幼少期における米のタンパク質摂取が成熟期肥満を抑制――マウスでの検討

幼少期に米の胚乳(精米後の白米)のタンパク質(Rice endosperm protein;REP)を摂取していると、成熟してからの高脂肪食摂取に伴う体重増加が抑制される可能性が報告された。新潟大学大学院医歯学総合研究科腎研究センター病態栄養学講座の細島康宏氏らと亀田製菓株式会社の共同研究によるもので、詳細は「Nutrients」12月2日オンライン版に掲載された。

 米の栄養素の約6%はタンパク質が占め、日本人のタンパク源として肉や魚に次いで3番目に多いが、その摂取量は減少傾向にある。こうした中、細島氏らはREPの機能性に関する研究を継続している。

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 今回の研究では、まず4週齢のマウスを2群に分け、1群は動物性タンパク質であるカゼインを含む通常食、もう1群にはREPを含む通常食で幼少期(10週齢まで)飼育。11週齢目以降の成熟期は、各群をさらに2分しカゼインまたはREPを含む高脂肪食で22週齢まで飼育し、これら計4群の体重や血液・尿検査値の変化および腸内細菌叢の組成を検討した。

 10週齢時点において、体重や除脂肪体重、血糖値などの検査値は、カゼイン摂取群とREP摂取群との間で有意差はなかった。しかし22週齢になると、幼少期・成熟期ともにカゼインを摂取した群の体重が最大(44.6±2.2g)、幼少期・成熟期ともにREPを摂取した群が最小(34.5±2.1g)となった。幼少期にREPを摂取し成熟期にカゼインを摂取した群は、成熟期での高脂肪食という負荷にもかかわらず39.3±3.7gであり、体重増加が有意に抑制されていた。

 また体重だけでなく、血圧、空腹時血糖、HbA1c、総コレステロール、中性脂肪、および尿中アルブミンや糸球体メサンギウム領域面積など腎機能関連指標にも同様の有意な関係が見られ、幼少期のREP摂取が成熟期に保護的な影響を及ぼしていると考えられた。

 このようなREPによる肥満抑制作用の機序について研究グループは、ヒトにおいても肥満との関連が報告されている腸内細菌叢の組成に着目し、マウス糞便を用いた細菌叢の遺伝子解析を行った。その結果、幼少期にREPを摂取した群は腸内細菌叢の多様性が高く、またグラム陰性菌である大腸菌のリポ多糖結合タンパク(内毒素)産生が抑制されていることが確認された。

 さらに肥満は近年、全身性の炎症反応が亢進した状態と捉えられるようになってきたが、今回の検討において、幼少期にREPを摂取した群は血液、腎、肝のいずれにおいても、IL-6やTNF-αという炎症性サイトカインの産生が抑制されていることがわかった。

また研究グループでは、REPの有する作用について、そのペプチドの関与について検討した。カゼインとREPの人工消化から得られたペプチド画分を用いて大腸菌に対する抗菌活性を調べたところ、カゼイン由来のペプチドでは認められなかった大腸菌に対する抗菌活性がREP由来のペプチドでは濃度依存的に示された。よって、REPによる腸内細菌叢への影響は、REPの消化物であるペプチドの関与が示唆された。

 研究グループはこれらの結果を総括し、「マウスにおいて幼少期のREPの摂取は、成熟期の高脂肪食摂取に伴う肥満および肥満関連疾患の発症・進展を抑制する。今後は関与するペプチドについての詳細な検討やヒトでの研究も行い、REPの適切な摂取量・摂取時期を明らかにしていきたい」と述べている。

 なお、2名の著者が、亀田製菓株式会社との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2020年1月14日
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