• 6割以上の人が目薬の点眼に失敗している――国内の緑内障患者で調査

     目薬(点眼薬)をしっかりさせていない人が6割以上に及ぶ可能性を示すデータが報告された。山梨大学医学部眼科の柏木賢治氏らが、緑内障患者を対象に行った研究の結果であり、詳細は「PLOS ONE」に5月24日掲載された。

     緑内障は国内の視覚障害の原因の第1位であり、高齢者の増加とともにその患者数が増えている。緑内障による視覚障害を防ぐ最大のポイントは、眼圧降下薬をきちんと点眼し続けることで、誤った方法での点眼では眼圧コントロールが不十分になったり、副作用が現れやすくなる。しかし、緑内障患者がきちんと点眼できているか否かを検討した報告は少ない。

    緑内障に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
    郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。

     柏木氏らは、2017年3月~2018年10月に同大学附属病院眼科を受診した成人緑内障患者を対象として、点眼薬を正しく使用できているか否かを検討した。研究登録基準は、過去6カ月以上にわたり眼圧降下薬を自分自身で点眼していることと、視力の悪い方の目の矯正視力が20/200(0.1)以上あって、点眼薬ボトルの先端の確認に支障がないこと。除外基準は、重度の眼瞼下垂や上腕・手指の障害など点眼の妨げとなる疾患や身体障害があること。

     前記の条件を満たす患者は103人(男性55人)で、平均年齢は69.2±8.7歳であり、大半(96人)は点眼操作を右手で行っていた。患者来院時に、ヒアルロン酸点眼薬をふだんどおりの方法で点眼してもらい、その状況を2人の理学療法士が確認。また、横からの写真を撮影して頸椎伸展角度を測定し、点眼時に頭をどのくらい上に向けているかを評価した。そのほかに、点眼動作の正確さに関連する可能性のある、指で物をつまむ力の強さ、上肢の運動機能(DASHスコア)、全身の運動機能(SARAスコア)なども評価した。

     103人中63人(61.2%)が点眼を失敗したと判定された。失敗の中で最も多かったのは眼球結膜以外への点眼で、失敗原因の76.2%を占めていた。失敗原因の2位は、眼表面や皮膚などに点眼ボトルの先端が接触すること(22.2%)、3位は2滴以上の点眼(11.1%)だった。なお、右眼/左眼、右利き/左利きで比較した場合、有意差はなかった。

     点眼に成功した群と失敗した群を比較すると、失敗群は成功群より高齢で(70.9±8.3対66.4±8.9歳、P=0.014)、指でつまむ力が弱く(2.86±1.53対3.73±2.11kg、P=0.023)、頸椎伸展角度が浅くて頭をあまり上にあげていなかった(50.1±11.9対55.2±8.1度、P=0.024)。また、DASHスコア(16.6±15.2対10.5±10.5、P=0.040)やSARAスコア(3.12±3.00対1.85±2.25、P=0.018)が高いという有意差が存在した(DASHとSARAは点数が高いことが機能低下を表す)。また、失敗群は矯正視力が悪く、視野が狭い傾向にあったが、群間差は有意でなかった。

     このほか、クオリティー・オブ・ビジョン(視機能に関連する生活の質。QOV)をNEI VFQ-25という指標(眼の痛み、手元の見やすさ、遠方の見やすさ、運転に関する機能、色覚、視野、メンタルヘルスなどの評価)で検討した結果、すべての項目について、失敗群は成功群よりも有意に低下していることが明らかになった。

     多変量ロジスティック回帰分析の結果、点眼の失敗に有意に関連する因子として、視力、視野、DASHスコア、SARAスコアが抽出された。このほかに、DASHスコアが高い(上肢の運動機能が低い)ほど、QOVが低いという有意な相関も示された。

     著者らは、「点眼の失敗には、本研究で検討した項目以外にもさまざまなリスク因子がある。例えば認知機能の低下もそれに該当する。点眼が正しく行われていない場合、薬効が低下するだけでなく、副作用のリスクが上昇し、医療コストは増大する」とまとめている。その上で、「患者が正しく点眼できているかを評価し、正しくできていない場合はその患者の視機能と全身状態を勘案して、改善方法を探る必要がある」と付け加えている。

    糖尿病のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら

    糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。

    糖尿病のセルフチェックに関連する基本情報

    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2021年6月28日
    Copyright c 2021 HealthDay. All rights reserved.
    SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
    病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
    記載記事の無断転用は禁じます。
  • 勾配の多い環境に住む高齢者はうつ傾向が強い――島根県での調査

     自宅周辺に勾配が多い環境で生活する高齢者は、うつ傾向が強い人が多いというデータが報告された。島根大学研究・学術情報本部地域包括ケア教育研究センターの安部孝文氏らが行った研究の結果であり、詳細は「International Journal of Environmental Research and Public Health」に4月24日掲載された。

     自宅周辺の環境が、うつのリスクに影響を及ぼすことが近年報告されている。例えば近隣の治安の悪さは、住民のうつリスクを高めるという。ただしそれらの研究の多くは都市部で行われており、農村部での研究は少ない。日本の農村の多くは丘陵地にあり、土地の勾配が少なくない。安部氏らの研究は、このような日本の農村の特徴に着目し、島根県の高齢者を対象に、自宅周辺の勾配の多さとうつとの関連を検討した。

    うつに関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
    郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。

     この研究では、2012年6~11月に島根県の3つの自治体(隠岐の島町・雲南市・邑南町)と共同で実施された島根CoHRE研究の一環として、健康診断受診者のデータを横断的に解析した。研究に参加した1,551人の高齢者のうち、データの欠落のない935人を解析対象とした。自己評価式うつ尺度(self-rating depression scale;SDS)でうつレベルを評価するとともに、国土交通省のデータを基に研究参加者の自宅から400m以内の土地の勾配を割り出し、両者の関連を検討した。

     なお、SDSは20項目の質問からなり、合計点数は20~80点で、点数が高いほどうつレベルが高いと判定される。今回の検討では、40点以上を「うつ症状あり」と判定したところ、215人(23.0%)がそれに該当した。また、自宅周辺から400m以内という範囲は、人々の日常的な活動範囲として適切であることが既報で示されている。

     うつ症状のある群とない群を比較すると、年齢や性別、BMI、喫煙・飲酒・運動習慣、座位行動の時間、居住地域、教育歴には有意差がなかった。一方で、うつ症状のある群では症状がない群よりも、腰痛のある人の割合(59.5対44.3%)や、睡眠不足の人の割合(40.0対13.9%)が、有意に高かった(いずれもP<0.01)。

     多変量ロジスティック回帰分析にて、うつリスクに影響を与え得る因子(年齢や性別、教育歴など前述の因子)を調整後、腰痛〔オッズ比(OR)1.66(95%信頼区間1.19~2.30)、P<0.01〕や、睡眠不足〔OR4.24(同2.94~6.13)、P<0.01〕に加え、自宅周辺の勾配〔OR1.04(同1.01~1.08)、P=0.02〕も、うつ症状と有意に関連する因子として抽出された。

     自宅周辺の勾配が高齢者のうつに関連しているというこの結果の背景として、著者らは以下のような考察を加えている。まず、勾配が多い環境での生活は筋骨格系に負担をかけ、その痛みそのものや身体活動量が少なくなることなどを介して、うつリスクを高める可能性がある。また痛みのために睡眠が障害されることがあり、睡眠障害はうつのリスク因子の一つである。今回の検討においても、うつ症状のある群では腰痛がある人や睡眠不足の人が有意に多かった。ただし一方で、起伏に富んだ丘陵地の風景は、メンタルヘルスに良いとする報告も見られ、詳細なメカニズムは不明という。

     また本研究の限界点として、健診を受けていない高齢者が解析対象に含まれていないこと、自己報告によりうつレベルを評価していること、うつリスクに影響を与え得る因子のうち経済状況などの未調整の因子があること、横断的研究であることなどを挙げている。

     結論として、「国内の農村部では自宅周辺の土地の勾配が、そこに暮らす高齢者のうつ症状と関連していることが示された。また、うつ症状と腰痛、睡眠障害が有意に関連することも明らかになった。これらの関連の因果関係の解明のため、縦断的観察研究が必要とされる」と述べている。

    治験に関する詳しい解説はこちら

    治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

    治験・臨床試験についての詳しい説明

    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2021年6月28日
    Copyright c 2021 HealthDay. All rights reserved.
    SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
    病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
    記載記事の無断転用は禁じます。
  • 健診後受診勧奨のリマインドの効果のほどは?――京大

     健康診断を受けた後に、「要指導」や「要医療」の通知が来ても放置している人が少なくない。そのような人たちに再度、受診を促す通知を送ることで、どのくらい受診率の上昇を期待できるかを分析した結果が報告された。京都大学大学院医学研究科の星野伸晃氏・中山健夫氏(健康情報学)らが行った、後ろ向きコホート研究の結果であり、詳細は「Journal of Occupational Health」に5月11日掲載された。

     国内では年1回、特定健康診査(特定健診、メタボ健診)が実施されている。特定健診の受診後に、指導や医療を受けることを促す通知が送られた人のうち、実際に受療行動を行うのは20~30%に過ぎない。健診による疾患予防や早期治療の効果を最大化するためには、受診勧奨後の受診率を高める必要があるため、近年はそのような人たちに対して、郵便による再度の受診勧奨(リマインド)がなされている。しかしその効果は明らかになっていない。

    メタボリックに関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
    郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。

     中山氏らは、医療費請求の行政データベースを用いてこの点を検討した。検討対象は、リマインドを送付している製造業関連8健保組合のうち、送付タイミングを検診受診から6カ月後と定めている健保組合の被保険者。この条件を満たす被保険者数は、2014年度2万2,162人、2015年度2万1,074人、2016年度2万4,526人、2017年度2万5,580人だった。

     リマインドの効果は、血圧、血糖/HbA1c、血清脂質の検査値異常者に関して解析した。このうち血圧が基準値を超えていて、かつ医療管理下にない人は、2014年度1,739人、2015年度1,693人、2016年度2,002人、2017年度2,144人だった。

     血圧が基準値を超え、かつ医療を受けていなかった人の中で、健診受診から1年以内に医療機関を受診していた人の割合は、25.5%(2014年度)~31.7%(2015年度)の範囲だった。1年以内に医療機関を受診した人の約半数は健診後の翌月までに医療機関を受診し、それ以降は経時的に減少。リマインドを行った6カ月後には受診率がやや上昇し、その後はまた低下するという波が見られた。例えば2017年度の健診後1年以内の受診者全体を100%とすると、健診受診と同月の医療機関受診者の割合が20.9%で翌月は27.7%であり、2カ月目以降は11.1%、3.8%、4.3%、3.4%と推移。6カ月目に11.6%となり、7カ月目5.4%、8カ月目2.1%だった。

     血糖/HbA1cが基準値を超えていて、かつ医療管理下にない人は、2014年度から順に327人、354人、441人、490人であり、健診受診から1年以内に医療機関を受診していた人の割合は、70.6%(2015年度)~73.3%(2017年度)と、検討した3つの検査値異常の中で最も医療機関受診率が高かった。その半数強は健診後の翌月までに医療機関を受診し、6カ月後のリマインドにより医療機関受診率が上昇していた。例えば2017年度では、健診から1年以内の医療機関受診者全体に対して、5カ月目に受診した人の割合が2.5%であるのに対し、6カ月目は12.0%だった。

     血清脂質が基準値を超えていて、かつ医療管理下にない人は、2014年度から順に1万963人、9,102人、1万1,041人、1万1,519人と、3つの検査値異常の中で最も該当者が多く、健診受診から1年以内に医療機関を受診していた人の割合は、16.8%(2014年度)~22.6%(2015年度)と、最も低い傾向にあった。6カ月後のリマインドにより、医療機関受診率が上昇していた。2017年度の検診後1年以内の医療機関受診者全体に対して、5カ月目が2.9%、6カ月目は13.3%だった。

     この結果を著者らは、「リマインド送付後に、若干ではあるが医療機関受診者の増加が期待できる」と結論付けている。その上で、「より多くの対象者に受療行動を促すためには、複数の手段でリマインドするなど、さらなる対策が必要と考えられる」と述べている。

     なお、1名の著者が医薬品企業などとの利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

    肥満症のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら

    肥満という言葉を耳にして、あなたはどんなイメージを抱くでしょうか?
    今回は肥満が原因となる疾患『肥満症』の危険度をセルフチェックする方法と一般的な肥満との違いについて解説していきます。

    肥満症の危険度をセルフチェック!一般的な肥満との違いは?

    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2021年6月21日
    Copyright c 2021 HealthDay. All rights reserved.
    SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
    病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
    記載記事の無断転用は禁じます。
  • スポーツ観戦でうつが抑制される可能性――日本人高齢者の横断研究

     スポーツで体を動かすとストレスが発散されることを、多くの人が体験的に理解しているだろう。しかし、スポーツをテレビで見ることも、うつ傾向の解消につながるかもしれない。日本人高齢者を対象とする研究から、その可能性が明らかになった。筑波大学体育系の辻大士氏らによる論文が5月19日、「Scientific Reports」に掲載された。

     スタジアムなどでスポーツを観戦する高齢者は、主観的幸福感が高まる可能性が既に報告されている。ただし、これまで行われてきた研究は調査対象者数が少なく、またテレビでの観戦の影響はほとんど検討されていない。テレビの視聴はむしろ身体の健康に良くないとされることが多く、視聴時間を減らす啓発活動もなされている。このような状況を背景として辻氏らが行った研究は、対象者数が2万人を超えており、かつテレビやインターネットでの視聴も含めて、スポーツ観戦とうつ傾向との関連を調査している。

    うつに関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
    郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。

     この研究は、日本老年学的評価研究(JAGES)のデータを横断的に解析したもの。JAGESは、全国60以上の市町村が共同で行っている高齢者(65歳以上)を対象とする研究で、登録者数は約20万人。今回の解析では、その中からスポーツ観戦に関する質問に回答していた2万1,317人(男性1万324人、女性1万993人)のデータを用いた。

     スポーツ観戦の頻度は、週に1回以上、月に1~3回、年に数回、観戦しない、という4つに分類した。また観戦手段は、スタジアムや体育館などの現地での観戦と、テレビやネットでの観戦とに分類した。観戦の対象はプロレベルのスポーツに限定せず、地元のスポーツクラブの試合なども含めた。なお、ニュースでダイジェストを見る程度の場合は、観戦に含めないこととした。

     うつレベルは、高齢者のうつ症状のスクリーニングに用いられる「Geriatric Depression Scale;GDS」という指標で評価した。これは15点満点で、点数が高いほどうつ傾向が強いと判断される。今回の検討では、5点以上を「うつ傾向あり」と定義したところ、21.4%がそれに該当した。

     自分自身が週に1回以上スポーツに参加している人(全体の58.2%)では、その28.8%が年に1回以上、現地でスポーツを観戦していた。自分自身のスポーツ参加頻度が週1回未満の人では、その割合が16.2%だった。一方、テレビやネットで年に1回以上スポーツ観戦する人の割合は、前記と同順に、86.2%、77.5%だった。

     スポーツ観戦と「うつ傾向あり」に該当する人の割合の関連の解析に際しては、うつリスクに影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、婚姻状況、就業状況、独居か否か、収入、喫煙・飲酒習慣、既往症、体格指数、日常生活動作、友人や地域社会とのネットワークなど)を調整した。その結果、スポーツを観戦している人は、「うつ傾向あり」に該当する確率が有意に低いことが明らかになった。

     具体的には、テレビやネットでスポーツ観戦をしない人に比べて、観戦頻度が年に数回の人は「うつ傾向あり」の有病率(PR)が0.92(95%信頼区間0.86~0.98)、月に1~3回の人はPR0.89(同0.83~0.96)、週に1回以上の人はPR0.83(同0.77~0.88)だった。また、現地で観戦しない人に比べて年に数回観戦する人はPR0.80(0.74~0.85)、月に1~3回ではPR0.79(同0.64~0.97)と、「うつ傾向あり」の該当者が有意に少なかった。なお、自分自身が週に1回以上スポーツに参加しているか否かで分けた場合、参加頻度が週1回以上の人の方が、スポーツ観戦とPRの低さとの関連が強い傾向があった。

     このほか、スポーツ観戦をする人はしない人に比べて地域社会とのつながりや友人とのネットワークが充実していることが明らかになった。媒介分析の結果、スポーツ観戦とうつリスクの低さの関連の9.6~23.7%を、地域社会とのつながりや友人とのネットワークの強さで説明できることが分かった。

     これらの結果から著者らは、「スポーツを観戦する高齢者は観戦しない人に比べ、うつリスクが低いことが確認された。特に、テレビやネットでの観戦頻度では用量反応関係が認められた。テレビ視聴は健康への害が強調されがちだが、うつとの関連では異なる側面を持つ可能性がある」と考察。その上で、「スポーツを“見る”ことは“する”よりもはるかに容易だ。観戦クーポン券を高齢者に配布したりテレビやネットの中継を充実させることが、高齢者うつの予防戦略になり得るのではないか」と述べている。

    治験に関する詳しい解説はこちら

    治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

    治験・臨床試験についての詳しい説明

    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2021年6月21日
    Copyright c 2021 HealthDay. All rights reserved.
    SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
    病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
    記載記事の無断転用は禁じます。
  • 尿酸値が高い人は適度な飲酒が腎臓に良い?――国内地域住民の横断研究

     尿酸値が高いことは腎臓の働き(腎機能)が低下するリスク因子の一つだが、適量のアルコール摂取が尿酸値の高い人の腎機能低下リスクを抑制する可能性を示すデータが報告された。愛媛大学大学院医学系研究科地域医療学講座の川本龍一氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Clinical Laboratory Analysis」に5月7日掲載された。

     この研究は、愛媛県西予市の地域住民対象横断研究として行われた。健診受診者から、尿酸降下薬の服用者や腎不全患者(腎機能を表すeGFRが10mL/分/1.73m2未満)を除外。解析対象者数は男性が742人(平均年齢69±11歳)、女性は977人(69±10歳)だった。男性は尿酸値7.0mg/dL以上、女性は6.0mg/dL以上をカットオフ値とした場合、男性の20.8%、女性の12.6%が尿酸高値に該当した。

    高尿酸血症に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
    郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。

     尿酸高値群と尿酸値正常群とを比較すると、男性では尿酸高値群の方が、BMI、アルコール摂取量、拡張期血圧、中性脂肪が有意に高く、eGFRは有意に低かった。女性では尿酸高値群の方が、年齢、BMI、アルコール摂取量、収縮期血圧、中性脂肪、HbA1cが有意に高く、HDL-CとeGFRは有意に低かった。

     次にアルコール摂取量とeGFRの関係を検討。アルコール摂取量は、非飲酒群、機会飲酒群(日本酒換算で1日1合未満)、軽度の習慣的飲酒群(同1~2合)、習慣的な中等度飲酒群(同2~3合)という4群に分類し、0~3点にスコア化して評価。その結果、男性と女性ともにアルコール摂取量が多い群ほどeGFRが高いという正の相関が認められた。また、この相関関係は、尿酸値正常群に比較して、尿酸高値群でより強く認められた。

     次に、多変量解析にてeGFRに関連する因子を検討した。すると、年齢以外に、BMIや中性脂肪(女性のみ)、降圧薬の服用(男性のみ)とともに、尿酸値(β値が男性0.282、女性0.317)と、アルコール摂取量(同0.112、0.060)が、男性と女性の双方で独立した有意な関連因子として抽出された。

     続いて、男性/女性、尿酸値正常群/尿酸高値群という4群に分けて、アルコール摂取量とeGFRとの関連を検討。eGFRに影響を与え得る因子(年齢、BMI、喫煙・運動習慣、血圧、血清脂質、HbA1c、心血管疾患の既往など)で調整すると、男性、女性ともに尿酸高値群でのみ、アルコール摂取量が多いほどeGFRが高いという関連のあることが明らかになった。

     例えば、尿酸値正常群の男性では、非飲酒群のeGFRが71.9mL/分/1.73m2、中等度飲酒群が73.8mL/分/1.73m2で有意差がない一方、尿酸高値群の男性は同順に58.7mL/分/1.73m2、69.9mL/分/1.73m2と後者が有意に高値であり、尿酸値正常群と高値群との間に有意な交互作用(P=0.001)が認められた。同様に、女性の尿酸値正常群と高値群との間にも、有意な交互作用(P=0.004)が存在した。

     以上のデータから著者らは、「尿酸値が高いことが腎機能へ及ぼす影響に対して、適量の範囲内のアルコール摂取が、性別にかかわらず緩衝的に働く可能性が示された」と結論付けている。ただし、「この関連の根底にあるメカニズムは不明」とし、今後の研究の進展に期待を示している。

    治験に関する詳しい解説はこちら

    治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

    治験・臨床試験についての詳しい説明

    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2021年6月14日
    Copyright c 2021 HealthDay. All rights reserved.
    SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
    病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
    記載記事の無断転用は禁じます。
  • 人生の目的と健康的生活習慣に有意な関連――健康管理士対象の調査

     人生の目的がしっかりしている人ほど、日々の生活を健康的に過ごしていることが明らかになった。埼玉医科大学総合診療内科の廣岡伸隆氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Public Health」に4月29日掲載された。著者らはこの結果から、「生活習慣が健康的であるということは、人生に明確な目的があるということでもある」と記している。

     人生の目的が明確な人ほど健康リスクとなる行動を避けることが既に報告されている。しかしそれらの研究の多くは、禁煙や身体活動など、個別の習慣との関連についての調査であり、生活習慣全般を評価した研究は少ない。廣岡氏らの研究は、国民健康・栄養調査と同様の広範な質問項目によって生活習慣を総合的に評価した上で、人生の目的意識との関連を検討したもの。

    生活習慣病に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
    郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。

     検討の対象は、日本成人病予防協会認定の健康管理士の有資格者であり、ヘルスリテラシーの高いことが見込まれる集団。その中で健康啓発活動を積極的に行うための生涯教育を定期的に受けている9,149人に調査協力を依頼し、4,820人が参加した。平均年齢は55.4±12.2歳、66.2%が女性であり、BMIは21.9±3.3で肥満者は15.0%だった。

     生活習慣は、以下の11項目をスコア化して評価した。体重管理の意思、運動・飲酒・喫煙習慣の有無、および疾患予防のために生活管理をしているか否かについては2段階評価で回答を得て、好ましい選択肢の回答は4点、好ましくない選択肢は1点とした。食品の栄養成分表示ラベルを確認するか、バランスの取れた食事をしているか、運動を心がけているか、ストレスの程度、休息・睡眠の満足度については、4段階評価で回答を得て、最も好ましい選択肢を4点、最も好ましくない選択肢を1点とした。

     人生の目的意識の評価には「生きがい意識尺度」を用いた。これは9項目の質問で構成されていて、45点満点で評価する心理測定ツールであり、先行研究によりその精度が検証されている。

     結果について、まず生活習慣の全体的な傾向をみると、82.6%が体重管理の意思を持ち、89.2%は疾患予防のために生活管理をしていた。これらの数値から、調査対象者のヘルスリテラシーの高さがうかがえる。また食習慣に関しては、80%以上が食品の栄養成分表示ラベルを確認し(「常に」と「しばしば」の合計)、90%以上がバランスの取れた食事をしていると回答した。運動習慣に関しては、80%以上が運動を心がけ、63.9%は適切な運動量を満たしていた。休息と睡眠についても充足している人の割合が多かった。ただしストレスに関しては、「ストレスを感じている」との回答が74.4%と多かった(「高い」と「中程度」の合計)。

     次に、前述の手法で計算した生活習慣スコアを合計し、その中央値をカットオフ値として対象全体を2分した上で、生きがい意識尺度スコアを比較した。すると、生活習慣スコアの上位2分の1に該当する群の生きがい意識尺度スコアは35.3点(95%信頼区間35.1~35.5)だった。一方、下位2分の1に該当する群の生きがい意識尺度スコアは31.4点(同31.2~31.7)であり、より健康的な生活を送っていると考えられる群の方が高スコアで、有意な群間差が存在した(P<0.0001)。

     また、生きがい意識尺度のスコアが高いほど、生活習慣スコアも高いという、正の相関が認められた(r=0.401、P<0.001)。なお、生きがい意識尺度のスコア(r=0.15)と生活習慣スコア(r=0.29)は、双方ともに年齢と正相関していた(いずれもP<0.05)。

     以上の結論として著者らは、「人びとの健康啓発に関与する健康管理士というヘルスリテラシーの高い集団において、健康的な生活習慣は人生の目的意識と関連していることが示された」と述べている。ただし、「両者の因果関係や関連のメカニズムは不明」として、この領域の研究の発展に期待を寄せている。

    治験に関する詳しい解説はこちら

    治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

    治験・臨床試験についての詳しい説明

    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2021年6月14日
    Copyright c 2021 HealthDay. All rights reserved.
    SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
    病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
    記載記事の無断転用は禁じます。
  • 緊急事態宣言で低下した身体活動量は宣言解除後も回復していない

     人々の身体活動が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに伴う緊急事態宣言によって減少し、宣言解除後も以前のレベルにまで回復していない実態が報告された。鹿児島大学医学部保健学科の牧迫飛雄馬氏らが、昨春の国内パンデミック第一波前後の変化を調べた研究結果であり、「International Journal of Environmental Research and Public Health」に4月30日、論文が掲載された。

     COVID-19のパンデミックとそれに伴う緊急事態宣言によって、人々の身体活動が減少したとするデータが多く報告されている。しかし、緊急事態宣言解除後に人々の身体活動がどの程度回復したのかについては、あまり調査が行われていない。

    COVID-19に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
    郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。

     牧迫氏らは「Yahoo!クラウドソーシング」のオンラインアンケートシステムを用い、2020年10月19~28日に国内在住40歳以上の成人を対象とする調査を実施。COVID-19出現前(2019年10月)、1回目の緊急事態宣言中(2020年4月)、宣言解除後(2020年10月)の身体活動の変化を検討した。なお、宣言解除後の身体活動についてはアンケート時点の活動状況を回答してもらい、前二者についてはそれぞれの時期の活動状況を思い出して答えてもらった。

     アンケートに回答したのは3,048人で、極端な身体活動時間(1日960分以上、または最大値が最小値の10倍以上など)を報告した回答や、身体活動に影響を及ぼし得る疾患(脳卒中、パーキンソン病、認知症、うつ病など)のある人を除外した1,986人(40~69歳)の回答を解析対象とした。身体活動レベルは、国際身体活動質問票(International Physical Activity Questionnaire;IPAQ)で評価した。また、「緊急事態宣言後に体力の低下を感じるか?」との質問の回答により、体力低下の自覚の有無を把握した。

     解析対象者の平均年齢は50.1±6.9歳で、38.9%が女性だった。また、重点的な感染拡大防止策が必要とされた特定警戒都道府県(東京、大阪、北海道など13都道府県)の居住者が71.2%を占めていた。

     身体活動時間は、COVID-19出現前の2019年10月が中央値355分/週(四分位範囲150~660)であったのに対して、緊急事態宣言中の2020年4月は同240分/週(80~540)と32.4%有意に減少し、宣言解除後の2020年10月も同300分/週(120~600)と15.5%有意に少ないままだった(いずれもP<0.001)。

     対象者の33.8%が体力低下を自覚していた。体力低下を自覚していた群は自覚していなかった群に比較して、女性の割合が高く、特定警戒都道府県の居住者が多かった。また、緊急事態宣言中の身体活動時間は、体力低下を自覚している群でより大きく減少していた〔270分/週(100~600)対180分/週(60~480)、P<0.01〕。COVID-19出現前および緊急事態宣言解除後については、体力低下の自覚の有無による身体活動時間の有意差はなかった。

     体力低下の自覚がない群ではCOVID-19出現前に比較して、緊急事態宣言中の身体活動時間が20.6%減少し、宣言解除後も11.8%少なかった。一方、体力低下を自覚している群では、緊急事態宣言中は50.5%減と半分以下に減少し、宣言解除後も25.0%少なかった(すべてP<0.01)。

     著者らはこの解析結果を解釈する際の留意点として、年齢や性別、収入などの交絡因子を調整していないこと、過去の身体活動を思い出し法で評価しているため正確でない可能性があること、体力変化の評価法が客観的手法でないことなどを挙げている。その上で、「緊急事態宣言下で日本人の身体活動は大きく減少し、特に体力低下を自覚した人で顕著に低下していた。また、緊急事態宣言解除後も、以前の身体活動レベルに戻ることが困難であることが示された」と結論付けている。

    治験に関する詳しい解説はこちら

    治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

    治験・臨床試験についての詳しい説明

    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2021年6月7日
    Copyright c 2021 HealthDay. All rights reserved.
    SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
    病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
    記載記事の無断転用は禁じます。
  • 交通事故の3割にドライバーの意識レベル低下が関与か――日本医大

     救急治療を要する負傷者が発生した交通事故の約3割に、運転中のドライバーの意識レベル低下が関与していた可能性が報告された。日本医科大学千葉北総病院ショック・外傷センターの小田有哉氏(現在の所属は神栖済生会病院)らの研究によるもので、詳細は「Acute Medicine and Surgery」に5月1日掲載された。意識レベル低下と関連する因子としては、過去の単独事故の履歴や高血圧などが有意である一方、年齢や性別は有意でないという。

     自動車運転中の意識レベル低下は、重大な交通事故につながりかねない。商用車に関してはドライバーの健康上の問題による事故が年間300件程度発生しているとの報告があるが、自家用車の事故とドライバーの健康問題の関連はあまり研究されておらず、運転中の意識レベル低下の事故への影響はほとんど分かっていない。そこで小田氏らは、交通事故による外傷のため同センターへ救急搬送されたドライバーを対象に以下の検討を行った。

    睡眠時無呼吸に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
    郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。

     2018年1年間の同センターの受け入れ患者2,721人のうち、自分が運転中の交通事故で搬送された患者の中から、死亡者や事故の詳細が不明の患者を除外し、193人を解析対象とした。ドライブレコーダーの画像、本人や同乗者または目撃者へのインタビューをもとに、58件が運転中の意識レベル低下が関与した事故と判定された。なお、同センターの受療歴があり、意識レベル低下の既往が複数の医師によって確認されている場合もこれに含めた。

     意識レベル低下が関与した事故と関与していない事故とでドライバーを比較すると、年齢や性別、重症度などには有意差がなかった。また、既往症のうち、心疾患、呼吸器疾患、腎疾患の有病率、および透析患者の割合は群間に有意差がなかった。糖尿病については、意識レベル低下が関与した可能性のある事故のドライバーで有病率がやや高かったが、群間差は統計的有意レベル未満だった(P=0.055)。

     一方、過去の単独事故や、てんかん、高血圧、および精神障害の有病率は、意識レベル低下が関与した可能性のある事故のドライバーの方が有意に高かった。ロジスティック回帰分析の結果、過去の単独事故〔オッズ比(OR)3.59、95%信頼区間1.76~7.34、P<0.001〕、高血圧(OR2.64、同1.13~6.15、P=0.0248)、精神障害(OR3.49、同1.08~11.3、P=0.0370)が有意な因子として抽出された。てんかんについては有意性が消失した。

     なお、ドライバー本人や目撃者の情報および検査所見から意識レベル低下の原因を推測すると、32.8%が居眠り、19.0%が急性アルコール中毒、13.8%が不明で、疾患関連では不整脈10.3%、感染症8.6%、てんかん6.9%などが上位を占めた。

     以上の結果について著者らは、「交通事故の前にドライバーの30.1%が意識レベルの低下を来していた。単独事故の履歴および高血圧と精神障害は、事故につながる意識レベルの低下に関連する因子だった」とまとめている。なお、高血圧と意識レベル低下との関連の背景について、高血圧患者は睡眠時無呼吸を併存していることが多く、その影響が考えられるとしている。また精神障害については、抗精神病薬の副作用の関与の可能性を指摘している。

    治験に関する詳しい解説はこちら

    治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

    治験・臨床試験についての詳しい説明

    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2021年6月7日
    Copyright c 2021 HealthDay. All rights reserved.
    SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
    病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
    記載記事の無断転用は禁じます。
  • 降圧薬の中でCa拮抗薬のみ男性の夜間頻尿と有意に関連

     降圧薬として多くの患者に使われているカルシウム(Ca)拮抗薬が、男性の夜間頻尿に関連しているとするデータが報告された。自治医科大学附属さいたま医療センター泌尿器科の鷲野聡氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Clinical Medicine」に4月9日掲載された。

     睡眠中に尿意で目覚めてしまう夜間頻尿は、生活の質(QOL)を低下させ、時に抑うつを来すこともある。夜間頻尿の発症には複数の原因が関与しており、高血圧や降圧薬の服用も一因である可能性が、先行研究から示唆されている。ただし、その関連の詳細は不明。鷲野氏らは、高血圧または降圧薬の服用と夜間頻尿との関連を明らかにするために、同センターの患者データを用いて横断的研究を実施した。

    頻尿に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
    郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。

     2018年1月~2019年12月の泌尿器科入院患者のうち、国際前立腺症状スコア(IPSS)に回答していた40歳以上の男性から、排尿に影響を及ぼし得る因子(前立腺がん、膀胱がん、膀胱炎、過去6カ月以内の前立腺手術歴など)と透析患者を除外した418人(平均年齢69.4±7.6歳)を解析対象とした。

     夜間頻尿の有無と重症度はIPSSの評価法に則して、排尿のために目覚める回数で判定。2回以上の場合を「臨床的に重要な夜間頻尿」と定義した。主要評価項目は、降圧薬の使用、または血圧高値(日中の血圧が140/90mmHg以上)が夜間頻尿と関連しているか否かであり、副次評価項目として、降圧薬のタイプとの関連を検討した。なお、解析対象患者の入院目的は、前立腺全摘除術60%、前立腺生検21%、腎臓がん手術7%など。

     全体の57%に当たる240人が降圧薬を服用していた。降圧薬のタイプは、Ca拮抗薬71%(降圧薬服用者に占める割合)、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)59%、アンジオテンシン変換酵素阻害薬13%、β遮断薬13%、α遮断薬13%、サイアザイド系利尿薬8%。単剤処方が107人、2剤併用が94人で、39人は3剤が併用されていた。日中の血圧高値は27%に認められた。IPSSスコアは合計の平均が8.23±6.88、夜間頻尿スコアが1.58±1.11であり、臨床的に重要な夜間頻尿は45.5%に認められた。

     主要評価項目のうち、まず日中の血圧高値の有無で夜間排尿回数を比較した結果を見ると、降圧薬を服用しているか否かにかかわらず有意な関連は見られなかった(血圧高値あり群の排尿回数1.46±0.98回、なし群1.63±1.16回、P=0.14)。一方、降圧薬服用の有無で比較すると、降圧薬服用群で夜間の排尿回数が有意に多いことが分かった(降圧薬服用群1.75±1.12回、非服用群1.35±1.08回、P=0.0003)。

     次に、副次評価項目である降圧薬のタイプ別に関連を解析。すると、Ca拮抗薬を服用している患者でのみ、夜間排尿回数の有意な増加が認められた。具体的には、降圧薬非服用群の1.35±1.08回に対してCa拮抗薬以外の降圧薬服用群は1.48±0.98回(P=0.91)で有意差はなく、一方で、Ca拮抗薬単剤服用群は1.77±1.07(P=0.014)、Ca拮抗薬を含む併用療法群は1.90±1.19回(P<0.0001)であり、いずれも夜間排尿回数が有意に多かった。また、年齢層別の解析から、比較的若年(40~65歳)の患者で、Ca拮抗薬による夜間排尿回数増加への影響が強いことが分かった。

     夜間の排尿回数と関連する因子を単変量解析で検討すると、年齢(r=0.27、P<0.0001)、および、IPSS1~6(夜間排尿回数以外)の合計スコア(r=0.25、P<0.0001)、HbA1c(r=0.13、P=0.006)との間に正の相関が認められた。BMIやeGFRとの間には、有意な関連がなかった。

     臨床的に重要な夜間頻尿に関連する因子を多変量解析で検討したところ、年齢〔オッズ比(OR)1.06〕、IPSS1〜6の合計スコア(OR1.05)とともに、Ca拮抗薬の服用(OR2.68)が抽出され(いずれもP<0.0001)、Ca拮抗薬の服用は臨床的に重要な夜間頻尿の独立したリスク因子である可能性が示唆された。

     著者らは本研究の限界点として、検討対象が泌尿器疾患患者であること、Ca拮抗薬やARB以外の降圧薬服用者が少ないこと、レトロスペクティブな解析であることなどを挙げている。その上で、「Ca拮抗薬は夜間頻尿に関連する唯一の降圧薬であり、血圧高値そのものは夜間頻尿との関連が認められない。男性高血圧患者、特に比較的若年の男性に対する降圧治療に際しては、夜間頻尿の出現に配慮する必要がある」と結論付けている。

    治験に関する詳しい解説はこちら

    治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

    治験・臨床試験についての詳しい説明

    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2021年5月31日
    Copyright c 2021 HealthDay. All rights reserved.
    SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
    病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
    記載記事の無断転用は禁じます。
  • 高齢者糖尿病の血糖管理目標の分類と死亡リスクの相関が明らかに

     高齢の糖尿病患者の生命予後を改善するには、血糖値を厳格にコントロールするよりも、生活機能を重視すべきことを示唆するデータが発表された。『高齢者糖尿病診療ガイドライン』に示されているカテゴリー分類に則して患者を群分けして行った追跡研究の結果、高めの血糖管理目標が推奨されるカテゴリーに該当する患者は、交絡因子の影響を調整しても死亡リスクが高いことが分かった。東京都健康長寿医療センター糖尿病・代謝・内分泌内科の荒木厚氏、大村卓也氏らの研究によるもので、結果の詳細は「Geriatrics & Gerontology International」に4月22日掲載された。

     近年、厳格な血糖管理がかえって予後を悪化させるケースのあることが明らかになり、管理目標を患者ごとに個別化することが推奨されている。特に高齢患者については、認知機能や日常生活動作(ADL)、低血糖リスクなどを考慮して患者をカテゴリー分けし、HbA1cの上限だけでなく下限にも配慮するという血糖管理目標が『高齢者糖尿病診療ガイドライン』に示されている。ただし、このガイドラインに示されているカテゴリー分類は、必ずしも明確なエビデンスに基づくものではなかった。荒木氏らは、国内で行われた高齢糖尿病患者対象の縦断研究「J-EDIT研究」のデータを用いて、この点を検証した。

    糖尿病に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
    郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。

     解析の対象は、高齢糖尿病患者843人。平均年齢は71.9±4.7歳、男性が45.6%。ガイドラインの分類に当てはめると、カテゴリーI(認知機能正常でADL自立)が54.3%、カテゴリーII(認知機能軽度低下、または基本的ADLは自立しているが手段的ADLが低下)が41.9%、カテゴリーIII(中等度以上の認知症、または基本的ADL低下、または多数の併存疾患や機能障害)が3.8%だった。なお、認知機能の評価にはMMSEを用い(カットオフ値27以上/26~22/21以下)、手段的ADLは老研式活動能力指標(同12以上/11以下)、基本的ADLはバーセル指数(同19以上/18以下)で評価した。

     6年間の追跡で64人が死亡した。粗死亡率は、カテゴリーIが5.0%、カテゴリーIIが10.2%、カテゴリーIIIが15.6%だった。死亡リスクに影響を与え得る因子(年齢、性別、BMI、HbA1c、収縮期血圧、血清脂質、eGFR、重症低血糖頻度)の影響を調整したCox回帰分析により、カテゴリーIに比較して他のカテゴリーは死亡リスクが有意に高いことが明らかになった。具体的には、カテゴリーIIがハザード比(HR)1.83(95%信頼区間1.06~3.14)、カテゴリーIIIはHR3.05(同1.12~8.26)だった。

     また、以下の2つのモデルでの検討も行った。

     1つ目のモデルは、糖尿病患者に多い併発疾患(網膜症、腎症、神経障害、虚血性心疾患、脳血管障害、がん、肝疾患、うつ)のうち4つ以上が併存している場合には、前記のガイドラインの分類のカテゴリーIIIに追加するというもの。2つ目のモデルは、老研式活動能力指標とバーセル指数から抽出した8項目(買い物、食事の支度、預金管理、新聞を読む、友人の訪問、食事摂取、トイレ使用、歩行)からなる「生活機能質問票8」という指標の点数で3つのカテゴリーに分類するというもの。

     これらいずれのモデルでも、カテゴリーが進むにつれて死亡リスクが上昇した。

     大村氏は、「この結果は、認知機能やADLで評価したカテゴリー分類が、死亡リスクの段階的な上昇と関連しており、ガイドラインの考え方を支持するデータが得られた。個々の患者の生活機能や年齢、併存疾患、低血糖リスクなどを踏まえた上での血糖管理の重要性を改めて浮き彫りにしている。高齢糖尿病患者の治療では血糖管理以上に、『生活機能を維持することが大切』とも言える」と語っている。

    糖尿病のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら

    糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。

    糖尿病のセルフチェックに関連する基本情報

    参考情報:リンク先1リンク先2
    HealthDay News 2021年5月31日
    Copyright c 2021 HealthDay. All rights reserved.
    SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
    病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
    記載記事の無断転用は禁じます。