• 75歳以上では飲酒が認知機能低下を防ぐ?――SONIC研究データの横断解析

     75歳以上の日本人高齢者を対象とする研究から、適度な頻度でアルコールを摂取している人の方が、認知機能が高いことを示すデータが報告された。大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻総合ヘルスプロモーション科学講座の赤木優也氏、樺山舞氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Geriatrics」に2月28日掲載された。アルコールの種類別ではワインを飲んでいること、飲酒状況では機会飲酒(宴会等)があることが認知機能の高さと関連しているという。

     認知機能低下のリスク因子の一つとして、過度のアルコール摂取が挙げられる。ただし、そのエビデンスは主として壮年~中年期の成人を対象とした研究から得られたものであり、75歳以上の後期高齢者ではどうなのか、よく分かっていない。また、ワインの認知機能保護効果がよく知られているが、その効果を示した研究は地中海諸国で行われたものが多く、食事スタイルの影響を否定できない。加えて、人種的にアルコール耐性が低い日本人での効果は不明であり、さらに日本酒や焼酎の認知機能に対する影響はほとんど知られていない。

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     そこで赤木氏らは、東京都と兵庫県の地域住民対象に行われている高齢者長期縦断研究「SONIC研究」の参加登録時データを用いて、飲酒頻度、飲酒量、アルコールの種類、機会飲酒の有無と認知機能との関係を横断的に解析した。なお、SONIC研究の参加者の年齢は、75~77歳または85~87歳のいずれかであり、本研究の解析対象(飲酒習慣に関するデータのない人を除外した1,226人)のうち60.6%が75~77歳だった。また、48.5%が男性だった。

     飲酒の頻度は、毎日が25.7%、週に1~6日が13.5%、週1日未満が5.4%で、55.5%は飲酒の習慣がなかった。飲酒量は、中程度(純アルコール40g/日未満)が34.8%、中程度を超えて多量未満(同40~60g未満/日)が5.8%で、多量飲酒(60g/日以上)が3.6%だった。アルコールの種類は、ビールが24.3%、焼酎13.1%、日本酒10.8%、ワイン4.4%、ウイスキー2.6%で、一部の人は複数の種類のアルコールを習慣的に摂取していた。

     認知機能は、日本語版モントリオール認知評価(MoCA-J)という指標で把握した。MoCA-Jは0~30の範囲でスコア化され、スコアが低いほど認知機能が低いことを表す。本研究の解析対象者は、平均22.7だった。

     認知機能(MoCA-Jスコア)に影響を及ぼし得る因子〔年齢、性別、喫煙習慣、高血圧・糖尿病・脂質異常症・脳卒中の既往、メンタルヘルス状態(WHO-5日本語版で評価)、教育歴、居住形態(同居/独居)、外出頻度、経済状況など〕を調整後、飲酒頻度が週に1~6日の人は、飲酒習慣のない人、および、毎日飲酒する人に比較して、MoCA-Jスコアが有意に高いという結果が得られた。一方、前記の因子で調整後に飲酒量で比較した場合、MoCA-Jスコアとの有意な関係は認められなかった。

     重回帰分析の結果、ワインの摂取と機会飲酒があることがMoCA-Jスコアの高さに、それぞれ独立して関連することが明らかになった(いずれもβ=0.09、p<0.01)。一方、ビール、焼酎、日本酒、ウイスキーを飲む習慣は、MoCA-Jスコアとの間に有意な関係がなかった。

     適度な飲酒習慣が高齢者の認知機能に対し保護的に働く可能性が示されたことの背景について著者らは、「飲酒関連の行動の一部には社会参加が含まれるため、社会活動による認知機能の保護効果が影響を及ぼしている可能性がある。ただし本研究では、外出頻度や居住形態の影響を調整後にも有意な関連が示された。よって、飲酒に関連する行動パターンそのものが、認知機能に対して保護的に働くのではないか」との考察を加えている。

     一方、研究の限界点として、解析対象が後期高齢者のみであるため、元来健康でヘルスリテラシーが高い集団である可能性があることや、生存バイアスの存在が否定できないことなどを挙げている。

     以上より著者らは結論を、「毎日ではない中程度の頻度での飲酒とワインの摂取、機会飲酒は、75歳以上の高齢日本人の認知機能の高さと関連していた。この因果関係を明らかにするための縦断研究が望まれる」と総括している。

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  • 男性はストレスで腎機能が低下?――J-MICC研究データの横断解析

     日本人対象の研究から、男性では自覚ストレスの強さが、腎機能の低下と有意に関連していることを示すデータが報告された。佐賀大学医学部社会医学講座予防医学分野の古賀佳代子氏らの研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に1月7日掲載された。意外なことに、ストレスに対する対処行動を表す一部の指標のスコアが高いことも、男性あるいは女性のいずれかにおいて腎機能の低下と関連が見られたという。

     腎機能低下のリスク因子としては、加齢のほかに糖尿病、高血圧、肥満症などの疾患や、喫煙、飲酒、運動不足などの生活習慣が挙げられる。これらの既知のリスク因子に加えて近年、精神的ストレスが腎機能低下と関連している可能性を示唆する研究結果が報告されている。ただし、結果に一貫性がなく、また、ストレスに対する対処行動と腎機能との関係については、ほとんどエビデンスが存在しない。そこで古賀氏らは、「日本多施設共同コーホート研究(J-MICC研究)」の参加登録時データを用いて、自覚ストレスおよびストレス対処行動と腎機能の関係を横断的に解析した。

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     解析対象は、J-MICC研究参加者から、腎疾患既往者、血清クレアチニンが0.2mg/dL未満または2.0mg/dL超、およびデータ欠落者を除外した7万642人(男性が44.9%で56.0±9.2歳、女性は55.2±9.2歳)。自覚ストレスの強さは、「最近1年間にストレスを感じましたか」との質問に対し、(1)全く感じなかった、(2)あまり感じなかった、(3)多少感じた、(4)おおいに感じたという4種類から選択してもらい、(1)と(2)はストレスレベルが「低」、(3)は「中」、(4)は「高」と判定した。またストレスへの対処行動は、ストレスコーピング尺度(GCQと日本語版Brief COPEから5つの項目を抽出)という指標で評価した。

     性別の比較から、女性は男性よりも自覚ストレスを強く感じていることが示された(ストレスレベル「高」の割合が男性は20.6%に対して女性は30.0%)。一方、ストレスに対する対処行動の中で、肯定的解釈(ストレスを前向きに解釈しようとする姿勢)や、支援希求(親しい人に相談し励ましてもらう)は女性の方が強く、積極的問題解決(問題を解決しようとする姿勢)は男性の方が強かった。腎機能(eGFR)は男性76.3±14.0mL/分/1.73m2、女性80.0±14.9mL/分/1.73m2だった。

     重回帰分析にて腎機能に影響を及ぼし得る因子(年齢、飲酒・喫煙、身体活動、睡眠時間、摂取エネルギー量、BMI、地域、対処行動の各項目)を調整後、男性では自覚ストレスが強いほど腎機能が低いという有意な負の関連が認められた(β=-0.27、傾向性P=0.017)。この関連は、高血圧・糖尿病・脂質異常症の既往を追加して調整すると弱まる傾向が見られた(β=-0.23、傾向性P=0.042)。女性ではストレスと腎機能との間に有意な関連は認められなかった。

     男性の腎機能低下が自覚ストレスの強さと有意な関連があるという結果について、著者らは、ストレスの負荷が視床下部-下垂体-副腎系あるいは交感神経活性を亢進させ、血圧や血糖の上昇などを介して、腎機能に影響を及ぼす可能性があると考察している。また、女性では有意な関連が見られなかった点については、女性では男性に比べて、ストレスが視床下部-下垂体-副腎系あるいは交感神経活性へ及ぼす影響が抑制されることが、既報研究から示唆されているという。

     次に、ストレス対処行動と腎機能との関連については、前記の重回帰分析の結果、男性では積極的問題解決の姿勢が強いほど腎機能が低く(β=-0.45)、女性では肯定的解釈の姿勢が強いほど腎機能が低いという(β=-0.43)、いずれも有意な負の関連が認められた(傾向性P値はいずれも<0.001)。

     この点について著者らは、「どちらの対処行動もストレスに対する前向きな姿勢であるにもかかわらず、腎機能低下との有意な関連が認められたことは予想外の結果だ」と述べた上で、「そのメカニズムは基本的に不明」としている。ただし、本研究では、男性の積極的問題解決志向は握力と正相関するという結果が得られた。握力の強さはテストステロンレベルと相関するとの報告があり、テストステロン高値が男性の腎機能低下に関連している可能性があるという。

     また、肯定的解釈の姿勢の強さは、インターロイキン-2(IL-2)レベルの低さと関連するという報告があり、IL-2低値が免疫能への影響を介して女性の腎機能低下に関係している可能性が考えられるとしている。ただし、「いずれも仮説のレベルに過ぎず、今後の追試やメカニズム解明のための研究が必要とされる」とまとめられている。

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    糖尿病の3大合併症として知られる、『糖尿病性腎症』。この病気は現在、透析治療を受けている患者さんの原因疾患・第一位でもあり、治療せずに悪化すると腎不全などのリスクも。この記事では糖尿病性腎病を早期発見・早期治療するための手段として、簡易的なセルフチェックや体の症状について紹介していきます。

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  • 外反母趾患者は全身の痛みも抱えている――国内多施設共同横断研究

     外反母趾の患者は足趾の痛みだけでなく、全身のさまざまな部位の痛みを感じており、他部位の痛みがある患者は足趾の痛みも強いという実態が報告された。千葉大学大学院国際学術研究院の山口智志氏らの研究によるもので、詳細は「Modern Rheumatology」に2月22日掲載された。

     足の親指が曲がる外反母趾では、突出した部分が靴などに擦れて痛みを生じる。しかし足趾の痛みだけでなく、転倒しやすくなったり、足趾以外の部位の痛みやこころの不調が合併する可能性も指摘されている。ただし、それらの頻度や重症度に関する報告は少なく、実態が不明。山口氏らは、外反母趾と足趾以外の痛みやメンタルヘルスとの関連を明らかにするために、横断研究を行った。

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     研究対象は、2017~2020年に国内9施設で、外反母趾の治療のために1カ月以内に手術が予定されていた20歳以上の患者102人。関節リウマチに伴う足の変形や、他の部位との同時手術が予定されていた患者、下肢手術の既往がある患者は除外されている。

     足趾以外の痛みについては、首、肩、肘、手首、背中、腰、膝など、全身の13カ所について、過去1カ月以内の痛みの有無で評価した。また、足部関連の生活の質(QOL)を、足部足関節疾患評価質問票(SAFE-Q)という指標で評価したほか、不安やうつのレベルをHospital Anxiety and Depression Scale(HADS)という指標で把握した。痛みの程度は、ビジュアルアナログスケール(VAS)で把握した。

     なお、SAFE-Qは34項目の質問から成り満点は100点で、スコアが高いほど足部関連のQOLが高いことを意味する。HADSは不安やうつの程度をそれぞれ21点満点で評価する指標で、スコアが高いほど不安やうつのレベルが高いことを意味する。

     解析対象者の主な特徴は、年齢が中央値62歳(四分位範囲49~72歳)、女性89名(87%)で、BMIは中央値が23(同20~24)であり、17%は25以上30未満、4%は30以上だった。外反母趾角は中央値40度(同35~47度)、36%が中等症(母趾角30度以上40度未満)、58%が重症(同40度以上)と判定された。また、HADSが臨床でのカットオフ値である8点以上であった割合は、不安、うつともに25%だった。

     全体で55名(54%)と過半数の患者が、過去1カ月以内に足趾以外の部位の痛みがあった。痛みの部位の数は中央値3個(四分位範囲1~4個)であり、最も多い部位は腰(33%)で、2位が膝(28%)だった。

     足趾以外の痛みの有無で2群に分けて比較すると、年齢、性別、BMI、外反母趾角、併存疾患数、就労状況、教育歴に有意差はなかった。しかし、HADSスコアは、不安(5点対4点、P=0.04)、うつ(6点対3点、P=0.004)ともに、足趾以外の痛み経験のある群が有意に高かった。また、足趾以外の痛みがある群では独居者が多く(25%対4%、P=0.005)、十分な社会的サポートを受けている割合が低かった(78%対96%、P=0.02)。

     足部関連のQOLを表すSAFE-Qのスコアは、5つのサブスケール全て、足趾以外の痛みがある群の方が有意に低かった。痛みの程度を表すVAS値は、足趾以外の痛みがある群の方が有意に高かった。多変量回帰分析の結果、足趾以外の痛みを有することは、SAFE-QスコアとVAS値に独立して関連していた。さらに、足趾以外の痛みの部位が多いほどSAFE-Qスコアが低く、VAS値が高かった。

     著者らは、「手術が予定されている外反母趾患者の半数以上が、ほかの部位の痛みを有していた。臨床医は外反母趾患者のQOL評価に際して、全身の痛みを把握すべきだろう」と結論付けている。なお、今後の研究の方向性として、「外反母趾の治療により他の部位の痛みが軽減するか否か、また、他の部位の痛みに対する介入が外反母趾の治療効果に影響を及ぼすかを明らかにする必要がある」と述べている。

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    治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

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  • タンパク質摂取量と腎機能低下に関連なし――日本人高齢者での縦断研究

     日本人高齢者では、タンパク質の摂取量と腎機能(eGFR)の低下速度との間に有意な関連はないとする研究結果が発表された。さらに、慢性腎臓病(CKD)の高齢者では、タンパク質摂取量が多いことが腎保護的に働く可能性もあるという。大阪大学大学院医学系研究科総合ヘルスプロモーション科学講座/森ノ宮医療大学の関口敏彰氏らの研究によるもので、「Geriatrics & Gerontology International」に2月10日、論文が掲載された。

     タンパク質の過剰摂取は腎臓に負担をかけるため、CKD患者にはタンパク質摂取量を控える指導が長く行われてきた。しかし近年、高齢者人口の増大とともに筋肉量が低下した高齢患者が増加し、そのような場合には筋肉量の維持のためにタンパク質をしっかり摂取することが重要であると認識されるようになっている。ただし、それにより腎機能低下が加速されるという懸念は払拭されておらず、高齢者のタンパク質摂取量を巡る議論が続いている。

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     このような背景を基に関口氏らは、東京都と兵庫県の地域住民対象に行われている高齢者長期縦断研究(SONIC研究)のデータを用いて、タンパク質摂取量と腎機能変化との関連を縦断的に検討した。SONIC研究は2010~2013年に参加登録が行われ、69~71歳1,000人、79~81歳973人、89~91歳272人、計2,245人が登録されている。本研究ではそのうち、登録時にCKDステージ5以上(eGFR15mL/分/1.73m2未満)、透析治療中、解析に必要なデータの欠落者などを除外し、1,160人を解析対象とした。

     研究参加時に行った食事調査からタンパク質摂取量を割り出し、全体を四分位で群分けすると、第1四分位群のタンパク質摂取量は1.01±0.16g/kg/日、第2四分位群は1.32±0.07g/kg/日、第3四分位群は1.59±0.08g/kg/日、第4四分位群は2.07±0.30g/kg/日だった(P<0.01)。eGFRは平均69.15±14.4mL/分/1.73m2であり、群間に有意差はなかった。

     平均2.53年の追跡期間中のeGFRの変化は-1.89±2.98mL/分/1.73m2であり、有意な群間差はなかった。その一方で、体重はタンパク質摂取量の少ない群の方が大きく低下しており、有意差が認められた(P<0.04)。より具体的に、フレイル(要介護予備群)の診断基準に含まれている「1年当たり4.5kg以上の体重減少」の該当者の割合を比較すると、第1四分位群は47.6%と半数近くに及び、第2四分位群も42.9%を占めるのに対して、第3および第4四分位群は4.8%に過ぎなかった(P<0.01)。

     次に、腎機能低下に影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、収縮期血圧、HbA1c、non-HDL-C、尿酸、高血圧・糖尿病・脂質異常症・脳卒中・心不全の既往、腎機能を評価した季節)を調整後、ベースラインの腎機能で層別化して解析を行った。

     その結果、ベースラインで腎機能が保たれていた群(eGFR60mL/分/1.73m2以上)では、タンパク質摂取量と腎機能変化量との間に有意な関連が認められなかった。一方、ベースラインで腎機能が低下していた群(eGFR60mL/分/1.73m2未満)では、タンパク質摂取量と腎機能変化量に正の相関が認められ(β=0.98、P=0.02)、タンパク質を多く取ることによる腎保護作用が示唆された。続いて、タンパク質を植物性と動物性に分けて検討すると、動物性タンパク質の摂取量に関しては、上記の総タンパク質摂取量の解析結果と同様の結果が得られた。

     以上の検討に基づき著者らは、「地域在住高齢者のタンパク質摂取量はeGFRの低下とは関連がなく、さらにCKDステージ3~4の場合には、総タンパク質および動物性タンパク質の摂取量が多いことが、eGFRを維持するように働く可能性がある。CKD患者を含む日本人高齢者には、タンパク質摂取制限をすべきではないと考えられる」と結論付けている。

     なお、高齢CKD患者ではタンパク質摂取量が多い方が腎機能の維持に有利であることの機序としては、「加齢に伴い増加するフレイルやサルコペニアでは、貧血を含む種々の因子が相互に影響を及ぼし、腎機能をはじめとするさまざまな身体機能が低下する。高タンパク食は、そのような病態の悪循環を抑制するのではないか」との考察を加えている。

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  • 朝食のタンパク質の質が認知機能と関連――国立長寿医療研究センター

     朝食に質の高いタンパク質を取ると、認知機能の低下予防につながるかもしれない。その可能性を期待させるデータが報告された。国立長寿医療研究センターと味の素(株)との共同研究による縦断研究の結果であり、詳細は「The Journal of Prevention of Alzheimer’s Disease」1月号に掲載された。

     食事として摂取されたタンパク質の中のアミノ酸は、神経伝達物質の前駆体として機能することが知られている。特に、体内で合成できない不可欠アミノ酸(必須アミノ酸)の摂取が、認知機能の維持にとって重要と考えられている。一方で近年、摂取する栄養素の量やバランスだけでなく、それらを「いつ」摂取するかによっても健康への影響に差が生じることが明らかになってきている。これらの知見から、タンパク質の質やその摂取タイミングが認知機能に変化を及ぼす可能性が考えられる。しかしそのエビデンスはまだない。

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     この点を明らかにするため共同研究チームは、国立長寿医療研究センターが行っている地域住民対象の長期縦断疫学研究のデータを用いた解析を実施した。2002年5月~2004年5月に研究参加登録された2,378人のうち、ベースライン時に認知障害がなく、データ欠落のない541人(平均年齢68.2±5.7歳、男性47.3%)を解析対象とした。

     タンパク質の質は、「タンパク質消化吸収率補正アミノ酸スコア(PDCAAS)」という指標で評価した。PDCAASは0~100点の範囲で判定され、数値が高いほど必須アミノ酸をバランス良く吸収できる食事であることを意味する。本研究では、ベースライン時に行った3日間の食事調査から、朝食、昼食、夕食、それぞれのPDCAASを算出した。

     一方、認知機能の評価にはMMSEという国際的な指標を用いた。MMSEのスコアは0~30点の範囲で判定され、数値の低さは認知機能の低下を表す。本研究では、軽度認知障害の疑いに該当する27点以下をカットオフ値とした。

     平均4.2±0.4年の追跡で、145人(26.8%)が認知障害を発症した。認知機能に影響を及ぼし得る因子〔性別、年齢、ベースライン時のMMSE、摂取エネルギー量、摂取タンパク質量、BMI、教育歴、うつレベル(CES-D)、高血圧・脂質異常症・糖尿病・脳卒中・虚血性心疾患の既往など〕を調整後、朝食のPDCAASが低いことが、認知障害の発症と有意に関連していることが明らかになった。

     具体的には、ベースライン時の朝食のPDCAASの第1三分位群(PDCAASスコア81.2±13.8)は、第2~3三分位群(同84.2±12.5)に比較して、追跡調査時に認知障害に該当する調整オッズ比(OR)が1.58(95%信頼区間1.00~2.50)だった。その一方、昼食〔OR0.85(同0.54~1.34)〕や夕食〔OR1.08(同0.71~1.65)〕に関しては、PDCAASと認知障害発症との間に有意な関連が認められなかった。

     以上を基に著者らは、「朝食のタンパク質の質が低い食事は、摂取タンパク質量の多寡にかかわりなく、高齢者の認知障害の発症率の高さと関連していた。質の高いタンパク質を含む朝食の大切さを啓発する必要性が示唆される」と結論付けている。なお、PDCAAS第1三分位群の人の朝食は、豆類、牛乳/乳製品、魚介類、卵の摂取量が少なく、一方で穀物、砂糖/甘味料、油脂の摂取量が多かったという。

     昼食や夕食ではなく、朝食のタンパク質の質のみが認知障害の発症と関連していることの理由として著者らは、「朝食は一晩絶食後の最初の食事であり、エネルギー代謝の面で最も重要な食事と位置付けられており、認知機能に関してもその重要性を裏付ける報告がある」と述べている。

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    HealthDay News 2022年3月14日
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  • スマホ読書中は深い呼吸が減って読解力が低下する――昭和大

     スマートフォンでの読書は印刷された本を読む時に比べて読解力が低下し、そのような影響の一部は、スマホ読書時に生じる呼吸の変化が関係している可能性が報告された。昭和大学医学部生理学講座生体調節部門の本間元康氏、泉﨑雅彦氏らの研究によるもので、「Scientific Reports」に1月31日、論文が掲載された。

     スマホやパソコンなどの電子書籍は本のようにかさばらず、手軽に購読できるという点で優れている。しかしスマホ読書では本を読むのに比べて、眼精疲労や頭痛が起きやすく、読解力も低下する可能性がこれまでに指摘されている。ただ、読解力低下の原因は明らかになっていない。一方、過去の研究で、読解力は呼吸の状態や脳活動と関連性があることが報告されている。その知見を基に、同氏らは今回、スマホ読書では呼吸や脳活動に影響が生じ、それが読解力低下につながっているのではないかとの仮説を立て、以下の検討を行った。

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     検討の対象は、視機能障害や精神疾患などのない34人の大学生(平均年齢20.4±0.8歳、女性が20人)。村上春樹の小説(「ノルウェーの森」と「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」)の一部を、スマホおよび印刷物で読んでもらった後、その内容に関する10項目の質問に対する回答の正答率から読解力を判定した。また、エアロモニターという機器と機能的近赤外分光法(fNIRS)という測定法によって、読書中の呼吸の状態と脳活動を観察した。

     試験デザインはクロスオーバー法を用いた。2分間の休息後に前記2点の小説のいずれかをスマホまたは印刷物で読むというもので、試行順序は無作為化した。スマホのサイズは5.0インチで、印刷物とスマホ画面とで文字サイズおよび媒体サイズが同じになるように設定した。また、読書時間は制限せずに任意とした。なお、研究終了後の聞き取り調査から、前記2点の小説を以前に読んだ経験のある参加者はいないことが確認された。

     解析の結果、読了時間、および、目とスマホまたは印刷物の距離については、有意差が認められなかった。しかし、読了後に行った内容に関する質問の正答率は、印刷物を読むよりもスマホ読書の方が有意に低く、後者の条件で読解力の低下が認められた(2点の小説のいずれもP<0.05)。

     呼吸の状態に関しては、スマホか印刷物かにかかわりなく、読書中は呼吸1回当たりの換気量の低下と、呼気時間・吸気時間の短縮が観察された。ただし、読書中の深い呼吸の回数は、印刷物を読んでいる時の方が多く、条件間に有意差が認められた(P<0.05)。fNIRSからは、印刷物を読んでいる時よりもスマホ読書時に、左側の前頭前野の活動が有意に高まることが分かった(P<0.05)。

     媒介分析により、読書中の深い呼吸の回数と左側の前頭前野の活動との間には有意な関連があり(パス係数-0.29、P=0.021)、左側の前頭前野の活動と読解力も有意に関連することが分かった(同-0.34、P=0.003)。

     著者らによると、前頭前野の活動の増加は一般的に、脳が負荷を受けていることを示唆するものだという。よって、本研究で観察されたスマホ読書中の前頭前野の過活動は、脳に過度の負荷がかかっていることを表しており、それが読解力の低下につながった可能性があるとしている。一方、印刷物を読んでいる時は脳に適度な負荷がかかり、それが深い呼吸の増加を引き起こしたと考えられ、そのような呼吸状態が前頭前野の過活動を抑制するように作用した可能性があるとのことだ。

     結論として、「スマホ読書による読解力の低下は、深い呼吸の減少と前頭前野の過活動の連関が、少なくとも部分的な影響を及ぼすことによって生じると考えられる」とまとめられている。なお、スマホ読書時に深い呼吸が減少する原因としては、「ブルーライトの持つ覚醒や不安を刺激する作用が関係しているのではないか」との考察が加えられている。

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  • パンデミック下の日本人の自殺の理由の変化

     新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下での自殺の理由を、詳細に検討した結果が報告された。男性では主に仕事のストレスや孤独感、女性では家庭・健康・勤務問題が動機と考えられる自殺が増えているという。宮崎大学医学部臨床神経科学講座精神医学分野の香田将英氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に1月31日掲載された。

     これまで緩やかに減少傾向であった日本の自殺者数が、COVID-19パンデミック下で増加に転じたことが報告されている。特に女性における自殺者数の増加は、これまでにない傾向である。ただし、パンデミック下で自殺既遂に至った人の動機の傾向は明らかになっていない。COVID-19パンデミック下で増加している自殺理由を明らかにし、自殺予防対策を講じることは、公衆衛生上の重要な課題である。この状況を背景に香田氏らは、警察庁が集計し厚生労働省が公表している自殺統計データを用いて、自殺理由の詳細な検討を行った。

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     2014年12月~2020年6月の約5年間の自殺者データを基に、準ポアソン回帰モデルという統計学的手法を用いて、2020年1月~2021年5月の自殺死亡者数の予測値を算出した。実際の自殺死亡者数が予測値の95%予測区間の上限を超えた場合を「自殺による超過死亡(何らかの原因により通常の予測を超える死亡者数の上昇)の発生」と定義した。また、予測値に対する実際の自殺死亡者数の比を、「自殺による超過死亡割合」とした。自殺の理由は、自殺対策基本法に記載されている7つの大項目(家庭問題、健康問題、経済・生活問題、勤務問題、男女問題、学校問題、その他)と不詳以外の52の小項目別に検討した。

    2020年1月~2021年5月の自殺死亡者数は2万9,938人であり、そのうち自殺の理由が記されていたのは2万1,027人(男性が64.7%)だった。前記の自殺理由の大項目7つ全てについて、超過死亡が発生していた月が確認された。最も高い超過死亡割合は2020年10月の25.8%であり、性別では男性が6.1%、女性は60.8%に及んでいた。

     小項目別では、男性は失業による超過死亡が発生した月が1回あり、その超過死亡率は42.9%に達していた。そのほかに、仕事の失敗による超過死亡が複数の月で発生し〔超過死亡割合(複数月で超過死亡を認めた場合は最小値~最大値で表記)3.4~6.9%〕、仕事疲れ(同2.0~34.1%)、職場の人間関係(18.6%)、職場環境の変化(8.3%)、孤独感(7.4~25.0%)などの理由による自殺の超過死亡が認められた。女性では、親子関係の不和(4.2~4.5%)、夫婦関係の不和(4.3~39.1%)、子育ての悩み(22.2~40.0%)、介護・看病疲れ(25%)、身体の病気(15.4~20.4%)、うつ病(15.1~34.2%)、統合失調症(26.1%)、アルコール依存症(45.5%)、学友とのトラブル(60%)などの理由による自殺の超過死亡が認められた。

     著者らは、「本研究によって、COVID-19パンデミック下の日本人の自殺は、さまざまな理由で増えており、性別により理由が異なることが明らかになった。この結果は、パンデミック下での自殺者数の増加に対して、性差によって理由が異なることを念頭に適切な予防策を策定するための基礎資料となり得る」と述べている。

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    HealthDay News 2022年3月7日
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  • 日本食1皿の塩分量はどのくらい?――献立単位で減塩を達成するヒント

     穀物を主食として数品のおかずで構成されている日本の家庭料理は、栄養バランスを取りやすい。この優れた特徴を生かしながら塩分摂取量を減らすためのヒントとなる研究結果が、「Journal of Nutritional Science」に12月15日掲載された。ノートルダム清心女子大学人間生活学部食品栄養学科の今本美幸氏らによる研究で、著者らは「従来の介入法とは異なる、新たな減塩指導法として応用できるのではないか」と述べている。

     減塩指導や疾患啓発などによって、日本人の塩分摂取量は漸減してきたが、近年は10g/日前後で下げ止まりしている。これまでの減塩指導は主として、食材選択や味付け、調理方法のテクニックの指導であり、何をどの程度食べれば良いのかが分かりにくい傾向があった。これに対して今回の研究では、一般的な家庭料理の1皿に含まれる塩分量を明らかにし、どのような料理の組み合わせであれば塩分過多になりにくいのかを示すことを試みた。

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     今本氏らは以前、地域住民を対象とする研究で、尿中塩分排泄量を自己測定することによって塩分摂取量が減ることを報告している。今回の研究は、その時の調査データを二次的に解析したもの。79人の一般成人が1カ月間にわたり日々の食事内容を記録するという研究に参加。そのうち尿中塩分排泄量を15日以上測定していた60人を本研究の解析対象とした。対象者の主な特徴は、平均年齢62歳(四分位範囲50~74)、女性75%、BMI24.0であり、高血圧患者が52%、慢性腎臓病患者が6%含まれており、研究開始時点の尿中塩分排泄量は9.2g/日(同7.1~11.4)だった。

     食事記録を基に、主食である穀物は白飯、カレーや丼などのご飯もの、パン、ラーメン、その他に分類、副食は肉/魚料理などの主菜、野菜料理などの副菜、その他の料理は乳製品、果物、みそ汁、みそ汁以外の汁物、漬物、菓子類に分類した。通常、パンとみそ汁を組み合わせて食べることがないように、主食の穀物の種類によってその他の料理のカテゴリーがほぼ決まることから、4種類の穀物がそれぞれ主食であるときの一食の塩分摂取量を、尿中塩分排泄量から推算。また、上記の料理カテゴリーごとの塩分摂取量も推算した。

     解析の結果、1回の食事での塩分摂取量は、主食にどの穀物を選択した場合でも、または穀物を含まない献立でも、3g前後であることが分かった(主食が白飯の場合2.9g、カレーや丼などのご飯ものでは2.8g、パンでは2.6g、ラーメンでは2.9g、うどんやそば等の麺類では2.8g、主食なしでは3.1g)。一方、料理カテゴリー別に1皿(1杯)の塩分摂取量を比較すると、主食のうちラーメンは3.2g、うどんやそば等の麺類は2.2g、パンは1.9gであり、主菜は1.5g、副菜は0.9gであった。また、みそ汁は1.4g、みそ汁以外の汁物は1.5g、漬物は0.7gだった。

     調査期間全体の塩分摂取量のうち、35%は主菜(魚/肉料理)で占められており、19%は副菜(野菜料理)が占めていた。なお、主食の穀物からの塩分摂取量は30%を占め、その内訳はパンが10%、カレーや丼などのご飯もの9%、ラーメン3%、うどんやそば等の麺類6%などだった。その他は、みそ汁が11%、みそ汁以外の汁物が2%、漬物が3%。

     4種類の穀物の摂取頻度を説明変数、主菜・副菜の摂取量を目的変数とする回帰分析の結果、栄養バランスにとって重要な主菜は、白飯を主食として選んだ時に0.31皿分増えることが分かった。また、主菜と同様に栄養バランスに大切な副菜は、主食が白飯の時に0.43皿分増加していた。一方、主食としてラーメンを選択した時は、主菜が0.48皿分減り、副菜は0.22皿分減ることが分かった。このほか、パンを選んだ時に乳製品の摂取が増えること、穀物の摂取と果物の摂取は関連がないことなども示された。

     著者らは、「本研究は日本の家庭の食事における1皿ごとの塩分量を明らかにした初の試み」と位置付け、「他の集団で検証を重ねた上で、日本食の栄養バランスと減塩を両立させるための包括的な食事ガイドを確立できるのではないか」と期待を述べている。

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    HealthDay News 2022年3月7日
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  • 逆流性食道炎の発症予測因子が明らかに――国内9施設での縦断的研究

     胃酸が逆流して食道に炎症が起きる「逆流性食道炎」の発症につながる因子が明らかになった。名古屋市立大学大学院医学研究科次世代医療開発学の神谷武氏らが行った縦断的デザインでの多施設共同症例対照研究の結果であり、詳細は「Journal of Neurogastroenterology and Motility」1月号に掲載された。

     逆流性食道炎(RE)は、生命予後に影響を及ぼす疾患ではないこともあり、長期的な追跡研究がほとんど行われていない。そのためこれまでのところ、横断研究からREの存在に関連する因子は示されているものの、発症予測因子は不明。そこで神谷氏らは、健診データを用いた後ろ向き症例対照研究により、この点を検討した。

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     国内9施設の2004~2014年度の健診受診者の中から、10年間で4回以上健診を受けていること、少なくとも1回は上部消化管内視鏡検査を受けていることなどを条件として適格データを抽出。このうちREと診断された時点で30歳以上であり、診断前の5年間に3回以上の健診受診歴があって、かつ診断前の2年間に上部消化管内視鏡検査を受けていた患者をRE群として設定。RE群の患者1人に対して、年齢と性別および受診医療機関がマッチする対照群として2人を選び、最終的にRE群2,066人、対照群4,132人のデータセットを作成した。

     この両群のベースライン時(RE群の患者がREと診断された時点)の健診データを比較すると、年齢(平均54歳)と性別(男性75.4%)は両群で一致していた。一方、BMI、腹囲長、空腹時血糖、収縮期血圧、中性脂肪、尿酸値はRE群の方が有意に高く、HDL(善玉)-コレステロールはRE群の方が有意に低かった。また、AST、ALT、γ-GTPはRE群の方が有意に高く、肝機能の低下が示唆された。HbA1cや拡張期血圧、LDL(悪玉)-コレステロールは有意差がなかった。

     生活習慣関連では、飲酒習慣のある人の割合は両群ともに約7割であり群間に有意差がなく、喫煙者率はRE群の方が有意に高かった。症状に関しては、喉の痛みなどの酸逆流症状を訴える割合はRE群11.6%、対照群4.7%、膨満感は8.5%、6.7%でRE群の方が有意に高かった。内視鏡所見では、食道裂肛ヘルニアが同順に23.4%、12.6%でRE群に多く、萎縮性胃炎は35.4%、41.8%で対照群に多く、いずれも群間差が有意だった。バレット食道の有病率は有意差がなかった。

     多変量ロジスティック回帰分析の結果、REの存在に独立して関連する因子として、BMI〔1kg/m2高いごとの調整オッズ比(aOR)1.05〕、ALT(10IU/L高いごとにaOR1.05)、現喫煙(aOR1.15)、酸逆流症状(aOR2.72)、食道裂肛ヘルニア(aOR2.32)が抽出された。反対に萎縮性胃炎(aOR0.66)とは、負の関連が示された。

     次に、RE群の患者がREと診断される前の5年間の健診データをさかのぼって比較。すると、BMI、腹囲長、中性脂肪、ALT、酸逆流症状は5年前時点から連続して群間の有意差が認められ、HDL-コレステロール、AST、γ-GTP、膨満感、食道裂肛ヘルニアは3~4年前から、空腹時血糖は1年前から有意差が生じていた。

     年齢層別(55歳未満/以上)のサブグループ解析からは、横断的解析および縦断的解析のいずれからも、若年者はRE発症に関連する因子の群間差がより大きい傾向が認められた。

     著者らは、「REの発症には生活習慣関連因子の影響が大きいことが明らかになった。REは生活習慣病と言え、健診受診者にはRE発症予防のための指導も必要とされる」とまとめている。また本研究からは、肝機能異常(ALT高値)がREに独立して関連することが明らかになった。これはこれまでの研究では示されていなかった点であり、「今後の研究で留意すべき」と述べている。

     このほか、本研究の解析対象者のうち、ピロリ菌検査が施行されていた人は少数だが、ピロリ菌感染によって有病率が上昇する萎縮性胃炎についてはRE群の方が有意に少なかった。ピロリ菌感染者は酸分泌が低下することが知られていることから、著者らは「ピロリ菌感染者の減少によってRE患者が増加している実態を示すものと言える」と考察している。

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    HealthDay News 2022年2月28日
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  • たんぱく質の推奨量を満たすには1日何品食べるべき?:京都亀岡研究

     高齢者がたんぱく質摂取推奨量を満たすためには、1日20品目以上を目安に食事を取ると良いことを示唆するデータが報告された。国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の渡邉大輝氏らの研究によるもので、「Geriatrics & Gerontology International」2月号にレターとして研究結果が掲載された。

     筋肉量や筋力は30歳過ぎから低下し始め、高齢になるとその影響が顕著に表れ、人によってはサルコペニアやフレイルによる要介護リスクが高まる。それに対して、たんぱく質摂取量と除脂肪体重(筋肉や骨などの重量)には用量反応関係があることがメタ解析から報告されており、たんぱく質をしっかり摂取することが、高齢者にとって重要と考えられる。たんぱく質摂取量の目安として、厚生労働省が5年ごとに策定している「日本人の食事摂取基準」の最新版(2020年版)では、高齢者に対し男性60g/日、女性50g/日という推奨量を示している。

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     一方、食事の多様性が高い高齢者ほど身体能力が高く関連することが、日本人対象の研究結果として報告されている。よって、たんぱく質摂取量を確保するには、食事の品数が多い方が有利と考えられる。しかし、1日に何品目の食事を取れば、「日本人の食事摂取基準」の推奨量を満たせるのかというカットオフ値は分かっていない。渡邉氏らは、このカットオフ値を明らかにする目的で、以下の検討を行った。

     検討には、京都府亀岡市で行われている「京都亀岡研究」のデータを用いた。京都亀岡研究は、介護予防の推進と検証を目的として2011年にスタートした前向きコホート研究。今回の研究では、2012年5~6月の7日間の食事記録のデータが利用可能な、65~88歳の高齢者143人(女性65人、男性78人)を解析対象とした。その平均年齢(標準偏差)は73.2(5.3)歳、BMIは22.8(3.2)kg/m2だった。食品数は、2013年に実施された国民健康・栄養調査で使用された評価方法を基に算出した。

     食事記録から、対象者の平均エネルギー摂取量(標準偏差)は1,943(301)kcal/日であり、1日の摂取品目数は23.1(7.3)品目、1日の摂取たんぱく質量は73.6(12.7)g/日であった。女性の13.4%、男性の18.1%が、前記のたんぱく質摂取推奨量を満たしていなかった。

     ROC解析の結果、たんぱく質摂取推奨量を満たすための食品数のカットオフ値は、女性、男性ともに20品目であることが分かった(女性は感度60.9%、特異度67.2%、男性は感度63.4%、特異度71.0%)。ROCのAUCは女性0.702(95%信頼区間0.631~0.774)、男性0.738(同0.686~0.789)と計算された。また、食品数を1つ増やすと1日のたんぱく質摂取量が、女性では2.4g(同1.5~3.2)、男性では2.2g(同1.5~2.9)増加することも分かった。

     1985年に厚生省(現:厚生労働省)が発表した「健康づくりのための食生活指針」では、バランスの良い食事のために1日30品目を摂取することが推奨されていた。ただし、この値のエビデンスが不十分なことから、この推奨は改訂された2000年版では削除され現在に至っている。米国心臓協会でも、さまざまな食品数を摂取する食事の多様性が成人の体重増加や肥満と関連する可能性が示唆されるため、肥満予防の効果的な戦略ではないことが示されている。それに対して今回の研究から、1日20品目がたんぱく質摂取量に関する目安になることが示された。

     著者らは、「肥満よりも痩せの問題を有する高齢者においては、食品の多様性が体重の増加や必要なたんぱく質摂取量の確保に有効である可能性がある。1食につき7品目として、1日3食食べることで、高齢者のサルコペニアやフレイルを予防できる可能性がある」と述べている。

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    HealthDay News 2022年2月28日
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