• 血糖値の変化は2型糖尿病における血圧反射システムの変化マーカー

    糖尿病性自律神経障害の指標である圧反射感受性(血圧の値を一定の範囲に保持するための反射システム)と、心血管イベントの独立したリスク因子であるHbA1cの測定時変動(医療機関で測定するたびに値が変わること)は逆相関することが、東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科の坂本昌也氏らの研究により分かった。

    詳細は「Cardiovascular Diabetology」7月10日オンライン版に掲載された。

    坂本氏らは、以前の研究で2年間に8回以上HbA1cを測定した患者94人のデータを遡って分析した。
    HbA1cの測定時変動は、2年間にHbA1cを8回以上連続測定した患者内変動係数、標準偏差および調整標準偏差を用いて評価し、圧反射感受性を分析した。

    短期血糖変動は、24時間連続グルコースモニタリング中のグルコース変動係数を測定することによって評価した。
    主な目的は、HbA1cの測定時変動と圧反射感受性との間に関係があるかどうかを判断することで、二次的な目的は、他の変数と圧反射感受性との関係、および圧反射感受性に対する長期血糖変動および短期血糖変動のそれぞれの組み合わせ効果を調べることであった。

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    この研究の基準に合致した57人の患者(平均年齢67.2±7.7歳、平均HbA1c 7.3±1.0%)が最終的に分析された。
    検査した独立項目ごとの解析では、HbA1c患者内変動係数(r=-0.354、p= 0.007)、HbA1c標準偏差(r =-0.384、p=0.003)、HbA1c 調整標準偏差(r=-0.391、p=0.003)が 圧反射感受性低下と有意に関連していた。
    独立した項目二つ以上を関係させた分析では、HbA1c患者内変動係数、HbA1c標準偏差、およびHbA1c調整標準偏差が圧反射感受性に逆相関が示した。

    さらに、長期血糖変動または短期血糖変動のいずれかの増加は、圧反射感受性と逆相関したが、長期血糖変動および短期血糖変動が中央値を超える患者では、圧反射感受性のさらなる低下はみられなかった。

    以上の結果から、坂本氏らは「HbA1cの測定時変動は、2型糖尿病患者の平均HbA1cとは独立して、圧反射感受性と逆相関していた。
    したがって、HbA1cの測定時変動は、2型糖尿病における圧反射感受性低下のマーカーとなり得る可能性がある」と結論している。

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    HealthDay News 2018年7月23日
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  • 低用量アスピリンにがん予防効果みられず 日本人2型糖尿病患者で検討、奈良医大など

    日本人の2型糖尿病患者は、低用量のアスピリンを長期にわたり服用しても、服用しなかった場合とがんの罹患率には差がみられない可能性があることが、奈良県立医科大学循環器内科学教授の斎藤能彦氏らによるJPAD研究グループ(国立循環器病研究センター理事長の小川久雄氏と兵庫医科大学教授の森本剛氏、熊本大学准教授の副島弘文氏ら)の検討で分かった。

    ただし、65歳未満の2型糖尿病患者に限ると低用量アスピリンの服用によるがん予防効果が示唆されたという。
    詳細は「Diabetes Care」6月16日オンライン版に掲載された。

    近年、糖尿病とがんには密接な関係があるとされ、日本人の糖尿病患者の死因にはがんが第1位を占めることが報告されている。
    また、心血管疾患予防のために広く用いられている低用量アスピリンには、大腸がんなどのがん予防効果に関する国内外の研究結果も集まりつつある。

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    研究グループは、2型糖尿病患者2,536人を対象に、低用量アスピリン(81mgまたは100mg/日)による動脈硬化性疾患の一次予防効果を検証したランダム化比較試験のJPAD研究を実施。
    同試験の登録患者を、2008年の試験終了時からさらに2015年まで追跡するJPAD2研究を行った結果、低用量アスピリンによる動脈硬化性疾患の一次予防効果は認められず、消化管出血リスクは上昇したことを報告している(Circulation 2017; 135: 659-670)。
    研究グループは今回、JPAD2研究で同時に追跡したがん発症に関するデータを解析し、低用量アスピリンのがん予防効果を検証した。

    中央値で10.7年の追跡期間中に318人ががんに罹患していた。その内訳は、低用量アスピリン投与群は149人、非投与群は169人であり、がん罹患率には両群間で有意な差は認められなかった(ハザード比0.92、95%信頼区間0.73~1.14、P=0.4)。

    また、男女別、研究開始時の年齢別(65歳未満、65歳以上)に解析した結果、男性と女性、65歳以上の患者群では低用量アスピリンによるがん予防効果は認められなかった。

    一方で、65歳未満の患者群では、低用量アスピリン非投与群に比べて投与群でがん罹患率が有意に低下していた(同0.67、0.44~0.99、P=0.048)。
    この結果は、性やHbA1c値(血糖コントロール状況)、喫煙習慣の有無などの因子で調整した解析でも変わらなかった。

    以上の結果から、研究グループは「今回の研究では、日本人の2型糖尿病患者に対する低用量アスピリンのがん予防効果は示されなかった。
    しかし、65歳未満の患者に限定して解析するとがん罹患率は有意に低下する可能性が示された」と結論。
    今後、がんリスクの高い糖尿病患者を対象に、低用量アスピリンの有効性に関するエビデンスが集積していくことが期待されるとしている。

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    HealthDay News 2018年7月2日
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  • 神経筋電気刺激は運動療法の代替となるか? 日本人2型糖尿病患者で検証

    日本人の2型糖尿病患者は、リハビリテーションの一つである神経筋電気刺激(neuromuscular electrical stimulation)により空腹時血糖値と体脂肪率が有意に低下することが、兵庫医療大学リハビリテーション学部理学療法学科の宮本俊朗氏らの研究グループの検討で分かった。

    神経筋電気刺激は認知機能と関連する可能性が示唆されている脳由来神経栄養因子(BDNF)の血中濃度も上昇させた。
    肥満や関節痛などで運動できない2型糖尿病患者において、神経筋電気刺激は運動療法の有用な代替的手段になると期待されるという。
    詳細は「Diabetes Research and Clinical Practice」5月24日オンライン版に掲載された。

    運動は2型糖尿病の予防や治療に不可欠とされるが、肥満や関節痛などのために運動を制限されている患者も多くみられる。
    研究グループは今回、神経筋電気刺激が筋力の回復だけでなく、糖代謝を改善させ、運動療法の代替的手段となる可能性に着目。2型糖尿病患者を対象に、長期にわたる神経筋電気刺激による筋力トレーニングが血糖値や脂質代謝、認知機能と関連する可能性がある血液検査指標〔BDNFおよびインスリン様成長因子1(IGF-1)〕に及ぼす影響を検討するため、ランダム化クロスオーバー試験を実施した。

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    今回の試験には、外来の男性2型糖尿病患者14人(平均年齢63.2±3.0歳)が参加した。
    対象患者を神経筋電気刺激の後に対照期間を設ける群(6人)または対照期間の後に神経筋電気刺激を行う群(8人)にランダムに割り付けた。
    治療期間は対照期間、神経筋電気刺激ともに8週間とし、神経筋電気刺激は40分のセッションを週5日、両下肢に行った。解析は治療を完遂した計12人で行った。

    その結果、神経筋電気刺激の開始前から終了時には、空腹時血糖値と体脂肪率が有意に低下した(P<0.05)。
    一方で、神経筋電気刺激の前後でHbA1c値と脂質値には有意な変化はみられなかった(P≧0.05)。
    また、BDNFの血中濃度は、対照期間中と比べて神経筋電気刺激の期間中に有意に高値を示した。

    これらの結果を踏まえて、研究グループは「8週間の長期にわたる神経筋電気刺激は、対照期間と比べて2型糖尿病患者の空腹時血糖値と体脂肪率を改善し、BDNFの血中濃度に良好な影響を及ぼす可能性のあることが分かった。
    今後は、より長期にわたる神経筋電気刺激や食事療法との併用がHbA1c値や脂質値に影響を及ぼすのかどうかを検証したい」と話している。

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    HealthDay News 2018年6月4日
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  • 長時間労働は若年2型糖尿病患者の血糖管理に悪影響 朝食摂取や夕食の時間帯も影響か

    若年男性の2型糖尿病患者では、週60時間を超える長時間労働と朝食を抜いたり、夜遅い時間帯に夕食を取るといった不健康な食習慣は血糖コントロール不良をもたらす可能性のあることが、金沢城北病院(石川県)内科の莇也寸志氏らの研究グループの調査で分かった。

    調査では、40歳以下の若い2型糖尿病患者の血糖コントロールに影響する労働環境や生活習慣因子には性差がみられることも明らかになった。
    詳細は「Journal of Diabetes Investigation」4月17日オンライン版に掲載された。

    長時間労働や夜勤などの労働環境は、2型糖尿病の発症リスクに関与するほか、2型糖尿病患者の血糖コントロールに悪影響を及ぼす可能性が指摘されているが、日本人では十分に検討されていない。

    また、これまでの国内外の複数の研究で、朝食を抜いたり、夜遅い時間帯に夕食を取るといった食習慣と糖尿病の発症や糖尿病患者の血糖コントロールとの関連が検討されているが、一致した見解は得られていない。

    研究グループは今回、40歳以下の若年成人の2型糖尿病患者を対象に、労働条件(労働時間と職種、雇用形態、シフト勤務)と不健康な生活習慣(朝食を抜く、遅い時間帯に夕食を取る)が血糖コントロール状況に及ぼす影響について調べる前向き研究を実施した。

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    対象は、2011~2013年に96カ所の病院や診療所に通院する20~40歳の外来2型糖尿病患者782人のうち、仕事に就いていない人や学生などを除いた478人(男性352人、女性126人)。
    対象患者を1年後(2013年)のHbA1c値が7.0%未満を達成した血糖コントロール良好群(男性135人、女性44人)とそれ以外の血糖コントロール不良群(各217人、82人)に分けて、HbA1c値に影響する2012年の労働条件および食習慣因子について検討を行った。

    その結果、多変量ロジスティック回帰分析により、男性の勤労者では10年を超える糖尿病の罹病期間(オッズ比2.43)と2012年度のHbA1c値7%超(同8.5)、朝食を抜くと同時に遅い時間帯の夕食を取る習慣(同2.50)、週に60時間を超える労働時間(同2.92)が血糖コントロール不良と関連する因子として浮かび上がった。

    一方で、女性の勤労者では、2012年度のHbA1c値7%超(同17.96)は男性と同様に血糖コントロール不良と関連したが、長時間労働や不健康な食習慣との関連はみられず、それ以外には経口血糖降下薬の服用(同12.49)とインスリン治療(同11.60)が挙げられ、血糖コントロールに関連する因子には性差がみられた。

    以上の結果を踏まえて、研究グループは「若年男性の2型糖尿病患者では、週60時間を超える長時間労働や朝食を抜く、遅い時間帯に夕食を取るといった食習慣は血糖コントロール状況に悪影響を与える可能性がある」と結論づけている。

    また、「血糖値を正常に保つためには、食習慣を改善し、長時間労働を抑制するよう心掛ける必要がある。日本では社会経済的な格差が広がる中、2型糖尿病の発症や進行、管理において労働条件や職場環境がどのように影響するのか、さらに検討を重ねていくことが求められる」との見解を述べている。

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    HealthDay News 2018年5月14日
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  • 遺伝子多型で2型糖尿病罹患の予測能が向上 多目的コホート研究から

    日本人の一般集団において、従来の糖尿病のリスク因子に、ゲノムワイド関連解析(GWAS)で同定された糖尿病に関係する遺伝子多型の情報を加えると糖尿病罹患の予測能が高まる可能性のあることが、国立がん研究センターなどの多目的コホート研究(JPHC研究)グループの調べで分かった。

    詳細は「Diabetic Medicine」2月14日オンライン版に掲載された。

    これまで海外や日本の研究で、糖尿病のなりやすさには特定の遺伝子座の一塩基多型(以下、糖尿病感受性遺伝子多型)が関係することが報告されており、GWASでは日本人の2型糖尿病と関係する数十個以上の糖尿病感受性遺伝子多型が同定されている。

    しかし、これまでの研究の多くは糖尿病患者と糖尿病を有さない患者との比較によるもので、日本人の一般集団を対象とした検討は十分になされていなかった。
    研究グループは今回、JPHC研究に参加した一般住民を長期にわたり前向きに追跡したデータを用いて、糖尿病感受性遺伝子多型による2型糖尿病発症の予測能を検討する前向きの症例対照研究を実施した。

    対象は、1990年および1993年に全国9地域に在住し、1995~1998年に実施した5年後調査から5年間の追跡期間中に新たに糖尿病に罹患した466人と罹患しなかった1,361人(罹患リスク検証セット)および5年後調査と2000~2003年に実施した10年後調査時点で糖尿病を有していた1,463人と糖尿病を有さなかった1,463人(有病リスク検証セット)の計4,753人。
    これまでにGWASにより同定されている11個の糖尿病感受性遺伝子多型による糖尿病罹患の予測能を分析した。

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    その結果、全ての対象者において、年齢や性、居住地域を調整した上で各糖尿病感受性遺伝子多型と糖尿病リスクとの関連について解析したところ、CDKAL1、CDKN2A/B、KCNQ1と呼ばれる遺伝子領域に糖尿病感受性遺伝子多型(それぞれrs2206734、rs2383208、rs2237892)を持つ場合は糖尿病リスクがそれぞれ1.28倍、1.21倍、1.27倍であることが分かった。

    次に、罹患リスク検証セットにおいて、対象者を11個の糖尿病感受性遺伝子多型を保有する数で5群に分けて(Q1:3~9個、Q2:10個、Q3:11個、Q4:12個、Q5:13~17個)、年齢や性、BMIなど従来より糖尿病の罹患予測ができるとされている因子で調整して糖尿病リスクを比較したところ、糖尿病感受性遺伝子多型の数が最も少ない群と比べて最も多い群では糖尿病リスクが2.34倍であった。

    さらに、従来のリスク因子(年齢や性、喫煙歴、BMI、糖尿病家族歴、降圧薬の服用)による糖尿病発症予測モデルに、11個の糖尿病感受性遺伝子多型から成る遺伝的リスクスコアを加えると、従来モデルと比べてわずかに糖尿病罹患の予測能が高まることも明らかになった。

    以上の結果を踏まえて、研究グループは「日本人の一般集団において、従来の糖尿病リスク因子に遺伝子多型の情報を加えると糖尿病罹患の予測能が高まる可能性がある。

    一方で、予測能の向上はわずかであったことから、糖尿病の予防を目的に遺伝子多型の情報を用いる臨床的な有用性は限られたものであるかもしれない」と結論づけている。

    また、今後の研究課題としては、今回は検討できなかった血糖値の変動を考慮した糖尿病罹患予測モデルの開発や11個以外の遺伝子多型を追加したモデルによる予測能の検討が挙げられるとしている。

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    糖尿病とは?血糖値や症状に関する基本情報

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    HealthDay News 2018年5月14日
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  • 肥満と睡眠呼吸障害で高血圧と糖尿病の頻度が増加 短時間睡眠との関連みられず、京都大

    肥満と睡眠呼吸障害(sleep-disordered breathing;SDB)は高血圧や糖尿病と関連し、その関連の程度には性差や閉経前後で差がみられることが、京都大学大学院呼吸器内科学の松本建氏と同大学院呼吸管理睡眠制御学特定教授の陳和夫氏らの研究グループの調べで分かった。

    7千人を超える対象者で客観的な睡眠時間とSDB〔ほとんどは閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea;OSA)と考えられる〕を同時に測定し、肥満や高血圧、糖尿病との関連を調べた研究は世界初のもの。
    SDBや肥満が重症化すると睡眠時間は短縮したが、短時間睡眠自体はこれらの生活習慣病の発症と関連しない可能性も示された。
    詳細は「SLEEP」5月9日オンライン版に掲載された。

    OSAは日中の過度な眠気を引き起こすだけでなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病と関連する可能性があり、最近では短時間睡眠との関連も報告されている。
    また、肥満はOSAの最大の要因であるが、近年、肥満があると睡眠時間が短くなることが報告されるようになった。
    さらに、短時間睡眠は生活習慣病の原因になるとの報告もみられるが、これらの報告の睡眠時間はほとんどが自己申告によるもので、客観的な睡眠時間ではなかった。
    このように、OSAと肥満、短時間睡眠は相互に関連する可能性があるが、これら3つの要因を同時に客観的に測定し、これらの相互の関連を調べた大規模な報告はなされていない。

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    研究グループは今回、同大学と滋賀県長浜市が連携して約1万人の市民を対象に健診データの収集や解析を進めている「ながはま0次予防コホート事業」のデータを用いて、SDBの有無や程度と客観的な指標に基づく睡眠時間を測定し、SDBと短時間睡眠、肥満を同時に考慮した場合の高血圧や糖尿病との関連について検討した。

    研究では、睡眠時間は腕時計型の加速度計と睡眠日誌による客観的な指標を用いて測定し、SDBはパルオキシメーターを用いて評価した。
    2013~2016年に参加した9,850人のうち加速度計で5日間以上(平日4日以上かつ休日1日以上)測定し、パルオキシメーターで2日間以上測定し得た7,051人(71.6%)を対象に解析を行った。
    なお、中等症~重度のSDBの定義は、客観的に評価した睡眠時間で、睡眠1時間当たりの基準値に対して酸素飽和度が3%以上低下した回数が15回以上とし、肥満の定義はBMI 25kg/m2以上とした。

    その結果、睡眠時間は性や閉経前後で差はみられなかったが、治療対象となる中等症以上のSDBの頻度は男性で23.7%と高く、女性では閉経前の1.5%に対して閉経後には9.5%に上昇することが分かった。

    解析の結果、SDBや肥満が重症化すると睡眠時間は短くなることが分かった。
    また、中等症以上のSDBは男女ともに高血圧の発症頻度の上昇と関連したが(SDB正常者に対して男性3.11倍、閉経前女性3.88倍、閉経後女性1.96倍)、糖尿病に関しては、中等症以上のSDBは女性でのみ関連を示し、特に閉経前女性でその発症頻度は28.1倍と著明に上昇した(閉経後女性では3.25倍)。

    さらに、肥満は男女ともに高血圧や糖尿病と関連したが、短時間睡眠自体とこれらの生活習慣病との間には関連はみられなかった。
    なお、従来から明らかな肥満と高血圧、糖尿病の関連は約20%がSDBを間接的に媒介したものであることも分かった。

    以上の結果を踏まえ、研究グループは「今回の研究から、SDBによって睡眠時間が短縮している人がいることや、治療を要するSDBがある人は高血圧や糖尿病に注意が必要で、特に閉経前の女性では糖尿病を慎重に調べる必要がある可能性が示された。

    また、肥満と高血圧や糖尿病との関連はSDBが間接的に媒介していたことから、SDBがある肥満者の治療には減量だけでなくSDB治療を加えると有益な可能性もある。
    中でも、薬物治療の効果が不十分な高血圧や糖尿病の患者ではSDBの存在も考慮する必要がある」と結論づけている。
    調査は現在も継続中で、睡眠時間とSDBの程度やその変化が高血圧や糖尿病に与える影響を縦断的に解析する予定だという。

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    治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

    治験・臨床試験についての詳しい説明

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    HealthDay News 2018年5月21日
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  • 出産回数が多い女性は2型糖尿病に注意? 3万人を超える日本人女性を解析、JPHC研究

    日本人女性は出産回数が多いほど2型糖尿病の発症リスクが上昇する可能性のあることが、国立がん研究センターなどの多目的コホート(JPHC)研究グループの調べで分かった。

    こうした関連は肥満度(BMI)で調整して解析すると弱まったことから、研究グループは産後には体重が増加しやすいことが要因の一つに挙げられるとの見解を示している。
    詳細は「Journal of Diabetes Investigation」4月18日オンライン版に掲載された。

    2型糖尿病のリスク因子には肥満や喫煙、運動不足、糖尿病の家族歴などが挙げられるが、女性ホルモンも糖代謝に影響を及ぼす可能性が指摘されている。
    女性ホルモンのエストロゲンはインスリン抵抗性やインスリン分泌に関与することが知られているが、エストロゲンの血中濃度には月経歴や生殖歴といった女性関連要因が影響することから、これらの要因は2型糖尿病の発症と関連する可能性が示唆されている。
    研究グループは今回、JPHC研究に参加した45歳以上の女性を長期にわたり前向きに追跡したデータを用いて、女性関連要因と2型糖尿病発症との関連を調べた。

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    研究では、ベースライン時(1990~1993年)に全国11地域に在住し、5年後調査(1995~1998年)時点で糖尿病やがん、循環器疾患の既往がない45~75歳の女性3万7,511人を対象に、さらに5年間追跡を行った。
    ベースライン時または5年後調査時に実施したアンケート結果から、対象とした女性の初経年齢と閉経状況、閉経年齢、初経から閉経までの期間、出産回数、初産年齢、授乳歴、ホルモン療法の使用歴、月経周期を調べた。

    また、10年後調査(2000~2003年)時に実施したアンケートで糖尿病の診断歴があると回答した場合を2型糖尿病の発症と判定した。
    追跡期間中に、513人の女性が新たに2型糖尿病を発症した。
    解析の結果、出産経験のない場合と比べて、出産回数が多いほど2型糖尿病リスクは上昇し(傾向P=0.029)、そのリスクは出産回数が1回の女性では1.23倍、2回の女性では1.37倍、3回の女性では1.56倍であった(いずれも多変量調整済みオッズ比)。
    BMIで調整して解析するとこうした関連は弱まり、また出産回数が多い女性ほどBMIは高い傾向がみられた。
    さらに、出産回数以外の女性関連要因と2型糖尿病の発症は関連しないことも分かった。

    以上の結果から、研究グループは「日本人女性は出産回数が多いほど2型糖尿病リスクが高い可能性があり、こうした関連の要因の一つには産後の体重増加が挙げられる」と述べている。
    また、欧米を中心とした研究では初経年齢や閉経年齢、閉経自体が2型糖尿病リスクと関連することが報告されていることから、出産回数以外の女性関連要因も含めて日本人を含むアジア人を対象としたさらなる研究が必要だとしている。

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  • 30歳男性の3人に1人が65歳までに2型糖尿病を発症 日本人会社員5万人超を調査

    5万人を超える60歳未満の会社員を対象に調査した結果、30歳の男性は3人に1人、女性は5人に1人が65歳までに2型糖尿病を発症する可能性があることが分かったと、国立国際医療研究センター臨床研究センター疫学予防研究部のHuanhuan Hu氏らの共同研究グループが「Journal of Epidemiology」5月4日オンライン版に発表した。

    30歳から65歳までの2型糖尿病の累積罹患率を調べたもので、肥満度(BMI)が高いほど罹患率は上昇することも明らかになった。
    研究グループは、特に若年の肥満者を対象とした2型糖尿病の予防策に力を入れるべきだと強調している。

    研究グループは今回、12の企業で働く約10万人の会社員を対象に行われている職域多施設研究(Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study;J-ECOH Study)のデータを用いて、2型糖尿病の累積罹患率を男女別やBMI別に調べる観察研究を行った。

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    対象は、ベースライン時(2008~2010年)に糖尿病を有さず、最大で7年間追跡し得た、11企業で働く30~59歳の会社員5万3,828人(男性4万6,065人、女性7,763人)。2型糖尿病の定義は、健診時のHbA1c値が6.5%以上、空腹時血糖値が126mg/dL以上、随時血糖値が200mg/dL以上、あるいは糖尿病治療を受けている場合とした。

    27万4,349人年の追跡期間中に、3,587人(男性3,339人、女性248人)が2型糖尿病を新たに発症していた。
    解析の結果、30歳から65歳までの2型糖尿病の累積罹患率は男性が34.7%、女性が18.6%であることが分かった。対象者をBMIで層別して解析したところ、2型糖尿病の累積罹患率は男女ともに肥満(BMI 30kg/m2以上;男性77.3%、女性64.8%)と過体重(BMI 25~29.9 kg/m2;それぞれ49.1%、35.7%)の人では、BMIが25 kg/m2未満の適正体重あるいは低体重の人(それぞれ26.2%、13.4%)と比べて高いことも明らかになった。

    これらの結果から、研究グループは「日本人会社員の大規模コホートで、30歳から65歳までの2型糖尿病の累積罹患率を調べた研究は今回が初めてだと思われる。
    この結果から、日本人の会社員は男女ともに2型糖尿病になるリスクが高く、その疾病負荷は大きいと考えられることから、特に若年の肥満者を対象とした効果的な体重管理法や2型糖尿病のスクリーニングプログラムの開発が必要とされる」と述べている。

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    糖尿病とは?血糖値や症状に関する基本情報。体内のインスリン作用が不十分であり、それが起因となり血糖値が高い状態が続いていきます。症状など分類別に解説しています。

    糖尿病とは?血糖値や症状に関する基本情報

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    HealthDay News 2018年5月28日
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  • AIで生活習慣病リスクを高精度に予測-NTTデータら

    NTTデータとNTT(日本電信電話)は5月16日、人工知能(AI)を用いて、健診データから高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の発症リスクを予測するシステムを開発したと発表した。

    継続受診していない場合や受診が一定期間に限られる健診データでも予測精度は90%に達したという。実用化に向けた無償トライアルに参加する生命保険会社を募り、保険商品の開発や加入時の査定、加入後の健康改善などでの有効性を検証する予定だ。

    生保各社が販売する医療保険では、保険料を算定する際などに各種の疾病の発症リスクを予測することが不可欠となる。
    しかし、健診やレセプトデータを多量に入手し、分析する必要があるなどの課題があった。

    また、健診データの分析では、継続受診していない場合や受診期間が一定期間に限られるなど、データが不均質だったりサンプル数が少ないケースも多く、高精度な分析データを得るには限界があった。

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    そこで、NTTらはAI関連技術(商品名:corevo)の一つとして、AIに従来の「発症」「未発症」の分類による学習ではなく、生活習慣病の発症しやすさを比較するランキング学習を行わせ、データの保有期間が短い未発症者のデータも利用できる予測システムを開発した。
    NTTが保有する10万人の最長6年分の健診データで試用したところ、数年後の2型糖尿病の発症を90%の高い精度で予測できたという。

    NTTデータらは、2018年度中に生命保険会社向けのサービス提供を開始することを目指す。
    また、生活習慣病の発症リスクの予測だけでなく、糖尿病発症後の重症化予防に関する研究も進行中であり、対象疾病も拡大していく見込みだとしている。

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    治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

    治験・臨床試験についての詳しい説明

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    HealthDay News 2018年5月28日
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  • 薬局での指先HbA1c検査に優れた費用対効果 糖尿病の早期発見で健康寿命が延伸、筑波大ら

    薬局に開設された「ゆびさきセルフ測定室」で指先HbA1c測定を行うと、測定しなかった場合と比べて、一人当たり5万円程度少ない費用で健康寿命の延伸を図れることが、筑波大学内分泌代謝・糖尿病内科准教授の矢作直也氏と同大学保健医療政策学・医療経済学教授の近藤正英氏、明治薬科大学講師の庄野あい子氏らの共同研究チームの分析で分かった。

    薬局での指先HbA1c測定による医療経済的効果を明らかにした研究は今回が初めて。
    薬局で手軽にHbA1c検査を受けることは糖尿病の早期発見、早期治療を促し、医療費の削減につながると期待される。
    詳細は「Diabetes Care」4月23日オンライン版に掲載された。

    「ゆびさきセルフ測定室」は薬局に開設された検体測定室のことであり、自己穿刺で指先から採取したわずかな血液を用いて糖尿病や脂質異常症に関する項目を検査できる。
    2014年に厚生労働省により新しい仕組みとして新設され、全国各地の薬局やドラッグストアで設置が進められており、2018年3月末時点で1,590カ所に上るという。
    研究チームは今回、薬局での指先HbA1c検査による糖尿病の早期発見に関してモデル解析による医療経済評価を行った。

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    研究チームは、東京都足立区で2010年10月から2014年5月までの期間に10カ所の薬局で指先HbA1c検査を行ったデータのうち、2014年集計時点の2,024人分のデータを用いて、指先HbA1c検査の費用対効果(増分費用効果比;ICER)の推定を行った。

    費用効果分析の手法を用いて、(1)検診や通院治療中に行う随時検査でのみHbA1c検査を受けられた場合と(2)従来の方法に加えて検体測定室でのHbA1c検査を受けられた場合の2つのシナリオで比較した。

    その結果、指先HbA1c検査を受けられた場合、将来にわたる費用は、40~74歳の集団一人当たり5万2,722円減少し、健康寿命の延伸を表す質調整生存年は+0.0203QALYと増加がみられた。
    この結果について、研究チームはプレスリリースで「検体測定室でのHbA1c測定が普及すると、将来の医療費の削減につながる可能性が示唆された」と説明している。
    ただし、費用効果分析の費用と医療費は異なる指標であることから、医療費の削減効果については今後さらなる解析を行う予定だとしている。

    これらの結果を踏まえて、研究チームは「検体測定室の医療経済的な価値が明らかになったことの意義は大きい。
    糖尿病の早期発見、早期治療により健康寿命の延伸と医療費削減を図るため、また、医療経済的観点からも検体測定室のさらなる普及が望まれる」と述べている。

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    HealthDay News 2018年5月7日
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