• 薬局での指先HbA1c検査に優れた費用対効果 糖尿病の早期発見で健康寿命が延伸、筑波大ら

    薬局に開設された「ゆびさきセルフ測定室」で指先HbA1c測定を行うと、測定しなかった場合と比べて、一人当たり5万円程度少ない費用で健康寿命の延伸を図れることが、筑波大学内分泌代謝・糖尿病内科准教授の矢作直也氏と同大学保健医療政策学・医療経済学教授の近藤正英氏、明治薬科大学講師の庄野あい子氏らの共同研究チームの分析で分かった。

    薬局での指先HbA1c測定による医療経済的効果を明らかにした研究は今回が初めて。
    薬局で手軽にHbA1c検査を受けることは糖尿病の早期発見、早期治療を促し、医療費の削減につながると期待される。
    詳細は「Diabetes Care」4月23日オンライン版に掲載された。

    「ゆびさきセルフ測定室」は薬局に開設された検体測定室のことであり、自己穿刺で指先から採取したわずかな血液を用いて糖尿病や脂質異常症に関する項目を検査できる。
    2014年に厚生労働省により新しい仕組みとして新設され、全国各地の薬局やドラッグストアで設置が進められており、2018年3月末時点で1,590カ所に上るという。
    研究チームは今回、薬局での指先HbA1c検査による糖尿病の早期発見に関してモデル解析による医療経済評価を行った。

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    研究チームは、東京都足立区で2010年10月から2014年5月までの期間に10カ所の薬局で指先HbA1c検査を行ったデータのうち、2014年集計時点の2,024人分のデータを用いて、指先HbA1c検査の費用対効果(増分費用効果比;ICER)の推定を行った。

    費用効果分析の手法を用いて、(1)検診や通院治療中に行う随時検査でのみHbA1c検査を受けられた場合と(2)従来の方法に加えて検体測定室でのHbA1c検査を受けられた場合の2つのシナリオで比較した。

    その結果、指先HbA1c検査を受けられた場合、将来にわたる費用は、40~74歳の集団一人当たり5万2,722円減少し、健康寿命の延伸を表す質調整生存年は+0.0203QALYと増加がみられた。
    この結果について、研究チームはプレスリリースで「検体測定室でのHbA1c測定が普及すると、将来の医療費の削減につながる可能性が示唆された」と説明している。
    ただし、費用効果分析の費用と医療費は異なる指標であることから、医療費の削減効果については今後さらなる解析を行う予定だとしている。

    これらの結果を踏まえて、研究チームは「検体測定室の医療経済的な価値が明らかになったことの意義は大きい。
    糖尿病の早期発見、早期治療により健康寿命の延伸と医療費削減を図るため、また、医療経済的観点からも検体測定室のさらなる普及が望まれる」と述べている。

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    HealthDay News 2018年5月7日
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  • 魚料理や味噌汁を毎日食べる人ではインスリン抵抗性が低い ながはま0次予防コホートを解析、京大

    日本人の食習慣の一部は、2型糖尿病の原因となるインスリン抵抗性と関連しており、魚料理や味噌汁、野菜を毎日食べ、夕食時の主食や卵料理、果物の摂取を控えている人ではインスリン抵抗性が低いことが、京都大学大学院糖尿病・内分泌・栄養内科学の池田香織氏と同教授の稲垣暢也氏らの研究グループの検討で分かった。

    日本では他国と比べて冠動脈疾患が少ないことが知られており、研究グループは食習慣の中でも味噌汁など日本独自の食文化が影響している可能性を指摘している。
    詳細は「Diabetes Research and Clinical Practice」7月号に掲載される。

    冠動脈疾患リスクの一部には食生活の変化が影響すると考えられているが、過去60年間で日本の食習慣は欧米化が進むなど大きく変化しているにもかかわらず、冠動脈疾患は他国と比べて比較的少ないまま推移している。

    また、いくつかの食習慣は糖尿病の発症と関連することが報告されているが、その機序についてはよく分かっていない。
    なお、糖尿病の発症原因の一つとなるインスリン抵抗性とインスリン分泌能については、これらの程度を空腹時の採血による血糖値とインスリン値から推定するHOMA(Homeostasis Model Assessment)指数が有用とされている。

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    研究グループは今回、日本人における糖尿病の発症の有無や冠動脈疾患の少なさに日本独特の食習慣が寄与している可能性に着目。
    滋賀県長浜市の住民を対象とした「ながはま0次予防コホート事業」のデータを用いて、インスリン抵抗性およびインスリン分泌能と食習慣との関連を調べた。

    対象は、2008~2010年に同コホート研究に参加し、ベースライン時の質問票調査に回答した30~74歳の成人男女9,764人のうち、採血前の絶食時間が10時間以上であった4,327人(女性2,956人、男性1,371人)。
    妊婦、経口血糖降下薬やインスリン、ステロイドを服用中の人、腎機能が低下した人、低血糖や高血糖を呈する人などは解析から除外した。
    インスリン抵抗性の指標であるHOMA-IR、インスリン分泌能を反映するHOMA-βを算出し、それぞれをlog HOMA-IR、log HOMA-βに変換して年齢やBMI、喫煙習慣、病歴、糖尿病の家族歴のほか、アルコール摂取を含む20項目の食習慣に関する項目との関連を調べた。

    食習慣については、朝食や昼食、夕食にお米やパン、麺類などの主食を摂取する頻度や肉料理、魚料理、豆腐料理、卵料理、野菜料理、牛乳や果物、味噌汁などの摂取頻度を尋ねた。

    解析の結果、女性では、炭水化物が多く含まれる主食を夕食に毎日取るとインスリン抵抗性(HOMA-IR)が高まり(週に4~5回以下の人と比べて1.07倍、P=0.013)、魚料理や味噌汁を毎日食べるとインスリン抵抗性が低いことが分かった(それぞれ週に1回以下の人と比べて0.90倍、P=0.043、週に2~3回以下の人と比べて0.95倍、P=0.038)。
    これらの関連はインスリン分泌能(HOMA-β)でも同様に認められた。

    また、男性では、卵料理を週に4~5回(週に1回以下の人と比べて1.14倍、P=0.011)、または果物を毎日(週に4~5回以下の人と比べて1.13倍、P=0.008)食べるとインスリン抵抗性が高まり、野菜を毎日食べるとインスリン抵抗性が低下する(週に4~5回以下の人と比べて0.91倍、P=0.003)ことが分かった。

    また、男性ではアルコールの摂取頻度が週に4回以上の人では、飲まない人と比べてインスリン抵抗性が有意に低く(0.86倍、P<0.001)、インスリン分泌能にも低下がみられた(0.77倍、P<0.001)。

    以上の結果を踏まえて、研究グループは「食習慣の中でも魚料理や味噌汁、野菜を毎日摂取する人ではインスリン抵抗性が低く、夕食時の主食や卵料理、果物を多く摂取する人ではインスリン抵抗性が高いことが、糖尿病や冠動脈疾患の発症に関連している可能性が考えられる。
    特に味噌汁は日本人の食卓に欠かせない料理であり、日本の伝統食の健康へのベネフィットを再評価する必要もあるだろう」と述べている。

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    HealthDay News 2018年5月7日
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  • DXA法で判定したサルコペニア肥満は心血管リスクの予測に有用 日本人2型糖尿病患者で検討、東京医歯大ら

    2型糖尿病患者では、二重エネルギーX線吸収測定法(dual energy X-ray absorptiometry;DXA法)による全身の体組成測定を用いて判定したサルコペニア肥満が併存すると将来、心血管疾患を発症するリスクが高まる可能性のあることが、東京医科歯科大学大学院分子内分泌代謝学の福田達也氏と国立国際医療研究センター糖尿病内分泌代謝科の坊内良太郎氏らの研究グループの検討で分かった。

    また、骨格筋指数(SMI)が低いことに加えて内臓脂肪と皮下脂肪の比率(A/G比)または内臓脂肪量に基づきサルコペニア肥満を判定することが、心血管イベントリスクの予測に適している可能性も示唆された。
    詳細は「Cardiovascular Diabetology」4月10日オンライン版に掲載された。

    これまでの横断研究で、主に加齢に伴って筋肉量が減少し、筋力が低下するサルコペニアに肥満を伴う「サルコペニア肥満」は心血管疾患リスクを上昇させることが報告されている。

    また、サルコペニア肥満の判定には全身の脂肪量と除脂肪量(内臓や筋肉)を計測できるDXA法が適すると考えられている。
    しかし、DXA法による全身の体組成測定で判定したサルコペニア肥満が将来の心血管疾患の発症リスクの予測に有用かどうかは明らかにされていない。

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    研究グループは今回、サルコペニア肥満のリスクが高い2型糖尿病患者を対象に、DXA法による全身測定で判定したサルコペニア肥満と心血管疾患の発症リスクとの関連を調べ、またDXA法で評価した指標のうち、どの指標が心血管疾患の発症リスクの予測に有用なのかを調べる後ろ向き観察研究を行った。

    対象は、2008~2015年に東京医科歯科大学医学部附属病院に通院していた2型糖尿病患者716人(平均年齢65±13歳、女性47%)。
    追跡期間中にDXA法による全身の体組成測定を行い、内臓脂肪量に相当する腹部脂肪量(android fat mass)と臀部や太腿などの下半身の皮下脂肪量(gynoid fat mass)、骨格筋指数〔skeletal muscle mass index;SMI、四肢骨格筋量(kg)を身長(m)の二乗で除したもの〕を求めた。
    サルコペニア肥満はSMI低値(7.0kg/m2未満)に加えて、内臓脂肪と皮下脂肪のバランスの指標であるA/G比(android-gynoid比;内臓脂肪と皮下脂肪の比)、上半身の脂肪量、体脂肪率(%BF)が性特異的な中央値を超える場合、あるいはBMI 25kg/m2以上を伴う場合と定義した。

    A/G比を用いた場合、対象患者のうち83人(11.6%)にサルコペニア肥満が認められた。
    中央値で2.6年間の追跡期間中に、対象患者のうち53人が心血管疾患を発症した。
    交絡因子を調整した多変量解析の結果、サルコペニア肥満は心血管イベントの発症と有意に関連することが分かった。

    また、肥満の判定に用いた指標のうちA/G比(ハザード比2.63、95%信頼区間1.10~6.28、P=0.030)またはandroid fat mass(同2.57、1.01~6.54)で判定したサルコペニア肥満は心血管イベントの発症リスクと有意に関連したが、%BFおよびBMIを用いた判定では有意な関連は認められなかった。

    以上の結果を踏まえて、研究グループは「今回の結果から、DXA法による全身の体組成測定はサルコペニア肥満の判定に有用な検査法であり、SMI低値+A/G比またはandroid fat massで判定したサルコペニア肥満は、2型糖尿病患者における心血管イベントリスクの判定に有用な可能性があることが分かった。

    一方で、体脂肪率やBMIによるサルコペニア肥満の判定は心血管イベントリスクの予測には適さない可能性も示された」と結論づけている。

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