子宮がん検診ってすごく大事!手遅れにならないために

子宮がん検診について

子宮がん検診を受けて早期発見できれば早期治療ができる病気ということはご存知でしょうか?産婦人科や検診機関で受けられる子宮がん検診を定期的に受けることが大切です。本記事は、子宮がんとはから検診内容についてご説明します。

  1. 1. はじめに
  2. 2. 子宮がんとは
  3. 3. 子宮がんの症状 可能性のある人
  4. 4. 子宮がん検診の検査項目、見方、料金
  5. 5.子宮がんにならないために
  6. 6. まとめ

はじめに

現在、日本人の2人に1人は一生の間に一度はがんにかかると言われています。
その中でも子宮がん(特に子宮の入り口付近にできる子宮頸(けい)がん)は検診による早期発見・早期治療により、治癒の望めるがんの一つです。
今回は子宮がんとは何か、原因、そして検診や予防法について説明します。

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子宮がんとは

子宮がんってどれくらいいるの?
2012年の1年間に子宮がんと診断された女性(罹患(りかん)数)は約25,000人います。女性の罹るがんの中では、乳がん、大腸がん、胃がん、肺がんに続いて5番目に多いがんになります。
また、2014年の1年間に子宮がんで亡くなった女性(死亡数)は約6,400人に上ります。部位別の死亡数は大腸がん、肺がん、胃がん、膵臓がん、乳がんの順に多くなっています。

子宮がんには2種類ある
子宮がんは、がんのできる場所によって2種類に分類されます。子宮の入り口付近(足側)にできるがんを子宮頸(けい)がんと言います。それに対して、子宮の奥(お腹側)にできるがんを子宮体がんと言い、婦人科がんの中で最も多いのは子宮体がんです。この2種類はそれぞれ罹りやすい年齢・治療方法・予後いずれも異なるため注意が必要です。

(1)子宮頸がんはなぜ起こるの?
子宮頸がんの多くはヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することによって起こります。HPVは性交渉によって感染します。しかしHPVに感染すると必ずがんに至るわけでなく、ほとんどの場合は感染しても自然に排除されます。また、喫煙も子宮頸がんのリスク要因(子宮頸がんになりやすい)になっています。

(2)子宮体がんはなぜ起こるの?
子宮体がんのほとんどはエストロゲンという女性ホルモンの影響を長期間受けることによって発生します。したがって子宮体がんのリスク要因として、肥満(※1)、初潮が早い(10歳以下)、閉経が遅い(55歳以上)、出産経験がない・少ないなどが挙げられます。
※1 脂肪細胞からエストロゲンに似たホルモンが分泌されるため。

子宮がんの症状 可能性のある人

子宮頸がんの多い年齢
子宮頸がんは、年齢別では20代後半から40歳前後までの若い女性に多くなっています。最近は罹患率(がんに罹る率)も死亡率も若い世代では増加傾向にあります。この背景には性交渉の低年齢化、検診受診率の低さなどがあると言われています。

子宮頸がんの症状
初期症状はほとんどありません。現れる症状としては、性行為時の出血、月経の量や期間が長引く、普段とはおりものの量や性質が変わるなどです。これらの症状がある場合は、婦人科を受診しましょう。

子宮体がんの多い年齢
子宮体がんは、40代から60代の女性の罹患率が多く、近年は食生活の欧米化や晩・非婚化などの影響もあって増加傾向にあります。

子宮体がんの症状
子宮体がんの症状は、不正出血(月経とは関係なく出る性器からの出血)、おりもの、排尿痛や排尿困難、性交痛、骨盤の痛みなどがあります。これらの症状がある場合は、婦人科を受診しましょう。

子宮がん検診の検査項目、見方、料金

上述したように、がんの症状が出ることもありますが、子宮がんの初期症状はほとんどありません。そのため、自覚症状がなくても定期的に検診を受けることが早期発見のために重要となってきます。
対象者
20歳以上の女性になります。2年に1度は検診を受けましょう。
検査項目

  • (1)問診

質問項目に答えるものです。主な質問項目は、子宮がん検診の受診有無、妊娠・出産歴、不正出血や痛みの有無、月経周期などです。

  • (2)視診

クスコ(膣鏡)という専用の道具を膣に入れて、子宮頸部の状態を診ます。炎症の有無やおりものの状態などを確認します。
ちなみにクスコにも色々なサイズがあり、例えば経産婦(出産経験のある人)さんとそうでない人では使用するサイズを変えます。その人のサイズにあったクスコを使用しているため、特に痛み等はありません。

  • (3)細胞診

専用の綿棒を膣から入れて子宮頸部や膣部の粘膜を採取した後、顕微鏡で観察します。1、2分かけて軽くこすり取るような感じで検査します。月経直前・直後は検査ができないため(細胞診に必要な細胞の採取が難しくなります)、細胞診をする際は注意しましょう。
細胞診によって、がん細胞になる前段階の正常でない細胞を見つけることができるのが強みです。

  • (4)内診

 一方の手(指)を膣から入れて、もう一方の手で腹部を押さえて挟み込むようにしながらしこりや腫れがないかを触診します。この方法を双合(そうごう)診と言います。

  • (5)コルポスコープ(膣拡大鏡)検査

(1)~(4)の検査を行って必要があると判断された場合に追加で行うことの多い検査です。コルポスコープという機器を使って子宮頸部や膣部の表面を拡大して細かく観察します。
 
これらの検査項目は血液検査や胃カメラなどとは異なり、食事の有無に関わらず検査することができます。
いずれの検査も基本的に痛みを伴うものではありません。しかし、炎症やただれなど子宮頚部から膣部にかけて何らかの異常がある場合は、痛みや検査後の軽度の出血など苦痛を伴うことがあります。

料金
検診を受ける機関によって料金は変動するものの、問診・視診・細胞診・内診のセットで3000円から4000円程度のところが多いです。
住んでいる自治体または職場から補助金がもらえる場合がありますので、自治体のホームページなどを確認しましょう。

検診を受けられる場所
婦人科のある病院または健診機関になります。

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子宮がんにならないために

子宮がんに罹らないためには、がんのリスクを高める要因を一つ一つ排除していく必要があります。
ここでは子宮がんの予防法について説明します。

不特定多数の人と性交渉しない
子宮頸がんはほとんどがヒトパピローマウイルスに感染することによって起こります。実はヒトパピローマウイルスにも100種類ほどあり、その中の数種類のみが子宮頸がんの発生に関わるとされています。そのため、自分やパートナーが多くの人と性交渉をすればするほど、がんの原因となるウイルスに感染する危険性が増すことになります。

ヒトパピローマウイルスに感染しても、子宮頸がんになる可能性は高くありませんし、がん化するまでに5年から10年の時間を要すると言われています。しかし、すでに不特定多数の人と性交渉の経験がある女性は、毎年がん検診を受けることをお勧めします。

性交渉の経験がある人は検診を受ける
最近は初めて性交渉をする年齢がどんどん若くなっており、それが20代から30代の若い世代に子宮頸がんが増加している一因とされています。そのため、たとえ20歳未満であっても性交渉の経験がある人はがん検診を受けましょう。

禁煙する
子宮がんに限ったことではありませんが、様々ながんは喫煙によってリスクが高まります。禁煙によって、非喫煙者レベルまで子宮がんの発生を抑えることができると言われています。

子宮頸がんワクチンを受ける
現在日本の子宮頸がんワクチンには、サーバリックスとガーダシルという2種類のワクチンがあります。これらのワクチンによって90%以上の子宮頸がんを予防したとされています。インフルエンザワクチンなどと同様に、予防効果は100%でなく、接種したからといって子宮がんに罹らないということではありません。接種後も検診と合わせた予防対策が必要です。

しかし、ごく一部ですが以下のような症例があります。予防接種後に慢性疼痛や神経障害などの副反応が数十例ほど出ていると報告があり、2013年に厚生労働省は因果関係を否定できないものの、現在は積極的な接種勧奨はしないとしています。

まとめ

20代から60代という若い世代に増加している子宮がんを予防し、早期発見・早期治療につなげるためには、好発年齢やリスク要因、症状、予防接種のメリット・デメリット、検診について知識を得て、自分に合った方法を取ることが大切です。

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