• 尿酸値が高い人は適度な飲酒が腎臓に良い?――国内地域住民の横断研究

     尿酸値が高いことは腎臓の働き(腎機能)が低下するリスク因子の一つだが、適量のアルコール摂取が尿酸値の高い人の腎機能低下リスクを抑制する可能性を示すデータが報告された。愛媛大学大学院医学系研究科地域医療学講座の川本龍一氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Clinical Laboratory Analysis」に5月7日掲載された。

     この研究は、愛媛県西予市の地域住民対象横断研究として行われた。健診受診者から、尿酸降下薬の服用者や腎不全患者(腎機能を表すeGFRが10mL/分/1.73m2未満)を除外。解析対象者数は男性が742人(平均年齢69±11歳)、女性は977人(69±10歳)だった。男性は尿酸値7.0mg/dL以上、女性は6.0mg/dL以上をカットオフ値とした場合、男性の20.8%、女性の12.6%が尿酸高値に該当した。

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     尿酸高値群と尿酸値正常群とを比較すると、男性では尿酸高値群の方が、BMI、アルコール摂取量、拡張期血圧、中性脂肪が有意に高く、eGFRは有意に低かった。女性では尿酸高値群の方が、年齢、BMI、アルコール摂取量、収縮期血圧、中性脂肪、HbA1cが有意に高く、HDL-CとeGFRは有意に低かった。

     次にアルコール摂取量とeGFRの関係を検討。アルコール摂取量は、非飲酒群、機会飲酒群(日本酒換算で1日1合未満)、軽度の習慣的飲酒群(同1~2合)、習慣的な中等度飲酒群(同2~3合)という4群に分類し、0~3点にスコア化して評価。その結果、男性と女性ともにアルコール摂取量が多い群ほどeGFRが高いという正の相関が認められた。また、この相関関係は、尿酸値正常群に比較して、尿酸高値群でより強く認められた。

     次に、多変量解析にてeGFRに関連する因子を検討した。すると、年齢以外に、BMIや中性脂肪(女性のみ)、降圧薬の服用(男性のみ)とともに、尿酸値(β値が男性0.282、女性0.317)と、アルコール摂取量(同0.112、0.060)が、男性と女性の双方で独立した有意な関連因子として抽出された。

     続いて、男性/女性、尿酸値正常群/尿酸高値群という4群に分けて、アルコール摂取量とeGFRとの関連を検討。eGFRに影響を与え得る因子(年齢、BMI、喫煙・運動習慣、血圧、血清脂質、HbA1c、心血管疾患の既往など)で調整すると、男性、女性ともに尿酸高値群でのみ、アルコール摂取量が多いほどeGFRが高いという関連のあることが明らかになった。

     例えば、尿酸値正常群の男性では、非飲酒群のeGFRが71.9mL/分/1.73m2、中等度飲酒群が73.8mL/分/1.73m2で有意差がない一方、尿酸高値群の男性は同順に58.7mL/分/1.73m2、69.9mL/分/1.73m2と後者が有意に高値であり、尿酸値正常群と高値群との間に有意な交互作用(P=0.001)が認められた。同様に、女性の尿酸値正常群と高値群との間にも、有意な交互作用(P=0.004)が存在した。

     以上のデータから著者らは、「尿酸値が高いことが腎機能へ及ぼす影響に対して、適量の範囲内のアルコール摂取が、性別にかかわらず緩衝的に働く可能性が示された」と結論付けている。ただし、「この関連の根底にあるメカニズムは不明」とし、今後の研究の進展に期待を示している。

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  • 人生の目的と健康的生活習慣に有意な関連――健康管理士対象の調査

     人生の目的がしっかりしている人ほど、日々の生活を健康的に過ごしていることが明らかになった。埼玉医科大学総合診療内科の廣岡伸隆氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Public Health」に4月29日掲載された。著者らはこの結果から、「生活習慣が健康的であるということは、人生に明確な目的があるということでもある」と記している。

     人生の目的が明確な人ほど健康リスクとなる行動を避けることが既に報告されている。しかしそれらの研究の多くは、禁煙や身体活動など、個別の習慣との関連についての調査であり、生活習慣全般を評価した研究は少ない。廣岡氏らの研究は、国民健康・栄養調査と同様の広範な質問項目によって生活習慣を総合的に評価した上で、人生の目的意識との関連を検討したもの。

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     検討の対象は、日本成人病予防協会認定の健康管理士の有資格者であり、ヘルスリテラシーの高いことが見込まれる集団。その中で健康啓発活動を積極的に行うための生涯教育を定期的に受けている9,149人に調査協力を依頼し、4,820人が参加した。平均年齢は55.4±12.2歳、66.2%が女性であり、BMIは21.9±3.3で肥満者は15.0%だった。

     生活習慣は、以下の11項目をスコア化して評価した。体重管理の意思、運動・飲酒・喫煙習慣の有無、および疾患予防のために生活管理をしているか否かについては2段階評価で回答を得て、好ましい選択肢の回答は4点、好ましくない選択肢は1点とした。食品の栄養成分表示ラベルを確認するか、バランスの取れた食事をしているか、運動を心がけているか、ストレスの程度、休息・睡眠の満足度については、4段階評価で回答を得て、最も好ましい選択肢を4点、最も好ましくない選択肢を1点とした。

     人生の目的意識の評価には「生きがい意識尺度」を用いた。これは9項目の質問で構成されていて、45点満点で評価する心理測定ツールであり、先行研究によりその精度が検証されている。

     結果について、まず生活習慣の全体的な傾向をみると、82.6%が体重管理の意思を持ち、89.2%は疾患予防のために生活管理をしていた。これらの数値から、調査対象者のヘルスリテラシーの高さがうかがえる。また食習慣に関しては、80%以上が食品の栄養成分表示ラベルを確認し(「常に」と「しばしば」の合計)、90%以上がバランスの取れた食事をしていると回答した。運動習慣に関しては、80%以上が運動を心がけ、63.9%は適切な運動量を満たしていた。休息と睡眠についても充足している人の割合が多かった。ただしストレスに関しては、「ストレスを感じている」との回答が74.4%と多かった(「高い」と「中程度」の合計)。

     次に、前述の手法で計算した生活習慣スコアを合計し、その中央値をカットオフ値として対象全体を2分した上で、生きがい意識尺度スコアを比較した。すると、生活習慣スコアの上位2分の1に該当する群の生きがい意識尺度スコアは35.3点(95%信頼区間35.1~35.5)だった。一方、下位2分の1に該当する群の生きがい意識尺度スコアは31.4点(同31.2~31.7)であり、より健康的な生活を送っていると考えられる群の方が高スコアで、有意な群間差が存在した(P<0.0001)。

     また、生きがい意識尺度のスコアが高いほど、生活習慣スコアも高いという、正の相関が認められた(r=0.401、P<0.001)。なお、生きがい意識尺度のスコア(r=0.15)と生活習慣スコア(r=0.29)は、双方ともに年齢と正相関していた(いずれもP<0.05)。

     以上の結論として著者らは、「人びとの健康啓発に関与する健康管理士というヘルスリテラシーの高い集団において、健康的な生活習慣は人生の目的意識と関連していることが示された」と述べている。ただし、「両者の因果関係や関連のメカニズムは不明」として、この領域の研究の発展に期待を寄せている。

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    HealthDay News 2021年6月14日
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