COVID-19への不安や予防行動は性格で異なる――九大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する不安の強さや感染予防行動の積極性は、個人の性格により異なることが明らかになった。九州大学持続可能な社会のための決断科学センターの錢琨氏、同大学名誉教授の矢原徹一氏が、緊急事態宣言発出直後に行ったネット調査の結果であり、詳細は「PLOS ONE」に7月10日掲載された。

 錢氏らは、東京や大阪など7都府県に緊急事態宣言が発出された翌日の4月8日から「Yahoo!クラウドソーシング」を利用し、性格特性とCOVID-19による不安やストレス、予防行動の関連についての横断調査を実施。2日間で全都道府県から計2,233人の回答が寄せられ、内容に不備があるものなどを除いた1,856人分を解析した。

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 性格特性は、精神医学領域で用いられている「ビッグファイブ理論」に基づき、外向性、神経症傾向、開放性、勤勉性、協調性という5因子で評価。その結果と、抑うつ不安ストレス尺度(DASS)、および、マスク着用や手洗いなどの予防行動との関連を検討した。また、道徳基盤尺度(MFQ)や、米国からCOVID-19予防行動との関連が報告されている政治的イデオロギーについても評価・検討した。

 解析対象者の平均年齢は46.69±11.29歳、男性56.3%であり、調査時点で緊急事態が宣言されていた7都府県の居住者が49.9%を占めていた。多重回帰分析の結果から、性格特性ごとに以下のような有意な関連が認められた。

 まず外向性は、主観的健康感(β=0.079)や予防行動の積極性(β=0.114)などと正相関した。神経症傾向は、ストレス(β=0.436)や不安(β=0.312)、うつ(β=0.416)レベルと正相関し、主観的健康感(β=-0.240)や他者への評価(β=-0.139)、医師への信頼(β=-0.112)とは逆相関した。勤勉性は、うつレベルと逆相関し(β=-0.073)、予防行動の積極性と正相関した(β=0.135)。協調性は、ストレス(β=-0.120)や不安(β=-0.065)レベルと逆相関し、主観的健康感(β=0.080)、他者への評価(β=0.101)、医師への信頼(β=0.095)と正相関した。

 また、道徳基盤尺度との関連からは、他者への危害を回避し弱者を保護・ケアする「保護/危害」志向がストレス(β=-0.096)や不安(β=-0.179)レベルと逆相関し、予防行動の積極性と正相関(β=0.167)すること、「権威への尊敬」志向が予防行動の積極性と逆相関すること(β=-0.076)などが明らかになった。イデオロギーとの関連では、「平等への選好」志向と医師への信頼の正相関(β=0.118)や、保守的なイデオロギーとストレス(β=-0.086)や不安(β=-0.060)レベルの逆相関といった関連が認められた。

 この他、性別の解析からは、男性は女性よりも他者の評価(P=0.013)や医師への信頼が高いこと(P<0.001)や、感染状況を過小評価しがちなこと(P<0.001)が分かった。一方、女性は男性よりも予防行動に積極的で、家族や子どもをより心配する傾向が見られた(いずれもP<0.001)。

また、パートナーがいる人はいない人より、ストレス(P=0.015)やうつ(P<0.001)レベルが低かった。教育歴の長い人は、他者への評価、医師への信頼が高かった(いずれもP<0.001)。

 以上は研究結果の一部だが、その他の明らかになった解析結果も含めて、著者らは「COVID-19の予防行動やパンデミックにより影響を受ける心理状態は、性格によって大きな個人差が認められる。このような個人差に配慮した感染予防対策と心理的ケアが必要なことが示唆される」とまとめている。

 なお、このオンライン調査は本論文の発表データ解析後も週1回のペースで継続され、6月中旬までに計10回実施されている。現在、10回分の時系列データから、COVID-19による一般市民の精神的負担、予防行動、生活への影響などの変化について解析中という。

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HealthDay News 2020年8月3日
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