• EDを自覚していない男性の特徴は?――かかりつけ医での調査

     勃起障害(ED)の症状が現れているのに、自分がEDだと認識していない男性が少なくないことが明らかになった。プライマリケア医(かかりつけ医)にかかっている中高年男性の9割以上がEDの可能性があるにもかかわらず、自分がそのような性機能不全に該当する状態だと認識していたのは4割足らずだという。手稲家庭医療クリニックの竹内優貴氏らの研究によるもので、詳細は「Family Medicine and Community Health」に1月22日掲載された。

     かつてEDの治療は主として泌尿器科で行われていたが、現在は一般内科でも治療可能。EDが心血管疾患のリスクと関連するといった報告もあり、EDの症状をかかりつけ医に相談することが、それらの疾患の治療につながる場合もある。しかし、かかりつけ医にEDをはじめとする性機能不全について相談する日本人男性は少ない。竹内氏らは、かかりつけ医を受診中の男性患者のED有病率を推測し、かつ、かかりつけ医への相談を妨げている要因を特定するため、以下のアンケート調査を実施した。

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     手稲家庭医療クリニックは、内科、小児科、産婦人科を標榜し、調査が行われた2018年11月時点で医師14人(うち女性4人)が勤務していた札幌市内の診療所。定期的な診察(主として生活習慣病の管理)のために同院を受診した40~69歳の男性78人を対象にアンケートへの回答を依頼し、66人から有効回答を得た。平均年齢は60歳で、98%に生活習慣病があり(高血圧80%、脂質異常症42%、糖尿病33%など)、71%は既婚者だった。

     「あなたは性機能不全を抱えていますか?」という質問に「はい」と回答したのは39.3%(26人)と4割足らずだった。しかし、国際勃起機能スコア(IIEF-5)を測定すると、9割以上(92.4%)にEDが疑われ、EDであるのに性機能不全を自覚していない男性が多数存在する可能性が明らかになった。

     「性機能不全の治療を受けたいですか?」という質問には、回答者の半数弱にあたる48.5%(16人)が「はい」と回答した。さらに、その治療希望者16人のうち75%(12人)は、「かかりつけ医による性機能不全の治療を受けたいですか?」に「はい」と回答していた。ところが実際に主治医にEDをはじめとする性機能不全の相談をしたことがあるのは1人のみだった。

     かかりつけ医による性機能不全の治療を受けたいと回答した12人に、それまで治療を受けなかった理由を複数選択で回答してもらったところ、「恥ずかしかった」を7人、「かかりつけ医が性機能不全の治療を行っていると知らなかった」を5人、「性機能不全は治らないと思っていた」を2人が選択した。「主治医が女性だからためらわれた」を選択した人はいなかった。

     アンケートの自由記述などを解析した結果、EDをはじめとする性機能不全を抱えているにもかかわらず治療を受けようとしない男性には、6つの特徴が存在することが分かった。具体的には、性機能不全を老化現象であり仕方がないと考えていること、健康的な生活のために性的活動が重要とは考えていないこと、かかりつけ医との十分な信頼関係が築けていないこと、性機能不全は治療できないとの誤解、性欲の低下のために治療の必要性を感じていないこと、性的パートナーとの親密な関係の欠如が、性機能不全治療の妨げになっていると考えられた。

     著者らは本研究の結果を、「日本のプライマリケア医を受診する中高年男性の大半がEDを抱えている可能性があるが、それらの男性の多くはEDに気付いていないことが推測される。また、EDを含む性機能不全治療に関する知識が不足していたり、誤解も少なくないことが治療の妨げとなっている」とまとめている。また、「生活習慣病などで継続受診している男性患者の健康状態をより改善するために、臨床医は診察の際、定期的にEDをはじめとする性機能不全について話題として取り上げることで、患者が性の問題について相談しやすい環境を作っていく必要がある」と述べている。

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  • マスク着用と外出自粛で熱中症は増えた?減った?

     新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックで、今や常識とも言える不要不急の外出自粛とマスク着用。外出自粛は夏季の屋外での熱中症発生件数を抑制し、反対にマスク着用は熱中症リスクを高める可能性がある。では、昨年の夏、これらの影響はどのように現れたのだろうか。消防庁の熱中症による救急搬送件数のデータを用いて、この点を詳細に検討した結果が報告された。慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室の野村周平氏らの研究によるもので、「Science of The Total Environment」に1月7日、短報として掲載された。

     野村氏らはこの研究に、消防庁公表の2008~2020年の熱中症による救急搬送件数と、気象庁公表の気温、湿度、風速、気圧、日照時間、降水量などのデータを用いた。それらの数値を基に、準ポアソン回帰モデルという統計的手法により、理論的に予測される7~9月の各週の熱中症救急搬送件数を、都道府県別、年齢層別、重症度別に計算。その予測値の95%信頼区間を逸脱した場合を異常値と定義した。

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     解析の結果、全国レベルでは、2020年の夏季に異常値は見られなかった。しかし、都道府県別や年齢層別、重症度別の解析では、いくつかの異常値が認められた。

     例えば、都道府県別では、95%信頼区間の上限を超える週はなかったが、下限を下回った週が14県で観測された。その大半は8月10~16日の週であった。なお、8月10~16日は、全国の熱中症による救急搬送件数が2020年で最も多い週だった。

     年齢層別では、8月23~30日に青森県で、小児・若年層(18歳未満)での救急搬送が95%信頼区間の上限を超えていた。一方、95%信頼区間の下限を下回った週が、小児・若年層では15県、労働年齢層(18~65歳未満)では16県、高齢者層(65歳以上)では3県で認められた。それらの大半は、8月10~16日の週に集中していた。

     重症度別では、8月23~30日の富山県における軽症(入院を要さない)患者、7月20~26日の和歌山県と愛媛県における中等症(軽症または重症に該当しない)患者、および、7月13~19日の京都府と7月20~26日の鳥取県での重症(3週間以上の入院を要する)患者が、95%信頼区間の上限を超えていた。一方、95%信頼区間の下限を下回った週の存在が、軽症患者については15都道府県、中等症患者については3都道府県、重症患者については5都道府県で認められた。

     これらの結果を著者らは、「気温などを調整した上で、全国レベルでは、2020年の熱中症救急搬送件数に大幅な増減はなかった。しかし都道府県別では救急搬送件数が理論値の上限を超過している所もあった。年齢層別では、小児・若年層と労働年齢層の救急搬送件数が例年より少なく、重症度別では軽症患者が例年より少ない傾向が見られた」と総括している。

     加えて、例年にないこのような傾向は、「COVID-19パンデミック以降の、野外活動制限や公共行事の中止が大きく働いた可能性があることを意味している」と著者らは述べている。実際に、学校や公的イベント会場での熱中症救急搬送の発生率は、ここ4年間で一番少なかったとしている。

     一方、「本研究で明らかになった熱中症救急搬送件数の一部の減少傾向は、マスク着用が熱中症リスクに繋がらないことを意味するわけではない」と、解釈に限界があることに言及。その上で、「日本の夏の暑さは年々厳しくなってきている。COVID-19パンデミックの終息が見通せず、マスク着用が常識の『ニューノーマル』な社会において、外出自粛による熱中症リスクの低下をマスク着用が相殺する可能性があることに、引き続き注意が必要だ」と結論付けている。

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  • メンタル不調に市販薬での治療は是か非か――国内3千人の調査

     不眠や気分の落ち込みなどのメンタルヘルス不調時に、医療機関を受診せず、市販薬(OTC)を中心とするセルフメディケーションで対処することについて、国内ではその是非を問われることが多い。しかし、メンタルヘルス不調時のセルフメディケーションの実態がそもそも明らかになっておらず、実のある議論が進みにくいのが現状。そこで、千葉大学社会精神保健教育研究センターの椎名明大氏らは、このテーマに関する一般市民の意識調査を行い、その解析結果を「PLOS ONE」に1月25日報告した。

     この調査は2019年10月に、Webアンケートサービス「楽天インサイト」を用いて行われた。調査回答時点でメンタルヘルス上の問題を抱えている「患者群」、過去にそのような問題を抱えていたことがある「元患者群」、そのような経験のない「非患者群」が、それぞれ1,000人(合計3,000人)になった時点で回答受付けを終了した。なお、本人または血縁者にメンタルヘルスの専門家や製薬企業社員がいる人は除外した。

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     取り上げたメンタルヘルス症状は、不安、うつ、不眠、幻覚、その他の5項目。これらの症状の経験者数は、患者群では740人、780人、732人、84人、75人であり、元患者群では610人、764人、618人、39人、37人だった。OTCに対するイメージなどを評価してもらい、その回答を前記の3群で比較したところ、以下のような結果が得られた。

     まず、不眠症状の有無で二分すると、経験のある人(1,350人)は経験のない人(650人)に比べて、OTCの有効性を否定的に捉えていた。ただし、不眠症状に対して実際にOTCを用いたことのある人(216人)と、用いたことのない人(1,134人)の比較では、評価に有意差がなかった。また、OTCの安全性についての評価は、OTCを利用したことがある人の方が肯定的だった(いずれもP<0.001)。

     次に、メンタルヘルス症状に対するOTCのメリットについては、「不調時に柔軟に対応できる」という意見に対して、患者群の259人、元患者群の294人、非患者群の213人が同意し、元患者群は非患者群に比べて同意率が有意に高かった(P<0.001)。また、「OTCは安全である」に対しては患者群の169人、元患者群の145人、非患者群の117人が同意し、患者群は非患者群に比べて同意率が有意に高かった(P<0.01)。

     一方、デメリットについては、「診察を受けずに薬剤を正しく選択することが困難」という意見に対して、患者群の652人、元患者群の647人、非患者群の523人が同意し、患者群と元患者群は非患者群に比べて同意率が有意に高かった。また、「依存のリスクがある」に対しては患者群の540人、元患者群の529人、非患者群の413人が同意し、患者群と元患者群は非患者群に比べて同意率が有意に高かった。「危険である」に対しては患者群の449人、元患者群の390人、非患者群の350人が同意し、患者群は非患者群に比べて同意率が有意に高かった(いずれもP<0.001)。

     これらの結果から著者らは、「一般市民はメンタルヘルス不調の治療にOTCが向いていないと考える傾向があるが、OTCを使用したことのある人は、薬効を否定的に捉えていないようだ」との考察を述べている。また、不眠症に対してOTCを用いることにリスクを伴うとの回答が多いものの、やはりOTC使用経験のある人では、そのような捉え方は多くはなかったという。

     結論として、「メンタルヘルス関連セルフメディケーションのニーズは限定的と考えられる」とまとめている。その上で、国内では医師教育課程でOTCがほとんど取り上げられないこと、OTC以外にもオメガ3脂肪酸やビタミンDなどメンタルヘルスの維持・改善に有効な成分が存在することなどを指摘し、この領域のセルフメディケーションを推進する余地があることに言及。「適切なセルフメディケーションの普及のため、さらなる研究と教育が必要」と述べている。

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  • 糖尿病予備群もがん死のリスクが高い――日本人対象の職域多施設研究

     糖尿病患者は、がんによる死亡リスクが高いことが近年注目されている。では、糖尿病予備群はどうだろうか? どうやらその答えは“YES”のようだ。国立国際医療研究センター臨床研究センター疫学・予防研究部のZobida Islam氏、溝上哲也氏らの職域研究チームが行ったコホート研究の結果であり、詳細は「Diabetes Care」に1月13日掲載された。

     糖尿病は、心血管疾患やがんの発症リスク要因であり、それらによる死亡や全死亡(あらゆる原因による死亡)のリスクを高める。血糖値が高いものの糖尿病と診断されるほどではない前糖尿病(糖尿病予備群)については、心血管疾患の発症リスクとの関連が示唆されているものの、全死亡やがん死・心血管死のリスクを高めるか否かははっきりしていない。

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     前糖尿病には複数の診断基準があり、先行研究ではそれぞれ異なった定義が用いられている。このため、どの基準による前糖尿病が死亡リスクに、より強く関連するかは明らかでなかった。また、前糖尿病と死亡リスクとの関連は主に欧米から報告されており、アジア人のデータは限られていた。今回の研究では、主に民間企業の従業員を対象とした職域多施設研究「J-ECOHスタディ」において、HbA1cと空腹時血糖により2つの代表的な基準で前糖尿病を定義し、それらと死亡リスクとの関連を比較・検証した。

     2010~2011年度に職場健診を受けた10社、10万3,946人から、20歳未満や空腹時血糖のデータのない人を除いた6万2,785人を2019年度まで追跡。ベースライン時の前糖尿病の有病率は、米国糖尿病学会(ADA)の基準(空腹時血糖100~125mg/dLまたはHbA1c5.7~6.4%)では38.4%、世界保健機関(WHO)/国際専門委員会(IEC)の基準(空腹時血糖110~125mg/dLまたはHbA1c6.0~6.4%)では12.8%だった。また、糖尿病の有病率は7.4%だった(糖尿病の診断基準は同一)。
     
     最大7年の追跡中に229人が死亡。うち、がん死が97人、心血管死が57人だった。

     年齢、性別、勤務先、BMI、喫煙、高血圧、脂質異常症で調整後、ADA基準で定義した前糖尿病の正常血糖に対する全死亡リスクはHR1.53(95%信頼区間1.12~2.09)と有意に高かった。死因別に見ると、がん死はHR2.37(同1.45~3.89)と、前糖尿病との関連がはっきりしていた。その一方で心血管死はHR1.00(同0.52~1.93)であり、有意な関連はなかった。

     前糖尿病をWHO/IEC基準で定義した場合も、全死亡はHR1.46(同1.02~2.09)、がん死はHR2.03(同1.24~3.32)、心血管死はHR0.93(同0.42~2.08)と、ADA基準での解析と同様の関連が認められた。
     
     糖尿病については、全死亡(HR2.66、1.76~4.03)や、がん死(HR2.54、同1.25~5.15)に加え、心血管死(HR2.74、同1.29~5.81)の有意なリスク上昇が認められた(ADA基準での解析)。正常血糖をWHO/IEC基準で定義した場合も、ADA基準での解析結果とほぼ同じであった。

     まとめると、糖尿病は全死亡、がん死、心血管死のリスク上昇と関連していた。前糖尿病は全死亡、がん死のリスク上昇と関連していたものの、心血管死との関連は認めなかった。著者らは今回の研究を、「2つの国際的基準で前糖尿病を定義し、死亡リスクとの関連を定量的に比較したアジアで初めての研究」と位置付け、その結果から、「労働者の死亡リスクを下げるために、糖尿病だけでなく、前糖尿病の予防と管理の必要性を支持するデータが得られた」と述べている。

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    糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。

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    HealthDay News 2021年2月22日
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  • 肩こりと腰痛が両方ある人はQOLがより低下している――弘前大

     肩こりや腰痛に悩まされている人は少なくない。いずれも生活の質(QOL)を低下させるが、両者が併存している人のQOLは、より大きく低下していることをデータとして明らかにした研究結果が報告された。弘前大学大学院医学研究科整形外科の熊谷玄太郎氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Musculoskeletal Disorders」に1月5日掲載された。

     厚生労働省の「国民生活基礎調査」から、日本人の有訴者率(自覚症状を訴える人の割合)の高い症状の上位2位は、肩こりと腰痛の二つであることが分かっている。これらそれぞれの症状とQOLの低下との関連については既に報告されているものの、両者が併存する頻度や、併存した場合にQOLにどのような影響が現れるかは調査されていない。

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     熊谷氏らが行った研究の対象者は、同大学と弘前市などで行っている地域住民対象コホート研究「岩木健康増進プロジェクト」の参加者のうち、関節リウマチや脊椎疾患などのある人を除いた1,122人(平均年齢54.2±15.4歳、男性38.0%、BMI22.7±3.4 kg/m2)。

     過去3カ月間の肩こりや腰痛の症状の有無を質問したところ、両者いずれもない人が31.8%、肩こりのみが22.5%、腰痛のみが16.2%であり、両者が併存している人が29.4%と約3割を占めていた。また、VASスケール(痛みなしが0、想像できる最大の痛みが100)で評価した痛みの強さは、肩こりは男性36.2±23.0、女性37.4±22.0、腰痛は同順に31.0±21.1、31.6±19.8だった。

     本研究では痛みに影響を及ぼす因子の検討、および、痛みの程度とQOLを前記4群で比較検討した。QOLの評価には、身体的側面と精神的側面の双方をスコア化する「SF-36」という指標を用いた。

     まず、身体的な痛みのスコア(VASスケール)と関連する背景因子を検討すると、高血圧である場合や、降圧薬・鎮痛薬・睡眠薬を服用している場合に、肩こりや腰痛の症状が弱い(VASの値が小さい)という有意な関連が認められた。重回帰分析により、これらの因子と年齢、性別、BMIなどで調整後、肩こり(β=-0.073)と腰痛(β=0.143)はそれぞれが独立して痛みの強さと相関し、両者が併存する場合(β=0.243)は、それぞれ単独で存在する場合よりも相関が強いことが分かった。

     SF-36の評価との関連については、男性で肩こりと腰痛が併存している群では、精神的QOL(MCSスコア)が他の全ての群(肩こりのみの群、腰痛のみの群、症状のない群)よりも有意に低いことが明らかになった。また、女性では、身体的QOL(FCSスコア)は腰痛のみの群が最低だったが、併存群は2番目に低い値で、肩こりのみの群や症状のない群よりも有意に低値だった。さらに女性のMCSスコアは、併存群が最も低く、腰痛のみの群や症状のない群との間に有意差が存在した。

     まとめると、肩こりと腰痛の併存は、男性と女性双方のメンタルヘルス状態の悪化と関連しており、女性では身体的QOLが低いこととも関連していた。この結果について著者らは、「肩こりと腰痛が併存する場合、身体的・精神的QOLへの影響がより大きいと考えられる」とした上で、「この知見は、非特異的な肩こり・腰痛の予防や、QOL低下を来す疾患の鑑別に援用できるのではないか」と述べている。

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  • 味噌摂取量が多い糖尿病女性にはサルコペニアが少ない――京都府医大

     糖尿病患者はサルコペニアの頻度が高いことが知られているが、味噌の摂取量の多い患者はそうでない患者よりも、その有病率が低いというデータが報告された。ただしこの関連は女性のみで認められ、また女性でもタバコを吸う患者では有意でないという。京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科の橋本善隆氏、福井道明氏らの研究であり、詳細は「Nutrients」に12月28日掲載された。

     人口の高齢化とともに、サルコペニアを併発している糖尿病患者が増加している。サルコペニアとは、加齢や疾患により筋肉量や筋力が低下して、転倒や骨折などのリスクが高くなった状態のこと。糖尿病患者でのサルコペニア発症には、インスリン抵抗性や酸化ストレスの亢進などの関与が考えられている。一方、大豆食品、とりわけ発酵性大豆食品である味噌には、インスリン感受性や抗酸化作用を高める働きがあることが報告されている。

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     この研究は、同大学が中心となって行っている糖尿病患者対象の多施設共同多目的コホート研究「KAMOGAWA-DMコホート研究」のデータを用いた横断研究として実施された。解析対象者数は351人で平均年齢66.6±10.6歳、男性54.7%、糖尿病罹病期間14.1±10.0年、BMI24.5±4.4kg/m2、体脂肪率29.3±9.0%、HbA1c7.3±1.2%。

     筋肉量の指標である骨格筋量指数(SMI)は29.0±4.3%であり、筋力の指標である体重調整握力(AGS)は44.1±12.0%だった。既報に基づき、男性はSMI28.64%未満かつAGS51.26%未満、女性は同順に24.12%未満かつ35.38%未満をサルコペニアと定義したところ、男性の8.7%、女性の22.6%がこれに該当した。また、味噌を習慣的に摂取している人の割合は、男性88.0%、女性83.6%だった。

     女性では、味噌を習慣的に摂取している群が、そうでない群よりも体脂肪率(33.8±8.0対39.3±7.3%、P=0.001)、BMI(24.7±5.0対27.3±5.0kg/m2、P=0.022)、HbA1c(7.2±1.0対8.1±1.9%、P=0.006)が有意に低く、摂取エネルギー量は有意に多かった(30.8±11.2対23.5±6.3kcal/kg/日、P<0.001)。また、サルコペニアの有病率は味噌を習慣的に摂取している群が有意に低かった(18.8対42.3%、P=0.018)。一方、男性では、味噌を習慣的に摂取している群の体脂肪率が低い傾向にあったが有意でなく(24.4±7.2対27.4±5.6%、P=0.056)、BMIやHbA1c、摂取エネルギー量、サルコペニア有病率は両群同等だった。

     サルコペニアの発症リスクに影響を与え得る因子(年齢、糖尿病罹病期間、運動・喫煙・飲酒習慣、エネルギーおよびタンパク質摂取量など)で調整後、味噌を習慣的に摂取する女性はそうでない女性に対してサルコペニアである確率が有意に低かった〔オッズ比(OR)0.20、95%信頼区間0.06~0.62〕。さらに、味噌汁の摂取量が多いほどサルコペニア有病率が低いという、有意な関連も存在した(摂取量を対数変換した値が倍になるごとにOR0.67、同0.52~0.86)。男性ではこれらの関係は認められず、また喫煙習慣の有無で層別化すると、女性でも喫煙者はこの関連が非有意だった。

     この関連の背景にあるメカニズムとして、著者らはこれまでの知見を基に、味噌の摂取が脂肪蓄積を抑制し、脂肪誘発性の炎症反応が低下して筋委縮が抑えられる可能性を指摘。また味噌を摂取する人は健康的な食習慣であることが多い可能性があるとしている。実際に本研究でも、習慣的に味噌を摂取する女性はエネルギー摂取量が有意に多いながらも、体脂肪率は有意に低かったことが、この考え方を間接的に支持しているという。その他、大豆に豊富な不飽和脂肪酸が筋肉量の維持に働く可能性なども挙げている。

     一方、男性で両者の関連が認められないことの理由は「不明」としながらも、女性で見られた味噌摂取量と食事の質との関連が、男性では存在しなかったことが一因ではないかと考察している。

     論文筆頭著者の高橋芙由子氏は、「習慣的に味噌を摂取している糖尿病女性のサルコペニア有病率が低いことが、初めて明らかになった」と述べるとともに、「追試が必要ではあるが、味噌は日本の伝統的な食事の一部であり、その摂取でサルコペニアを予防できる可能性のあることが示唆された」と結論付けている。

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  • 体外受精による新生児はテロメアが短い――島根大

     体外受精などの生殖補助医療による妊娠で生まれた新生児は、テロメア長が短いというデータが報告された。島根大学医学部産科婦人科の中山健太郎氏らの研究であり、詳細は「International Journal of Molecular Sciences」に12月18日掲載された。

     テロメアは染色体の末端にあるDNAとタンパク質からなる構造で、染色体の安定性を維持していると考えられている。細胞分裂の回数に応じてテロメアが短くなることから、テロメアの長さは老化のマーカーとされ、テロメア長が寿命と相関することが知られている。

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     一方、生活習慣病のリスクの一部は、母体の胎内環境に左右されることを示唆する研究報告が増えている。しかし、胎児のテロメア長に影響を与える因子は明らかになっていない。そこで中山氏らは、578組の母児を対象として、新生児のテロメア長と母体の臨床背景との関連を検討した。

     新生児のテロメア長は、臍帯血検体を用いた定量PCR検査により、テロメアのDNAの繰り返し配列のコピー数と単一遺伝子のコピー数の比である「T/S比」という指標で評価した。このT/S比と、以下の11項目との関連を検討した。母体年齢、BMI、妊娠糖尿病、妊娠中のストレス・喫煙・飲酒、早産、胎盤重量、低出生体重児、新生児の性別、および、生殖補助医療技術(Assisted Reproductive Technology;ART)の利用。

     母親の年齢は17~46歳で平均31.6±5.0歳。妊娠12週時点のBMIは21.3±3.9で、17%が低体重、13%は肥満であり、7.3%が妊娠糖尿病だった。妊娠中の喫煙は6.1%、飲酒は6.6%に見られ、31%は高ストレス状態と判定された。ARTによる妊娠は10%(58人)であり、そのうち28人には従来から使われている技術による体外受精、30人には卵細胞質内精子注入法という比較的新しい技術が用いられていた。

     一方、新生児は男児が52%、出生時体重は2,962±373.7gで、在胎期間は38.6±1.6週であり、早産が6.6%、低出生体重児が7.1%を占め、32.4%は胎盤重量が500g未満だった。テロメア長を表すT/S比は、中央値1.0(四分位範囲0.7~1.5)だった。

     ARTによる妊娠で生まれた新生児のT/S比は0.80、自然妊娠による新生児は1.04であり、有意な群間差が認められた(P=0.003)。また母体が肥満の場合、新生児のテロメア長が短くなる傾向が見られたが、群間差は有意でなかった(BMI25未満のT/S比1.03、BMI25以上では0.88。P=0.057)。

     T/S比との関連を検討したその他の項目(年齢、妊娠糖尿病、妊娠中の喫煙や飲酒、早産、新生児の性別などの前記の因子)は、全てT/S比との関連が認められなかった。多変量解析の結果も、T/S比と有意に相関する因子として抽出されたのはARTのみだった。なお、ARTにより妊娠した妊婦の平均年齢は34.9歳で、自然妊娠による妊婦の31.3歳よりも高齢だったが、この年齢差はT/S比に影響を及ぼしていなかった。また、ARTの手法の違いによる差異も認められなかった。

     以上より著者らは、「ARTによる妊娠は、新生児のテロメア長の短縮と関連している。テロメア長の短縮は成人後の生活習慣病発症リスクに影響を及ぼす可能性があり、ARTによる妊娠は今後も世界的に増加していくと予想されることから、この領域のさらなる研究が急がれる」と述べている。

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    HealthDay News 2021年2月8日
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  • 女性の隠れ肥満は過活動膀胱のリスクの可能性――長崎大

     内臓脂肪が過剰に蓄積している女性は、過活動膀胱の有病率が高く、また内臓脂肪量と過活動膀胱の重症度に相関があることが報告された。一方で、皮下脂肪量やBMI、腹囲長などの肥満関連指標は、過活動膀胱との関連が有意でないという。長崎大学大学院医歯薬学総合研究科泌尿器科の宮田康好氏、松尾朋博氏らの研究グループの研究によるもので、詳細は「International Journal of Urology」に12月29日掲載された。

     過活動膀胱は頻尿や尿意切迫感の主要原因の一つ。国内の患者数は810万人と推計されていて、珍しい病気ではない。これまでに、肥満やメタボリックシンドロームが過活動膀胱のリスクであることが示唆されているが、詳細は明らかになっていない。そこで宮田氏らは、腹部CT検査で評価した内臓脂肪・皮下脂肪の面積や量と、過活動膀胱の有病率・重症度、超音波検査での残尿量などとの関連を詳細に検討した。

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     検討対象は長崎大学病院にて腹部CTスクリーニング検査を受けた女性182人。残尿量が100mL以上、尿閉、腎・泌尿器科疾患、排尿に影響する薬剤を服用中、などに該当する人は除外した。

     過活動膀胱症状スコア(OABSS)により、71人(39.0%)が過活動膀胱と判定された。過活動膀胱群は対照群に比較して高齢で(65.5±12.6対52.7±14.8歳)、生活習慣病(高血圧、脂質異常症、腎機能障害)の有病率が有意に高かった。BMI(23.1±5.3対21.9±3.1、P=0.071)や糖尿病有病率(11.3対3.6%、P=0.064)は、過活動膀胱群の方が高いものの群間差は有意でなかった。

     OABSSの合計スコア、およびサブスケール(昼間頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、切迫性尿失禁の症状)の各スコアは、すべて過活動膀胱群の方が有意に高かった。また客観的指標である1回排尿量と最大尿流量は、過活動膀胱群が有意に低値だった。

     肥満関連指標との関連では、内臓脂肪の面積・量、および、総腹部脂肪に占める内臓脂肪の割合が、過活動膀胱群の方が有意に高かった。その一方で、前述のようにBMIは同等であり、皮下脂肪の面積・量、腹囲長などの群間差も有意でなかった。

     過活動膀胱の有病率との関連が認められた前記の指標と、OABSSスコアとの関連を検討すると、総腹部脂肪に占める内臓脂肪の割合との相関が最も強かった(r=0.394、P<0.001)。また総腹部脂肪に占める内臓脂肪の割合は、最大尿流量と有意な負の相関を示した(r=-0.289、P<0.001)。ROC解析により、総腹部脂肪に占める内臓脂肪の割合による過活動膀胱の予測能は、AUC0.742と計算された(P<0.001)。

     単変量解析で過活動膀胱との関連が有意だった因子を独立変数とする多変量解析の結果、年齢〔オッズ比(OR)1.07、95%信頼区間1.09~1.10〕、メタボリックシンドローム関連疾患(高血圧、糖尿病、脂質異常症および腎機能障害。OR4.25、同2.26~8.02)、腹部脂肪に占める内臓脂肪の割合(OR7.04、同3.34~12.5)が、過活動膀胱の独立したリスク因子であることが分かった。BMIや腹囲長は単変量解析でも有意な因子でなかった。

     これらの結果を基に研究グループでは、「過活動膀胱症状のある女性は内臓脂肪量が多いこと、内臓脂肪量と過活動膀胱の重症度が相関することが明らかになった」と結論付けている。なお、両者の関連のメカニズムについては、「内臓脂肪過剰蓄積によるインスリン抵抗性が、交感神経の亢進や慢性的な虚血状態を惹起し、下部尿路機能を低下させるのではないか」との考察を加えている。

     BMIと過活動膀胱との関連が認められなかったことについては、日本人ではBMI低値でも内臓脂肪が過剰に蓄積している、いわゆる「隠れ肥満」が多いことの影響を指摘。また論文筆頭著者の大坪亜紗斗氏は、「今後は、過活動膀胱と隠れ肥満、および本研究で検討されていない男性の肥満との関連の研究が望まれる」と述べている。

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    肥満という言葉を耳にして、あなたはどんなイメージを抱くでしょうか?
    今回は肥満が原因となる疾患『肥満症』の危険度をセルフチェックする方法と一般的な肥満との違いについて解説していきます。

    肥満症の危険度をセルフチェック!一般的な肥満との違いは?

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    HealthDay News 2021年2月8日
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  • COVID-19による隔離中に遠隔リハビリが有用――藤田医大

     新型コロナウイルスに感染して隔離状態にある人のために開発された、遠隔リハビリテーションの有用性に関する論文が、12月10日発行の「JMIR Rehabilitation and Assistive Technologies」に掲載された。市販のデバイスを用いたシステムであり、低コストかつ操作が簡便で臨床導入へのハードルが低いことが特徴。藤田医科大学医学部リハビリテーション医学I講座の向野雅彦氏、大高洋平氏らが報告した。

     隔離状態が長引くと身体機能低下の懸念が生じる。それに対し予防的なリハビリテーション(以下、リハビリ)が有効と考えられるが、ウイルス伝播のリスクを伴うため、従来のようにスタッフが患者に接して行うリハビリ介入は困難である。また既に存在する遠隔リハビリシステムは、操作に慣れるまで繰り返し直接的な指導が必要であり、現在の隔離状態には適していない。さらに既存システムは一般に高価であり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにより医療資源が逼迫している現状にそぐわない。

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     大高氏らは、昨年3月に同大学病院がダイアモンドプリンセス号のウイルス検査陽性者を受け入れた際にこれらの問題に気付き、新たな遠隔リハビリシステムを開発した。そのシステムは、患者が使用するタブレットとパルスオキシメーター、および医療者が使用するパソコンで構成されている。タブレットには、会議ソフトウェア(Zoom、Skype)とリモート制御ソフト、およびパルスオキシメーター制御アプリケーションがインストールされており、テレビ電話の要領での会話や経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)などの監視が可能。

     今回の報告は、このシステムを実際にCOVID-19患者に適用し、有用性を評価した研究である。対象はCOVID-19と診断され、同院の個室に入院し隔離状態とされた10人。平均年齢は60±18歳で、4人が男性。中等度の肺炎を呈した患者が3人、軽度の肺炎が5人で、他は無症候であり、平均在院期間は9.9±8.0日だった。SpO2は、研究開始時が94.4±2.6%、研究終了時は95.1±2.0%。機能的自立度評価法(FIM)のスコアは122.4±4.5点。

     これら10人の患者のうち、4人はタブレットやスマートフォンの使用経験がなかったが、開始に際して病室での直接的なサポートを要したのは1人のみで、他の9人はサポート不要だった。また、最初のSkype通話からリハビリ指導までに要した準備時間は、平均3.0±1.1分と短かった。

     遠隔リハビリの内容は、バイタルサインと基本的な運動能力の確認に続き、身体の動かし方を動画で伝えて患者に行ってもらい、改善点を理学療法士がSkypeなどで指導するというもの。1回のプログラムは準備時間も含めて20分だった。

     介入の有用性の検討には、TSQ(Telemedicine Satisfaction Questionnaire)という遠隔医療の満足度の評価のために開発された標準的指標を用い、患者と指導に当たった理学療法士から回答を得た。TSQは70点満点で、点数が高いほど満足度が高いと判定される。なお、患者に対してはTSQ以外に、独自に設けた5つの質問を追加し、5点満点のリッカートスコア(強い非同意が1点、強い同意が5点)で回答してもらった。

     患者のTSQスコアは65.2±6.9点(満点に対し93.1±9.8%)で、理学療法士のスコアは61点(同87.1%)だった。また患者に対する追加の質問とその回答のスコアは以下のとおり。「身体の動かし方がわかりやすい」4.3±1.1点、「安全に運動できる」4.5±0.7点、「室内環境が運動に適している」4.1±1.3点、「使用しているデバイスが運動プログラムの実行に適している」4.0±1.1点、「運動中の医療専門家との通信が役に立つ」4.7±0.7点であった。

     著者らは、検討対象者数が少ないこと、特に理学療法士が1人のみだったことなどの限界点を挙げた上で、「この遠隔リハビリシステムは、COVID-19パンデミックにより隔離状態にある感染者・患者に適用できる可能性がある」と結論付けている。

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  • 日本食らしい食事に変えると認知症リスクが低下

     日本食パターンの食事(日本食らしい食事)を取っている人は認知症のリスクが低いことが知られている。しかし、その食生活を維持せずに、日本食パターンから遠い食生活に変化してしまった人は認知症リスクが上昇してしまうことが、3,000人以上の日本人を追跡した結果から明らかになった。反対に、日本食パターンに近い食生活に変化した人は、認知症リスクが低下するという結果だ。

     この研究は、東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野の陸兪凱氏、辻一郎氏らの研究グループが行ったもので、詳細は「Clinical Nutrition」に12月5日掲載された。これまでにも同研究グループの報告から、一時点の食事パターンと認知症リスクとの関連が示されていた。しかし、観察対象者を一定期間追跡する縦断研究から、食事パターンの変化と認知症リスクとの関係が示されたのは今回が初めてという。

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     陸氏らはこの研究に、1994年実施の「大崎国保コホート研究」と2006年実施の「大崎市市民健康調査」のデータを用いた。この2回の調査の両方に協力していた人から、死亡者、転居者、既に要介護認定を受けていた人、食事アンケートに回答しなかった人などを除外した3,146人(ベースライン時の平均年齢74.0±5.4歳、男性46.4%)を解析対象とした。

     日本食らしさの評価には、8項目からなる日本食指数(the 8-item Japanese Diet Index;JDI8)スコアを用いた。これは、米飯・みそ汁・海藻・漬物・緑黄色野菜・魚・緑茶の摂取量が多い場合に加点、牛肉または豚肉の摂取量が多い場合に減点して、合計0~8点のスコアで評価するもの。点数が高いほど日本食パターンに近い(日本食らしい)食生活と判定される。

     今回の研究では、1994年調査と2006年調査のJDI8スコアを比較して、2点以上低下した人(584人)、1点低下した人(599人)、変化がなかった人(784人)、1点増加した人(635人)、2点以上増加した人(544人)の5群に分けて、認知症のリスクを検討した。2回の調査期間中にJDI8スコアが2点以上低下した人(日本食パターンでない食生活に大きく変化した人)は、喫煙習慣があり、摂取エネルギー量や歩行時間が少なく、高血圧や糖尿病・心筋梗塞の既往のある人が多かった。

     1万4,336人年(平均5.0±1.4年)の追跡で231人(7.3%)が認知症を発症した。認知症の発症に影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、学歴、心理的ストレス、1994年調査時のJDI8スコア、両調査時のBMI、喫煙・飲酒習慣、歩行時間、摂取エネルギー量、既往疾患など)で調整後、JDI8スコアが変化しなかった群を基準に、他の群の認知症リスクを比較した。

     その結果、JDI8スコアが2点以上低下した群はハザード比(HR)1.72(95%信頼区間1.13~2.62)で、有意なリスク上昇が認められた。JDI8スコアが1点低下した群はHR1.10(同0.73~1.66)、1点増加した群はHR0.82(同0.54~1.25)、2点以上増加した群はHR0.62(同0.38~1.02)であり、JDI8スコアの増加が大きくなるほど認知症リスクが低下するという有意な相関が認められた(傾向性P<0.0001)。

     著者らは、認知症の家族歴や社会経済的因子が調整されていないことなどの解釈上の限界点を挙げた上で、「食習慣が日本食パターンに近づくことは認知症のリスク低下と関連し、日本食パターンから遠ざかることは認知症リスクの上昇と関連していることが示唆される」と結論付けている。

     また考察として、「日本食は、認知症リスク低下との関連が報告されている地中海食と同様に、野菜や果物、魚の摂取量が多く、そのことによる抗酸化・抗炎症作用が認知症リスクを抑制するのではないか。加えて日本の食生活には、やはり認知症リスク低下との関連が報告されている緑茶の摂取量が多いという特徴もある」と述べている。

    軽度認知障害(MCI)のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら

    軽度認知障害を予防し認知症への移行を防ぐためには早期発見、早期予防が重要なポイントとなります。そこで、今回は認知症や軽度認知障害(MCI)を早期発見できる認知度簡易セルフチェックをご紹介します。

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    HealthDay News 2021年2月1日
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