食事からマグネシウムを多く摂るほど心筋梗塞になりにくい? 多目的コホート研究から

魚や果物、野菜などのマグネシウムを多く含む食品をよく食べる人ほど、心筋梗塞などの虚血性心疾患を起こしにくい可能性があることを、国立がん研究センターと国立循環器病研究センターらの共同研究グループが発表した。

食事からのマグネシウム摂取量と心血管疾患の発症リスクとの関連をアジア人で調べたのは初めて。
マグネシウムが不足すると血圧の上昇や脂質異常、動脈硬化の進展などがもたらされるため、摂取量を増やすと虚血性心疾患の予防につながる可能性があるという。
詳細は「ClinicalNutrition」8月12日オンライン版に掲載された。

これまで欧米の研究で、ミネラルの中でもカリウム、カルシウム、マグネシウムを多く摂取すると心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患の予防につながることが報告されているが、アジア人を対象とした検討はほとんどなされていなかった。
そこで研究グループは今回、多目的コホート研究(JPHCStudy)に参加した一般住民を対象に、食事からのマグネシウム摂取量とこれらの疾患の発症リスクとの関連について約15年間の追跡調査を行った。

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対象は、1995年および1998年の時点で心血管疾患やがんの既往がない45~74歳の一般住民8万5,293人。
追跡開始時に行った138項目の食物摂取頻度調査のデータに基づき食事からのマグネシウム摂取量を推計し、摂取量で5つの群(摂取量が低い群からQ1~Q5)に等分に分けて脳卒中と虚血性心疾患の発症率を2009年および2010年まで追跡した。

その結果、追跡期間中に脳卒中(脳梗塞および出血性脳卒中)が4,110件、虚血性心疾患が1,283件起こっていた。解析したところ、虚血性心疾患の発症リスクは男女ともにマグネシウムの摂取量が多いほど低く、摂取量が最も低い群(Q1)と比べたリスクは、男性では2番目に多い群(Q4)で24%、最も多い群(Q5)で23%低く、女性では3番目に多い群(Q3)で39%、2番目に多い群(Q4)で34%、最も多い群(Q5)で36%低下していた(男性のQ1対Q5以外は有意差あり;P<0.05)。

また、女性では虚血性心疾患と脳卒中を合わせた「全ての心血管疾患」の発症リスクについても、マグネシウムの摂取量が3番目に多い群(Q3)、Q4、Q5でそれぞれ20%、16%、29%有意に低いことも分かった。

一方で、マグネシウムの摂取量と脳卒中全体の発症リスクとの間には関連はみられず、脳梗塞と出血性脳卒中の病型別に解析をしても同様の結果が得られた。

研究グループは、マグネシウム以外のミネラル(ナトリウムやカルシウム、カリウム)の摂取量を調整した解析では、男性ではこれらの結果に影響はみられなかったのに対し、女性では摂取量と虚血性心疾患の発症リスクとの関連は弱まったとしている。

しかし、「マグネシウムが不足すると血圧上昇や代謝異常、動脈硬化の進行などの心血管疾患リスクを押し上げる原因となるため、マグネシウムの摂取量を増やすとこれらの予防につながる可能性がある」として、介入研究などで今後検証が進むことが期待されると述べている。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2017年9月19日
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