貼り薬で腹部の脂肪が縮小、マウス実験で確認

気になるウエスト周りに貼るだけで脂肪が消える―。将来、そんな夢のような貼り薬が登場する日が来るかもしれない。米コロンビア大学医療センターの研究グループが、脂肪を縮小させるスキンパッチ(貼り薬)を開発し、マウスの実験でその効果を確認したとする研究結果を発表した。

詳細は「ACSNano」9月15日オンライン版に掲載された。

スキンパッチは1cm2ほどの大きさだが、表面に数十本の微細な針が付いている。この針から、さらに肉眼では確認できないほど微小な直径約250nm(ナノメートル)のナノ粒子に充填された薬剤が経皮的に投与される。皮下組織で針が刺さることによる痛みはほとんどないとしている。

薬剤は、過剰なエネルギーをため込む性質がある白色脂肪細胞を、エネルギーを燃焼させる褐色脂肪細胞に変える「褐色化」を促す。

脂肪に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報をsmtで検索
お近くの治験情報を全国から検索できます。

研究グループの一員で同センター病理学・細胞生物学のLiQiang氏によると、同様の作用を有する薬剤は既にあるが、経口薬や注射薬しかなく、全身に作用するため消化器症状や体重増加、骨折などの副作用のリスクがある。
それに対し、貼り薬は投与した薬剤のほとんどが直接脂肪組織に送り込まれるため、副作用を軽減できる可能性があるという。

今回、研究グループが実施した研究では、褐色化を促すとされている2種類の薬剤(ロシグリタゾンまたはβアドレナリン受容体作動薬のCL316243)のスキンパッチを肥満のマウスの下腹部に貼った結果、薬剤が含まれていないスキンパッチを貼った肥満のマウスと比べ、4週間後に貼った部分の脂肪が20%減少した。
なお、スキンパッチは3日ごとに交換した。

Qiang氏は「この研究結果を聞いて『将来、脂肪吸引の代わりに非侵襲的に腹部の脂肪を減らす方法としてスキンパッチを利用できるかもしれない』と心を躍らせる人は少なくないだろう。

しかし、そうした美容面のベネフィットよりも、肥満症やそれに関連した糖尿病などの代謝疾患に対し、スキンパッチが安全かつ有効な治療法となる可能性が示されたことの方が重要だ」と強調している。

治験に関する詳しい解説はこちら

治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

治験・臨床試験についての詳しい説明

参考情報:リンク先
HealthDay News 2017年9月15日
Copyright c 2017 HealthDay. All rights reserved.
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
記載記事の無断転用は禁じます。