歯周病があると高齢女性のがんリスクが上昇

閉経後の女性では、歯周病があると発がんリスクが14%上昇するという大規模研究の結果が「Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention」8月1日号に掲載された。特に食道がんの発症リスクは、歯周病のある人ではない人に比べて3.28倍になることが分かった。また、肺がんや胆嚢がん、メラノーマ、乳がんでもリスクが上昇していたという。

 喫煙歴のない女性であっても、歯周病と発がんリスクの関連は同様に認められた。喫煙歴があり歯周病のある女性では、乳がん、肺がん、胆嚢がんのリスクが高かったのに対し、喫煙歴はないが歯周病のある女性では、メラノーマなどその他のがんのリスクが高かった。

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 この知見は、女性の健康イニシアティブ観察研究(WHI-OS)に参加した54~86歳の女性約6万6,000人を対象とした解析で得られたもの。対象者は1999~2003年に自己記入式の質問票で歯周病の有無について回答した上で、2013年9月まで追跡調査された。平均8.32年間にわたる追跡の結果、7,149件のがん発症が確認された。

 研究を率いた米ニューヨーク州立大学バッファロー校健康衛生学部長のJean Wactawski-Wende氏は「今回の研究結果から、口腔の衛生を保ち歯周病の予防や治療を行うことががん予防策として有効かどうかを検証する必要性が示唆された」としている。

 今回の研究は直接的な因果関係を証明するものではなく、歯周病が発がんリスクに関連する理由は明らかでないが、同氏は「歯周病は全体的な健康を表す指標なのではないか」と推測する。ただし、歯周病菌が口腔内の組織から血流に侵入したり、消化器や呼吸器を介して他臓器に到達したりした結果、局所または全身の炎症を引き起こしている可能性もあるという。

 この分野に詳しい専門家である米ノースショア大学病院歯科部長のRonald Burakoff氏は「本研究では対象者の報告に基づき歯周病を評価しているため、歯周病とがんの関連がどの程度強いものなのかは不明だ」とコメント。この関連を実際に証明するためにはさらなる研究が必要だとしつつ、「歯周病を治癒できれば発がんリスクを低減できる可能性がある。歯みがき時の出血など、歯周病の症状に注意してほしい」とアドバイスしている。

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HealthDay News 2017年8月1日
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