• 遺伝子多型で2型糖尿病罹患の予測能が向上 多目的コホート研究から

    日本人の一般集団において、従来の糖尿病のリスク因子に、ゲノムワイド関連解析(GWAS)で同定された糖尿病に関係する遺伝子多型の情報を加えると糖尿病罹患の予測能が高まる可能性のあることが、国立がん研究センターなどの多目的コホート研究(JPHC研究)グループの調べで分かった。

    詳細は「Diabetic Medicine」2月14日オンライン版に掲載された。

    これまで海外や日本の研究で、糖尿病のなりやすさには特定の遺伝子座の一塩基多型(以下、糖尿病感受性遺伝子多型)が関係することが報告されており、GWASでは日本人の2型糖尿病と関係する数十個以上の糖尿病感受性遺伝子多型が同定されている。

    しかし、これまでの研究の多くは糖尿病患者と糖尿病を有さない患者との比較によるもので、日本人の一般集団を対象とした検討は十分になされていなかった。
    研究グループは今回、JPHC研究に参加した一般住民を長期にわたり前向きに追跡したデータを用いて、糖尿病感受性遺伝子多型による2型糖尿病発症の予測能を検討する前向きの症例対照研究を実施した。

    対象は、1990年および1993年に全国9地域に在住し、1995~1998年に実施した5年後調査から5年間の追跡期間中に新たに糖尿病に罹患した466人と罹患しなかった1,361人(罹患リスク検証セット)および5年後調査と2000~2003年に実施した10年後調査時点で糖尿病を有していた1,463人と糖尿病を有さなかった1,463人(有病リスク検証セット)の計4,753人。
    これまでにGWASにより同定されている11個の糖尿病感受性遺伝子多型による糖尿病罹患の予測能を分析した。

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    その結果、全ての対象者において、年齢や性、居住地域を調整した上で各糖尿病感受性遺伝子多型と糖尿病リスクとの関連について解析したところ、CDKAL1、CDKN2A/B、KCNQ1と呼ばれる遺伝子領域に糖尿病感受性遺伝子多型(それぞれrs2206734、rs2383208、rs2237892)を持つ場合は糖尿病リスクがそれぞれ1.28倍、1.21倍、1.27倍であることが分かった。

    次に、罹患リスク検証セットにおいて、対象者を11個の糖尿病感受性遺伝子多型を保有する数で5群に分けて(Q1:3~9個、Q2:10個、Q3:11個、Q4:12個、Q5:13~17個)、年齢や性、BMIなど従来より糖尿病の罹患予測ができるとされている因子で調整して糖尿病リスクを比較したところ、糖尿病感受性遺伝子多型の数が最も少ない群と比べて最も多い群では糖尿病リスクが2.34倍であった。

    さらに、従来のリスク因子(年齢や性、喫煙歴、BMI、糖尿病家族歴、降圧薬の服用)による糖尿病発症予測モデルに、11個の糖尿病感受性遺伝子多型から成る遺伝的リスクスコアを加えると、従来モデルと比べてわずかに糖尿病罹患の予測能が高まることも明らかになった。

    以上の結果を踏まえて、研究グループは「日本人の一般集団において、従来の糖尿病リスク因子に遺伝子多型の情報を加えると糖尿病罹患の予測能が高まる可能性がある。

    一方で、予測能の向上はわずかであったことから、糖尿病の予防を目的に遺伝子多型の情報を用いる臨床的な有用性は限られたものであるかもしれない」と結論づけている。

    また、今後の研究課題としては、今回は検討できなかった血糖値の変動を考慮した糖尿病罹患予測モデルの開発や11個以外の遺伝子多型を追加したモデルによる予測能の検討が挙げられるとしている。

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    HealthDay News 2018年5月14日
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  • 肥満と睡眠呼吸障害で高血圧と糖尿病の頻度が増加 短時間睡眠との関連みられず、京都大

    肥満と睡眠呼吸障害(sleep-disordered breathing;SDB)は高血圧や糖尿病と関連し、その関連の程度には性差や閉経前後で差がみられることが、京都大学大学院呼吸器内科学の松本建氏と同大学院呼吸管理睡眠制御学特定教授の陳和夫氏らの研究グループの調べで分かった。

    7千人を超える対象者で客観的な睡眠時間とSDB〔ほとんどは閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea;OSA)と考えられる〕を同時に測定し、肥満や高血圧、糖尿病との関連を調べた研究は世界初のもの。
    SDBや肥満が重症化すると睡眠時間は短縮したが、短時間睡眠自体はこれらの生活習慣病の発症と関連しない可能性も示された。
    詳細は「SLEEP」5月9日オンライン版に掲載された。

    OSAは日中の過度な眠気を引き起こすだけでなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病と関連する可能性があり、最近では短時間睡眠との関連も報告されている。
    また、肥満はOSAの最大の要因であるが、近年、肥満があると睡眠時間が短くなることが報告されるようになった。
    さらに、短時間睡眠は生活習慣病の原因になるとの報告もみられるが、これらの報告の睡眠時間はほとんどが自己申告によるもので、客観的な睡眠時間ではなかった。
    このように、OSAと肥満、短時間睡眠は相互に関連する可能性があるが、これら3つの要因を同時に客観的に測定し、これらの相互の関連を調べた大規模な報告はなされていない。

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    研究グループは今回、同大学と滋賀県長浜市が連携して約1万人の市民を対象に健診データの収集や解析を進めている「ながはま0次予防コホート事業」のデータを用いて、SDBの有無や程度と客観的な指標に基づく睡眠時間を測定し、SDBと短時間睡眠、肥満を同時に考慮した場合の高血圧や糖尿病との関連について検討した。

    研究では、睡眠時間は腕時計型の加速度計と睡眠日誌による客観的な指標を用いて測定し、SDBはパルオキシメーターを用いて評価した。
    2013~2016年に参加した9,850人のうち加速度計で5日間以上(平日4日以上かつ休日1日以上)測定し、パルオキシメーターで2日間以上測定し得た7,051人(71.6%)を対象に解析を行った。
    なお、中等症~重度のSDBの定義は、客観的に評価した睡眠時間で、睡眠1時間当たりの基準値に対して酸素飽和度が3%以上低下した回数が15回以上とし、肥満の定義はBMI 25kg/m2以上とした。

    その結果、睡眠時間は性や閉経前後で差はみられなかったが、治療対象となる中等症以上のSDBの頻度は男性で23.7%と高く、女性では閉経前の1.5%に対して閉経後には9.5%に上昇することが分かった。

    解析の結果、SDBや肥満が重症化すると睡眠時間は短くなることが分かった。
    また、中等症以上のSDBは男女ともに高血圧の発症頻度の上昇と関連したが(SDB正常者に対して男性3.11倍、閉経前女性3.88倍、閉経後女性1.96倍)、糖尿病に関しては、中等症以上のSDBは女性でのみ関連を示し、特に閉経前女性でその発症頻度は28.1倍と著明に上昇した(閉経後女性では3.25倍)。

    さらに、肥満は男女ともに高血圧や糖尿病と関連したが、短時間睡眠自体とこれらの生活習慣病との間には関連はみられなかった。
    なお、従来から明らかな肥満と高血圧、糖尿病の関連は約20%がSDBを間接的に媒介したものであることも分かった。

    以上の結果を踏まえ、研究グループは「今回の研究から、SDBによって睡眠時間が短縮している人がいることや、治療を要するSDBがある人は高血圧や糖尿病に注意が必要で、特に閉経前の女性では糖尿病を慎重に調べる必要がある可能性が示された。

    また、肥満と高血圧や糖尿病との関連はSDBが間接的に媒介していたことから、SDBがある肥満者の治療には減量だけでなくSDB治療を加えると有益な可能性もある。
    中でも、薬物治療の効果が不十分な高血圧や糖尿病の患者ではSDBの存在も考慮する必要がある」と結論づけている。
    調査は現在も継続中で、睡眠時間とSDBの程度やその変化が高血圧や糖尿病に与える影響を縦断的に解析する予定だという。

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    HealthDay News 2018年5月21日
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  • 出産回数が多い女性は2型糖尿病に注意? 3万人を超える日本人女性を解析、JPHC研究

    日本人女性は出産回数が多いほど2型糖尿病の発症リスクが上昇する可能性のあることが、国立がん研究センターなどの多目的コホート(JPHC)研究グループの調べで分かった。

    こうした関連は肥満度(BMI)で調整して解析すると弱まったことから、研究グループは産後には体重が増加しやすいことが要因の一つに挙げられるとの見解を示している。
    詳細は「Journal of Diabetes Investigation」4月18日オンライン版に掲載された。

    2型糖尿病のリスク因子には肥満や喫煙、運動不足、糖尿病の家族歴などが挙げられるが、女性ホルモンも糖代謝に影響を及ぼす可能性が指摘されている。
    女性ホルモンのエストロゲンはインスリン抵抗性やインスリン分泌に関与することが知られているが、エストロゲンの血中濃度には月経歴や生殖歴といった女性関連要因が影響することから、これらの要因は2型糖尿病の発症と関連する可能性が示唆されている。
    研究グループは今回、JPHC研究に参加した45歳以上の女性を長期にわたり前向きに追跡したデータを用いて、女性関連要因と2型糖尿病発症との関連を調べた。

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    研究では、ベースライン時(1990~1993年)に全国11地域に在住し、5年後調査(1995~1998年)時点で糖尿病やがん、循環器疾患の既往がない45~75歳の女性3万7,511人を対象に、さらに5年間追跡を行った。
    ベースライン時または5年後調査時に実施したアンケート結果から、対象とした女性の初経年齢と閉経状況、閉経年齢、初経から閉経までの期間、出産回数、初産年齢、授乳歴、ホルモン療法の使用歴、月経周期を調べた。

    また、10年後調査(2000~2003年)時に実施したアンケートで糖尿病の診断歴があると回答した場合を2型糖尿病の発症と判定した。
    追跡期間中に、513人の女性が新たに2型糖尿病を発症した。
    解析の結果、出産経験のない場合と比べて、出産回数が多いほど2型糖尿病リスクは上昇し(傾向P=0.029)、そのリスクは出産回数が1回の女性では1.23倍、2回の女性では1.37倍、3回の女性では1.56倍であった(いずれも多変量調整済みオッズ比)。
    BMIで調整して解析するとこうした関連は弱まり、また出産回数が多い女性ほどBMIは高い傾向がみられた。
    さらに、出産回数以外の女性関連要因と2型糖尿病の発症は関連しないことも分かった。

    以上の結果から、研究グループは「日本人女性は出産回数が多いほど2型糖尿病リスクが高い可能性があり、こうした関連の要因の一つには産後の体重増加が挙げられる」と述べている。
    また、欧米を中心とした研究では初経年齢や閉経年齢、閉経自体が2型糖尿病リスクと関連することが報告されていることから、出産回数以外の女性関連要因も含めて日本人を含むアジア人を対象としたさらなる研究が必要だとしている。

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    HealthDay News 2018年5月21日
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  • 30歳男性の3人に1人が65歳までに2型糖尿病を発症 日本人会社員5万人超を調査

    5万人を超える60歳未満の会社員を対象に調査した結果、30歳の男性は3人に1人、女性は5人に1人が65歳までに2型糖尿病を発症する可能性があることが分かったと、国立国際医療研究センター臨床研究センター疫学予防研究部のHuanhuan Hu氏らの共同研究グループが「Journal of Epidemiology」5月4日オンライン版に発表した。

    30歳から65歳までの2型糖尿病の累積罹患率を調べたもので、肥満度(BMI)が高いほど罹患率は上昇することも明らかになった。
    研究グループは、特に若年の肥満者を対象とした2型糖尿病の予防策に力を入れるべきだと強調している。

    研究グループは今回、12の企業で働く約10万人の会社員を対象に行われている職域多施設研究(Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study;J-ECOH Study)のデータを用いて、2型糖尿病の累積罹患率を男女別やBMI別に調べる観察研究を行った。

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    対象は、ベースライン時(2008~2010年)に糖尿病を有さず、最大で7年間追跡し得た、11企業で働く30~59歳の会社員5万3,828人(男性4万6,065人、女性7,763人)。2型糖尿病の定義は、健診時のHbA1c値が6.5%以上、空腹時血糖値が126mg/dL以上、随時血糖値が200mg/dL以上、あるいは糖尿病治療を受けている場合とした。

    27万4,349人年の追跡期間中に、3,587人(男性3,339人、女性248人)が2型糖尿病を新たに発症していた。
    解析の結果、30歳から65歳までの2型糖尿病の累積罹患率は男性が34.7%、女性が18.6%であることが分かった。対象者をBMIで層別して解析したところ、2型糖尿病の累積罹患率は男女ともに肥満(BMI 30kg/m2以上;男性77.3%、女性64.8%)と過体重(BMI 25~29.9 kg/m2;それぞれ49.1%、35.7%)の人では、BMIが25 kg/m2未満の適正体重あるいは低体重の人(それぞれ26.2%、13.4%)と比べて高いことも明らかになった。

    これらの結果から、研究グループは「日本人会社員の大規模コホートで、30歳から65歳までの2型糖尿病の累積罹患率を調べた研究は今回が初めてだと思われる。
    この結果から、日本人の会社員は男女ともに2型糖尿病になるリスクが高く、その疾病負荷は大きいと考えられることから、特に若年の肥満者を対象とした効果的な体重管理法や2型糖尿病のスクリーニングプログラムの開発が必要とされる」と述べている。

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  • AIで生活習慣病リスクを高精度に予測-NTTデータら

    NTTデータとNTT(日本電信電話)は5月16日、人工知能(AI)を用いて、健診データから高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の発症リスクを予測するシステムを開発したと発表した。

    継続受診していない場合や受診が一定期間に限られる健診データでも予測精度は90%に達したという。実用化に向けた無償トライアルに参加する生命保険会社を募り、保険商品の開発や加入時の査定、加入後の健康改善などでの有効性を検証する予定だ。

    生保各社が販売する医療保険では、保険料を算定する際などに各種の疾病の発症リスクを予測することが不可欠となる。
    しかし、健診やレセプトデータを多量に入手し、分析する必要があるなどの課題があった。

    また、健診データの分析では、継続受診していない場合や受診期間が一定期間に限られるなど、データが不均質だったりサンプル数が少ないケースも多く、高精度な分析データを得るには限界があった。

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    そこで、NTTらはAI関連技術(商品名:corevo)の一つとして、AIに従来の「発症」「未発症」の分類による学習ではなく、生活習慣病の発症しやすさを比較するランキング学習を行わせ、データの保有期間が短い未発症者のデータも利用できる予測システムを開発した。
    NTTが保有する10万人の最長6年分の健診データで試用したところ、数年後の2型糖尿病の発症を90%の高い精度で予測できたという。

    NTTデータらは、2018年度中に生命保険会社向けのサービス提供を開始することを目指す。
    また、生活習慣病の発症リスクの予測だけでなく、糖尿病発症後の重症化予防に関する研究も進行中であり、対象疾病も拡大していく見込みだとしている。

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  • 薬局での指先HbA1c検査に優れた費用対効果 糖尿病の早期発見で健康寿命が延伸、筑波大ら

    薬局に開設された「ゆびさきセルフ測定室」で指先HbA1c測定を行うと、測定しなかった場合と比べて、一人当たり5万円程度少ない費用で健康寿命の延伸を図れることが、筑波大学内分泌代謝・糖尿病内科准教授の矢作直也氏と同大学保健医療政策学・医療経済学教授の近藤正英氏、明治薬科大学講師の庄野あい子氏らの共同研究チームの分析で分かった。

    薬局での指先HbA1c測定による医療経済的効果を明らかにした研究は今回が初めて。
    薬局で手軽にHbA1c検査を受けることは糖尿病の早期発見、早期治療を促し、医療費の削減につながると期待される。
    詳細は「Diabetes Care」4月23日オンライン版に掲載された。

    「ゆびさきセルフ測定室」は薬局に開設された検体測定室のことであり、自己穿刺で指先から採取したわずかな血液を用いて糖尿病や脂質異常症に関する項目を検査できる。
    2014年に厚生労働省により新しい仕組みとして新設され、全国各地の薬局やドラッグストアで設置が進められており、2018年3月末時点で1,590カ所に上るという。
    研究チームは今回、薬局での指先HbA1c検査による糖尿病の早期発見に関してモデル解析による医療経済評価を行った。

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    研究チームは、東京都足立区で2010年10月から2014年5月までの期間に10カ所の薬局で指先HbA1c検査を行ったデータのうち、2014年集計時点の2,024人分のデータを用いて、指先HbA1c検査の費用対効果(増分費用効果比;ICER)の推定を行った。

    費用効果分析の手法を用いて、(1)検診や通院治療中に行う随時検査でのみHbA1c検査を受けられた場合と(2)従来の方法に加えて検体測定室でのHbA1c検査を受けられた場合の2つのシナリオで比較した。

    その結果、指先HbA1c検査を受けられた場合、将来にわたる費用は、40~74歳の集団一人当たり5万2,722円減少し、健康寿命の延伸を表す質調整生存年は+0.0203QALYと増加がみられた。
    この結果について、研究チームはプレスリリースで「検体測定室でのHbA1c測定が普及すると、将来の医療費の削減につながる可能性が示唆された」と説明している。
    ただし、費用効果分析の費用と医療費は異なる指標であることから、医療費の削減効果については今後さらなる解析を行う予定だとしている。

    これらの結果を踏まえて、研究チームは「検体測定室の医療経済的な価値が明らかになったことの意義は大きい。
    糖尿病の早期発見、早期治療により健康寿命の延伸と医療費削減を図るため、また、医療経済的観点からも検体測定室のさらなる普及が望まれる」と述べている。

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  • 魚料理や味噌汁を毎日食べる人ではインスリン抵抗性が低い ながはま0次予防コホートを解析、京大

    日本人の食習慣の一部は、2型糖尿病の原因となるインスリン抵抗性と関連しており、魚料理や味噌汁、野菜を毎日食べ、夕食時の主食や卵料理、果物の摂取を控えている人ではインスリン抵抗性が低いことが、京都大学大学院糖尿病・内分泌・栄養内科学の池田香織氏と同教授の稲垣暢也氏らの研究グループの検討で分かった。

    日本では他国と比べて冠動脈疾患が少ないことが知られており、研究グループは食習慣の中でも味噌汁など日本独自の食文化が影響している可能性を指摘している。
    詳細は「Diabetes Research and Clinical Practice」7月号に掲載される。

    冠動脈疾患リスクの一部には食生活の変化が影響すると考えられているが、過去60年間で日本の食習慣は欧米化が進むなど大きく変化しているにもかかわらず、冠動脈疾患は他国と比べて比較的少ないまま推移している。

    また、いくつかの食習慣は糖尿病の発症と関連することが報告されているが、その機序についてはよく分かっていない。
    なお、糖尿病の発症原因の一つとなるインスリン抵抗性とインスリン分泌能については、これらの程度を空腹時の採血による血糖値とインスリン値から推定するHOMA(Homeostasis Model Assessment)指数が有用とされている。

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    研究グループは今回、日本人における糖尿病の発症の有無や冠動脈疾患の少なさに日本独特の食習慣が寄与している可能性に着目。
    滋賀県長浜市の住民を対象とした「ながはま0次予防コホート事業」のデータを用いて、インスリン抵抗性およびインスリン分泌能と食習慣との関連を調べた。

    対象は、2008~2010年に同コホート研究に参加し、ベースライン時の質問票調査に回答した30~74歳の成人男女9,764人のうち、採血前の絶食時間が10時間以上であった4,327人(女性2,956人、男性1,371人)。
    妊婦、経口血糖降下薬やインスリン、ステロイドを服用中の人、腎機能が低下した人、低血糖や高血糖を呈する人などは解析から除外した。
    インスリン抵抗性の指標であるHOMA-IR、インスリン分泌能を反映するHOMA-βを算出し、それぞれをlog HOMA-IR、log HOMA-βに変換して年齢やBMI、喫煙習慣、病歴、糖尿病の家族歴のほか、アルコール摂取を含む20項目の食習慣に関する項目との関連を調べた。

    食習慣については、朝食や昼食、夕食にお米やパン、麺類などの主食を摂取する頻度や肉料理、魚料理、豆腐料理、卵料理、野菜料理、牛乳や果物、味噌汁などの摂取頻度を尋ねた。

    解析の結果、女性では、炭水化物が多く含まれる主食を夕食に毎日取るとインスリン抵抗性(HOMA-IR)が高まり(週に4~5回以下の人と比べて1.07倍、P=0.013)、魚料理や味噌汁を毎日食べるとインスリン抵抗性が低いことが分かった(それぞれ週に1回以下の人と比べて0.90倍、P=0.043、週に2~3回以下の人と比べて0.95倍、P=0.038)。
    これらの関連はインスリン分泌能(HOMA-β)でも同様に認められた。

    また、男性では、卵料理を週に4~5回(週に1回以下の人と比べて1.14倍、P=0.011)、または果物を毎日(週に4~5回以下の人と比べて1.13倍、P=0.008)食べるとインスリン抵抗性が高まり、野菜を毎日食べるとインスリン抵抗性が低下する(週に4~5回以下の人と比べて0.91倍、P=0.003)ことが分かった。

    また、男性ではアルコールの摂取頻度が週に4回以上の人では、飲まない人と比べてインスリン抵抗性が有意に低く(0.86倍、P<0.001)、インスリン分泌能にも低下がみられた(0.77倍、P<0.001)。

    以上の結果を踏まえて、研究グループは「食習慣の中でも魚料理や味噌汁、野菜を毎日摂取する人ではインスリン抵抗性が低く、夕食時の主食や卵料理、果物を多く摂取する人ではインスリン抵抗性が高いことが、糖尿病や冠動脈疾患の発症に関連している可能性が考えられる。
    特に味噌汁は日本人の食卓に欠かせない料理であり、日本の伝統食の健康へのベネフィットを再評価する必要もあるだろう」と述べている。

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  • DXA法で判定したサルコペニア肥満は心血管リスクの予測に有用 日本人2型糖尿病患者で検討、東京医歯大ら

    2型糖尿病患者では、二重エネルギーX線吸収測定法(dual energy X-ray absorptiometry;DXA法)による全身の体組成測定を用いて判定したサルコペニア肥満が併存すると将来、心血管疾患を発症するリスクが高まる可能性のあることが、東京医科歯科大学大学院分子内分泌代謝学の福田達也氏と国立国際医療研究センター糖尿病内分泌代謝科の坊内良太郎氏らの研究グループの検討で分かった。

    また、骨格筋指数(SMI)が低いことに加えて内臓脂肪と皮下脂肪の比率(A/G比)または内臓脂肪量に基づきサルコペニア肥満を判定することが、心血管イベントリスクの予測に適している可能性も示唆された。
    詳細は「Cardiovascular Diabetology」4月10日オンライン版に掲載された。

    これまでの横断研究で、主に加齢に伴って筋肉量が減少し、筋力が低下するサルコペニアに肥満を伴う「サルコペニア肥満」は心血管疾患リスクを上昇させることが報告されている。

    また、サルコペニア肥満の判定には全身の脂肪量と除脂肪量(内臓や筋肉)を計測できるDXA法が適すると考えられている。
    しかし、DXA法による全身の体組成測定で判定したサルコペニア肥満が将来の心血管疾患の発症リスクの予測に有用かどうかは明らかにされていない。

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    研究グループは今回、サルコペニア肥満のリスクが高い2型糖尿病患者を対象に、DXA法による全身測定で判定したサルコペニア肥満と心血管疾患の発症リスクとの関連を調べ、またDXA法で評価した指標のうち、どの指標が心血管疾患の発症リスクの予測に有用なのかを調べる後ろ向き観察研究を行った。

    対象は、2008~2015年に東京医科歯科大学医学部附属病院に通院していた2型糖尿病患者716人(平均年齢65±13歳、女性47%)。
    追跡期間中にDXA法による全身の体組成測定を行い、内臓脂肪量に相当する腹部脂肪量(android fat mass)と臀部や太腿などの下半身の皮下脂肪量(gynoid fat mass)、骨格筋指数〔skeletal muscle mass index;SMI、四肢骨格筋量(kg)を身長(m)の二乗で除したもの〕を求めた。
    サルコペニア肥満はSMI低値(7.0kg/m2未満)に加えて、内臓脂肪と皮下脂肪のバランスの指標であるA/G比(android-gynoid比;内臓脂肪と皮下脂肪の比)、上半身の脂肪量、体脂肪率(%BF)が性特異的な中央値を超える場合、あるいはBMI 25kg/m2以上を伴う場合と定義した。

    A/G比を用いた場合、対象患者のうち83人(11.6%)にサルコペニア肥満が認められた。
    中央値で2.6年間の追跡期間中に、対象患者のうち53人が心血管疾患を発症した。
    交絡因子を調整した多変量解析の結果、サルコペニア肥満は心血管イベントの発症と有意に関連することが分かった。

    また、肥満の判定に用いた指標のうちA/G比(ハザード比2.63、95%信頼区間1.10~6.28、P=0.030)またはandroid fat mass(同2.57、1.01~6.54)で判定したサルコペニア肥満は心血管イベントの発症リスクと有意に関連したが、%BFおよびBMIを用いた判定では有意な関連は認められなかった。

    以上の結果を踏まえて、研究グループは「今回の結果から、DXA法による全身の体組成測定はサルコペニア肥満の判定に有用な検査法であり、SMI低値+A/G比またはandroid fat massで判定したサルコペニア肥満は、2型糖尿病患者における心血管イベントリスクの判定に有用な可能性があることが分かった。

    一方で、体脂肪率やBMIによるサルコペニア肥満の判定は心血管イベントリスクの予測には適さない可能性も示された」と結論づけている。

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    HealthDay News 2018年5月1日
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  • 痩せている女性でも高血糖リスクが高まる理由は? 筋肉の量と質が関与か、順天堂大

    痩せていても筋肉量が少なく、骨格筋に異所性脂肪が蓄積している女性は高血糖になりやすい可能性のあることが、順天堂大学大学院スポートロジーセンター長の河盛隆造氏や同大学院准教授の田村好史氏らの研究グループの検討で分かった。

    これまで痩せている女性は糖尿病の発症リスクが高いことが報告されている。
    研究グループはその理由として筋肉の量と質の関与が考えられることから、痩せている女性は筋肉の量を増やし、質を改善するような食事と運動を心掛ける必要があるとしている。]
    詳細は「Journal of the Endocrine Society」2月19日オンライン版に掲載された。

    女性は肥満だけでなく、BMIが18.5未満の「痩せ」の女性の増加も国際的に問題視されている。
    日本人も例外ではなく、女性の8人に1人、20歳代の女性では5人に1人以上が痩せと判定されている。
    一方で、これまでの研究で痩せた女性は肥満した女性と同様に糖尿病の発症リスクが高いことが報告されているが、痩せた女性における糖代謝については十分に検討されていない。
    研究グループは今回、若年女性と閉経後女性を対象に糖代謝と身体的な特徴を適正体重の女性と比較する研究を行った。

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    対象は、低体重の若年女性(20~29歳)31人と閉経後女性(50~65歳)30人、適正体重の若年女性13人と閉経後女性10人。
    対象者には75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を実施し、二重エネルギーX線吸収度法(dual energy X-ray absorptiometry;DXA法)による体組成測定とプロトンMRS法による異所性脂肪測定を行った。

    その結果、若年女性では、痩せの女性と適正体重の女性で糖代謝に差はみられなかった。
    一方で、閉経後女性では、適正体重の女性と比べて痩せの女性は糖負荷2時間後の血糖値が140mg/dL以上となる耐糖能異常(IGT)を呈する人が多く、測定した女性のうち37%(30人中11人)がIGTであることが分かった。
    この結果について、研究グループはプレスリリースで「同年代の日本人女性におけるIGTの割合は17%程度と報告されており、今回対象とした女性では高い割合となっていた」とコメントしている。

    また、痩せた閉経後女性では、OGTTによる糖負荷2時間後の血糖値は筋肉量を反映する除脂肪体重とインスリン分泌指数、骨格筋細胞内の脂質量との相関が認められ、糖負荷2時間後の血糖値が高い人は除脂肪体重とインスリン分泌が低く、骨格筋細胞内の脂質量が多いことが分かった。

    研究グループによると、痩せて筋肉量が少ない女性は、食後に十分な量のブドウ糖を筋肉に取り込めず高血糖を来しやすくなるほか、筋肉への脂肪蓄積はインスリン抵抗性を引き起こし、ブドウ糖を筋肉に取り込めなくなって高血糖になりやすくなる機序が考えられるという。

    以上の結果を踏まえて、研究グループは「痩せた女性でも糖尿病リスクが高まる要因には、筋肉の質と量が関与している可能性がある。
    こうした女性はバランスの取れた食事を適量取り、レジスタンス運動や有酸素運動を行って筋肉の質と量を高めることが大切だ」と述べている。

    また、今回の検討では、若い女性では痩せた女性と適正体重の女性で糖代謝に差はみられなかったが、この点について、研究グループは「若い女性が極端な炭水化物制限などのダイエットを行ったりすると、身体に必要なブドウ糖を産生して供給する筋肉が分解されてしまうほか、たんぱく質の摂取不足によって高齢者のサルコペニアと同程度に筋肉の量が低下してしまう恐れがある」と説明し、痩せた若年女性も筋肉の量と質の向上に気をつけるよう助言している。

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    HealthDay News 2018年5月1日
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  • 20%以上の体重減少で骨粗鬆症性骨折リスクが上昇 日本人糖尿病患者の大規模コホート研究を解析

    閉経後女性を含む日本人の2型糖尿病患者では、体重が最大体重から20%以上減少すると骨粗鬆症性骨折を起こしやすくなる可能性のあることが、白十字病院(福岡県)副院長・糖尿病センター長の岩瀬正典氏らの研究グループの検討で分かった。

    これらの関連は特に男性で強かったという。
    詳細は「Diabetes Care」3月14日オンライン版に掲載された。

    近年、一般集団では体重減少は骨折リスクの上昇と関連することを示すエビデンスが蓄積しているが、2型糖尿病患者ではこれらの関連は大規模な研究で十分に検討されていない。
    研究グループは今回、大規模な前向き疫学調査である福岡県糖尿病患者データベース研究(Fukuoka Diabetes Registry;FDR)のデータを用いて、最大体重からの体重減少率と骨粗鬆症性骨折リスクとの関連を前向きに調べた。

    対象は、2008年4月~2010年10月に同県内の糖尿病専門施設に通院する外来糖尿病患者5,131人のうち、1型糖尿病患者などを除き、骨折の発生を追跡し得た4,706人。
    このうち2,755人が男性、1,951人は閉経後女性であり、平均年齢は66歳であった。対象患者を中央値で5.3年間追跡し、登録時の最大体重からの体重減少率で4群(10%未満、10~20%未満、20~30%未満、30%以上)に分けて、大腿骨および椎体における骨粗鬆症性骨折の発生率を比較検討した。

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    追跡期間中に198人が骨粗鬆症性骨折を来した。
    年齢や性で調整した1,000人年当たりの骨粗鬆症性骨折の発生率は、最大体重からの体重減少率10%未満群が6.4、10~20%未満群が7.8、20~30%未満群が11.7、30%以上群が19.2であった。

    多変量調整比例ハザードモデル解析の結果、全ての対象患者において骨粗鬆症性骨折リスクは、体重減量率10%未満群と比べて10~20%未満群では1.24倍、20~30%未満群では1.77倍、30%以上群では2.84倍であった。
    また、骨粗鬆症性骨折リスクは、男性ではそれぞれ1.48倍、2.23倍、5.20倍、閉経後女性ではそれぞれ1.19倍、1.62倍、1.97倍であり、体重減少率が20%を超えると骨粗鬆症性骨折リスクが大きく上昇することが分かった。

    さらに、体重減少と骨折リスクとの関連には、男性と閉経後女性それぞれとの間には交互作用を認めたが、高齢(70歳以上)や糖尿病罹病期間(15年以上)、肥満(BMI 25以上)、肥満の既往歴、定期的な運動とは交互作用を認めなかった。

    以上の結果を踏まえて、研究グループは「2型糖尿病患者では意図的かどうかにかかわらず、最大体重から20%以上の体重減少がみられた場合には、骨粗鬆症性骨折リスクを考慮して骨折予防に努める必要があるだろう」と述べている。

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    HealthDay News 2018年3月26日
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