• 若者の「スマホ依存症」、脳画像で異常を確認

    スマートフォン(スマホ)から離れられない若者に脳画像検査を実施したところ、脳内の神経伝達物質の活性のバランスに異常が認められたとする研究結果が北米放射線学会(RSNA 2017、11月26日~12月1日、米シカゴ)で発表された。

    この研究は高麗大学(韓国)のHyung Suk Seo氏らが実施したもの。
    対象は、インターネット依存症またはスマホ依存症と診断された10歳代の男女19人(平均年齢15.5歳)と、年齢および性をマッチさせた依存症のない健康な男女19人(対照群)。
    依存症患者には、インターネットまたはスマホへの依存症の重症度を測定する標準化された検査を実施した。
    この検査では主にインターネットやスマホの使用が日常生活や社会生活、生産性、睡眠習慣、感情に与える影響について評価した。

    また、依存症患者のうち12人には9週間にわたって認知行動療法を実施したが、その前にMRIの一種であるMRスペクトロスコピー(MRS)を用いて脳機能を評価した。
    MRSは体内の代謝物を非侵襲的に測定でき、主に脳腫瘍や脳卒中、気分障害、アルツハイマー病などの患者の脳機能評価に使用されている。

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    その結果、インターネットまたはスマホの依存症患者では、対照群と比べてグルタミン酸-グルタミン(Glx)に対するγアミノ酪酸(GABA)の活性レベルの比が高いことが示された。
    GlxとGABAはいずれも脳内の神経伝達物質だが、Glxは興奮性、GABAは抑制性の物質とされている。
    同氏らによると、これまでの研究でGABAは視機能や運動調節、不安などさまざまな脳機能の制御に関与することが明らかにされているという。

    また、今回の研究ではクレアチンおよびグルタミン酸に対するGABAの活性レベルの比が、インターネットまたはスマホへの依存レベルや抑うつ、不安と有意に関連することも示された。

    この研究結果を受け、米コーエン小児医療センターのSanjeev Kothare氏は「インターネットあるいはスマホへの依存症はギャンブルやポルノへの依存症に匹敵する病態かもしれない」との見方を示している。

    また、10歳代の子どもを持つ親に対し、同氏は「もしわが子がスマホ中毒ではないかと心配ならスマホやコンピュータの使用を制限すべきだ」と助言している。

    なお、学会発表された研究は査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

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    HealthDay News 2017年11月30日
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  • 「脱毛症」「若白髪」で男性の心疾患リスク5倍?

    男性型脱毛症または若白髪がある男性では、これらがない男性と比べて40歳までに心疾患を発症するリスクが5倍を超えるとする研究結果がインド心臓病学会(CSI 2017、11月30~12月3日、インド・コルカタ)で発表された。

    この研究を実施したU.N.メータ研究所心臓研究センター(UNMICRC、インド)のKamal Sharma氏は「男性型脱毛症や若白髪を冠動脈疾患のリスク因子として考慮すべきだ」としている。

    対象は、冠動脈疾患がある40歳未満のインド人男性790人と、年齢をマッチさせた健康なインド人男性1,270人(対照群)。
    全ての男性に心電図検査や心臓超音波検査、血液検査、冠動脈造影などの検査を実施し、病歴を聴取した。また、男性型脱毛症および白髪の程度を評価した。

    その結果、冠動脈疾患患者では、健康な男性と比べて男性型脱毛症がある割合が高く(49%対27%)、若白髪がある割合も高かった(50%対30 %)。
    また、年齢と他の心血管リスク因子で調整後の冠動脈疾患リスクは、男性型脱毛症があると5.6倍に、また若白髪があると5.3倍に高まることが示された。

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    さらに、40歳未満のインド人男性では男性型脱毛症と若白髪はいずれも冠動脈疾患の最も強い予測因子で、次に強い予測因子は肥満(4.1倍のリスク)だった。
    糖尿病や高血圧、冠動脈疾患の家族歴、腹部肥満、高BMI、脂質異常症、喫煙も冠動脈疾患の予測因子ではあったが、男性型脱毛症や若白髪、肥満と比べると関連は弱かった。

    この結果を踏まえ、Sharma氏は「男性型脱毛症と若白髪は全体的な心血管リスクに影響する生物学的年齢の指標である可能性がある」との見方を示している。

    また、同研究所のDhammdeep Humane氏は「男性型脱毛症や若白髪のある男性には、冠動脈疾患の監視を強化し、健康的な食事や運動、ストレスへの対処などを通じた生活習慣の是正を指導すべき」と指摘。

    ただし、この研究はこれらの因子と冠動脈疾患との関連を示しているに過ぎない点を強調し、「さらなる研究で因果関係が証明されるまでは、男性型脱毛症や若白髪のある男性にスタチン療法を勧めるべきではない」としている。

    なお、学会発表された研究は査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

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    HealthDay News 2017年11月30日
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