• 「座位時間が長いほど糖尿病になりやすい」、客観的指標で検証 久山町研究

    福岡県久山町の一般住民を対象とした疫学調査(久山町研究)から、加速度計を用いて客観的に評価した座位時間が長いほど糖尿病になりやすい可能性があることが分かった。これらの関連は運動量とは独立したものであったことから、研究を実施した九州大学大学院衛生・公衆衛生学教授の二宮利治氏らは、糖尿病の予防戦略では座位時間をいかに減らすかが重要な課題になるとしている。詳細は「Journal of Diabetes Investigation」11月2日オンライン版に掲載された。

     世界中で蔓延する2型糖尿病の主な原因は食生活と運動不足にあり、これまでの疫学研究では1日に座って過ごす時間が長いほど2型糖尿病になりやすいことが報告されている。しかし、これらの研究で検討されている座位時間は参加者の自己申告によるもので、客観的指標で評価した研究は限られていた。そこで、二宮氏らは今回、久山町研究のデータを用いて、加速度計で客観的に評価した座位時間と糖尿病有病率との関連を調べる横断研究を実施した。

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     対象は、2012年に健診を受け、加速度計を7日間以上装着して身体活動量を評価した40~79歳の地域住民1,758人(平均年齢61歳、女性59%)。食習慣や肥満、インスリン抵抗性といった因子が座位時間と2型糖尿病の関連に及ぼす影響についても検討した。なお、2型糖尿病の有無を75g経口糖負荷試験の結果から判定した結果、対象者の15.9%(279人)で糖尿病が確認された。

     解析の結果、高血圧や脂質異常症などの併存疾患や中強度から高強度運動、喫煙や飲酒の習慣といった生活習慣因子を考慮しても、座位時間が1日に6時間未満だった人に比べて、10時間以上だった人では糖尿病である確率が有意に高いことが分かった(オッズ比1.84、95%信頼区間1.02~3.31、P=0.04)。これらの有意な関連は、全身性や中心性の肥満で調整した解析でもみられたが、食事の摂取エネルギー量やインスリン抵抗性指数(HOMA-IR)で調整すると関連性は減弱した。

     また、糖尿病のない人を対象にした解析から、肥満や摂取エネルギー量で調整しても座位時間が増えるほどHOMA-IRが増大することも明らかになった。

     以上の結果から、二宮氏らは「日本人の一般住民を対象とした研究で、客観的に評価した座位時間と2型糖尿病は、中強度から高強度の身体活動量などの生活習慣因子とは独立して関連することが明らかになった。また、これらの関連にはインスリン抵抗性が強く影響する可能性があり、こうした関連は糖尿病のない一般住民でも認められた」と結論づけている。

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    糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。

    糖尿病のセルフチェックに関連する基本情報

    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2018年11月19日
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  • 緑茶カテキン血中濃度は脳卒中や心筋梗塞リスクと関連しない 約3万人の日本人男女を解析、JPHC研究

     日本人の成人男女では、緑茶カテキンの血中濃度は脳卒中や心筋梗塞などの虚血性心疾患のリスクと関連しない可能性があることが、国立がん研究センターなどによる多目的コホート(JPHC)研究から明らかになった。ただ、喫煙習慣のない男性では、緑茶カテキンの一種であるエピガロカテキン3ガレート(EGCG)の血中濃度が高いほど脳卒中リスクは低いことが分かったという。詳細は「Atherosclerosis」10月号に掲載された。

     これまでの観察研究で緑茶を摂取すると脳卒中による死亡リスクが低減することが示唆されており、JPHC研究でも緑茶を毎日4杯以上摂取すると脳卒中リスクが20%低下する可能性があると報告されている。研究グループは今回、JPHC研究に参加した40~69歳の男女を長期にわたり前向きに追跡したデータを用いて、カテキンの血中濃度と脳卒中および虚血性心疾患との関連を調べた。

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     対象は、ベースライン時(1990年および1993年)に全国9地域に在住し、がんや循環器疾患の既往がなかった40~69歳の男女2万9,876人。2007年末までの追跡期間中に発症した脳卒中の1,132人および虚血性心疾患の209人とそれぞれの対照群(各1,132人、418人)を合わせて、脳卒中に関しては2,264人、虚血性心疾患に関しては627人を対象に分析を行った。

     ベースライン時に採取した血液サンプルからカテキンの血中濃度を測定し、対象者を4種類の緑茶カテキンの血中濃度で、脳卒中リスクに関しては4つのグループに、虚血性心疾患リスクに関しては3つのグループに分けて比較検討した。その結果、男女ともに緑茶カテキンの血中濃度は脳卒中と虚血性心疾患の発症と有意に関連しないことが分かった。

     一方、緑茶カテキンの一種であるEGCGの血中濃度に関しては、喫煙をしていない男性に限り、血中濃度が最も低いグループに比べて最も高いグループで脳卒中リスクが47%低いことが明らかになった(オッズ比0.53、95%信頼区間0.29~0.98)。

     以上の結果から、研究グループは、血中の緑茶カテキンが検出感度以上だった人がきわめて少数だったため、結果は慎重に解釈する必要があるとしながらも、「緑茶カテキンの血中濃度と脳卒中、虚血性心疾患との関連は認められなかった」と結論づけている。ただ、EGCGについては、男性の非喫煙者で血中濃度が高いほど脳卒中リスクが低い可能性があるとしている。

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    治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

    治験・臨床試験についての詳しい説明

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    HealthDay News 2018年11月15日
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  • 「朝食抜くと太る」機序をラット実験で解明 体内時計の乱れが原因か、名古屋大など

    朝食を抜くと肝臓の脂質代謝や体温に関わる体内時計に乱れが生じ、エネルギーの消費が減って体重増加につながることを、名古屋大学大学院生命農学研究科准教授の小田裕昭氏らの研究グループが突き止めた。朝食を取ることはメタボリック症候群や肥満の予防につながるだけでなく、体内時計の正常化にも重要であるという。研究の詳細は「PLOS ONE」10月31日オンライン版に掲載された。

     厚生労働省の調査によれば、2015年には20歳代の4人に1人が朝食を食べてないという実態が報告されている。朝食を抜くと肥満やメタボリック症候群、2型糖尿病などになりやすいことが知られているが、これまでの研究は観察研究が多く、その機序は明らかになっていなかった。

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     小田氏らの研究グループはこれまで、体内時計の調節には光よりも食事のタイミングが重要な役割を果たすという時間栄養学に着目した実験を重ねてきた。今回は、朝食の重要性に注目し、ラットを活動期に高脂肪食を与える群(対照群)と目を覚ましてから4時間後に高脂肪食を与え、ヒトが朝食を抜いた場合に相当する状態にした群(朝食を抜く群)に分けて2週間観察した。同氏によれば、こうした条件はヒトが朝8時に朝食を食べた場合と12時に最初の食事を食べた場合に相当するという。

     その結果、摂取する食事の量に両群間で差はみられなかったが、朝食を抜いた状態の群では、対照群に比べて体脂肪量や体重が大幅に増加していた。詳細に解析したところ、朝食を抜いた状態のラットでは肝臓の時計遺伝子や脂質の代謝に関与する遺伝子の発現リズムが乱れていることが分かった。さらに、朝食を抜いた状態のマウスでは体温は食べ始めるまで上昇せず、食べている間にも体温は低下してしまうことも明らかになった。

     以上の結果から、小田氏らは「朝食を抜くと肝臓時計や体温時計に異常が生じ、エネルギー消費量が減少して体重増加につながると考えられる」と結論づけている。また、この結果は、朝食を取ることを勧める際の科学的エビデンスになるとしている。

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    肥満という言葉を耳にして、あなたはどんなイメージを抱くでしょうか?
    今回は肥満が原因となる疾患『肥満症』の危険度をセルフチェックする方法と一般的な肥満との違いについて解説していきます。

    肥満症の危険度をセルフチェック!一般的な肥満との違いは?

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    HealthDay News 2018年11月12日
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