都市の緑化で喘息による入院が減少か

大気汚染は喘息の増悪リスクを高めるが、空気が悪い都市部でも樹木が多い地域であれば喘息で入院するリスクは低下することが英国の研究で示唆された。

この研究を実施した英エクセター大学医学部のIan Alcock氏は「健康に良い環境の整備に向けた都市計画に役立つ知見が得られた」としている。
詳細は「Environment International」12月号に掲載された。

Alcock氏らは今回、1997~2012年に英国の都市部2万6,455地区で記録された喘息による入院約65万件のデータを分析し、地区間で喘息による入院率を比較した。

その結果、大気汚染レベルが最も高い地区では、樹木の多さが喘息による入院率の低下と関連していた。
例えば、大気中の微小粒子状物質PM2.5の濃度が約15μg/m3あるいは二酸化窒素(NO2)の濃度が約33μg/m3の地区では、樹木が1km2当たり300本多いと喘息による入院が住民10万人当たり50件減少することが示された。
ただし、大気汚染レベルが低い地区では樹木が多くても喘息による入院率の低下は認められなかった。

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一方、大気汚染レベルが低い地区では緑地や庭園が多いと喘息による入院率が低下した。
ただ、大気汚染レベルが最も高い地区では緑地や庭園の多さと喘息による入院率の低下との関連は認められなかった。

Alcock氏は「都市部の植生はデメリットよりもメリットの方が大きいことが明らかになった」と結論づける一方、緑地や庭園が多いことによる効果は汚染物質の濃度が低い地区で認められ、樹木が多いことによる効果は汚染物質の濃度が高い地区で認められたことから、「植生の効果は一様でないことも分かった」としている。

なお、植生の種類によって喘息による入院率への影響に違いが認められた理由について、同氏は「草の花粉は大気汚染物質との相互作用でアレルギー症状を引き起こしやすくなるため、大気汚染レベルが高い地区では緑地や庭園によるメリットが小さい可能性がある。
一方、樹木は大気から汚染物質を除去すると考えられているため、汚染レベルの最も高い地区で最大のメリットが得られるのではないか」との見方を示している。

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HealthDay News 2017年11月27日
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