。

    Hoyle氏らは「概日リズムは皮膚細胞による創傷治癒を制御しており、日中に最適化される」と説明。
    また、「この研究から得られた知見は手術などの医学的処置を行う際の参考になるだけでなく、創傷の新たな治療薬の開発につながる可能性もある」としている。

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    さらに、Hoyle氏はMRCのプレスリリースで「傷からの感染を防ぐためには皮膚の修復をいかに効率的に行うかが鍵となる。
    傷の治癒がうまくいかないと、いつまでも傷が残ったり、過度の瘢痕ができたりする可能性もある」とした上で、今後さらなる研究で概日リズムと創傷治癒との関連について検討する必要があると強調している。

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    HealthDay News 2017年11月8日
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  • 特定の血液型で大気汚染による心筋梗塞リスク上昇か

    微小粒子状物質(PM2.5)による大気汚染は、冠動脈疾患(CAD)患者が急性心筋梗塞などの急性冠症候群(ACS)を発症するリスクを高めると報告されている。

    このリスクが特に高い血液型が米インターマウンテン医療センター心臓研究所のBenjamin Horne氏らによる研究で明らかになり、米国心臓協会年次集会(AHA、11月11~15日、米アナハイム)で結果が発表された。

    この研究では、O型以外の血液型のCAD患者ではPM2.5への曝露量が増えるとACSリスクが高まることが示されたという。

    Horne氏らは今回、1993~2007年に冠動脈に1カ所以上の狭窄があり、ACSを発症して同センターを受診したCAD患者1,285人(平均年齢53歳、女性27%)のデータを用い、ABO式血液型ごとの受診時のPM2.5への曝露レベルとACS(急性心筋梗塞または不安定狭心症)発症リスクとの関連について検討した。

    その結果、対象となった全患者ではPM2.5への曝露量が10μg/m3増えるごとにACSリスクが16%高まることが示された(オッズ比1.16、95%信頼区間1.04~1.30)。
    また、血液型別ではO型以外の血液型の患者では同リスクが25%上昇(同1.25、1.07~1.45)していたのに対し、O型の患者では有意なリスク上昇は認められなかった(同1.10、0.92~1.32)。

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    Horne氏はニュースリリースで「CADがなければ大多数の人は心筋梗塞を起こすことはなく、また全てのCAD患者が心筋梗塞を発症するわけではない。
    さらに、心筋梗塞の発症にはさまざまな要因が関与しているため、大気汚染だけが原因で発症することはない」と説明。

    その上で、「今回の研究結果について大騒ぎする必要はないが、心に留めておく必要はあるかもしれない。
    患者はリスクを低減するために、大気汚染のひどい日には室内で過ごすなどの対策を取るとよいだろう」とアドバイスしている。

    なお、学会発表された研究は医学誌に掲載される研究と異なり厳格な査読を受けていないため、予備的なものとみなす必要がある。

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    HealthDay News 2017年11月14日
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  • 加熱式たばこも血管に有害―従来たばこと同程度に影響

    加熱式たばこ製品の「iQOS(アイコス)」は血管に悪影響を与えることが米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のグループによる研究で明らかになった。

    iQOSの蒸気に曝露したラットの血管内皮機能は、一般的な紙巻きたばこの煙に曝露したラットと同程度に低下していたという。
    この研究結果は米国心臓協会年次集会(AHA 2017、11月11~15日、米アナハイム)で発表された。

    加熱式たばこはたばこの葉を燃やさず加熱して生じた蒸気を吸って楽しむ製品で、従来の紙巻きたばこと比べて安全性が高いとされている。
    このうち大手たばこ企業のフィリップモリス社が製造するiQOSは既に米国外の複数国で販売され、米国でも米食品医薬品局(FDA)に対し承認が申請されている。

    同社は「たばこ葉を摂氏600度で燃やす通常の紙巻きたばこは有害物質を含んだ煙を発生させるが、摂氏350度で加熱するiQOSではニコチンが含まれた蒸気は生じるが煙は出ないため、従来の紙巻きたばこよりも安全」としている。

    今回、UCSF医学部循環器内科学教授のMatthew Springer氏らはラットに(1)iQOSを加熱した蒸気(2)紙巻きたばこ(マールボロ)の煙(3)清浄な空気―のいずれかを曝露させた上で、血流依存性血管拡張反応(flow-mediated dilation;FMD)検査により血管内皮機能を評価した。
    曝露は1回15秒間とし、5分間に10回行った。

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    その結果、血管内皮機能はiQOS群で58%、マールボロ群では57%低下した。
    また、曝露を1回5秒間として5分間に10回行ってもiQOS群で60%、マールボロ群では62%の低下が認められ、iQOSの蒸気への曝露はマールボロに曝露した場合と同程度の血管内皮機能の低下をもたらすことが示された。

    Springer氏によると、血管内皮機能の低下は動脈硬化をもたらし、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを高めるとされている。
    同氏は「循環器系におけるたばこの煙への反応の仕方はヒトとラットで極めてよく似ているため、この研究結果はヒトにも当てはまる可能性がある」とした上で、「加熱式たばこの使用者は紙巻きたばこの喫煙者と同様に心血管の健康障害に直面する可能性がある」との見方を示している。

    また、同氏は「加熱式たばこは煙は出さないが、血管の状態を悪化させるさまざまな化学物質を含んだ蒸気を発生させる」と説明。
    「具体的にどの化学物質が問題なのかははっきりと分かっていないが、最大の問題はニコチンではないとみている」としている。

    さらに同氏は「iQOSの承認の過程で今回の研究結果が考慮されることを望んでいる」とした上で、「独立した適切な研究に基づいて判断することが最も重要であり、事実による裏付けがないにもかかわらず従来のたばこよりも害が少ないと謳うべきではない」と話している。

    この研究は米国立衛生研究所(NIH)とFDAによる資金提供を受けて実施された。
    学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

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    HealthDay News 2017年11月14日
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