「朝食抜くと太る」機序をラット実験で解明 体内時計の乱れが原因か、名古屋大など

朝食を抜くと肝臓の脂質代謝や体温に関わる体内時計に乱れが生じ、エネルギーの消費が減って体重増加につながることを、名古屋大学大学院生命農学研究科准教授の小田裕昭氏らの研究グループが突き止めた。朝食を取ることはメタボリック症候群や肥満の予防につながるだけでなく、体内時計の正常化にも重要であるという。研究の詳細は「PLOS ONE」10月31日オンライン版に掲載された。
厚生労働省の調査によれば、2015年には20歳代の4人に1人が朝食を食べてないという実態が報告されている。朝食を抜くと肥満やメタボリック症候群、2型糖尿病などになりやすいことが知られているが、これまでの研究は観察研究が多く、その機序は明らかになっていなかった。

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小田氏らの研究グループはこれまで、体内時計の調節には光よりも食事のタイミングが重要な役割を果たすという時間栄養学に着目した実験を重ねてきた。今回は、朝食の重要性に注目し、ラットを活動期に高脂肪食を与える群(対照群)と目を覚ましてから4時間後に高脂肪食を与え、ヒトが朝食を抜いた場合に相当する状態にした群(朝食を抜く群)に分けて2週間観察した。同氏によれば、こうした条件はヒトが朝8時に朝食を食べた場合と12時に最初の食事を食べた場合に相当するという。
その結果、摂取する食事の量に両群間で差はみられなかったが、朝食を抜いた状態の群では、対照群に比べて体脂肪量や体重が大幅に増加していた。詳細に解析したところ、朝食を抜いた状態のラットでは肝臓の時計遺伝子や脂質の代謝に関与する遺伝子の発現リズムが乱れていることが分かった。さらに、朝食を抜いた状態のマウスでは体温は食べ始めるまで上昇せず、食べている間にも体温は低下してしまうことも明らかになった。
以上の結果から、小田氏らは「朝食を抜くと肝臓時計や体温時計に異常が生じ、エネルギー消費量が減少して体重増加につながると考えられる」と結論づけている。また、この結果は、朝食を取ることを勧める際の科学的エビデンスになるとしている。
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