痛みや出血が伴う?人工授精のリスクを回避

人工授精について

はじめに
人工授精による不妊治療を受ける上で、どんなことを不安に思いますか?
分からないことだらけで夫婦の悩みは尽きないのではないでしょうか?
事前に人工授精のリスクやその回避方法を知っておき、少しでも不安を軽減してから治療に挑みたいところです。
今回は、人工授精のリスク、痛みや出血、胎児へのリスク、人工授精のリスクを下げる方法をご紹介します。

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人工授精とは
人工授精とはあらかじめ精液を採取し、排卵日を狙って精子を子宮に直接注入し、授精させる不妊治療の方法です。
人工的に行われるのは精子を注入する時だけで、それ以外は自力で授精をするので母体への負担は最小限に抑えられ、安全に行うことがます。
精子を注入すると精子は卵子の待つ卵管に進み、授精します。
その後、受精卵となって子宮に進み、着床して妊娠となりますが、妊娠する確率は5~10%程で必ず妊娠できるという保証はありません。
人工授精のリスクとその症状
人工授精をする上でのリスクを具体的に挙げていきます。
・排卵誘発剤の使用
排卵誘発剤は卵巣を関節的、または直接的に刺激して卵胞を育てて排卵を起こします。
人工授精を受けるにあたり、排卵しているかは非常に重要です。
排卵誘発剤を使用する事で、排卵する確率が排卵誘発剤を使用しない場合に比べてかなり上がるので、人工授精の成功率も必然的に上がります。
しかし排卵誘発剤は薬剤ですので当然副作用があり、腹痛や吐き気、体重増加等のリスクが伴います。
そして排卵誘発剤の副作用で一番怖いのは排卵過剰刺激症候群という卵巣が腫れる症状です。
自然に治まる場合もありますが、腹痛等を感じたら医師の診察を受け、排卵誘発剤の使用について相談する必要があります。
また、排卵誘発剤を使用して卵子を作るので多胎妊娠の可能性も自然妊娠に比べて20%ほど高くなります。
双子を妊娠した場合、通常の倍の負担が母体にかかり、切迫早産や帝王切開になる可能性が高まります。妊娠高血圧症候群に罹患する確率も普通の妊娠の6倍と跳ね上がります。
その為、最近は多胎妊娠を抑制する治療法もあるので医師に相談して下さい。
・身体への負担
人工授精を行うと稀にですが手術器具に付着した菌が原因で感染症にかかる事があります。
人工授精した後に体調が悪くなったり、身体に異変を感じたらすぐに病院を受診しましょう。
また人工授精で妊娠した場合、妊娠高血圧症候群や妊娠高血圧腎症になる確率が高くなり、発症した場合は母体の負担が大きくなります。
・精神的な負担
人工授精は排卵のタイミングを狙って治療するので、精神的な負荷も大きいです。
1回の成功率が5~10%と決して高くないので入念な検査をする必要があり、回数を重ねても妊娠しなかった場合、精神的に大きなダメージを受けます。
更に仕事をしながら治療を受けている場合、排卵を狙う為の検査や人工授精の為に仕事を休まなければなりません。
そして人工授精は実費になり、1回の人工授精にかかる費用は病院にもよりますが、15000円から30000円程度、それが回を重ねる毎にのしかかり、その都度の検査代や排卵誘発剤等のお金も発生するので経済的にも負担が大きく、これが精神的負担につながることもあります。
人工授精で起こる出血や痛みの原因

・子宮収縮による痛み
人工授精で精子を注入する際、2通りの方法があります。
1.精液を原液のまま注入
2.精液を洗浄して動きの良い精子だけを選別した後に注入
精液を原液のまま注入すると精液の中に含まれているプロスタグランジンという成分が子宮の収縮を引き起こしてしまい、強い痛みを感じる事があります。
このプロスタグランジンは精液を洗浄して注入する場合、この成分も取り除かれて注入されますので子宮収縮は怒らない事が多いです。
・カテーテル挿入による痛みや出血
精液を子宮内に直接注入する際に、膣にカテーテルという器具を挿入します。
この時にカテーテルが擦れてしまい、痛みや圧迫感を感じる事があります。
またカテーテルと子宮頚管の摩擦によって出血が数日程続くこともあります。
しかし、この痛みや出血は人工授精の家庭で起こるものなので、悪化しなければ問題ありません。
ただ人工授精当日は念のために生理用品を持参する事をお勧めします。
人工授精の胎児へのリスク

人工授精は、精子を注入する部分以外は自然妊娠と同じ過程を辿ります。
人工授精を行ったからと言って障害をもって生まれるリスクが高まるわけではありません。
しかし、人工授精を行う場合に高齢出産が多いこと、多胎妊娠の可能性が通常より高いことが、人工授精によって障害のある子どもが生まれやすいと言われることに関係しています。
人工授精を希望するご夫婦は35歳以上の高齢出産であることが多いです。
高齢出産の場合、先天性異常が見つかることや、流産することのリスクは若いときの妊娠・出産に比べて高いです。
そして前述したように、多胎妊娠になった場合にもリスクが生じてしまいます。
一卵性双生児の場合、胎盤1つを共有した状態が胎児にとって一番リスクが高いです。
その中でも双胎間輸血症候群といって母体から供給される血液が双方の胎児にバランスよくいき届かない事で起こるものがあります。
血液が余分に来る胎児は多尿、羊水過多、心不全になり、血液が不足してしまう赤ちゃんには腎不全、羊水過少、発育不全になってしまいます。
双胎間輸血症候群は未だに原因が分かっていませんが放っておくと最悪の場合、赤ちゃんがお腹の中で死亡してしまうことがあります。無事に出産できたとしても障害が残る可能性がある恐ろしい症状です。

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この治療法は2種類あり、羊水吸引除去術という局所麻酔をしてお腹に針を刺し、羊水過多の赤ちゃんの羊水を抜く方法と胎盤鏡下レーザー凝固術をいう内視鏡の一種である胎児鏡を使って共有している血管をレーザーで凝固する方法です。
ただ胎盤鏡下レーザー凝固術を受ける為には「妊娠16週以上26週未満である」「破水していない」「子宮内の膜に異常がない」等、いくつかの条件を満たす必要があります。
さらに、この治療は一部の医療機関でしかできないので、事前にどこで受けられるのかを調べておく必要があります。
多胎児の場合、2500g以下の未熟児で産まれる事も多く、脳性麻痺や奇形等のリスクもあるのです。
人工授精のリスクを下げるためには
人工授精は痛みや出血がある可能性は高くありません。
人工授精のリスク自体は妊娠のプロセスにあるので、そこまで神経質になる必要はないでしょう。
ただ、排卵誘発剤の使用による排卵過敏刺激症候群を引き起こしてしまった場合はすぐに受診し、医師を相談する事をお勧めします。
そして妊娠に伴うリスクは高齢になるにしたがってどうしても上昇してしまいます。

まとめ
今回は人工授精に伴うリスクをご紹介しました。

人工授精に臨む時には万全の体調で治療を受けられるように準備をしてください。

治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。
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