• 社会活動が活発な地域社会は住民の健康感が高い――石川県羽咋市での調査

     社会活動に積極的に参加する人が多いコミュニティーに住む住民は、そうでない住民に比べて主観的健康感が高いという調査結果が報告された。金沢大学医薬保健学総合研究科認知症先制医学の篠原もえ子氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS ONE」に10月23日掲載された。同氏らは、「社会活動の多いコミュニティーを育てることが、住民の健康状態の改善につながるのではないか」と述べている。

     この研究が行われたのは石川県羽咋市。羽咋市は日本の多くの地方都市と同様に、高齢化と人口減少が進行している。この羽咋市で2019年9月に、同市と金沢大学により健康調査が行われ、自記式質問票が40歳以上の全住民に郵送された。回答数は6,578人で、回答率は43.2%だった。

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     質問票では、現在の健康状態のほか、ソーシャルキャピタル(人々の協調活動)の指標として、一般的な信頼、規範、社会活動への参加という3要素を評価する質問項目を設定した。このうち健康状態は、優れている、良い、悪い、非常に悪いという4段階で回答してもらったところ、同順に14.4%、56.4%、21.8%、7.4%となった。このうち前二者を「良好」、後二者を「不良」と判定し、後述の解析を行った。

     またソーシャルキャピタルの3要素に関しては、以下のように評価した。一般的な信頼については「ほとんどの人を信頼できるか」という問を設定し、規範については「近隣の住民は全て仲間と思うか」という問を設定して、それぞれ3段階の選択肢を設けてその回答から評価した。社会活動への参加は、地域の祭事、集会所や道路の清掃、町内会の会合という3種類のイベントへの参加状況を質問し、その回答から3段階で評価した。

     羽咋市は、市域全体が11区の学区に分かれている。本検討ではこの学区をコミュニティー単位として採用し、年齢、性別、教育歴、家族構成、仕事の頻度、世帯収入などで調整した上で、主観的健康感とソーシャルキャピタルの関連を検討した。

     その結果、社会活動への参加に積極的な住民が多いコミュニティーには、主観的健康感の高い人が多いという有意な関連が認められた(P=0.036)。その一方、一般的な信頼や規範は、個人レベルでは主観的健康感と関連が見られたが、コミュニティー単位では有意な関連がなかった。

     著者らは、この研究の限界点として、横断的研究であり因果関係には言及できないこと、自記式質問票のため回答バイアスが存在する可能性があること、回答率が十分高いとは言えないことなどを挙げている。その上で、「地域住民の健康状態の悪化を抑制するために、市民参加の多いコミュニティーを育成することの重要性を浮き彫りにした結果と言える」とまとめている。

     なお、著者の1人は、事務・光学機器メーカーとの利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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    軽度認知障害を予防し認知症への移行を防ぐためには早期発見、早期予防が重要なポイントとなります。そこで、今回は認知症や軽度認知障害(MCI)を早期発見できる認知度簡易セルフチェックをご紹介します。

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    HealthDay News 2020年12月14日
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  • 中性脂肪値の年次変化が頸動脈IMTと関連――国内CKD患者での検討

     中等度以上に進行した慢性腎臓病(CKD)患者では、LDL-コレステロールに加え、一定期間での中性脂肪(TG)の上昇が、動脈硬化を促す可能性が報告された。自治医科大学附属さいたま医療センター腎臓内科の平井啓之氏らが、CKD患者の頸動脈最大IMTの推移を後方視的に解析した結果、明らかになった。研究の詳細は、「Diabetes, Metabolic Syndrome and Obesity : Targets and Therapy」に10月12日掲載された。

     動脈硬化進行レベルの指標として、頸動脈の血管内膜中膜肥厚(IMT)計測の有用性が確立している。一方、CKD患者の多くが動脈硬化を併発しているが、動脈硬化進行に未知のリスク因子の関与も考えられる。そこで平井氏らは、CKD患者の頸動脈最大IMT(内膜中膜が最も厚くなった部分の厚み。max-IMT)の変化を継続的に観察し、CKD患者の動脈硬化進展因子を検討した。

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     研究の対象は、同医療センターの外来CKD患者のうち、20歳以上で推算糸球体濾過量(eGFR)60mL/分/1.73cm2未満(CKDステージG3以上)で、頸動脈IMTを1年以上の間隔で2回施行した患者。なお、透析患者は除外した。

     対象となった130人は、平均年齢67.6±11.0歳、男性が91人(70%)で、ベースライン時のeGFRは31.3±12.6mL/分/1.73m2。CKDステージはG3aが18%、G3bが32%、G4が40%、G5が10%。併発疾患は、糖尿病38%、脂質異常症84%、高血圧95%であり、また既往歴として冠動脈疾患が13%、虚血性脳卒中が14%、末梢動脈疾患が11%に見られた。max-IMTの平均は2.2±1.0mmだった。

     平均観察期間2.9±1.6年で、この間のmax-IMTの年次変化は0.06±0.22mm/年だった。単変量解析では、HDL-コレステロールの年次変化(β=-0.209)、TGの年次変化(β=0.173)、および、ベースライン時のeGFR(β=0.182)とmax-IMT(β=-0.201)が、観察期間中のmax-IMTの変化と関連していた。多変量解析の結果、max-IMTの変化と関連する因子として、ベースライン時のLDL-コレステロール(β=0.173)と、TGの年次変化(β=0.175)の2項目が抽出された。

     LDL-コレステロールは、非CKD患者における動脈硬化のリスク因子として既に周知されているが、本研究により、中等度以上に進行したCKD患者においてもLDL-コレステロールがリスク因子であることが明確になった。さらに、ある一定期間にTGが上昇することも、動脈硬化の進展を加速させる可能性が示された。

     著者らは本研究を、「中等度以上に進行したCKD患者における頸動脈max-IMTの変化に関連する因子を縦断的に解析した、初めての研究」と位置付けている。後方視的研究であること、解析対象者数が十分でなく女性が少ないことなど、解釈上の留意点はあるが、結論として「LDL-コレステロールの値とTGの上昇幅は、中等度以上のCKD患者における頸動脈max-IMTの進行速度と関連している」と述べている。

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    糖尿病の3大合併症として知られる、『糖尿病性腎症』。この病気は現在、透析治療を受けている患者さんの原因疾患・第一位でもあり、治療せずに悪化すると腎不全などのリスクも。この記事では糖尿病性腎病を早期発見・早期治療するための手段として、簡易的なセルフチェックや体の症状について紹介していきます。

    糖尿病性腎症リスクを体の症状からセルフチェック!

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    HealthDay News 2020年12月14日
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  • 窓から見える緑がCOVID-19ストレスを緩和し得る――都民調査

     新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが続き、人々はストレスの高い状態を強いられている。こうした中、木々の緑に接したり、自宅の窓から緑を眺めることが、メンタルヘルスに好ましい影響を及ぼし得ることが明らかになった。東京大学大学院農学生命科学研究科の曽我昌史氏らの研究チームが、東京の緊急事態宣言解除直後に行った都民対象調査の結果であり、詳細は米国生態学会刊行の「Ecological Applications」に11月17日掲載された。

     COVID-19パンデミックの対策として、世界各国で外出自粛措置がとられている。東京も4月7日~5月25日に緊急事態宣言が発出され、人々の外出機会が著減した。このような特殊な状況が人々にストレスになることは、既に多くの研究報告から明らかにされている。一方、自然環境に接することにストレス軽減効果があることが、以前から報告されている。そこで曽我氏らは都民を対象として、緊急事態宣言下での自然との触れ合いと、メンタルヘルス状態との関連を調査した。

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     対象はオンライン調査会社の登録者3,000人(男性と女性が各1,500人)で、期間は6月初旬の3日間。メンタルヘルス状態は、うつ・不安レベル、自尊心、生活満足度、主観的幸福感、孤独感を評価した。自然との触れ合いは、5月の1カ月間の緑地の使用頻度・時間、自宅の窓から緑が見えるか否か、および衛星観測による回答者の自宅周辺の植生指数(Normalized Difference Vegetation Index;NDVI)を評価指標とした。その他に生活習慣や社会人口学的変数として、年齢、性別、喫煙・飲酒習慣、世帯収入などを質問した。

     回答者全体のメンタルヘルス状態の解析の結果、全般的に孤独感のレベルが高い傾向が認められた。自然との触れ合いについては、5月の大半が緊急事態宣言下にあったことから、60%の人は緑地を一度も訪れておらず、訪れた人の滞在時間も1~2時間程度の短時間が多くを占めていた。自宅の窓から緑が見えるとの回答は81%だった。

     これら自然との触れ合いの状況と、メンタルヘルス状態の関連を解析した結果、緑地の利用、および自宅の窓から緑が見えることは、自尊心、生活満足度、主観的幸福感と正の関係性があり、うつ・不安レベル、孤独感とは負の関係性が認められた。また、COVID-19パンデミックによる世帯収入への影響の大きさは、うつ・不安レベルと有意に関連していた。一方、自宅周辺の植生指数は、メンタルヘルス状態と有意な関連が見られなかった。

     自宅の窓から緑が見えることは、評価した5項目の全てについて、緑地の利用よりもメンタルヘルス状態へ、より大きな影響を及ぼしていた。平均を0、標準偏差を1とした場合の効果量は以下のとおり。自尊心に対する自宅の窓から緑が見えることの効果量は0.13、緑地の利用は0.06、生活満足度に対しては同順に0.23、0.07、主観的幸福感に対しては0.16、0.09、孤独感に対しては-0.11、-0.08、うつ・不安に対しては-0.10、-0.05。なお、COVID-19パンデミックによる世帯収入への影響による、うつ・不安への効果量は0.08だった。

     これらの検討結果を著者らは、「メンタルヘルスへの負荷が高止まりしている状況において、自然との触れ合いがそのストレス改善に役立つことを示唆している」とまとめている。

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    HealthDay News 2020年12月7日
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  • 短時間睡眠の睡眠薬服用者はメタボが多い――自治医大

     睡眠薬の使用とメタボリックシンドローム(MetS)の関連が明らかになった。睡眠薬を使用している短時間睡眠の人でMetSの頻度が有意に高いという。自治医科大学が地域住民対象に動脈硬化危険因子の検証目的で行っている「JMS-IIコホート研究」のベースラインデータを解析した結果だ。同大学地域医療学センター公衆衛生学の石川鎮清氏らの論文が、「Journal of Epidemiology」に11月7日掲載された。

     疫学研究からは、睡眠時間がMetSや心血管疾患の有病率と相関することが示されている。一方、睡眠障害に対し睡眠薬を使用することが、心血管転帰にどのような影響を及ぼすのかは結論が得られていない。睡眠薬の使用によって睡眠時間が増えたり睡眠の質が改善することで、血圧や血糖に好ましい影響を与えるとする報告があるのとは反対に、睡眠薬の使用と心血管イベントの増加の関連を指摘する報告もある。そこで石川氏らは、JMS-IIコホート研究のデータを用いて、睡眠薬の使用とMetS有病率との関連を検討した。

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     検討の対象は、国内13カ所で健診を受けた28~95歳の6,153人(平均年齢63.8±11.2歳で、女性54.4%)。MetSの判定には、米国コレステロール教育プログラム治療パネルIII(NCEP ATP III)の基準を用いた。ただし腹囲については日本肥満学会の基準値(男性85cm以上、女性90cm以上)とした。

     対象者のうち睡眠薬を使用しているのは858人(13.9%)だった。睡眠薬使用群と非使用群を比較すると、使用群は高齢で中性脂肪値と抑うつレベルが高く、脳卒中とがんの既往者が多いという有意差が認められた。ただしMetSの有病率や、MetS構成因子である血圧高値、耐糖能異常、高中性脂肪血症、および腹部肥満の頻度に有意差はなかった。

     次に、睡眠時間6時間未満、6~7時間、7~8時間、8~9時間、9時間以上に分類。年齢、性別、喫煙・飲酒習慣、婚姻状況、教育歴、心筋梗塞・脳卒中・がんの既往および抑うつ症状の有無などの交絡因子で調整し、MetS有病率を検討。その結果、睡眠薬使用の有無にかかわりなく睡眠時間が6~7時間の群でMetS有病率が最も低く、睡眠時間が短くても長くてもMetS有病率が高いことが分かった。

     また睡眠時間が短い場合には、睡眠薬使用群においてMetS有病率がより高く、非使用群との間に有意差が存在した。具体的には、睡眠時間6時間未満の群では睡眠薬使用群が非使用群に対し、MetSの調整オッズ比3.08(95%信頼区間1.29~7.34)であり、有病率が3倍高かった。睡眠時間が6時間以上の場合は、睡眠薬使用の有無によるMetS有病率の差は有意でなかった。

     この結果から著者らは、「睡眠時間が短い睡眠薬使用者は、睡眠時間が短い非使用者よりもMetS有病率が3倍高い。よって短時間睡眠の睡眠薬使用者では、代謝性疾患や動脈硬化進展へのリスクに、より注意が必要と考えられる」と結論付けている。なお、睡眠時間が短い人でのみ、睡眠薬使用によるMetS有病率が有意に高いことの背景については、短時間睡眠者は抑うつレベルが高く、抑うつはMetSのリスク因子であり、かつ抑うつレベルが高いと睡眠薬に対する反応が低下することなどの関連を考察している。

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    HealthDay News 2020年12月7日
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  • 肥満リスクを相加的に高める3つの食習慣――久山町研究

     不健康な食習慣の該当数と、肥満リスクとの有意な正の関連が報告された。間食、早食い、就寝間近の食事という3つの習慣のうち、あてはまる数が多い人ほど肥満や腹部肥満の人が多いという。久山町研究のデータを、九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野の吉田大悟氏らが解析した結果であり、詳細は「Nutrients」に10月16日掲載された。

     不健康な食習慣が肥満を招きやすいことは、一般的な情報として社会に定着している。しかし、そのような食習慣が積み重なった場合に、肥満のリスクがより高くなるのかどうかは明確でない。そこで吉田氏らは、数々の重要なエビデンスを発信し続けている疫学研究「久山町研究」のデータを用いて、その関連を明らかにすることを試みた。

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     解析対象者は、2014年に住民健診を受診した40~74歳の福岡県久山町の地域住民1,906人(男性43.8%)。管理栄養士のインタビューにより、「間食をするか」、「他人よりも食べるのが速いか」、「就寝前2時間以内に食事をするか」という3つの食習慣を把握。その食習慣の有無や該当数と、肥満(BMI25kg/m2以上)および腹部肥満(腹囲長が男性90cm以上、女性80cm以上)との関連を検討した。解析対象者における肥満の有病率は26.4%、腹部肥満の有病率は45.1%だった。

     対象者全体を前記の不健康な3つの食習慣の有無で二分して、その背景を比較すると、以下のような有意な違いが見られた。まず、間食の習慣がある群はない群に比べ、女性の割合が高く、喫煙者、飲酒習慣のある人、就業者、独居者の割合は低かった。早食いの習慣がある群はない群より若年だった。就寝間近に食事をする習慣がある群はない群に比べ、若年で、喫煙者、飲酒習慣のある人、就業者、独居者の割合が高く、女性の割合は低かった。

     次に、肥満に影響し得る因子(年齢、性別、喫煙・飲酒・運動習慣、婚姻状況、同居者の有無、就業の有無)で調整の上、3つの不健康な食習慣の有無別に、肥満・腹部肥満の頻度を比較した。すると、すべての食習慣について、有する群は有さない群よりも、肥満・腹部肥満の頻度が有意に高いことが明らかになった。

     続いて、これら3つの食習慣が該当する数と肥満・腹部肥満の関連を、上記の因子で調整した上で検討。該当する食習慣が1つもない場合に比べ、1つ該当する場合は肥満のオッズ比(OR)が1.53(95%信頼区間1.11~2.12)、2つでは2.62(1.89~3.63)、3つでは3.65(2.36~5.63)と、該当数が多いほど肥満を有するリスクが高まることが明らかとなった。腹部肥満の検討でも1つでは1.53(1.16~2.01)、2つでは2.28(1.71~3.05)、3つでは2.87(1.89~4.36)と同様の結果であった(肥満・腹部肥満のいずれも傾向性P値<0.001)。

     対象者の背景因子ごとに層別化したサブグループ解析から、肥満に関しては、若年層(59歳以下)、男性、運動習慣のない人、就業者において、不健康な食習慣の該当数が増えることの影響がより大きいことが分かった。また、腹部肥満に関しては、若年者、男性、就業者において、該当数が増えることの影響がより大きかった。

     これらの結果から著者らは、「日本の地域一般住民において、不健康な食習慣の数と、肥満および腹部肥満のリスクとの用量反応関係が明らかになった。不健康な食習慣を1つずつ修正し、それらの蓄積を回避することで、肥満・腹部肥満のリスクを軽減できる可能性がある」と述べている。なお、本研究が横断的な研究であることから、「不健康な食生活の蓄積と肥満・腹部肥満発症リスクの因果関係については、縦断的研究による確認が必要」としている。

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    肥満症の危険度をセルフチェック!一般的な肥満との違いは?

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    HealthDay News 2020年11月30日
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  • がん患者のうつ治療が十分でない可能性――企業健保データの解析結果

     がん患者のうつ病が十分に治療されていない可能性を示唆する、国内研究の結果が報告された。名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野の明智龍男氏らが、企業健保組合の保険請求データを解析した結果、明らかになった。研究の詳細は、「Clinical Drug Investigation」に10月18日掲載された。

     がん患者はうつ病を発症しやすいことが知られている。メタ解析の結果から、がん患者(緩和ケア受療者以外)の大うつ病有病率は14.9%であり、小うつ病は19.2%と報告されている。また、がん診断後1年以内の自殺リスクは一般人口の約24倍に上ることが、国内の研究で示されている。しかし、がん患者のうつ病に対し、どのような治療が行われているかは明らかになっていない。

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     明智氏らは、企業健保組合の保険請求データを用いた研究により、がん診断後の患者の大うつ病性障害(MDD)のリスクが、がんではない人の約3倍であることを既に報告している。今回の研究では、同様の手法によって、がん診断後にMDDと診断された患者に対する薬物治療の実態を解析した。

     2012年1月~2017年9月に3万372人(18~74歳)が、新たにがんと診断され、そのうち1,199人が、がん診断の6カ月前から12カ月後の間にMDDと診断されていた。その平均年齢は50.5歳(91.2%が65歳未満)で、男性が44.7%だった。他方、同じ観察対象のがんと診断されていない人30万3,720人のうち、4,097人がMDDと診断されていた。その平均年齢は50.4歳(90.8%が65歳未満)で、男性が47.2%だった。

     性別や年齢、医療機関の病床規模で調整後、がんのない患者のMDDに対する抗うつ薬処方率が58.2%であるのに対し、がん患者のMDDに対する抗うつ薬処方率は51.9%であり、有意に低いことが明らかになった。特に、抗うつ薬のタイプ別に見た場合に、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の処方率ががん患者で有意に低かった(27.4%対16.7%)。反対に、ノルアドレナリン作動性特異的セロトニン性抗うつ薬(NaSSA)は、がん患者への処方率が有意に高かった(5.8%対10.5%)。抗うつ薬以外では、ベンゾジアゼピン系睡眠薬(BZD)の処方率が、がん患者で有意に低いという差が存在した(47.1%対37.9%)。

     がん患者に対するSSRIの処方率が低いことに関して著者らは、がん化学療法による有害事象、特に吐き気と食欲の低下を同薬が助長する可能性を、臨床医が懸念しているのではないかと考察している。対照的に、がん患者に対するNaSSAの処方率が高いことは、悪心や睡眠の改善を期待している結果と考えられるという。

     本研究では、患者の性別、年齢層別、治療を受けている病院の病床規模別の検討も行っている。例えば、がん患者のMDDに対する抗うつ薬処方率を性別に比較すると、男性(50.2%)よりも女性(53.2%)の方が高い傾向があり、また年齢層別では若年層で処方率が高い傾向が見られた(40歳未満55.6%、40~64歳51.5%、65歳以上49.1%)。ただし、いずれも統計的には有意でなかった。

     一方、がん患者のMDDが、100床未満の病院で治療された場合、100床以上の病院での治療に比べて、抗うつ薬処方率が有意に高かった(84.0%対73.7%)。また、がんと診断された病院と同じ病院でMDDが治療される場合よりも、別の病院で治療された場合の方が、抗うつ薬処方率が有意に高かった(73.1%対82.7%)。

     これらの結果を著者らは、「日本人のがん患者のうつ病は治療が不十分である可能性があることを示唆している。軽度のうつ病に対する薬物治療の有効性に関するエビデンスも蓄積されてきたことから、がん患者のうつ病治療を個別化し進めていく必要がある」とまとめている。

     なお、数名の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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