• 妊娠中の葉酸とビタミンB類摂取で子どもの問題行動リスク低減 愛媛大学などの研究グループ

    妊娠中に母親が葉酸やビタミンB類を摂取すると、出生した子どもが5歳の時点で多動や情緒の問題、向社会的行動傾向が低いといった問題行動を呈するリスクが低減する可能性があることが、愛媛大学大学院疫学・予防医学講座教授の三宅吉博氏らの検討で分かった。詳細は「Nutritional Neuroscience」11月19日オンライン版に掲載された。

     これまでの研究で、妊娠中の葉酸とビタミンB12、ビタミンB6、ビタミンB2の摂取はDNAのメチル化などを介して出生した子どもの健康に影響する可能性が報告されている。しかし、妊娠中のこれらの摂取と子どもの問題行動との関連についてはほとんど研究されていなかった。そこで、三宅氏らは今回、九州・沖縄母子保健研究データを用いて、これらの関連を調べる観察研究を実施した。

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     対象は、同研究に参加した母親とその子ども計1,199組。母親が妊娠中に実施した食物摂取頻度調査票を用いて、妊娠中の栄養素のデータを収集した。また、子どもが5歳の時点で親に問題行動の有無や程度について尋ねた。なお、問題行動は「Strengths and Difficulties Questionnaire」という国際的な質問票を用いて評価し、情緒問題と行為問題、多動問題、仲間関係の問題、向社会的行動傾向の低さが含まれた。

     その結果、妊娠中の母親を葉酸の摂取量で4つの群に分けて比較したところ、最も摂取量が少なかった群に比べて、最も多い群では向社会的行動傾向が低いリスクが有意に低いことが分かった(調整オッズ比0.55、95%信頼区間0.37~0.80、傾向性P=0.0002)。

     また、妊娠中のビタミンB6摂取についても同様に、摂取量が最も少なかった群に比べて最も多い群では多動問題(同0.57、0.34~0.94、傾向性P=0.01)および向社会的行動傾向が低いリスクが有意に低かった(同0.58、0.40~0.85、傾向性P=0.0009)。さらに、ビタミンB2摂取についても、摂取量が最も多い群では情緒問題のリスクが低かった(同0.58、0.33~0.99、傾向性P=0.11)。一方、妊娠中のビタミンB12摂取はいずれの問題行動とも有意な関連はみられなかった。

     以上の結果を踏まえ、三宅氏らは、さらなるエビデンスの蓄積が必要としながらも、「妊娠中の葉酸摂取は出生した子どもの低い向社会的行動に、ビタミンB6摂取は多動問題と低い向社会的行動に、ビタミンB2摂取は情緒問題にそれぞれ予防的に働く可能性がある」と結論づけている。

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  • 日本人の糖尿病の有無に「所得」が関連か 東大など研究グループ

    日本人の高齢女性では、糖尿病の有無に所得による社会経済的状況が関連している可能性があることが、千葉大学予防医学センターの長嶺由衣子氏と東京大学大学院健康教育・社会学准教授の近藤尚己氏らの研究グループの検討で示唆された。一方、男性ではこれらの関連は認められなかったが、研究グループは「結果に性差がみられた理由や今後の対策についてはさらなる検討が待たれる」と述べている。詳細は「Journal of Epidemiology」11月17日オンライン版に掲載された。

     これまでの研究で、職業や所得、教育レベルといった社会経済的な状況と糖尿病の有病率、発症率との間には逆相関がみられることが報告されているが、高齢者の社会格差はほとんど検討されていない。近藤氏らは今回、大規模な高齢者の横断データを用いて、社会経済的状況と糖尿病との関連について検討した。

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     対象は、日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study;JAGES)の2010年調査に参加した31市町村の約10万人の住民のうち、愛知県に在住の65歳以上で介護保険を受けていない高齢者6,813人(男性3,457人)。参加者には所得や教育歴、職業などの社会経済的状況や習慣的な行動に関する質問紙調査を実施した。

     参加者のうち男性の15.2%、女性の10.2%が糖尿病を有していた。参加者を男女別に所得で4つの群に分けて糖尿病の有病率を比較した結果、男性では所得が最も低い群では17.6%、最も高い群では15.1%と両群間に有意差はみられなかったが、女性ではそれぞれ11.7%、7.8%と両群間には有意な差が認められることが分かった(P=0.03)。

     年齢や他の社会経済的因子を調整した解析の結果、所得が最も高い群に対する最も低い群の糖尿病有病率の比は男性では1.16だったのに対し、女性では1.43であった。一方、教育レベルや職業といった因子は、今回のデータの分析では男女とも糖尿病であることとは関連しなかった。

     以上の結果を踏まえ、近藤氏らは「今回の調査からは、日本の高齢者で糖尿病にも所得による格差がある可能性が示唆されたが、今後、縦断研究などでさらに詳しく調べる必要がある。また、今回の結果に性差がみられた理由や、糖尿病の社会経済格差を解消する方策についても検討していきたい」と話している。

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    糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。

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    HealthDay News 2018年12月3日
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  • 喫煙者は肥満度に関係なく死亡リスクが高い 厚生労働科学研究班の報告

    日本人男女の大規模データを解析したところ、死亡リスクが最も低いBMIは22.0~24.9であることが、東北大学東北メディカル・メガバンク機構個別化予防・疫学分野教授の寳澤篤氏らの研究グループの検討で示唆された。これらの関連は年齢や喫煙習慣の有無による影響はみられなかったが、現在喫煙している人はたとえ理想体重であっても、喫煙歴のないどのBMI群の人よりも死亡リスクは高いことも明らかになった。詳細は「Journal of Epidemiology」11月3日オンライン版に掲載された。

     死亡率とBMIの間にはU字型の関係があることが知られているが、死亡リスクが最も低い適正体重は明らかになっていない。また、特にBMIが低い人では、喫煙習慣がこれらの関連に強い影響を及ぼすことも報告されているが、エビデンスは確立していない。そこで、寳澤氏らは今回、日本人を対象に実施した13件のコホート研究の参加者を対象に、最も死亡リスクが低い適正体重と喫煙習慣による影響について検討する観察研究を実施した。

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     対象は、国内13件の前向きコホート研究の個人データを統合した、大規模なメタ解析研究であるEPOCH-JAPAN(Evidence for Cardiovascular Prevention From Observational Cohorts in Japan)に参加した40~89歳の男女計17万9,987人(平均年齢58.7歳、男性11万1,705人、平均BMIは23.3)。1987~1995年のベースラインから平均9.8年間追跡した。

     その結果、対象者全体の解析では、全死亡リスクとBMIとの間にはU字型の関係が認められ、BMIが21.0以下あるいは29.0以上の場合に全死亡リスクの有意な上昇がみられた。また、全死亡リスクはBMIが22.0~24.9の場合に最も低いことも明らかになった。喫煙習慣がないなど特に健康な参加者でも同様の結果が認められた。

     さらに、BMIと全死亡リスクの関連に年齢や性、喫煙習慣の有無による影響はみられなかった。しかし、BMIが18.9未満または30.0以上で喫煙歴がない人に比べて、喫煙者は理想的なBMIでも死亡リスクは上回っていることも分かった。

     以上の結果から、寳澤氏らは「喫煙者の死亡リスクは、最も死亡リスクが小さいBMI群であっても非喫煙者の全てのBMI群を上回っていた。BMI値にかかわらず、喫煙習慣は死亡リスクの上昇をもたらすことから、体型維持のための喫煙は論外であり、今後さらに禁煙対策を強化していくことが求められる」と述べている。

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    HealthDay News 2018年11月26日
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  • HbA1c高値は慢性腎臓病のリスク因子 糖尿病がない日本人データを分析

    糖尿病がない日本人の成人男女では、空腹時血糖(FPG)値よりもHbA1c値の上昇の方が慢性腎臓病(CKD)の予測因子として優れる可能性があることが、相澤病院(長野県)糖尿病センターの越智通氏らの研究グループの検討で分かった。詳細は「Diabetes Research and Clinical Practice」11月1日オンライン版に掲載された。

     これまでの研究で、前糖尿病はCKD発症のリスク因子であることが報告されている。前糖尿病はHbA1c値またはFPG値で定義されるが、HbA1c上昇およびFPG上昇が単独でCKDのリスク因子であるか否かは明らかになっていない。そこで、研究グループは今回、米国糖尿病学会(ADA)ガイドライン(FPG値100~125mg/dLおよび/またはHbA1c値5.7~6.4%)と世界保健機関(WHO)基準(FPG値110~125mg/dLおよび/またはHbA1c値6.0~6.4%)を用いて診断した前糖尿病とCKD発症の関連について検討した。

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     対象は、2005~2016年に同病院で健診を受け、ベースライン時に糖尿病とCKDがなかった成人男女2万5,109人。対象者を平均で5.3年間追跡し、後ろ向きに解析した。

     観察期間中に対象者のうち2,483人がCKDを発症した。年齢や性、インスリン抵抗性、収縮期血圧などで調整して解析した結果、HbA1c高値はCKDの独立したリスク因子であったが、FPG高値にはこうした関連は認められないことが分かった。HbA1c値が1%上昇するごとにCKDリスクは1.91倍(調整後ハザード比、95%信頼区間1.70~2.16)に上昇したが、FPG値の上昇はCKDリスク上昇を全く伴っていなかった(同0.85、0.60~1.20)。

     また、ADA、WHOいずれの基準を用いても、前糖尿病の範疇に入っていることはCKD発症のリスク因子であることが明らかになった(調整後ハザード比はそれぞれ1.21、1.31)。さらに、どちらの基準でもFPG値によらずHbA1c値のみに基づき診断した前糖尿病はCKDのリスク因子であったが、逆にFPG値のみに基づく前糖尿病はCKDのリスク因子ではないことが示された。

     以上の結果から、研究グループは「糖尿病のない日本人集団では、FPG高値ではなく、HbA1c高値はCKDの独立したリスク因子であることが分かった。ただし、これらの因果関係は明らかになっておらず、今後さらなる検討が必要とされる」と述べ、HbA1c高値の前糖尿病と診断された人への介入はCKD予防につながる可能性があることから、今回の結果は今後のCKD対策にとって重要であるとしている。

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  • カドミウムと鉛曝露は妊娠糖尿病の発症と関連しない エコチル調査で分析

    妊娠中のカドミウムと鉛の血中濃度は妊娠糖尿病の発症と関連しない可能性があると、国立環境研究所(茨城県)エコチル調査コアセンター室長の中山祥嗣氏らの研究グループが「International Archives of Occupational and Environmental Health」10月30日オンライン版に発表した。研究は子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)の一環で、妊婦の年齢と肥満、妊娠糖尿病の既往歴は妊娠糖尿病の予測因子であることも確認された。

     エコチル調査とは、環境が子どもの健康に及ぼす影響を検討するため、2010年度に開始された大規模な出生コホート研究を指す。これまで海外の疫学研究や動物実験で、カドミウムと鉛曝露が糖尿病や糖代謝異常を引き起こすことが報告されているが、妊娠糖尿病との関連はほとんど検討されていなかった。

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     中山氏らは今回、エコチル調査に参加し、妊娠22週~28週に採取した血液サンプルからカドミウムと鉛の血中濃度を測定し得た妊婦1万6,955人を対象に、カドミウムと鉛曝露と妊娠糖尿病との関連を調べる横断研究を実施した。

     解析の結果、母親の出産経験(初産または経産)にかかわらず、カドミウムと鉛の血中濃度と妊娠糖尿病発症との間に有意な関連は認められないことが明らかになった。一方、従来から妊娠糖尿病のリスク因子と考えられてきた妊婦が高齢であることと妊娠前の肥満、妊娠糖尿病の既往歴はその発症に有意に関連することが認められた。

     これらの結果を踏まえ、中山氏らは「カドミウムと鉛の血中濃度と妊娠糖尿病の発症との関連を検討した研究は今回が初めて。この結果から、これらの化学物質への曝露は妊娠糖尿病の発症と関連しなかったが、妊婦の年齢や肥満、妊娠糖尿病の既往がリスク要因となり得ることが示された」と述べている。

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