• 空気清浄機で大気汚染による心臓へのダメージを低減できる可能性

    高レベルの大気汚染は心血管などの状態を悪化させることが指摘されているが、空気清浄機を使用することでそのダメージから身を守ることができる可能性が中国の小規模研究で示唆された。詳細は「Circulation」8月15日号に掲載された。

     この研究は、復旦大学(中国)のHaidong Kan氏らが健康な大学生55人を対象に実施したもの。学生が住んでいる学生寮の部屋に本物または偽物の空気清浄機を設置し、室内と屋外の微小粒子状物質(PM2.5)濃度を測定した。

     その結果、本物の空気清浄機を使用すると、偽物の空気清浄機を使用した場合と比べて室内でのPM2.5への平均曝露量は82%減少した。1日当たりのPM2.5への平均曝露量は、本物の空気清浄機を使用した場合で24.3μg/㎥、偽物の空気清浄機を使用した場合で53.1μg/㎥だった。

     さらに、本物または偽物の空気清浄機を設置してから9日後、学生に血液検査と尿検査を実施したところ、PM2.5への曝露量が増大するほどコルチゾールなどのストレスホルモン値が上昇していることが分かった。また、血糖やアミノ酸、脂肪酸、脂質の値も、使用した空気清浄機が本物か偽物かで差が生じていた他、PM2.5への曝露量が多かった学生では血圧値の上昇やインスリン抵抗性、酸化ストレスおよび炎症のマーカーの上昇が認められたという。

     このことから、Kan氏らは「PM2.5への曝露量の増加に伴うこうした代謝物やバイオマーカーの変化は、大気汚染が心血管に有害な作用をもたらしている一因である可能性がある」と指摘している。

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     米国心臓協会(AHA)のプレスリリースで、同氏らは、空気清浄機の使用によって(1)短期的なストレスホルモン値の低下が認められた(2)1日当たりのPM2.5への曝露量が世界保健機関(WHO)の定める基準範囲内に低下した―ことが今回の研究から得られた主な知見だと紹介。その上で「空気清浄機が健康に有益であることが明らかになったが、実際の生活環境下でも有効なのかどうかについては現時点でははっきりとしていない。また、中国は欧米に比べると大気汚染のレベルが高いため、今回の結果が他の国にも当てはまるのかどうかは不明」として、空気清浄機の長期的な効果や、大気汚染のレベルが低い地域に住む人への効果についてさらなる研究が必要だと述べている。

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    HealthDay News 2017年8月14日
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  • 日本の医療費増加に最も影響する心血管危険因子とは? 獨協医大の研究グループ

    健康診断を受診した茨城県の住民を対象とした研究から、心血管危険因子の中でも「高血圧」が医療費の増加に最も影響を及ぼす因子であり、その影響度は糖尿病や脂質異常症よりも大きく、腹部肥満の有無にかかわらないことを、獨協医科大学公衆衛生学准教授の西連地利己氏らの研究グループが明らかにした。生活習慣病に関連した医療費を抑えるには、腹部肥満の有無にかかわらず高血圧の予防が肝要だという。詳細は「Journal of Epidemiology」8月号に掲載された。

     これまで糖尿病や脂質異常症、高血圧といった心血管危険因子と腹部肥満が医療費に及ぼす影響は明らかにされていなかった。そこで、西連地氏らは、茨城県の健康診断を受診した住民を対象とした茨城県健康研究(Ibaraki Prefectural Health Study)のデータを用いて、肥満に関連した心血管危険因子の医療費への影響度を腹部肥満の有無別に比較検討した。

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     対象は、同研究の第2コホートの参加者のうち、国民健康保険に加入する40~75歳の住民4万3,469人。2009~2013年の対象者の診療報酬データを追跡し、糖尿病、LDL-コレステロール(LDL-C)高値、HDL-コレステロール(HDL-C)低値、高血圧の各心血管危険因子による医療費への影響度を腹部肥満の有無別に比較検討した。なお、腹部肥満はウエスト周囲長が男性で85cm以上、女性で90cm以上と定義した。

     その結果、心血管危険因子および腹部肥満がない場合と比べた医療費比(health expenditure ratio;HER)は、腹部肥満を伴わない場合には糖尿病が1.58倍、高血圧が1.31倍、HDL-C低値が1.27倍、LDL-C高値が1.06倍であり、肥満を伴う場合にはそれぞれ1.42倍、1.26倍、1.11倍、1.03倍、腹部肥満のみで他に心血管危険因子がない場合には1.15倍であった。また、腹部肥満を伴うLDL-C高値を除いて、各危険因子と医療費との間には有意な関連が認められた。

     一方で、各心血管危険因子の人口寄与割合(population attributable fraction;PAF)を比較したところ、腹部肥満を伴わない場合には高血圧が6.5%と最も高く、糖尿病(2.8%)、LDL-C高値(0.8%)、HDL-C低値(0.7%)が続き、腹部肥満を伴う場合でも高血圧が5.0%と最も高く、糖尿病(2.3%)、腹部肥満(1.0%)、HDL-C低値(0.4%)が続いた。

     以上の結果から、西連地氏らは「肥満に関連するとされる心血管危険因子の中でも高血圧は、腹部肥満の有無にかかわらず医療費の増加に最も大きく寄与すると考えられる」と結論づけている。

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    HealthDay News 2017年8月21日
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  • 内臓脂肪と皮下脂肪の面積比は心血管疾患の予測因子 東京医歯大ら、2型糖尿病患者で検討

    2型糖尿病患者では、腹部CT検査で求めた内臓脂肪面積(VFA)と皮下脂肪面積(SFA)の比〔visceral fat area(VFA)/subcutaneous fat area(SFA);V/S比)は心血管疾患(CVD)発症の予測因子としてBMIよりも優れる可能性のあることが、東京医科歯科大学大学院分子内分泌代謝学の福田達也氏と国立国際医療研究センター糖尿病内分泌代謝科の坊内良太郎氏らの検討で分かった。詳細は「Journal of Diabetes Investigation」7月7日オンライン版に掲載された。

     坊内氏らは既に、2型糖尿病患者では、皮下脂肪が少なく内臓脂肪が多い状態は動脈硬化の進展と強く関連する一方で、皮下脂肪が多いと動脈硬化の進展に保護的に働く可能性があることを報告している。同氏らは今回、V/S比に着目し、2型糖尿病患者を対象にV/S比がCVDの初回発症率または再発率とどのように関連するのかを検討する後ろ向き観察研究を行った。

    同氏らは、外来の2型糖尿病患者682人(平均年齢64±13歳、女性が約41%)を対象に、デュアル生体インピーダンス解析(BIA)によりVFAとSFAを評価した。対象患者をV/S比で四分位に分けて、CVDの初回発症率または再発率との関連を比較検討した。CVDは脳卒中、不安定狭心症、心筋梗塞、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)または冠動脈バイパス術(CABG)、血管造影の施行、末梢動脈疾患(PAD)による下肢切断、CVD死と定義した。

     中央値で2.5年の追跡の結果、対象患者のうち21人がCVDを発症した。CVDを発症した患者数はV/S比の上昇に伴って増加した。共変数を調整した多変量モデルにおいて、V/S比の1標準偏差(SD)上昇はCVD発症率の増加と有意に関連した(ハザード比1.82、95%信頼区間1.09~3.04、P=0.021)。同モデルにおいて、推算糸球体濾過量(eGFR)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、抗血小板薬の使用、HbA1c値はCVD発症の有意な予測因子であったが、VFA、SFAおよびBMIとCVD発症率との間には有意な関連はみられなかった。

     年齢やeGFR、BNP、抗血小板薬の使用、HbA1c値にV/S比を加えた場合には、CVD発症のnet reclassification improvement(NRI)とintegrated discrimination improvement(IDI)はともに有意に改善したが、VFA、SFAおよびBMIによる予測能の改善は有意ではなかった。

     以上の結果を踏まえ、坊内氏らは「2型糖尿病患者において、BIAで評価したV/S比はCVDの独立した予測因子となる可能性がある」と結論づけている。

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    HealthDay News 2017年7月24日
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