高病原性H7N9鳥インフルエンザ、感染拡大の可能性も


これまで、H7N9鳥インフルエンザがヒトからヒトに感染するのかどうかは不明だったが、最近見つかった高病原性のH7N9鳥インフルエンザウイルスが、哺乳類から哺乳類へと飛沫感染することが明らかになったという。
この研究結果は「Cell Host & Microbe」10月19日オンライン版に掲載された。
中国でH7N9鳥インフルエンザのヒトへの感染が初めて確認されたのは2013年だった。その後、これまでに同国を中心に約1,600人が感染し、このうち約600人が死亡した。
これらはヒトに感染すると死亡率は高いが、家禽では感染しても無症状あるいは軽い呼吸器症状や下痢などの症状のみで済むことが多い低病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスの感染例だった。
ところが、2016年に家禽にも全身症状や死亡をもたらす高病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスが中国で検出され、2017年には同国でこの高病原性ウイルスの家禽からヒトへの感染例も確認された。
現時点では低病原性と高病原性のいずれのウイルスについても全てのヒト感染例は家禽からの感染例とみられており、ヒトからヒトへの感染例はないと考え

お近くの治験情報を全国から検索できます。
られているが、今後ウイルスが変異してさらに毒性や薬剤耐性、感染性が強まる可能性はあるという。
河岡氏らは今回、中国の感染者から分離された高病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスの性状を解析するとともに、マウスとフェレットを用いた実験で哺乳類から哺乳類に感染するのかどうか、また既存の抗ウイルス薬による効果はあるのかどうかについて調べた。
その結果、高病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスのウイルス粒子表面にあるタンパク質(ヘマグルチニン)にヒト型受容体への認識を高める変異があり、哺乳類で効率良く増殖できる能力を有していることが明らかになった。
また、同ウイルスをフェレットに感染させたところ、肺や脳で増殖し、死に至っただけでなく、フェレット間で飛沫感染すること、それによって感染したフェレットも死ぬことが分かったという。
さらにマウスの実験では、高病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスは既存のノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビルなど)への感受性は低いが、現在日本でのみ承認(ただしパンデミック発生時の使用に限定)されているRNAポリメラーゼ阻害薬のファビピラビルを使用すれば増殖を抑制できることが示された。
この研究報告を受け、米国感染症学会(IDSA)公衆衛生委員会の委員長であるMatthew Zahn氏は重要なポイントとして(1)高病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスは公衆衛生に重大なリスクをもたらしうる(2)ウイルスは絶えず進化するため、それによるリスクも変化する可能性がある―という2点を挙げ、「監視を継続することの重要性があらためて強調された」としている。

治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。