• ダークチョコを毎日食べると認知機能が向上

    ダークチョコレートを毎日食べると、神経成長因子(NGF)という蛋白質が増加し認知機能も向上するという研究結果が報告された。しかもチョコレートの摂取を中止した後もしばらく認知機能が高い状態が維持されるという。ただしホワイトチョコレートにはこの効果はないとのことだ。島根大学医学部環境生理学の住吉愛里氏らの研究によるもので、「Nutrients」11月16日オンライン版に掲載された。

     この研究は島根大学の健康な学生20人(20~31歳、男性14人)を対象に行われた(介入中に2人が脱落)。全体を無作為に2群に分け、1群にはカカオパウダーを含むダークチョコレート(24.0g/日)、別の1群にはカカオを含んでいないホワイトチョコレート(24.5g/日)を支給し、30日間毎日食べてもらった。この間、カフェイン入り飲料は1日3杯までとし、支給したもの以外のチョコレートの摂取を禁止した。認知機能および血中NGF濃度は、連日摂取の介入前、介入終了時、そしてカカオ成分であるテオブロミンの血中濃度が通常レベルに戻ると考えられる介入終了から3週間経過した時点の計3回、計測した。

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     認知機能は以下の2つの方法で判定した。テスト1は、赤、黄、青、緑という文字が4色の異なる色(赤、黄、青、緑)で印字されたもの(文字の色と文字の読みは無関係)を見て、文字の読みまたは色を瞬時に答えるというもの。テスト2は、無作為に並んでいる0~9の数字の中から、指示された数字だけを時間内にできるだけ多くチェックするというもので、1分間の休憩を挟み3回繰り返した。

     これらの測定結果を時系列で見ると、まず、介入前の認知機能と血中NGF濃度は両群同等だった。その後30日間の介入期間中、チョコレートの摂取やカフェイン入り飲料の摂取制限は、両群ともによく守られており群間差がなかった。

     次に、介入終了時にダークチョコレート群ではNGF濃度が有意に上昇していることが確認された(P=0.0059)。そして、テスト1の文字読みの正答数が有意に増加していた(P=0.017)。またテスト2では3回目のトライの正答率が有意に向上していた(P=0.014)。ところがその一方、ホワイトチョコレート群ではいずれも有意な変化がなかった。

     続いて介入終了から3週間後の結果だが、ダークチョコレート群ではNGF濃度は介入前のレベルに戻っていた。しかし、認知機能は引き続き有意に高い状態に維持されていた。なお、テスト1の文字の色読みの正答数は、ダークチョコレート群では介入前より有意に増加していた(P=0.012。ホワイトチョコレート群はP=0.050)。

     この他、同時に検討されたテオブロミン濃度はダークチョコレート群の介入期間のみ、血中レベルが有意に高かった。血中カフェイン濃度、脳由来神経栄養因子(BDNF)、前頭前野血流量は、両群ともに有意な変化は見られなかった。

     これらの結果について著者らは、「ダークチョコレートの連日摂取によって、血中NGFとテオブロミンのレベルが上昇し、認知機能の向上が認められた」とまとめるとともに、「連続摂取が終了しNGF、テオブロミンレベルが介入前値に戻った後も、認知機能の高い状態が継続していたことは興味深く、分子メカニズムの検討が必要」としている。

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    軽度認知障害を予防し認知症への移行を防ぐためには早期発見、早期予防が重要なポイントとなります。そこで、今回は認知症や軽度認知障害(MCI)を早期発見できる認知度簡易セルフチェックをご紹介します。

    軽度認知障害(MCI)のリスクをセルフチェックしてみよう!

    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2019年12月9日
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  • 子どもの頃に宿題をため込んだホワイトカラー男性はメタボになりやすい?

    子どもの頃に学校から出された宿題などを、期限のぎりぎりまでやらなかったホワイトカラー労働の男性は、成人後に体重が増加し、メタボリックシンドロームになるリスクが高いことを示す報告が「BMJ Open」11月18日オンライン版に掲載された。ただし、この関係はブルーカラー労働者には当てはまらないという。愛知医科大学産業保健科学センターの成定明彦氏らの研究。

     目の前の小さな誘惑に負けて、将来の大きな利益を失ってしまうことは少なくない。このような特性の健康面の影響として、将来のために体重に気を付けるより、今の満足のためについ食べ過ぎてしまい肥満になるということが指摘されている。

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     座っている時間が長く就業中にある程度は自分の裁量で菓子などを口にできるホワイトカラー労働者では、このような特性の肥満への影響が助長される可能性がある。成定氏らは、このような特性と職種、体重管理の関連を調べるために、子どもの頃に学校から出された宿題をいつ行っていたかという本人の特性の一端を表すと考えられる行動と、成人後のメタボのリスクを職種別に検討した。

     研究の対象者は電子機器メーカー(2事業所)に勤務する男性従業員795人(平均年齢46.9±8.1歳)。ホワイトカラー(515人)とブルーカラー(280人)の2群に分けて分析した。

     子どもの頃の行動については、「休み前に出された宿題をどのタイミングでやり終えたか」という質問で判定。1.すぐに終わらせた、2.なるべく早めに終わらせた、3.均等のペースで終わらせた、4.期間の最後の方に終わらせた、5.期限ぎりぎりになって終わらせた、という五択のうち1~3を課題の先延ばしをしない群(270人)、4を中等度の先延ばし傾向がある群(323人)、5を先延ばし傾向が強い群(202人)として全体を3群に分類した。

     対象者全体でのメタボの割合は15.5%だった。これを前記のカテゴリー別に比較すると、ホワイトカラーにおいて先延ばし傾向が強い群の23.1%がメタボであり、先延ばししない群に比べ有意に多かった(P=0.024)。その一方、ブルーカラーでは先延ばし傾向とメタボの間に有意な関係は見られなかった。

     次に、年齢、教育レベル、長時間労働の頻度、喫煙・飲酒・身体活動習慣で調整し検討すると、ホワイトカラーでは先延ばし傾向に応じてメタボリスクが高くなるという有意な関係が認められた(傾向性P=0.013)。先延ばししない群を基準とすると先延ばし傾向が強い群のオッズ比は2.29であり、2倍以上メタボリスクが高いことがわかった。一方、ブルーカラーでは有意な関係は見られなかったが、先延ばし傾向が強い群のオッズ比は0.40であり、むしろリスクが低下する傾向にあった。

     これらの結果から成定氏らは「先延ばし傾向は男性のホワイトカラー労働者のメタボリスク上昇と関連しており、メタボ関連疾患の予防には、先延ばし傾向の強い男性により注意を払う必要がある」と結論をまとめている。

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    肥満という言葉を耳にして、あなたはどんなイメージを抱くでしょうか?
    今回は肥満が原因となる疾患『肥満症』の危険度をセルフチェックする方法と一般的な肥満との違いについて解説していきます。

    肥満症の危険度をセルフチェック!一般的な肥満との違いは?

    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2019年12月2日
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  • 冠動脈疾患と末梢動脈疾患の患者像は、かなり異なる

    下肢の末梢動脈疾患(PAD)は心血管疾患(CVD)の1つの病型であるが、リスク因子に関するデータがまだ少ない。そのため、CVDの中で比較的研究が進んでいる冠動脈疾患(CAD)のエビデンスを援用し、それを根拠にリスク管理を行っているのが現状だ。しかし、PADとCADの患者像は、実際にはかなり異なることを示す日本人対象の研究結果が、「Cardiovascular Diabetology」11月15日オンライン版に掲載された。

     大阪大学大学院医学系研究科糖尿病病態医療学寄附講座の高原充佳氏、関西ろうさい病院循環器内科の飯田修氏らは、日本心血管インターベンション治療学会が行っている全国規模の多施設レジストリ(J-EVTおよびJ-PCI)のデータを基に、PADとCADの患者像やリスク因子の異同を検討した。解析対象は、2012~17年にJ- EVT、J- PCIに登録された患者145万813人。このうち11万7,697人がPADに対する血管内治療(EVT)施行症例、133万3,116人がCADに対する血管内治療(PCI)施行症例。

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     まず患者背景を見るとPAD群はCAD群に比較して有意に高齢(73.5±9.3歳対70.0±11.2歳)であるほか、糖尿病患者と透析患者の割合が有意に高いという特徴があった(PAD群の糖尿病はCAD群の1.96倍、透析は6.39倍)。糖尿病や透析患者が多いというこの特徴は、治療の緊急性が高い重症下肢虚血(CLI)と急性冠症候群(ACS)とを比較した場合により顕著になった(CLI群の糖尿病はACS群の3.12倍、透析は18.7倍)。CLIとST上昇型心筋梗塞(STEMI)との比較ではさらにこの差が明確になった(CLI群の糖尿病はSTEMI群の3.59倍、透析は40.1倍)。

     脂質異常症など、他のリスク因子についてもPAD群とCAD群では差異を認めた。PAD群の脂質異常症の割合はCAD群の0.60倍と、CAD群の方が割合が高かった。なお、脂質異常症によるPADへの影響は高コレステロール血症と高トリグリセライド血症で異なると考えられるが、これが区別されなかったことは著者らも本研究の限界点の1つに挙げている。

     次に、患者像の異質性をロジスティック回帰分析によるC統計量(ROC曲線下面積)で検討した。C統計量は比較する2群が全く異質の場合は1、全く同質の場合0.5になる。

     その結果、PADとCADのC統計量は0.725であり、かなりの異質性が示された。また前記と同様にCLIとACSを比較するとC統計量は0.833、CLIとSTEMIでは0.855と明確な異質性が見られた。なお、STEMIと膝下動脈病変によるCLI群を比較した場合のC統計量が0.886で最も高値だった。

     これらより、PCIに比較しEVTは、高齢で糖尿病があり透析を施行しているなど、よりリスクの高い患者をターゲットとして行われていることが明らかになった。研究グループは、「EVTが施行されたPAD患者とPCIが施行されたCAD患者は、年齢の分布と心血管リスク因子の保有状況がかなり異なることが確認された」と結論づけるとともに、「これらの相違は、今回の検討で評価されていない交絡因子によって説明できるかもしれない。各CVDの発症メカニズムを明らかにする今後の研究が必要」と付け加えている。

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    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2019年12月2日
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