骨粗鬆症や椎体骨折は2型糖尿病患者のADLやQOL低下と関連 横断研究で検討、島根大

日本人の2型糖尿病患者を対象とした研究から、骨粗鬆症や骨粗鬆症性の椎体骨折は、その他の糖尿病合併症の影響とは関係なく患者の日常生活動作(ADL)と生活の質(QOL)の低下をもたらす可能性のあることが、島根大学内科学第一の金沢一平氏らの研究グループの検討で分かった。

詳細は「Journal of Bone and Mineral Metabolism」9月6日オンライン版に掲載された。

糖尿病はADLとQOLの低下をもたらすことから、糖尿病患者の健康寿命を保つことは重要な課題とされている。
また、糖尿病患者は骨粗鬆症になりやすく、脆弱性骨折を来しやすいとされるが、糖尿病に関連した骨粗鬆症がADLやQOLに及ぼす影響を検討した研究は限られていた。
金沢氏らの研究グループは今回、2型糖尿病患者を対象に骨粗鬆症や椎体骨折の有病率を調べ、これらと患者のADLやQOLとの関連を検討する横断研究を実施した。

対象は、同大学病院などを受診した2型糖尿病患者309人(男性196人、閉経後女性113人、平均年齢65.3歳)。バーセルインデックス(BI)および健康関連QOLを測定する尺度のSF-36を用いて、ADLとQOLを評価した。

その結果、対象患者のうち166人(53.7%)には骨粗鬆症が、118人(38.2%)には椎体骨折が認められた。
年齢や性、2型糖尿病の罹病期間、BMI、各種の糖尿病合併症の有無などで調整した解析の結果、骨粗鬆症があるとADLの指標であるBI値が低かっただけでなく(オッズ比は2.39)、全般的健康感や社会生活機能、心の健康も有意に低下することが分かった(オッズ比はそれぞれ2.56、1.79、1.92)。

また、中等度変形(grade 2)以上の椎体骨折があるとBI値が低く、肉体的苦痛や全般的健康感、社会生活機能、心の健康の低下とも関連することが明らかになった。

これらの結果を踏まえ、金沢氏らは「日本人の2型糖尿病患者は、骨粗鬆症や中等度変形以上の椎体骨折を来すと、糖尿病による細小血管合併症や大血管合併症とは独立してADLやQOLの低下をもたらす可能性のあることが分かった。
2型糖尿病患者では骨粗鬆症は重要な合併症であり、骨粗鬆症を適切に管理してADLやQOLを維持することを考慮した介入を行う必要がある」と結論づけている。

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HealthDay News 2018年9月25日
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