• パンデミックでメンタルが影響されやすい子どもの特徴は?

     新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックのメンタルヘルスへの影響に関する報告は少なくないが、子どもへの影響を検討した研究は多くない。また、複数のパンデミックの影響を比較検討した研究も限られている。そうした中、パンデミック第1波と第2波の子どものメンタルヘルスへの影響を同一対象で調査した結果が、日本から報告されている。第2波では第1波よりも子どものメンタルヘルスへの問題がより大きく現れ、また低学年や世帯収入が少ない場合などに影響が大きかったという。COVID-19患者は現在、高齢者から小児とその保護者を含む若年層へ移行する傾向があり、今後のパンデミックでの影響が注視される。

     この研究は、信州大学学術研究院教育学系の高橋史氏らが、パンデミック第1波と第2波に当たる2020年3月4~8日と5月15~18日に行ったオンライン調査であり、結果の詳細は「Journal of Child Psychology and Psychiatry Advances」に4月28日掲載された。オンライン調査企業の登録者データを用いてアンケートを実施。第1波での調査では、小学1年生~高校3年生までの男子と女子(全て長子)が各200人、計4,800世帯の保護者から回答を得られるまで受け付けた。第2波での調査ではその4,800人の保護者に再度回答を呼び掛け、3,847人(80.1%)が回答した。

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     アンケートには、人口統計学的な質問(子どもの年齢、学年、性別、きょうだいの数、保護者の年齢、性別、婚姻状況、世帯収入、教育歴など)とともに、学校閉鎖の期間、子どもの神経発達障害の有無、親のうつレベルに関する質問も含まれていた。子どもの神経発達障害については、「あなたの子どもは次の疾患や障害と診断されているか」との質問を設け、米国精神医学会の疾患診断基準(DSM-5)に記載されている神経発達症に含まれている疾患/障害名を掲げた。また、保護者のうつレベルは、うつ病のスクリーニングに用いられている質問票(PHQ-9)で評価した。

     これらのほかに、「子どもの強さと困難さアンケート(SDQ)」の質問を加え、その結果と前述のアンケートの回答との関連を検討した。なお、SDQは子どもの行動特性やメンタルヘルス状態を評価する指標であり、情緒の問題、行為の問題、多動/不注意、仲間関係の問題、および向社会的行動という下位尺度が含まれている。

     解析対象の子どもの平均年齢は12.41±3.46歳で、神経発達症のない子どもが90.6%、1つ該当する子どもが6.2%、2つ以上該当する子どもが3.2%だった。保護者の平均年齢は44.19±5.87歳であり、世帯収入は平均が600万円台だった(年収100万円未満を1、1000万円以上を11とするリッカートスコアでの回答の平均が7.33)。

     パンデミック第1波と第2波の調査結果を比較すると、子どものSDQスコアと保護者のうつレベルの上昇が認められた。一例としてSDQの下位尺度のうち情緒の問題は、第1波では18.7%の子どもが臨床レベル(同性・同年齢のスコアの分布の上位10%以内)だったのが、第2波では23.7%が該当した。また保護者のPHQ-9スコアは、2.44±4.01から4.07±5.05に上昇していた。なお、第2波における子どものSDQ下位尺度スコアは、情緒の問題以外も第一波より高レベルだった。

     このほか、ロジスティック回帰分析から、世帯収入の低さが第2波での子どもの向社会的行動の少なさと関連すること、第2波での親のうつレベルの高さが子どものSDQ下位尺度の全てに有意に関連すること、第2波でSDQが臨床レベルに該当した割合が最も高いのは神経発達症のある子どもだったことなどが明らかになった。また、低学年の子どもは、第2波では第1波よりメンタルヘルスへの影響が特に大きく表れていたことも示された。なお、学校閉鎖の期間は、子どものメンタルヘルスと有意な関連が見られなかった。

     以上から著者らは、「小学1~3年生の子ども、収入が少ない世帯の子ども、神経発達症のある子どもには、メンタルヘルスへの適切な介入プログラムを提供する必要がある」とまとめ、今後のパンデミックへの備えを提言している。

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    HealthDay News 2021年10月4日
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  • 微量蛋白尿はがん死のリスク因子の可能性――特定健診データの解析

     尿の中にわずかな蛋白質が現れている状態が、がん死のリスクと関連のあることが分かった。奈良県立医科大学腎臓内科の松井勝氏らが、特定健診のデータを解析して明らかにしたもので、詳細は「Scientific Reports」に8月19日掲載された。

     蛋白尿は、心疾患のリスクと互いに相関することが知られており、心疾患進行予防のために蛋白尿を早期発見することの重要性が広く認識されている。それに対して、がんとの関連で蛋白尿の影響を検討した研究は少なく、これまでのところ蛋白尿はがんリスク因子として見なされていない。両者の関連性を示唆する研究も報告されているが、一貫した結論は得られていない。

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     松井氏らは、特定健診の大規模データを縦断的に解析し、蛋白尿とがん死リスクの関連を検討した。がん死については死亡診断書のデータベースから把握した。

     解析対象は、2008~2011年の7都道府県の特定健診受診者のうち、データ欠落のない37万7,202人。年齢は中央値64歳(四分位範囲58~69)、男性が44%。ベースライン時の尿蛋白レベルは、陰性が85.5%を占め、微量蛋白尿(±)が8.5%、軽度蛋白尿(1+)4.1%、中等度~重度蛋白尿(2+以上)2.0%だった。

     中央値3.7年の追跡期間中に5,979人が死亡し、このうち3,056人ががん死であり、がんによる死亡率は10万人年当たり21.7だった。がんによる死亡者の割合をベースライン時の尿蛋白レベル別に見ると、陰性では0.8%で10万人年当たりの死亡率は20.0であり、微量蛋白尿では同順に0.9%、26.8、軽度蛋白尿では1.3%、40.5、中等度~重度の蛋白尿では1.5%、48.7となった。

     解析結果に影響を及ぼす可能性のある因子(年齢、性別、BMI、現在の喫煙、飲酒量、収縮期血圧、eGFR、HbA1c、LDL-コレステロール、AST)を調整後、ベースライン時点で蛋白尿陰性であった群を基準に、他の尿蛋白カテゴリーのがん死リスクを比較すると、微量蛋白尿であっても有意にがん死リスクが高いことが明らかになった。

     具体的なハザード比(HR)は以下の通り。微量蛋白尿HR1.16(95%信頼区間1.03~1.31)、軽度蛋白尿HR1.47(同1.27~1.70)、中等度~重度蛋白尿HR1.61(同1.33~1.96)。この関係は、年齢、性別、BMI、喫煙、飲酒、高血圧、糖尿病、脂質異常症、eGFRによって層別化したサブグループ解析でも同様に認められ、それぞれの群間の交互作用は有意でなかった。

     がんの種別に見ると、尿蛋白レベルが軽度以上の場合、血液がん、泌尿器がん、消化器がんのリスク上昇と関連が見られた。微量蛋白尿では、血液がんのみHR1.59(同1.09~2.31)と、有意なリスク上昇が認められた。

     この結果から著者らは、「一般集団において、蛋白尿はそのレベルが微量であってもがん死リスクの上昇と有意に関連している。微量蛋白尿が認められた場合、心疾患のみでなくがんのスクリーニングも必要である可能性が示唆される」とまとめている。

     なお、微量蛋白尿とがん死リスクの関連のメカニズムとして著者らは、微量蛋白尿は全身の炎症状態や血管内皮機能が低下した状態を表しており、それらに関連のある血管新生因子などのサイトカインががん細胞の浸潤やがん転移を容易にする可能性を挙げている。

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    HealthDay News 2021年10月4日
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