睡眠の質が血糖コントロールに及ぼす影響は? 約3,200人の日本人2型糖尿病患者を解析

日本人の2型糖尿病患者は一般集団と比べて睡眠時間が短く、入眠までの時間が長いなど睡眠の質が低下しており、特に血糖コントロールが不良な患者でこの傾向が強い可能性のあることが、横浜市立大学附属市民総合医療センター内分泌・糖尿病内科の阪本理夏氏と同科部長の山川正氏らの研究グループの検討で分かった。

詳細は「PLOS ONE」1月24日オンライン版に掲載された。

睡眠時間と肥満や高血圧、冠動脈疾患などの発症リスクとの間にはU字型の関連が報告されている。
これまでの研究で睡眠時間は2型糖尿病の発症にも影響を及ぼし、長過ぎても短か過ぎても2型糖尿病の発症リスクは上昇することが報告されているが、いずれも欧米の研究が多く、日本人におけるこれらの関連性は明らかにされていない。
研究グループは今回、日本人の成人糖尿病患者を対象に睡眠の質を評価し、血糖コントロール状況との関連を調べる観察研究を行った。

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研究グループは、糖尿病患者を対象に睡眠や食生活の質と血糖コントロール状況などの関連を調べる観察研究(Sleep and Food Registry in Kanagawa;SOREKA研究)に参加した20歳以上の2型糖尿病患者3,249人を対象に、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を用いて睡眠の質や睡眠状況を評価した。
対象患者の年齢は65歳、BMIは24.6、HbA1c値は7.1%であった(いずれも中央値)。
なお、PSQIスコアが高いほど睡眠の質の悪化を示し、今回はスコアが5を超える場合を「睡眠の質が悪い」と定義した。

PSQIを用いた調査の結果、対象患者のPSQIスコアは平均で5.94±3.33であり、47.6%はスコア6以上で睡眠の質が悪いと判定された。
PSQIの各項目をみると「睡眠時間」のスコアが最も高く、「睡眠の質」、「入眠時間」が続いた。

対象患者をHbA1c値で4群(6.5%以下、6.6~7.0%、7.1~7.8%、7.9%以上)に分けて比較した結果、PSQIスコアはHbA1c値が最も高い群(7.9%以上)でその他の3群と比べて有意に高値を示した(P<0.001)。
また、HbA1c値が最も高い群では他の3群と比べて睡眠時間が6.23±1.42時間と有意に短く(他3群は約6.44~6.5時間)、入眠時間は25.3±31.8分と有意に長かった(同じく約20分)。
さらに、年齢や性、BMI、喫煙習慣などの因子で調整した解析でも、HbA1c値が最も高い群では低い群と比べてPSQIスコアが有意に高く、睡眠時間は短いことが分かった。

以上の結果から、研究グループは「日本人の2型糖尿病患者は、特に血糖コントロールが不良な場合に睡眠時間が短く、入眠するまでの時間が長いなど睡眠の質が低下する可能性がある。
糖尿病と睡眠は相互に影響を及ぼし合う可能性があり、糖尿病患者は疾患管理とともに適切な睡眠の質を保つことも重要になる」と述べている。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2018年2月13日
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