コンタクトレンズが電気で潤う?

コンタクトレンズを使う人の多くが「目が乾く」という悩みを持っているが、その解決に近づく新しい技術が開発された。電気の力でコンタクトレンズの表面に涙の膜を作り、しかもそれに必要な電気もコンタクトレンズ自体が発生するという。東北大学大学院工学研究科の西澤松彦氏らの研究によるもので、詳細は「Advanced Materials Technologies」11月28日オンライン版に掲載された。

 コンタクトレンズ使用中に生じるドライアイ症状に対して、これまでのところレンズ素材の保湿性を高める改良が続けられてきている。これに対して今回発表された新技術は、電気による保湿効果を利用する。液体と固体が接している部分に電圧をかけると液体が流れだす「電気浸透流」という現象があり、この電気浸透流によって、コンタクトレンズの表面を涙の膜で覆うという仕組みだ。

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 開発にあたり研究グループはまず、既に市販されているコンタクトレンズで用いられ安全性が確立されているメタクリル酸などのモノマー(基質)を使い、電気浸透流を発生する親水性のハイドロゲルの調整を試みた。メタクリル酸の割合が高いほど電気浸透流が発生しやすくなる一方、ハイドロゲルが脆くなる。いくつかの素材を作成し比較検討した結果、電気浸透流が発生しやすく、かつコンタクトレンズの形状維持に必要な十分な強度の両立が可能な素材として、最終的にメタクリル酸10%のハイドロゲルを以後の研究に用いることとした。

 続いて、このハイドロゲル素材の一部を水に浸し、水に浸っていない部分の乾燥を電気浸透流によって防ぐという実験を行った。すると電流を流していない時は時間経過とともに乾燥していったが、電流を流し始めると湿潤な状態に回復することが確認された。

 次にこのハイドロゲルをコンタクトレンズの形に形成し、アクリル樹脂の眼球モデルに装着して、その隙間の水分が蒸発するまでの時間を計測した。すると、電流を流さないときは60分後に水分が蒸発し消失したが、電流を流した場合は60分経過しても十分な水分が保たれていた。

 最後に、電気浸透流を発生させるのに必要な電気をコンタクトレンズ自体が生み出す方法を検討。涙に含まれているブドウ糖と酸素から電気を発生させる微小なバイオ電池を組み込んだ。実験の結果、バイオ電池を組み込んでいないときに比べて乾燥速度が明らかに抑制されることが確認された。

 研究グループではこれらの成果を、「煩雑な点眼にかわる全く新しい水分補給方法の提案であり、自己保湿型コンタクトレンズの可能性が示された」とまとめている。また「この技術はドライアイの緩和だけでなく、点眼薬の徐放化技術や房水(眼球内の水分)の排出を促し眼圧をコントロールする技術としても、応用できる可能性がある」と期待を示している。

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HealthDay News 2019年12月16日
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