血中ALT値とGGT値の同時上昇で2型糖尿病リスク増 愛知職域コホート研究から

中年期の日本人男性では、肝臓に関する血液検査の指標として知られるアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)とガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)の値が同時に上昇すると、2型糖尿病の発症リスクが高まる可能性があることが、名古屋大学国際保健医療学・公衆衛生学教授の青山温子氏と金子佳世氏、藤田保健衛生大学公衆衛生学教授の八谷寛氏らの研究グループの検討で分かった。

詳細は「Journal of Diabetes Investigation」9月11日オンライン版に掲載された。

肝臓は血糖値の制御に重要な役割を担う臓器とされている。
これまでの研究で、血中のALT値やGGT値が上昇すると2型糖尿病リスクが高まる可能性が報告されているが、これらの多くは横断研究で前向きに検討したものは限られていた。
八谷氏らは今回、中年期の男性を対象に、前向きに長期にわたり追跡して、これらの測定値と2型糖尿病リスクとの関連を調べる研究を実施した。

対象は、愛知職域コホート研究に参加し、研究開始時に2型糖尿病の既往がなかった男性労働者2,775人(平均年齢は48.1歳)。
カットオフ値を分布(三分位の高い方)によってALTは28IU/L、GGTは49IU/Lとして、前向きに12年間追跡し、2型糖尿病の発症リスクとの関連を調べた。

その結果、追跡期間中に276人が2型糖尿病を発症した。
空腹時のインスリン値と血糖値で調整した解析でも、ALT値とGGT値が同時に上昇した群では、いずれも値が低かった群に比べて2型糖尿病の発症率は有意に高いことが分かった。
また、飲酒の習慣がない人や適度な飲酒習慣のある人、適正体重の人でも同様の結果が得られたが、血清トリグリセライド(TG)値が150mg/dL未満の人ではこれらの関連は弱まることも明らかになった。
さらに、2型糖尿病の発症リスクを予測する従来のリスク因子にALT値とGGT値を加えると、予測能は向上したという。

以上の結果を踏まえて、八谷氏らは「中年期の日本人男性は、ALT値とGGT値が同時に上昇すると、飲酒の習慣や肥満といったリスク因子とは関係なく2型糖尿病リスクが高まる可能性がある。
一方で、中性脂肪の値が正常レベルであれば、これらの関連は認められなかった」と結論づけている。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2018年9月25日
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