• 前高血圧症は動脈硬化症の独立したリスク因子か 未治療の日本人2型糖尿病患者を解析

    日本人2型糖尿病患者では、収縮期血圧(SBP)値による前高血圧症(pre-hypertension)は、アテローム性動脈硬化症の独立したリスク因子である可能性のあることが、島根大学内科学第一講師の金沢一平氏らの研究グループの検討で分かった。

    研究の詳細は「PLOS ONE」7月20日オンライン版に掲載された。

    2型糖尿病患者の心血管疾患(CVD)リスクを低減するには、血糖コントロールだけでなく血圧や脂質などを含めた包括的な介入が必要とされる。
    しかし、未治療の日本人患者において、軽度の高血圧である前高血圧症がCVDリスクに及ぼす影響については十分に検討されていない。
    研究グループは今回、未治療の2型糖尿病患者を対象に、動脈硬化症の指標に頸動脈内膜中膜厚(IMT)を用いて、IMT値と前高血圧症および高血圧との関連を調べる横断研究を行った。

    対象は、2004~2013年に同大学病院を受診した2型糖尿病患者のうち、CVDや脳卒中の既往、肝機能または腎機能障害がなく、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症および動脈硬化症の治療薬の服用歴がない患者179人。
    対象患者には高解像度B-モード超音波検査を実施してIMTを評価した。

    年齢や糖尿病の罹病期間、BMI、HbA1c値など複数の動脈硬化リスク因子で調整した解析により、SBP値は最大IMT値と平均IMT値、プラークスコアのいずれとも有意な正の関連を示すことが分かった。

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    さらに、アテローム性動脈硬化症(最大IMT値の平均値が1.8mm以上と定義)を検出するために有用なSBPのカットオフ値は133.5mmHgであることも明らかになった。
    一方で、拡張期血圧(DBP)値は動脈硬化症の検出には有用な指標ではなかった。

    さらに、対象患者を正常血圧(SBP 119mmHg以下)、前高血圧症(同120~139mmHg)、高血圧(同140mmHg以上)の3つの群に分けて、複数因子で調整して解析した結果、高血圧を有する患者群(オッズ比7.29、P=0.003)だけでなく、前高血圧症を有する患者群(同3.45、P=0.033)においても動脈硬化症リスクが有意に上昇していた。

    研究グループは、今回の研究は横断研究であるという限界に触れつつも、「未治療の日本人2型糖尿病患者では、前高血圧症はアテローム性動脈硬化症の独立したリスク因子である可能性が示された。
    2型糖尿病患者では、前高血圧症の血圧レベルであってもSBP値を管理することが動脈硬化症の予防に重要だと考えられる」と述べている。

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    HealthDay News 2018年8月20日
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  • 2型糖尿病リスクの評価に簡便な体力テストが有用か 握力とバランス感覚が重要な指標に、東北大

    握力と片足バランスという簡便に測定できる体力テストの成績で、日本人の2型糖尿病の発症リスクを評価できる可能性があると、東北大学大学院運動学分野講師の門間陽樹氏らの研究グループが「Journal of Epidemiology」7月28日オンライン版に発表した。

    これらの体力テストは従来の全身持久力テストよりも簡便に行えることから、糖尿病スクリーニングの指標として有用性が高いと考えられるという。

    定期的な運動は、2型糖尿病の管理だけでなく予防にも有効なことが一般的に認められている。
    運動を行うと身体の適応能力により体力が向上することがよく知られており、これまでの研究で全身持久力が高いほど2型糖尿病の発症リスクは低いことが報告されている。

    しかし、2型糖尿病のスクリーニングに全身持久力テストを導入することはコストや手間を考えると現実的ではない。
    そこで、研究グループは、2型糖尿病リスクの評価に適した、より簡便な体力テストの指標を探るため、糖尿病を発症していない成人を対象に観察研究を実施した。

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    研究グループは、新潟県労働衛生医学協会の健診データを用いて、体力テストを2回以上行った糖尿病を発症していない成人2万1,802人を対象に、最大で6年間追跡して解析した。
    対象者の年齢は20~92歳で、女性が6,649人だった。体力テストには、筋力を評価する「握力」と下半身のパワーを評価する「垂直飛び」、バランス感覚を評価する「閉眼片足立ち」のほか、「立位体前屈」(柔軟性)や「全身反応時間」(反射神経)、「仰臥位足上げ」(筋持久力)が含まれた。
    対象者をこれらの成績で4つの群に分けて、糖尿病の新規発症との関連を調べた。

    中央値で5年の追跡期間において、972人が新たに糖尿病を発症した。
    解析の結果、体重当たりの握力の成績が悪いほど2型糖尿病リスクが高いことが分かった(最も握力が高い群と比較した、他の3つの群における2型糖尿病発症のオッズ比は1.16~1.56)。また、閉眼片足立ちの成績も2型糖尿病リスクと有意に関連していた(同じくオッズ比は1.03~1.49)。

    さらに、垂直飛びと立位体前屈の成績についても2型糖尿病リスクとの関連が認められたが、BMIで調整後の解析ではこれらの関連は有意ではなくなった。
    仰臥位足上げと筋持久力については、2型糖尿病リスクとの関連は認められなかった。

    以上の結果を踏まえて、研究グループは「今回の研究から、簡便に測定できる握力の成績で2型糖尿病リスクを評価できる上に、バランス能力と2型糖尿病リスクとの関連も初めて明らかになった。
    これらの体力テストの成績は独立して2型糖尿病の発症に関与すると考えられ、今後のより詳細な検討が期待される」と話している。

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    HealthDay News 2018年8月20日
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  • 日本人の2型糖尿病患者に適した炭水化物摂取比率は? 約3千人の患者を対象に解析

    日本人の2型糖尿病患者では、炭水化物の取り過ぎはHbA1c値の上昇につながる可能性があることが、横浜市立大学附属市民総合医療センター内分泌・糖尿病内科部長の山川正氏らの研究グループの検討で分かった。

    この研究では、総エネルギー量に対する炭水化物由来のエネルギーの割合を60%未満に抑えることが血糖コントロールの維持に有用なことも示唆された。
    詳細は「Journal of Diabetes Investigation」8月1日オンライン版に掲載された。

    日本糖尿病学会による食事療法に関する提言では、炭水化物の摂取は総エネルギーの比率で50~60%とすることが推奨されている。
    しかし、日本人を含むアジア人の2型糖尿病患者を対象に、三大栄養素の摂取エネルギー比率を大規模に調査した研究は限られていた。
    そこで、研究グループは今回、日本人の2型糖尿病患者を対象に、良好な血糖コントロールの達成に適した栄養素のエネルギー比率を検討する観察研究を実施した。

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    対象は、日本人の糖尿病患者を対象に睡眠や食生活の質と血糖コントロール状況などの関連を調べる観察研究(Sleep and Food Registry in Kanagawa;SOREKA研究)に参加した20歳以上の2型糖尿病患者3,032人。
    対象患者の平均年齢は63.2歳、男性が1,851人で、平均BMIは25.3、平均HbA1c値は7.5%であった。簡易型自記式食事歴法質問票を用いて、対象患者の三大栄養素のエネルギー比率を評価した。

    その結果、対象患者の1日の平均エネルギー摂取量は1,711±645kcalであり、たんぱく質、脂質、炭水化物のエネルギー比率は平均でそれぞれ16.3%、26.8%、52.3%であった。

    対象患者をHbA1c値で5つの群に分けて比較したところ、HbA1c値が6.5%未満の群に比べて、8%を超える高値群ではたんぱく質のエネルギー比率は低く、炭水化物のエネルギー比率は高いことが分かった。
    さらに、HbA1c値が高いほどBMIは上昇し、炭水化物のエネルギー比率は増加したが、たんぱく質のエネルギー比率と食物繊維の摂取量は減少した。
    年齢や性、BMIなどを調整した多変量回帰分析でも、HbA1c値と炭水化物のエネルギー比率の関連は有意であった(P<0.0001)。

    さらに、対象患者を炭水化物のエネルギー比率で5つの群(45%未満、45%以上50%未満、50%以上55%未満、55%以上60%未満、60%以上)に分けてHbA1c値との関連をみたところ、炭水化物のエネルギー比率が45%から60%に増加するとHbA1c値の有意な上昇と関連することが示唆された。

    以上の結果から、研究グループは「日本人の2型糖尿病患者が良好な血糖コントロールを保つためには炭水化物の取り過ぎを避け、炭水化物のエネルギー比率を60%未満に抑えることが必要な可能性がある。
    しかし、今回の研究では炭水化物のエネルギー比率をどこまで下げるべきなのかは示されなかった」と結論づけている。

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    HealthDay News 2018年8月27日
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  • 甘いものを食べるのを日中に限るとメタボ予防に有効か 名古屋大の研究チームがラット実験で確認

    甘いものを食べるのを日中の時間帯に限ると、メタボリック症候群の予防につながる可能性のあることを、名古屋大学大学院生命農学研究科准教授の小田裕昭氏らの研究グループがラットを用いた実験で突き止めた。

    時間帯に関係なく砂糖(ショ糖)を摂取するのに比べて、日中の活動時間帯に限ると脂肪肝や脂質異常症になりにくいことが分かったという。
    詳細は「PLOS ONE」8月15日オンライン版に掲載された。

    砂糖の取り過ぎは、食べ過ぎや運動不足と同様にメタボリック症候群のリスク因子だとされている。
    世界保健機関(WHO)は砂糖の摂取量を1日約24g、小さじ6杯分程度に抑えることを推奨している。
    中でも、砂糖や異性化糖(果糖ブドウ糖液糖)を加えた加糖飲料はメタボリック症候群の原因になるとして、WHOは加糖飲料への課税などで消費量を減らすよう各国に呼び掛けている。

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    研究グループはこれまで、体内時計の調節には光よりも食事のタイミングが重要な役割を果たすという時間栄養学に着目した実験から、昼夜を問わず食事を取ると高コレステロール血症が引き起こされることを既に報告している。
    研究グループは今回、砂糖の摂取時間を活動時間帯に制限すれば過剰摂取による脂質代謝異常を改善できるとする仮説を立てた。
    そこで、与えられた餌の約80%を活動期に食べる夜行性ラットを用いて、活動時間帯のみに砂糖の餌を与える実験を行った。

    実験では、ラットにでんぷんまたは砂糖の餌を与え、それぞれを自由な時間帯に食べられるグループと活動時間帯に限って食べられるグループに分け、摂取開始から4週間後の肝臓内や血中に蓄積した脂肪量を調べた。
    その結果、餌の摂取量は同じであったが、砂糖を自由な時間に摂取できたグループに比べて、活動時間帯に限って摂取したグループでは肝臓内や血中の脂肪量が少ないことが分かった。

    こうした結果を踏まえ、研究グループは「甘いものの摂取には一種の習慣性がある。
    砂糖の取り過ぎは身体に悪いと理解していても実際に食べる量を減らすのは難しいが、今回の結果から、甘いものを食べるのを日中に限ることで取り過ぎによる悪影響を避けられる可能性が考えられる」と話している。

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    治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

    治験・臨床試験についての詳しい説明

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    HealthDay News 2018年8月27日
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