甘い飲み物の摂取量と死亡リスクが相関――JPHC研究

甘味飲料の摂取量が多いことと、全ての原因による死亡(全死亡)、および循環器疾患や心疾患による死亡リスクの高さが有意に関連していることが、日本人を対象とした研究から明らかになった。一方、がん死や消化器疾患、脳血管疾患などによる死亡リスクとは有意な関連がないことも分かった。国立がん研究センターなどによる多目的コホート研究(JPHC研究)によるもので、詳細は「Preventive Medicine」7月号に掲載された。

甘味飲料の摂取量が多いことは、体重増加や糖尿病、がん、脳血管疾患のリスクと関連しており、さらに欧米からは死亡リスクとも関連することが報告されている。一方、アジアからは欧米と異なり、甘味飲料の摂取量と死亡リスクとの間に関連はないとの報告がある。また日本人対象の疫学研究の結果はこれまで報告されていない。

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今回発表された研究の対象は、1995年と1998年に、岩手県二戸、長野県佐久、茨木県水戸、東京都葛飾区、高知県中央東、沖縄県中部などの11保健所管内に居住していた45~74歳の男女7万486人。食事アンケート調査に基づき、清涼飲料水(コーラなど)、100%りんごジュース、100%オレンジジュース、缶コーヒー、乳酸菌飲料、β-カロテン含有飲料、カルシウム飲料、ドリンク剤の摂取量の合計を算出。その五分位で群分けして平均17.1年追跡し、全死亡やがん死、循環器疾患、消化器疾患などによる死亡リスクを比較検討した。

追跡期間中に1万1,811人が死亡していた。死因は、がん4,713人、循環器疾患2,766人、心疾患1,412人、脳血管疾患1,088人、呼吸器疾患888人、消化器疾患433人だった。死亡リスクに影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、BMI、喫煙・飲酒・運動習慣、摂取エネルギー量、コーヒーや緑茶の摂取量、高血圧の既往、居住地域)を統計学的に調整後、以下のような関連が明らかになった。

甘味飲料摂取量の第1五分位群(摂取量が最も少ない下位20%)に比較して、第5五分位群(摂取量が最も多い上位20%)は全死亡リスクが1.15倍高く〔ハザード比(HR)1.15(95%信頼区間1.09~1.22)〕、甘味飲料摂取量が多いほど全死亡リスクが高いという有意な関連が認められた(傾向性P<0.001)。また、第5五分位群は第1五分位群に比較して、循環器疾患による死亡がHR1.23(同1.09~1.38)であり(傾向性P=0.02)、心疾患による死亡はHR1.35(同1.14~1.60)と(傾向性P=0.01)、摂取量の多さがリスクの高さと関連していた。

一方で、がん死や、脳血管疾患、呼吸器疾患、消化器疾患による死亡リスクについては、甘味飲料摂取量との有意な関連が見られなかった。

これらの結果は欧米の先行研究と同様で、アジアの先行研究とは異なると言える。その理由として著者らは、甘味飲料を摂取している人の割合の違いが関係している可能性を考察している。すなわち本研究では、月に1度以上甘味飲料を摂取する人の割合が85%であり、アジアの先行研究での26%よりも欧米の先行研究での58~76%に近かった。

また、甘味飲料の摂取が循環器疾患や心疾患による死亡リスクと関連していたことについては、「甘味飲料は血糖値やインスリン濃度を上昇させるグリセミックインデックスが高く、心血管系や代謝系の機能へ悪影響を及ぼす可能性がある」と述べている。

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HealthDay News 2021年7月19日
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