• 痩せている女性でも高血糖リスクが高まる理由は? 筋肉の量と質が関与か、順天堂大

    痩せていても筋肉量が少なく、骨格筋に異所性脂肪が蓄積している女性は高血糖になりやすい可能性のあることが、順天堂大学大学院スポートロジーセンター長の河盛隆造氏や同大学院准教授の田村好史氏らの研究グループの検討で分かった。

    これまで痩せている女性は糖尿病の発症リスクが高いことが報告されている。
    研究グループはその理由として筋肉の量と質の関与が考えられることから、痩せている女性は筋肉の量を増やし、質を改善するような食事と運動を心掛ける必要があるとしている。]
    詳細は「Journal of the Endocrine Society」2月19日オンライン版に掲載された。

    女性は肥満だけでなく、BMIが18.5未満の「痩せ」の女性の増加も国際的に問題視されている。
    日本人も例外ではなく、女性の8人に1人、20歳代の女性では5人に1人以上が痩せと判定されている。
    一方で、これまでの研究で痩せた女性は肥満した女性と同様に糖尿病の発症リスクが高いことが報告されているが、痩せた女性における糖代謝については十分に検討されていない。
    研究グループは今回、若年女性と閉経後女性を対象に糖代謝と身体的な特徴を適正体重の女性と比較する研究を行った。

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    対象は、低体重の若年女性(20~29歳)31人と閉経後女性(50~65歳)30人、適正体重の若年女性13人と閉経後女性10人。
    対象者には75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を実施し、二重エネルギーX線吸収度法(dual energy X-ray absorptiometry;DXA法)による体組成測定とプロトンMRS法による異所性脂肪測定を行った。

    その結果、若年女性では、痩せの女性と適正体重の女性で糖代謝に差はみられなかった。
    一方で、閉経後女性では、適正体重の女性と比べて痩せの女性は糖負荷2時間後の血糖値が140mg/dL以上となる耐糖能異常(IGT)を呈する人が多く、測定した女性のうち37%(30人中11人)がIGTであることが分かった。
    この結果について、研究グループはプレスリリースで「同年代の日本人女性におけるIGTの割合は17%程度と報告されており、今回対象とした女性では高い割合となっていた」とコメントしている。

    また、痩せた閉経後女性では、OGTTによる糖負荷2時間後の血糖値は筋肉量を反映する除脂肪体重とインスリン分泌指数、骨格筋細胞内の脂質量との相関が認められ、糖負荷2時間後の血糖値が高い人は除脂肪体重とインスリン分泌が低く、骨格筋細胞内の脂質量が多いことが分かった。

    研究グループによると、痩せて筋肉量が少ない女性は、食後に十分な量のブドウ糖を筋肉に取り込めず高血糖を来しやすくなるほか、筋肉への脂肪蓄積はインスリン抵抗性を引き起こし、ブドウ糖を筋肉に取り込めなくなって高血糖になりやすくなる機序が考えられるという。

    以上の結果を踏まえて、研究グループは「痩せた女性でも糖尿病リスクが高まる要因には、筋肉の質と量が関与している可能性がある。
    こうした女性はバランスの取れた食事を適量取り、レジスタンス運動や有酸素運動を行って筋肉の質と量を高めることが大切だ」と述べている。

    また、今回の検討では、若い女性では痩せた女性と適正体重の女性で糖代謝に差はみられなかったが、この点について、研究グループは「若い女性が極端な炭水化物制限などのダイエットを行ったりすると、身体に必要なブドウ糖を産生して供給する筋肉が分解されてしまうほか、たんぱく質の摂取不足によって高齢者のサルコペニアと同程度に筋肉の量が低下してしまう恐れがある」と説明し、痩せた若年女性も筋肉の量と質の向上に気をつけるよう助言している。

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    HealthDay News 2018年5月1日
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  • 簡単なサルコペニア検査で慢性腎臓病患者の心血管リスクを予測 熊本大

    年齢と握力、下腿(ふくらはぎ)の太さの3つの指標を用いた簡単なサルコペニアのスクリーニング検査で、慢性腎臓病(CKD)患者が将来、心血管疾患を発症するリスクを予測できる可能性のあることが、熊本大学大学院循環器内科の花谷信介氏(現・天草地域医療センター循環器内科副部長)と同科講師の泉家康宏氏(現・大阪市立大学大学院循環器内科学准教授)らの研究グループの検討で分かった。

    このスクリーニング法は簡便でどこの医療機関でも実施できることから、研究グループは日常臨床で広く有効活用されることに期待を示している。
    詳細は「International Journal of Cardiology」4月9日オンライン版に掲載された。

    がんや心臓病、CKDの患者では、加齢に伴って骨格筋量が減り、筋力が低下するサルコペニアの合併率が高く、これが死亡率を上げる要因の一つとなることが知られている。
    サルコペニアの診断には従来、CT検査やMRI検査による筋肉量の測定が必要とされているが、2014年には東京大学大学院老年病科の石井伸弥氏らが、年齢と握力、ふくらはぎの周囲径からサルコペニアスコアを算出する非侵襲的なサルコペニアのスクリーニング法を開発し(Geriatrics & Gerontology International 2014; 14 Suppl 1: 93-101)、日常診療での活用が広がっている。

    研究グループは既に心不全患者を対象に、このスクリーニングの応用で心不全の重症度と心不全が悪化するリスクを予測できることを報告している(International Journal of Cardiology 2016; 215: 301-306)。

    研究グループは今回、心血管疾患の発症リスクが高いCKD患者に着目し、CKD患者においてもこの非侵襲的なサルコペニアのスクリーニング法が臨床応用できるかどうかを調べる研究を行った。

    対象は、熊本大学病院に心血管疾患の評価や治療目的で入院したCKD患者265人。
    退院前に測定した握力やふくらはぎの周囲径のデータを用いてサルコペニアスコアを算出し、約650日間にわたる追跡期間中に実施した血液検査や心臓超音波検査の結果や臨床転帰との関連を調べた。

    その結果、対象患者をサルコペニアスコアで高値群(166人)と低値群(99人)に分けて比較したところ、高値群では低値群と比べて心不全の重症度を表す脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の血中濃度が有意に高く(P<0.0001)、腎臓の働きを表すクレアチニン値も高いことが分かった。

    また、プロペンシティスコアで患者背景を調整した解析でも、サルコペニアスコア高値群では低値群と比べて、全死亡率や心不全、心筋梗塞、脳卒中といった心血管イベントの発症率が有意に高かった(P<0.0001)。

    さらに、多変量Coxハザード解析を実施した結果、サルコペニアスコア高値は心血管疾患による入院や全死亡による複合エンドポイントの独立した予測因子であった(ハザード比3.04、95%信頼区間1.45~6.38、P=0.003)。その他、サルコペニアスコア高値と血中BNP値を組み合わせると、心血管イベントリスクが高い患者の予測能が向上することも明らかになった。

    以上の結果を踏まえて、研究グループは「簡単なサルコペニアのスクリーニング検査を活用することで、CKD患者の心血管疾患リスクを予測できる可能性が示された。
    このスクリーニング法を用いたリスク評価は今後、心臓血管病の領域にとどまらず幅広い分野で活用が広がっていくことが期待される」と述べている。

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    HealthDay News 2018年4月23日
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  • 心筋梗塞は夏の夜に増加する 日照時間が関与か、国際共同研究で解明

    急性心筋梗塞の発症時刻には日照時間が強く関与しており、日照時間が長い夏は他の季節と比べて日中の急性心筋梗塞の発症数が減少し、夜間にシフトして増加することを、京都府立医科大学循環器内科の西真宏氏らの国際共同研究グループが明らかにした。

    また、日光を浴びると合成されるビタミンDの血中濃度が急性心筋梗塞の発症に関与している可能性も示された。
    詳細は「Journal of the American Heart Association」4月6日オンライン版に掲載された。

    これまでの研究で、急性心筋梗塞の発症数は日中に多く夜間に減少し、冬に増えて夏に減少するといった季節変動もみられることが知られている。
    このように、急性心筋梗塞の発症には環境や天候などの要因が影響する可能性が報告されているが、季節によって変化する概日リズムが急性心筋梗塞の発症に影響を及ぼすのかどうかは明らかになっていない。
    研究グループは今回、特に発症数が減少する夏に注目し、急性心筋梗塞の発症数と季節による概日リズムとの関連について調べる国際共同研究を行った。

    対象は、日本、イタリア、英国、フィンランド、中国、シンガポール、オーストラリアと緯度が異なる地球両半球の計7カ国で、2004~2014年にST上昇型急性心筋梗塞を発症した患者計2,270人。

    まず、日中(6時~18時)と夜間(18時~翌朝6時)における急性心筋梗塞の発症数の差〔(日中発症数-夜間発症数)/夜間発症数×100〕を夏とそれ以外の季節に分けて解析した結果、参加国のほとんどで日中と夜間の発症数の差が夏に大きく減少していることが分かった。

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    研究グループは「この結果は夏には他の季節と比べて日中の急性心筋梗塞の発症数が減少し、夜間にシフトして増える『サマーシフト』という現象がみられることを示している」と説明している。
    なお、このサマーシフトはフィンランドや英国など北極に近い国では差が小さくなることも分かった。

    次に、可照時間が一年を通して一定で四季の影響がないシンガポールのデータを用いて、日中と夜間の急性心筋梗塞の発症数の差と環境や天候の要因との関連を解析したところ、日照時間と急性心筋梗塞の発症数の差は強い負の相関を示した。

    一方で、降水確率や雨、落雷、雷雨といった曇天に関わる天候指数は正の相関を示すことが明らかとなった。
    このことから、研究グループは「急性心筋梗塞の発症時刻には天候(曇天)を考慮した日照時間が影響していると考えられ、晴れた日は急性心筋梗塞の発症は夜間にシフトすることが分かった」と述べている。

    さらに、研究グループは日照時間に依存するビタミンDの合成量が急性心筋梗塞の発症時刻に与える影響について調べるため、フィンランドの日中と夜間の急性心筋梗塞発症数の差と、同じ緯度に位置するスウェーデンの対象者で測定した血清25(OH)D濃度の関連について解析した。

    その結果、両者は負の相関を示したことから、研究グループは「この結果から、日照時間が長くなり、ビタミンDの合成量が増えると日中と夜間の急性心筋梗塞数の差が減少し、急性心筋梗塞の発症は夜間にシフトすることが読み取れる」と説明している。

    研究グループによると、急性心筋梗塞の発症と季節による概日リズムの関係について検討した報告は今回が初だという。
    同グループは「今回の国際共同研究で、急性心筋梗塞の発症時刻と日照時間は密接に関係し、特に夏は他の季節と比べて夜間の発症数が増えることが明らかとなった。

    また、日照によるビタミンDの合成量が急性心筋梗塞の発症に関与していることも分かった」と結論。
    救急医療システムを季節や時間帯に応じて整備することで、効率的なスタッフの配置や医療費削減につながる可能性があり、また、ビタミンDを標的とした心筋梗塞の予防薬や診断マーカーの開発につながることが期待されるとしている。

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    HealthDay News 2018年4月23日
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