• 降圧薬の中でCa拮抗薬のみ男性の夜間頻尿と有意に関連

     降圧薬として多くの患者に使われているカルシウム(Ca)拮抗薬が、男性の夜間頻尿に関連しているとするデータが報告された。自治医科大学附属さいたま医療センター泌尿器科の鷲野聡氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Clinical Medicine」に4月9日掲載された。

     睡眠中に尿意で目覚めてしまう夜間頻尿は、生活の質(QOL)を低下させ、時に抑うつを来すこともある。夜間頻尿の発症には複数の原因が関与しており、高血圧や降圧薬の服用も一因である可能性が、先行研究から示唆されている。ただし、その関連の詳細は不明。鷲野氏らは、高血圧または降圧薬の服用と夜間頻尿との関連を明らかにするために、同センターの患者データを用いて横断的研究を実施した。

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     2018年1月~2019年12月の泌尿器科入院患者のうち、国際前立腺症状スコア(IPSS)に回答していた40歳以上の男性から、排尿に影響を及ぼし得る因子(前立腺がん、膀胱がん、膀胱炎、過去6カ月以内の前立腺手術歴など)と透析患者を除外した418人(平均年齢69.4±7.6歳)を解析対象とした。

     夜間頻尿の有無と重症度はIPSSの評価法に則して、排尿のために目覚める回数で判定。2回以上の場合を「臨床的に重要な夜間頻尿」と定義した。主要評価項目は、降圧薬の使用、または血圧高値(日中の血圧が140/90mmHg以上)が夜間頻尿と関連しているか否かであり、副次評価項目として、降圧薬のタイプとの関連を検討した。なお、解析対象患者の入院目的は、前立腺全摘除術60%、前立腺生検21%、腎臓がん手術7%など。

     全体の57%に当たる240人が降圧薬を服用していた。降圧薬のタイプは、Ca拮抗薬71%(降圧薬服用者に占める割合)、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)59%、アンジオテンシン変換酵素阻害薬13%、β遮断薬13%、α遮断薬13%、サイアザイド系利尿薬8%。単剤処方が107人、2剤併用が94人で、39人は3剤が併用されていた。日中の血圧高値は27%に認められた。IPSSスコアは合計の平均が8.23±6.88、夜間頻尿スコアが1.58±1.11であり、臨床的に重要な夜間頻尿は45.5%に認められた。

     主要評価項目のうち、まず日中の血圧高値の有無で夜間排尿回数を比較した結果を見ると、降圧薬を服用しているか否かにかかわらず有意な関連は見られなかった(血圧高値あり群の排尿回数1.46±0.98回、なし群1.63±1.16回、P=0.14)。一方、降圧薬服用の有無で比較すると、降圧薬服用群で夜間の排尿回数が有意に多いことが分かった(降圧薬服用群1.75±1.12回、非服用群1.35±1.08回、P=0.0003)。

     次に、副次評価項目である降圧薬のタイプ別に関連を解析。すると、Ca拮抗薬を服用している患者でのみ、夜間排尿回数の有意な増加が認められた。具体的には、降圧薬非服用群の1.35±1.08回に対してCa拮抗薬以外の降圧薬服用群は1.48±0.98回(P=0.91)で有意差はなく、一方で、Ca拮抗薬単剤服用群は1.77±1.07(P=0.014)、Ca拮抗薬を含む併用療法群は1.90±1.19回(P<0.0001)であり、いずれも夜間排尿回数が有意に多かった。また、年齢層別の解析から、比較的若年(40~65歳)の患者で、Ca拮抗薬による夜間排尿回数増加への影響が強いことが分かった。

     夜間の排尿回数と関連する因子を単変量解析で検討すると、年齢(r=0.27、P<0.0001)、および、IPSS1~6(夜間排尿回数以外)の合計スコア(r=0.25、P<0.0001)、HbA1c(r=0.13、P=0.006)との間に正の相関が認められた。BMIやeGFRとの間には、有意な関連がなかった。

     臨床的に重要な夜間頻尿に関連する因子を多変量解析で検討したところ、年齢〔オッズ比(OR)1.06〕、IPSS1〜6の合計スコア(OR1.05)とともに、Ca拮抗薬の服用(OR2.68)が抽出され(いずれもP<0.0001)、Ca拮抗薬の服用は臨床的に重要な夜間頻尿の独立したリスク因子である可能性が示唆された。

     著者らは本研究の限界点として、検討対象が泌尿器疾患患者であること、Ca拮抗薬やARB以外の降圧薬服用者が少ないこと、レトロスペクティブな解析であることなどを挙げている。その上で、「Ca拮抗薬は夜間頻尿に関連する唯一の降圧薬であり、血圧高値そのものは夜間頻尿との関連が認められない。男性高血圧患者、特に比較的若年の男性に対する降圧治療に際しては、夜間頻尿の出現に配慮する必要がある」と結論付けている。

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    HealthDay News 2021年5月31日
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  • 高齢者糖尿病の血糖管理目標の分類と死亡リスクの相関が明らかに

     高齢の糖尿病患者の生命予後を改善するには、血糖値を厳格にコントロールするよりも、生活機能を重視すべきことを示唆するデータが発表された。『高齢者糖尿病診療ガイドライン』に示されているカテゴリー分類に則して患者を群分けして行った追跡研究の結果、高めの血糖管理目標が推奨されるカテゴリーに該当する患者は、交絡因子の影響を調整しても死亡リスクが高いことが分かった。東京都健康長寿医療センター糖尿病・代謝・内分泌内科の荒木厚氏、大村卓也氏らの研究によるもので、結果の詳細は「Geriatrics & Gerontology International」に4月22日掲載された。

     近年、厳格な血糖管理がかえって予後を悪化させるケースのあることが明らかになり、管理目標を患者ごとに個別化することが推奨されている。特に高齢患者については、認知機能や日常生活動作(ADL)、低血糖リスクなどを考慮して患者をカテゴリー分けし、HbA1cの上限だけでなく下限にも配慮するという血糖管理目標が『高齢者糖尿病診療ガイドライン』に示されている。ただし、このガイドラインに示されているカテゴリー分類は、必ずしも明確なエビデンスに基づくものではなかった。荒木氏らは、国内で行われた高齢糖尿病患者対象の縦断研究「J-EDIT研究」のデータを用いて、この点を検証した。

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     解析の対象は、高齢糖尿病患者843人。平均年齢は71.9±4.7歳、男性が45.6%。ガイドラインの分類に当てはめると、カテゴリーI(認知機能正常でADL自立)が54.3%、カテゴリーII(認知機能軽度低下、または基本的ADLは自立しているが手段的ADLが低下)が41.9%、カテゴリーIII(中等度以上の認知症、または基本的ADL低下、または多数の併存疾患や機能障害)が3.8%だった。なお、認知機能の評価にはMMSEを用い(カットオフ値27以上/26~22/21以下)、手段的ADLは老研式活動能力指標(同12以上/11以下)、基本的ADLはバーセル指数(同19以上/18以下)で評価した。

     6年間の追跡で64人が死亡した。粗死亡率は、カテゴリーIが5.0%、カテゴリーIIが10.2%、カテゴリーIIIが15.6%だった。死亡リスクに影響を与え得る因子(年齢、性別、BMI、HbA1c、収縮期血圧、血清脂質、eGFR、重症低血糖頻度)の影響を調整したCox回帰分析により、カテゴリーIに比較して他のカテゴリーは死亡リスクが有意に高いことが明らかになった。具体的には、カテゴリーIIがハザード比(HR)1.83(95%信頼区間1.06~3.14)、カテゴリーIIIはHR3.05(同1.12~8.26)だった。

     また、以下の2つのモデルでの検討も行った。

     1つ目のモデルは、糖尿病患者に多い併発疾患(網膜症、腎症、神経障害、虚血性心疾患、脳血管障害、がん、肝疾患、うつ)のうち4つ以上が併存している場合には、前記のガイドラインの分類のカテゴリーIIIに追加するというもの。2つ目のモデルは、老研式活動能力指標とバーセル指数から抽出した8項目(買い物、食事の支度、預金管理、新聞を読む、友人の訪問、食事摂取、トイレ使用、歩行)からなる「生活機能質問票8」という指標の点数で3つのカテゴリーに分類するというもの。

     これらいずれのモデルでも、カテゴリーが進むにつれて死亡リスクが上昇した。

     大村氏は、「この結果は、認知機能やADLで評価したカテゴリー分類が、死亡リスクの段階的な上昇と関連しており、ガイドラインの考え方を支持するデータが得られた。個々の患者の生活機能や年齢、併存疾患、低血糖リスクなどを踏まえた上での血糖管理の重要性を改めて浮き彫りにしている。高齢糖尿病患者の治療では血糖管理以上に、『生活機能を維持することが大切』とも言える」と語っている。

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    糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。

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    HealthDay News 2021年5月31日
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