• 心血管死を減らすにはCKDを減らす必要あり――特定健診データの解析

     特定健診のデータを利用して、生活習慣と全死亡、がん死、心血管死のリスクの関係を、慢性腎臓病(CKD)の有無別に比較して解析した結果が報告された。健康的な習慣に該当する項目数が多くなるに従い、いずれの原因による死亡リスクも低下するという関係が認められた。しかし、CKDがある場合は健康的な生活習慣の該当数が多くても、心血管死リスクはあまり低下しない傾向があるという。

     一般住民では、禁煙や健康的な食生活、適正体重の維持、身体活動、節酒という5つの健康的な習慣の該当数が多いほど、死亡リスクが低下することが明らかになっている。しかし、CKD患者でも同様の関連が存在するかは明確でない。そこで、新潟大学大学院医歯学総合研究科臓器連関学寄附講座の若杉三奈子氏らは、2008年の特定健診のデータ(福島、大阪、沖縄など1府6県)を解析してその関係を検討した。結果の詳細は、「Internal Medicine」に2月15日掲載された。

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     解析対象者数は40~74歳の26万2,011人で、そのうち4万8,462人(18.5%)がCKDを有していた。追跡期間4.7年(中央値)で3,471人(CKD群948人、非CKD群2,523人)が死亡。10万人年あたりの粗死亡率は、CKD群476.5、非CKD群267.8だった。全死因の約半分はがんで、心血管疾患が2番目に多く、約5分の1を占めていた。

     年齢と性別で調整後、非CKD群に対するCKD群の死亡率(標準化死亡比)は、全死亡が1.32(95%信頼区間1.24~1.41)、がん死が1.15(同1.05~1.26)、心血管死が1.94(1.69~2.20)といずれも有意に高く、心血管死は2倍近いリスク差があった。

     年齢、性別に加え、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心筋梗塞、脳卒中の既往などで調整後、健康的な習慣の該当数が多いほど死亡リスクが低下するという有意な傾向が、CKDの有無を問わず認められた。しかし、健康的な習慣の該当数が同じ場合、CKD群の死亡リスクは非CKD群より常に高かった。特に心血管死に関しては、健康的な5つの習慣の全てが該当するCKD患者でも、1~2個しか該当しない非CKD者と同程度のリスクがあることが分かった(交互作用P=0.07)。

     また、上記と同じ因子で調整後も身体活動が多いことは、CKDの有無を問わず、全死亡、がん死、心血管死のリスク低下と関連していた。健康的な食生活(朝食を欠食せず夕食後に軽食を取らないこと)は、全死亡のリスク低下と関連していた。

     一方、禁煙はCKDの有無を問わず、全死亡とがん死のリスク低下と関連していたが、心血管死についてはCKD群での有意なリスク低下が認められず〔ハザード比(HR)0.83、95%信頼区間0.58~1.20〕、非CKD群(HR0.43、同0.34~0.56)との相違が観察された(交互作用P=0.008)。ただしこの点は、かつて喫煙していて現在は禁煙している前喫煙者の存在が、結果に影響を及ぼしている可能性があるという。

     反対に、心血管死リスクに対する健康的な食生活の保護効果は、非CKD群では認められず(HR1.11、同0.85~1.45)、CKD群では認められ(HR0.68、同0.50~0.93)、CKD患者でのみ有意という相違が観察された(交互作用P=0.04)。

     以上から著者らは、「日本人の大規模コホート研究により、CKDの有無に関係なく、5つの健康的な習慣の数が増えるにつれて、全死亡とがん死のリスクが減少することが明らかになった。しかし心血管死のリスクはCKDによって変化する。これは、心血管死を減らすにはCKDの予防が重要であることを強く示唆している」と結論付けている。

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    糖尿病の3大合併症として知られる、『糖尿病性腎症』。この病気は現在、透析治療を受けている患者さんの原因疾患・第一位でもあり、治療せずに悪化すると腎不全などのリスクも。この記事では糖尿病性腎病を早期発見・早期治療するための手段として、簡易的なセルフチェックや体の症状について紹介していきます。

    糖尿病性腎症リスクを体の症状からセルフチェック!

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    HealthDay News 2021年3月29日
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  • 口の中の健康状態が悪いと認知症医療費がかさむ――三重県での調査

     歯の本数や歯周病の重症度が認知症の医療費と有意に関連することが、日本人対象の研究から明らかになった。愛知学院大学歯学部口腔衛生学講座の嶋﨑義浩氏らが、三重県在住高齢者の医療データを解析した結果であり、詳細は「American Journal of Alzheimer’s Disease and Other Dementias」に2月25日掲載された。

     認知症は世界的に増加しており、医療・福祉財政の負担が問題になりつつある。一方、口腔健康状態が認知症リスクと関連することが、近年注目されている。しかし、医療費の視点から両者の関係を検討した研究は見られない。

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     嶋﨑氏らは、三重県の後期高齢者医療制度のデータを用いて、三重県歯科医師会が行った歯科検診の結果と認知症医療費との関連を検討した。口腔健康状態は、歯の本数、歯周病の重症度(Community Periodontal Index;CPI)で評価した。医療費は、2015年4月~2019年3月の4年における、主病名が認知症であった患者の各医療機関での医療費の合計金額とした。その他、アンケートにより、喫煙習慣、BMI、既往疾患(脳卒中、心血管疾患、糖尿病)を把握した。

     2014年度に歯科検診を受診した人は4,984人で、そのうち同年度内に認知症治療を受けず、かつ2019年3月まで生存していた4,275人(75歳が2,573人、80歳が1,702人)を解析対象とした。4年間の追跡中、201人が新たに認知症の治療を受けていた。

     認知症の人の医療費について、まず残っている歯の本数で比較すると、20本以上ある人に対して、9本以下の人の認知症医療費比は3.79倍であり、有意に高額だった(P=0.006)。また、CPIが0~2(歯周病なし~歯科検診時の歯肉出血または歯石のみ)の人に対して、CPIが4(6 mm以上の歯周ポケット)の人の医療費比は4.04倍高額だった(P=0.009)。なお、歯の本数が10~19本の場合やCPIが3(4~5 mmの歯周ポケット)の場合の医療費は、対照群と有意差がなかった。

     この関連は、医療費に影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、現在の喫煙習慣、BMI、および疾患既往歴)の影響を統計学的に調整後にも、引き続き有意だった。具体的には、歯が20本以上ある人に対して9本以下の人では4.13倍(95%信頼区間1.79~9.56)、CPI0~2の人に対してCPI4の人では3.48倍(同1.71~7.08)高額だった(いずれもP=0.001)。

     著者らは、本研究の解析対象が歯科検診受診者であるため、口腔衛生への意識が高い人が多いという選択バイアスが存在する可能性があるとしている。実際に本研究の参加者の口腔衛生状態は、同年齢の一般住民に比較して良好だったという。また、BMIが本人の申告によるため正確とは言えないことや、他の交絡因子の影響が調整できていないことも、解釈上の注意点としている。

     これらの限界点を挙げた上で、著者らは「口腔健康状態は、認知症の医療費と有意に関連している。歯の喪失を防ぎ、健康な歯周状態を維持することは、医療費の抑制につながる可能性がある」と結論付けている。

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    軽度認知障害を予防し認知症への移行を防ぐためには早期発見、早期予防が重要なポイントとなります。そこで、今回は認知症や軽度認知障害(MCI)を早期発見できる認知度簡易セルフチェックをご紹介します。

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    HealthDay News 2021年3月29日
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  • 魚を食べると認知症になりにくい?――JPHC研究

     日本人一般住民を15年間追跡した研究から、魚介類の摂取量が多いことが認知症リスクの低下につながる可能性が示された。国立がん研究センターなどによる多目的コホート研究(JPHC研究)によるもので、詳細は「Journal of Alzheimer’s Disease」に2月2日掲載された。

     これまでの研究から、認知症の3分の1はそのリスク要因を取り除くことで予防できる可能性が報告されており、また、魚介類の摂取が認知症リスク低下と関連しているとの報告もある。しかし、主に欧米で行われた研究報告のメタ解析では、魚介類摂取による明確な認知症抑制効果は示されなかった。その理由として、それらの研究は追跡期間が短いために、長期間かけて徐々に進行する認知機能低下の差異を把握できなかった可能性や、欧米人の魚介類摂取量は日本人に比べて少ないことが関係していると考えられている。

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     それに対して今回発表された研究の対象は日本人であり、追跡期間も15年と長いことが特徴。研究の対象は、長野県佐久保健所管内の居住者のうち、1995年と2000年に実施した食事調査アンケートに回答し、かつ2014~2015年実施の「こころの検診」に参加し認知機能が評価された1,127人。2回の食事調査を基に、魚介類とn-3系多価不飽和脂肪酸(魚油に豊富な脂肪酸)の摂取量の平均値を算出。それらの摂取量の四分位で対象者を4群に分け、軽度認知障害、認知症のリスクとの関連を調べた。

     こころの検診によって380人が軽度認知障害、54人が認知症と診断された。認知機能低下に影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、学歴、うつ・脳卒中・心血管疾患・糖尿病・がんの既往歴、飲酒・喫煙・身体活動習慣)を統計学的に調整後、魚介類の摂取量が多いほど認知症リスクが低いという関連が認められた。

     具体的には、魚介類の摂取量の第1四分位群(摂取量中央値56g/日)に比較し、第2四分位群はオッズ比(OR)0.43(95%信頼区間0.20~0.93)、第3四分位群はOR0.22(同0.09~0.54)、摂取量の最も多い第4四分位群(摂取量中央値82g/日)はOR0.39(同0.18~0.86)であり、いずれもリスクが有意に低かった(傾向性P=0.01)。

     n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取量と認知症リスクについても同様の関係にあり、例えばドコサヘキサエン酸(DHA)は、第2四分位群OR0.39(同0.18~0.84)、第3四分位群OR0.30(同0.13~0.70)、第4四分位群OR0.28(同0.12~0.66)だった(傾向性P<0.01)。エイコサペンタエン酸(EPA)も第3四分位群OR0.39(同0.16~0.92)、第4四分位群OR0.44(同0.19~0.98)で有意なリスク低下が認められた(傾向性P=0.04)。また、ドコサペンタエン酸(DPA)も同様だった(傾向性P=0.03)。

     一方、軽度認知障害については、魚介類およびn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取量との関連が見られなかった。その理由として研究グループでは、軽度認知障害は認知機能正常な人との差がわずかであることや、認知障害が軽快する人もいるため、1回の評価では診断精度が十分ではなかったことの影響が考えられるとしている。

     なお、今回の調査において魚介類を最も多く取っていた群の摂取量中央値である1日82gという量は、魚1切れをやや上回る量と推計されるという。ただし、アンケートによって把握した摂取量であるため正確な推定は困難であり、この量はあくまで参考値とのことだ。

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    HealthDay News 2021年3月22日
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  • SNS利用頻度とメンタルヘルスへの影響――都民対象の調査

     ソーシャルネットワークサービス(SNS)の利用とメンタルヘルスとの関連が報告された。メンタルヘルス状態はLINE利用者で良好であり、一方でTwitter利用者は良くない傾向が見られるという。東京都健康長寿医療センター研究所の桜井良太氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS ONE」に3月3日掲載された。

     これまでの研究から、メンタルヘルスの維持には他者との交流が重要であることが分かっている。しかし、近年急速に普及してきたSNSでの交流が、メンタルヘルスの維持に有効であるかについては明らかでない。そこで桜井氏らは、都民を対象としてアンケート調査を行い、SNS利用の実態を把握するとともに、メンタルヘルスとの関連を調査した。

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     無作為に抽出した都民2万1,300人にアンケートを郵送、回答の得られた9,250人(回答率43.3%)から内容が不完全なものを除外し、8,576人を解析対象とした。評価項目は、主観的幸福感(WHO-5スコア)、悩みや抑うつ(K6スコア)、および孤独感(よく感じる~ほとんど感じないの四者択一)という3項目。なお、SNS利用頻度は、閲覧と発信に分けて、「毎日」「週に数回」「月に数回」「使用しない」の4つのカテゴリーに分類し、閲覧もしくは発信が週に数回以上を「頻繁な利用」と定義した。また、解析は年齢により若年(18~39歳の2,543人)、中年(40~64歳の3,048人)、高齢者(65歳以上の2,985人)という3つの層に分けて行った。

     最初に、SNSを利用するための機器(スマートフォン、タブレット、パソコン)の所有率を見ると、若年層はほぼ100%、中年層も95%以上であり、高齢者でも62.3%に上った。次に、利用しているSNSの種類を見ると、全世代でLINEが最も多く、Twitter、Instagram、Facebookの順に続いた。LINEは60代の半数、70代の3分の1が利用していた。

     メンタルヘルスとの関連は、結果に影響を与え得る因子(性別、年齢、教育歴、生活環境、併存疾患、主観的健康感、経済状態、外出頻度、対面での対話や電話といったSNS以外の従来型コミュニケーションの頻度など)で調整後、以下のような結果が得られた。

     まず、主観的幸福感については、若年層のInstagramの頻繁な閲覧(B=0.89、95%信頼区間0.43~1.36)、中年層のFacebookの頻繁な発信(B=1.00、同0.15~1.84)が、主観的幸福感の高さと関連していた。また高齢者の場合、LINEの頻繁な発信(B=0.85、同0.41~1.29)および閲覧(B=0.97、同0.51~1.42)が、主観的幸福感の高さと関連していた。

     次に、悩みや抑うつについては、若年層のInstagramの頻繁な閲覧(B=-0.88、同-1.30~-0.45)、中年層のLINEの頻繁な発信(B=-0.52、同-0.87~-0.16)が、悩みや抑うつ傾向が低いことと関連していた。しかしその反対にTwitterの頻繁な利用は、若年層(発信B=0.83、同0.34~1.32。閲覧B=0.72、同0.33~1.12)と、中年層(発信B=0.98、同0.15~1.80。閲覧B=0.75、同0.34~1.17)ともに、うつや不安傾向が強いことと関連していた。高齢者では、SNSの利用と悩みや抑うつ傾向との関連は認められなかった。

     最後に、孤独感については、中年層のTwitterの頻繁な発信〔オッズ比(OR)2.22、同1.35~3.65〕と閲覧(OR1.70、同1.28~2.25)は、いずれも孤独感を感じる割合が高いことと関連していた。また高齢者のTwitterの頻繁な発信も、同様の関連が見られた(OR14.3、同4.00~51.2)。若年層では、SNSの利用と孤独感との関連は認められなかった。

     このほか、SNS以外のコミュニケーション(対面での会話や電話)が少ない人は、年齢層を問わず、全てのメンタルヘルスの指標が悪い傾向が認められた。

     本研究の結果について著者らは、「横断的な研究であり、因果関係を示したものではない」としている。その上で、「顔の見えるFacebookやLINE、または、肯定的なイメージのやりとりが主体になることの多いInstagramであれば、メンタルヘルスの維持に役立つ可能性がある。他方、匿名性と自由度の高いTwitterは、その逆の影響が現れる危険性を含んでいる」と考察し、「バランスのとれたSNS利用が必要と言える」と結論付けている。

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    HealthDay News 2021年3月22日
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  • EDと頻尿はどちらが先に現れる?――日本人男性の縦断的調査

     男性は年齢とともに頻尿などの尿路症状や勃起障害(ED)が増える。では、尿路症状とEDのどちらが先に現れることが多いのだろうか? 札幌医科大学医学部泌尿器科の小林皇氏らが、日本人男性を14年以上追跡した研究から、その答えが明らかになった。研究の詳細は、「Sexual Medicine」に2月1日掲載された。

     小林氏らの研究は、北海道島牧村の住民を対象とする縦断的な研究。1992年に同村の40~79歳の男性682人のうち319人(47%)を対象に、尿路症状〔国際前立腺症状スコア(IPSS)で評価〕やEDの有無などを調査。そのうち185人が2007年に同村に居住しており、うち135人(73%)が追跡調査に参加した。排尿や性機能に影響を与える疾患の既往がある人などを除外し、108人を解析対象とした。

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     なお、ED症状は日本版の自記式質問票で判定した。これは、陰茎が完全に硬くなる場合を6点、全く硬くならない場合を1点とする評価法。本研究では、3点(硬くはなるが性交には十分でない)以下をEDと定義した。

     ベースライン時(1992年時点)における参加者の年齢は中央値57歳で、追跡期間は同14.4年だった。この間に、尿路症状(IPSSの中央値)は7点から9点に上昇(P=0.01)、前立腺容積は17.7mLから24.3mLに増加(P<0.01)、EDスコア(中央値)は5点から2点へと低下し(P<0.01)、全て有意に変化していた。また、ベースライン時には、尿路症状もEDもない男性が42.6%(46人)を占めていたが、追跡調査では尿路症状とEDがともにある男性が43.5%(47人)を占めていた。

     追跡調査で尿路症状とEDを併発していた47人について、ベースライン時の状態を遡って調べた結果、両方の症状がなかった人が19.1%、両方とも症状のあった人が34.0%であり、尿路症状のみだった人が34.0%、EDのみだった人が12.8%だった。つまり、EDよりも尿路症状が先に現れていた人が2.6倍以上多かった。また、尿路症状の中でも生活の質(QOL)の低下につながりやすい夜間頻尿とEDの発症順序も、同様の前後関係にあることが確認された。

     EDより先に尿路症状が現れやすいことが明らかになったことから、次に、統計解析によりEDの発症予測因子の特定を試みた。年齢(60歳以上)、IPSSの合計スコア、夜間頻尿(トイレのための睡眠中断が2回以上)、前立腺容積、およびQOL指数を説明変数とする多変量解析の結果、年齢〔オッズ比(OR)7.10、95%信頼区間2.09~24.13〕と夜間頻尿(OR15.83、同3.05~82.15)が有意な予測因子として抽出された。

     著者らは本研究の限界点として、解析対象者数が十分ではないこと、縦断的な研究デザインではあるが2時点のみの評価であること、尿路症状やEDに影響を及ぼすBMIや男性ホルモンの値が考慮されていないことを挙げている。その上で、「EDよりも尿路症状、特に夜間頻尿の先行が多いことが明らかになった」と結論付けている。

     なお、EDに先行し尿路症状が現れやすいことの理由については、「明らかでない」としながらも、加齢に伴う膀胱と前立腺の血流障害が尿路症状の背後にあり、血流障害がより顕著になるとEDを発症するのではないかと考察している。EDは近年、心血管疾患の予測因子としても注目されていることから、尿路症状への介入がEDの予防、さらには心血管疾患のリスク低下につながるのか、今後の研究が期待される。

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    HealthDay News 2021年3月15日
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  • 1964年の東京五輪に参加した元選手にはサルコペニアが少ない

     前回の東京オリンピックに参加した元選手は、サルコペニアの有病率が低いことが明らかになった。特に、運動強度の高い競技に参加していたり、引退後にも運動を続けていた元選手は、有病率が顕著に低いという。ただし、身体機能が低下している人の割合は、一般住民よりも元選手の方が高いとのことだ。東京大学高齢社会総合研究機構・未来ビジョン研究センターの飯島勝矢氏らが報告した。

     サルコペニアとは、加齢や疾患のために筋肉量や筋力が低下した状態のこと。転倒や骨折などのリスクが高く、要介護につながりやすい。若いうちに筋肉量を高めておくことが、サルコペニアの予防につながる可能性があるものの詳しくは不明。このような背景から飯島氏らは、東京五輪に参加した元選手と一般住民とで、サルコペニアの有病率に差があるかを比較検討した。結果の詳細は、「Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle」に1月18日掲載された。

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     東京五輪に参加した元選手に対しては、現在も健康状態を継続的に把握する調査が続けられている。飯島氏らは、その第13回調査(2016年実施)の参加者101人(平均年齢75.0±4.4歳、女性が26%)のデータを解析に利用した。比較対照群は、千葉県柏市の一般住民対象前向きコホート研究の参加者1,526人(74.1±5.5歳、女性が49%)とした。

     サルコペニアを2019年のアジアワーキンググループの基準(骨格筋量が生体インピーダンス法で男性7.0kg/m2未満、女性5.7kg/m2未満、握力が男性28kg未満、女性18kg未満、歩行速度1.0m/秒未満)に準拠して判定した。その結果、元五輪選手はサルコペニアが有意に少ないことが分かった。

     具体的には、一般住民のサルコペニア有病率が男性8.9%、女性7.8%であるのに対して、元五輪選手は男性4.1%、女性4.0%であり、男性・女性ともに有意差が認められた。サルコペニア発症に影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、疾患既往歴、飲酒・喫煙・運動習慣など)で調整後、元五輪選手がサルコペニアである確率は、一般住民の半分以下だった(調整オッズ比0.49、95%信頼区間0.20~0.94)。ただし性別の解析では、女性は非有意だった。

     元五輪選手で認められたサルコペニア有病率の低さは、運動強度の高い競技種目に参加していた元選手や、競技生活引退後も運動を続けていた元選手で、より顕著に認められた。また、元五輪選手は男性・女性ともに一般住民よりも、骨格筋量指数(Skeletal Muscle Mass Index;SMI)が高く握力も強かった。

     その一方で、歩行速度や開眼片足立ちで評価した身体機能は、元五輪選手よりも一般住民の方が有意に優れていた。また筋骨格痛(肩や腕、腰などの痛み)は元五輪選手の方が強く自覚していた。身体機能の低下と筋骨格痛は、コンタクトスポーツ(選手同士の身体の接触が多い競技)に参加していた元選手で、より多く認められた。

     これら一連の結果を基に著者らは、「前回の東京五輪に参加した元選手は、筋肉量が多く筋力が強くてサルコペニアが少ないが、身体機能が低下していて筋骨格痛の訴えが多かった」と結論付けている。また考察として、「スポーツなどによって、若年期に筋肉量と筋力を増大させることは重要だが、けがなどにより運動機能を低下させないことも、高齢期の健康にとって大切なポイントだ」と述べている。

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  • 収入が多い人ほど心肺機能が高い――1都3県の労働者調査

     雇用形態や収入、学歴などと、運動習慣や心肺機能との間に、統計的に有意な関連があることが、日本人労働者対象の研究から明らかになった。労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所の松尾知明氏と蘇リナ氏の研究によるもので、収入の多い人ほど心肺機能が高いとのことだ。詳細は「Journal of Occupational Health」に2月2日掲載された。

     この研究は、2018年1~7月にWebアンケートとして実施された。年齢が20~65歳で、1都3県(埼玉、千葉、神奈川)で1日6時間以上、週3日以上働いていることを適格条件として、回答者が1万人になった時点で回答受付を終了。回答内容の不備があるものなどを除き、9,406人(男性56.0%)を解析対象とした。

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     アンケートの質問内容は、年齢、性別、身長、体重のほか、学歴、婚姻状況、雇用形態、勤務状況、年収といった社会経済的因子に関することと、運動習慣(厚生労働省の定義による、1日30分、週2日、1年以上の継続的な運動)の有無や身体活動量など。心肺機能は、年齢、性別、BMI、身体活動量から算出した推算最大酸素摂取量(VO2max)で評価した。

     平均年齢は男性44.5±11.2歳、女性41.7±10.8歳、BMIは同順に23.4±3.5、21.0±3.5。運動習慣のある人の割合は男性36.5%、女性28.4%で、推算VO2maxは41.3±5.1mL/kg/分、35.9±4.7mL/kg/分だった。

     統計解析の結果、社会経済的因子と運動習慣との間に、有意な関連があることが分かった。具体的には、未婚者(30.9%)より既婚者(同34.7%)の方が運動習慣のある人の割合が高く、高学歴であること(大学院卒36.7%、高卒27.8%)や、被雇用者より雇用者であること(雇用者41.5%、フルタイム従業員34.0%、パートタイム27.6%)などとの有意な関連も認められた(いずれもP<0.01)。また、標準体重(BMI18.5~24.9)の人は、低体重や肥満者よりも運動習慣のある人の割合が有意に高かった(P<0.01)。なお、年齢は運動習慣の有無と関連がなかった。

     社会経済的因子は、年齢、性別、BMIで調整後の推算VO2maxとも有意な関連が認められた。例えば、高卒者に比べて大卒者は、推算VO2maxが第1三分位群(下位3分の1)に該当する確率が15%低かった〔オッズ比(OR)0.85、95%信頼区間0.74~0.98〕。また、パートタイム従業員に比較してフルタイム従業員はOR0.78(同0.68~0.89)、雇用者はOR0.73(同0.58~0.92)であり、いずれも推算VO2max低値である確率が有意に低かった。

     年収と運動習慣や推算VO2maxとの間にも、以下のような有意な関連が認められた。年収の第1三分位群の人に比べて第3三分位群(上位3分の1)の人は運動習慣がある確率が76%高く、推算VO2max低値である確率は47%低かった。第2三分位群の人も運動習慣がある確率が22%高かった(推算VO2max低値との関連は非有意)。

     この他にも、全体の92.7%が「運動は健康に良い」と考えており、運動習慣がない人でもその72.5%は「できれば運動習慣を身に付けたい」と考えていることが分かった。それらの人が運動を習慣的に行う上での妨げとなっている上位2項目は、「時間がないこと」(39.7%)と「経済的な余裕がないこと」(15.9%)だった。また、約8割(78.9%)は、「もし職場健診で心肺機能を簡単に測定できるのなら受けてみたい」と回答していた。

     これらの結果を基に著者らは、「大半の労働者は運動の意義を認識しているが、社会経済的因子がそれを妨げている。よって、運動不足は個人の問題ではなく、社会の構造的な問題として扱う必要もある。一方、職場健診に心肺機能検査を導入することが、運動を習慣づける対策として有用かもしれない」と考察を述べている。

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  • 痛み止め+胃薬で急性腎障害のリスクが増加――京大など

     鎮痛薬の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)と、プロトンポンプ阻害薬(PPI)という胃薬を併用すると、腎機能が急激に低下する「急性腎障害(AKI)」のリスクが大きく上昇することを示唆するデータが報告された。京都大学医学部附属病院薬剤部の中川俊作氏、昭和大学病院薬剤部の百賢二氏らの研究によるもので、「BMJ Open」に2月15日掲載された。

     NSAIDとPPIはどちらも広く使われており、併用もされやすい薬。例えば、NSAIDでは胃が荒れやすいため、それを抑える目的でPPIが処方されることも少なくない。これまでにも、これらの薬によるAKIリスク上昇を懸念する指摘はあったが、両者を併用した場合に、どの程度リスクが高まるのかについては、よく分かっていなかった。

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     中川氏らは、健康保険の医療費請求データベースを用いたコホート内症例対照研究により、NSAIDとPPI、および、やはり処方機会の多い代表的な抗菌薬の使用によるAKIリスクを検討した。解析に際して、PPI使用開始から30日以内に腎機能低下のリスクが高いとの既報に基づき、PPIが処方されていた時期により、新規処方症例(処方開始30日以内の患者)、最近の処方症例(過去31~90日に処方されていた患者)、過去の処方症例(91日以前に処方されていた患者)の3群に分類して、リスクを比較した。

     PPI処方歴があった患者から、過去に腎疾患の既往がある人、および尿路感染症や造影剤使用により腎機能が低下していた人を除外し、21万9,082人(年齢45±13歳、女性44%)を解析対象とした。平均2.4±1.7年の追跡期間中に317人がAKIを発症。1万人年当たりのAKI粗発症率は6.1であり、PPI新規処方症例では18.8、最近の処方症例では5.3、過去の処方症例では3.7だった。

     AKIを発症しなかった群から、年齢、性別、追跡期間を一致させた対照群を、AKI発症群に対し1:10の比率で割付け、3,150人を抽出。多変量解析にて、腎毒性のある薬剤(日本腎臓学会のガイドラインに記されている薬剤)の使用、およびチャールソン併存疾患指数などで調整の上、PPIの過去の処方に対する新規処方のAKI発症オッズ比(OR)を求めると、2.79(95%信頼区間2.06~3.79)となり、既報と同様にPPI新規処方時はAKIリスクが有意に高い可能性が示された(最近の処方は非有意)。

     また、PPIとNSAIDを併用した場合のAKI発症率は、NSAIDを使用していない場合に比べてOR3.12(同1.84~5.37)と、発症率が3倍以上に上昇することが分かった。PPIを抗菌薬と併用した場合は、フルオロキノロン(OR2.35、同1.12~4.95)やセファロスポリン(OR1.88、同1.02~3.47)の併用時に、AKI発症率が有意に高かった。なお、ペニシリン併用は有意な影響がなく、マクロライド併用ではOR0.47(同0.21~0.96)だった。

     以上の結果から著者らは、「NSAIDとPPIを併用するとAKIのリスクが大幅に増加するため、両剤併用時には腎機能に注意する必要がある。また、フルオロキノロンやセファロスポリンとPPIの併用も、AKIリスクの増加と関連していることが示唆された。これらの関連性の確認のための追試と、生物学的メカニズムの研究が求められる」と結論付けている。

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  • EDを自覚していない男性の特徴は?――かかりつけ医での調査

     勃起障害(ED)の症状が現れているのに、自分がEDだと認識していない男性が少なくないことが明らかになった。プライマリケア医(かかりつけ医)にかかっている中高年男性の9割以上がEDの可能性があるにもかかわらず、自分がそのような性機能不全に該当する状態だと認識していたのは4割足らずだという。手稲家庭医療クリニックの竹内優貴氏らの研究によるもので、詳細は「Family Medicine and Community Health」に1月22日掲載された。

     かつてEDの治療は主として泌尿器科で行われていたが、現在は一般内科でも治療可能。EDが心血管疾患のリスクと関連するといった報告もあり、EDの症状をかかりつけ医に相談することが、それらの疾患の治療につながる場合もある。しかし、かかりつけ医にEDをはじめとする性機能不全について相談する日本人男性は少ない。竹内氏らは、かかりつけ医を受診中の男性患者のED有病率を推測し、かつ、かかりつけ医への相談を妨げている要因を特定するため、以下のアンケート調査を実施した。

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     手稲家庭医療クリニックは、内科、小児科、産婦人科を標榜し、調査が行われた2018年11月時点で医師14人(うち女性4人)が勤務していた札幌市内の診療所。定期的な診察(主として生活習慣病の管理)のために同院を受診した40~69歳の男性78人を対象にアンケートへの回答を依頼し、66人から有効回答を得た。平均年齢は60歳で、98%に生活習慣病があり(高血圧80%、脂質異常症42%、糖尿病33%など)、71%は既婚者だった。

     「あなたは性機能不全を抱えていますか?」という質問に「はい」と回答したのは39.3%(26人)と4割足らずだった。しかし、国際勃起機能スコア(IIEF-5)を測定すると、9割以上(92.4%)にEDが疑われ、EDであるのに性機能不全を自覚していない男性が多数存在する可能性が明らかになった。

     「性機能不全の治療を受けたいですか?」という質問には、回答者の半数弱にあたる48.5%(16人)が「はい」と回答した。さらに、その治療希望者16人のうち75%(12人)は、「かかりつけ医による性機能不全の治療を受けたいですか?」に「はい」と回答していた。ところが実際に主治医にEDをはじめとする性機能不全の相談をしたことがあるのは1人のみだった。

     かかりつけ医による性機能不全の治療を受けたいと回答した12人に、それまで治療を受けなかった理由を複数選択で回答してもらったところ、「恥ずかしかった」を7人、「かかりつけ医が性機能不全の治療を行っていると知らなかった」を5人、「性機能不全は治らないと思っていた」を2人が選択した。「主治医が女性だからためらわれた」を選択した人はいなかった。

     アンケートの自由記述などを解析した結果、EDをはじめとする性機能不全を抱えているにもかかわらず治療を受けようとしない男性には、6つの特徴が存在することが分かった。具体的には、性機能不全を老化現象であり仕方がないと考えていること、健康的な生活のために性的活動が重要とは考えていないこと、かかりつけ医との十分な信頼関係が築けていないこと、性機能不全は治療できないとの誤解、性欲の低下のために治療の必要性を感じていないこと、性的パートナーとの親密な関係の欠如が、性機能不全治療の妨げになっていると考えられた。

     著者らは本研究の結果を、「日本のプライマリケア医を受診する中高年男性の大半がEDを抱えている可能性があるが、それらの男性の多くはEDに気付いていないことが推測される。また、EDを含む性機能不全治療に関する知識が不足していたり、誤解も少なくないことが治療の妨げとなっている」とまとめている。また、「生活習慣病などで継続受診している男性患者の健康状態をより改善するために、臨床医は診察の際、定期的にEDをはじめとする性機能不全について話題として取り上げることで、患者が性の問題について相談しやすい環境を作っていく必要がある」と述べている。

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    HealthDay News 2021年3月1日
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  • マスク着用と外出自粛で熱中症は増えた?減った?

     新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックで、今や常識とも言える不要不急の外出自粛とマスク着用。外出自粛は夏季の屋外での熱中症発生件数を抑制し、反対にマスク着用は熱中症リスクを高める可能性がある。では、昨年の夏、これらの影響はどのように現れたのだろうか。消防庁の熱中症による救急搬送件数のデータを用いて、この点を詳細に検討した結果が報告された。慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室の野村周平氏らの研究によるもので、「Science of The Total Environment」に1月7日、短報として掲載された。

     野村氏らはこの研究に、消防庁公表の2008~2020年の熱中症による救急搬送件数と、気象庁公表の気温、湿度、風速、気圧、日照時間、降水量などのデータを用いた。それらの数値を基に、準ポアソン回帰モデルという統計的手法により、理論的に予測される7~9月の各週の熱中症救急搬送件数を、都道府県別、年齢層別、重症度別に計算。その予測値の95%信頼区間を逸脱した場合を異常値と定義した。

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     解析の結果、全国レベルでは、2020年の夏季に異常値は見られなかった。しかし、都道府県別や年齢層別、重症度別の解析では、いくつかの異常値が認められた。

     例えば、都道府県別では、95%信頼区間の上限を超える週はなかったが、下限を下回った週が14県で観測された。その大半は8月10~16日の週であった。なお、8月10~16日は、全国の熱中症による救急搬送件数が2020年で最も多い週だった。

     年齢層別では、8月23~30日に青森県で、小児・若年層(18歳未満)での救急搬送が95%信頼区間の上限を超えていた。一方、95%信頼区間の下限を下回った週が、小児・若年層では15県、労働年齢層(18~65歳未満)では16県、高齢者層(65歳以上)では3県で認められた。それらの大半は、8月10~16日の週に集中していた。

     重症度別では、8月23~30日の富山県における軽症(入院を要さない)患者、7月20~26日の和歌山県と愛媛県における中等症(軽症または重症に該当しない)患者、および、7月13~19日の京都府と7月20~26日の鳥取県での重症(3週間以上の入院を要する)患者が、95%信頼区間の上限を超えていた。一方、95%信頼区間の下限を下回った週の存在が、軽症患者については15都道府県、中等症患者については3都道府県、重症患者については5都道府県で認められた。

     これらの結果を著者らは、「気温などを調整した上で、全国レベルでは、2020年の熱中症救急搬送件数に大幅な増減はなかった。しかし都道府県別では救急搬送件数が理論値の上限を超過している所もあった。年齢層別では、小児・若年層と労働年齢層の救急搬送件数が例年より少なく、重症度別では軽症患者が例年より少ない傾向が見られた」と総括している。

     加えて、例年にないこのような傾向は、「COVID-19パンデミック以降の、野外活動制限や公共行事の中止が大きく働いた可能性があることを意味している」と著者らは述べている。実際に、学校や公的イベント会場での熱中症救急搬送の発生率は、ここ4年間で一番少なかったとしている。

     一方、「本研究で明らかになった熱中症救急搬送件数の一部の減少傾向は、マスク着用が熱中症リスクに繋がらないことを意味するわけではない」と、解釈に限界があることに言及。その上で、「日本の夏の暑さは年々厳しくなってきている。COVID-19パンデミックの終息が見通せず、マスク着用が常識の『ニューノーマル』な社会において、外出自粛による熱中症リスクの低下をマスク着用が相殺する可能性があることに、引き続き注意が必要だ」と結論付けている。

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