• 1日に摂取する食品数が多いほど女性の死亡リスク減 JPHC研究

    日本人女性は、1日に摂取する食品の種類が多いほど全死亡や循環器疾患による死亡リスクが減少する可能性があることが、国立がん研究センターなどの多目的コホート(JPHC)研究で明らかになった。一方で、男性では摂取する食品数と死亡リスクとの間に関連は認められなかったという。研究の詳細は「European Journal of Clinical Nutrition」3月19日オンライン版に掲載された。

     日本の食生活指針では、1日の食事は穀類や野菜、果物、牛乳や乳製品、豆類、魚などのさまざまな種類の食品をバランスよく摂取することが推奨されている。しかし、食品の種類の多さと死亡リスクとの関連については明らかになっていない。研究グループは今回、JPHC研究に参加した45~74歳の男女約8万人を長期にわたり前向きに追跡したデータを用いて、1日に摂取する食品の種類の数と死亡リスクとの関連を調べた。

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     研究では、ベースライン(1990年および1993年)に全国10地域に在住した成人男女のうち、研究開始から5年後に実施した食物摂取頻度調査票に回答した45~74歳の男女7万9,904人を対象に2012年まで追跡した。調査票の結果に基づき、対象者がアルコール以外の133項目の食品や飲料を1日に何種類摂取しているのかを算出し、中央値で14.9年の追跡期間中の死亡リスクとの関連を調べた。

     対象者を1日に摂取する食品数によって5つの群に分けて解析した結果、女性では、食品数が最も少ない群と比べて、最も多い群では死亡リスクは19%(傾向P値=0.002)、循環器疾患による死亡リスクは34%、その他の死亡リスクは24%低いことが分かった(いずれも傾向P値=0.01)。一方、男性ではこれらの関連は認められなかった。

     また、食品群別に解析したところ、男性では摂取する果物の種類が多いほど、女性では大豆製品の種類が多いほど全死亡リスクが低い傾向がみられた。一方で、男性では摂取する肉類の種類が多いほど全死亡リスクには上昇傾向がみられた。しかし、男女ともに、摂取する魚や野菜の種類の多さと全死亡リスクとの間に関連は認められなかった。

     これらの結果について、研究グループは「多様な食品をバランス良く摂取することは、全死亡リスク、循環器疾患やその他の死亡リスクの低減につながる可能性がある」と結論づけている。また、摂取する食品数と死亡リスクとの関連に性差がみられた理由について、研究グループは「男性では女性に比べて飲酒や喫煙の頻度が高く、これらの要因を統計学的に調整しても、その影響が上回ってしまい、関連がみえにくくなった可能性が考えられる」と指摘している。

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    HealthDay News 2019年5月13日
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  • 糖尿病性腎臓病の原因物質「フェニル硫酸」を同定 腸内細菌の酵素が新たな治療標的となる可能性、東北大

    糖尿病に起因する腎臓病(糖尿病性腎臓病;DKD)は、腸内細菌が産生に関与する「フェニル硫酸」と呼ばれる代謝物が原因物質の一つであり、腎症増悪の予測因子でもあり得ることを、東北大学大学院病態液性制御学分野教授の阿部高明氏らの研究グループが動物実験と臨床研究で突き止めた。フェニル硫酸をマーカーとして測定し、その値が高い患者には、腸内細菌の酵素の働きを阻害する薬剤の使用や腸内細菌叢のバランスコントロールがDKDの新たな治療につながると期待されるという。研究の詳細は「Nature Communications」4月23日オンライン版に掲載された。

     日本国内の糖尿病患者は約1300万人に上ると推計される。このうち約3割はDKDを発症し、末期腎不全に進行すると透析治療や腎移植を必要とすることから、予防策の確立が喫緊の課題とされている。しかし、推算糸球体濾過量(eGFR)や尿中アルブミンといった既存の検査項目ではDKDの発症や進展の予測は難しいのが現状だ。

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     そこで、阿部氏らはまず、ヒト腎臓のみに存在し老廃物を尿中に排泄する役割を持つトランスポーターSLCO4C1が働くように遺伝子改変したラットを用いて、DKDを発症すると蓄積し、SLCO4C1で排泄させると進行を抑えられる代謝物を探索する実験を行った。その結果、糖尿病を誘発した野生型ラットでは血中濃度が上昇する一方、遺伝子改変ラットではその濃度が低下する代謝物としてフェニル硫酸を同定した。

     このフェニル硫酸をさまざまなDKDモデルマウスに経口投与した結果、全てのモデルマウスで糸球体のバリアの働きをする細胞であるポドサイトや基底膜が障害され、アルブミン尿が増加することが分かった。

     次に、阿部氏らは糖尿病患者362人を対象とした岡山大学の臨床コホート(U-CARE)データを用いて、フェニル硫酸の血中濃度と臨床パラメーターとの関連を調べる追跡調査を実施した。その結果、糖尿病患者ではフェニル硫酸の血中濃度が高く、その値はアルブミン尿と有意に相関することが分かった。さらに微量アルブミン尿期の患者87人を対象に分析したところ、フェニル硫酸の血中濃度は腎機能や血糖値とは独立して、2年後のアルブミン尿増悪の予測因子であることも明らかになった。

     フェニル硫酸の産生に関与する腸内細菌のみが持つチロシン・フェノールリアーゼ(TPL)という酵素を阻害する薬(TPL阻害薬)を糖尿病モデルマウスに経口投与したところ、モデルマウスのフェニル硫酸の血中濃度は低下し、アルブミン尿が減少することが分かった。さらに、腎不全マウスにTPL阻害剤を投与すると、フェニル硫酸の血中濃度が下がるとともに腎不全が改善した。

     これらの結果を踏まえ、阿部氏らは「腸内細菌が産生に関与するフェニル硫酸はDKDの原因物質の一つであり、かつ増悪因子でもあることが示された」と結論。その上で、「糖尿病患者ではフェニル硫酸を測定してみる必要があり、その血中濃度が高い患者では、フェニル硫酸の産生に関わる腸内細菌が持つTPL酵素を阻害することや、プロバイオティクスなどの使用がDKDだけでなく腎不全の進行を抑制する新しい治療となる可能性がある」と期待を示している。

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    糖尿病の3大合併症として知られる、『糖尿病性腎症』。この病気は現在、透析治療を受けている患者さんの原因疾患・第一位でもあり、治療せずに悪化すると腎不全などのリスクも。この記事では糖尿病性腎病を早期発見・早期治療するための手段として、簡易的なセルフチェックや体の症状について紹介していきます。

    糖尿病性腎症リスクを体の症状からセルフチェック!

    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2019年5月13日
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