COVID-19感染リスクは年齢によらない――北大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡リスクが高齢者で高いのは、COVID-19への感染リスクが高いからではなく、感染後に重症化しやすいためとする研究結果が報告された。北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターの大森亮介氏らが、数理学的な手法を用いて明らかにした結果であり、詳細は「Scientific Reports」に10月6日掲載された。

 COVID-19のパンデミックが続いているが、流行の規模は国ごとに大きく異なっている。その差は、人口当たりの感染者数や、1人の感染者から新たな感染者が何人発生しているかを表す「基本再生産数(R0)」からも把握可能だ。例えば2020年春時点のR0は、日本が1.7だったのに対し、スペインでは2.9、イタリアでは2.4~3.3と高値であったことが報告されている。

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 しかしその一方で、COVID-19による死亡が高齢者に多いことは、世界共通の現象だ。高齢者のCOVID-19による死亡リスクが高い理由として、理論的には2つの仮説が立てられる。1つは若年者よりも高齢者の方がCOVID-19に感染しやすいため、もう1つは感染のしやすさは同等でも高齢者は感染後に重症化しやすいためという考え方だ。大森氏らは、年齢による他人との接触頻度の違いや家庭外での行動制限なども変数に組み入れた数理モデルを構築し、上記いずれの仮説が妥当かを検討した。

 まず、日本とスペイン、およびイタリアの3カ国で、COVID-19による死亡者の年齢分布を比較した。その結果、前述のように基本再生産数に大きな違いがあるにもかかわらず、死亡者の年齢分布はほぼ一致することが確認された。

 次に、「高齢者はCOVID-19に感染しやすい」という1つ目の仮説に基づくモデルを用いて、死亡者の年齢分布をシミュレーションした。すると、基本再生産数が異なると、死亡者に占める60~70代の高齢者の割合に大きな差が生じてしまうことが明らかになった。

 具体的には、基本再生産数が低い場合は死亡者に占める60代の割合が低い一方で70代は高くなり、基本再生産数が高い場合はその逆になると想定され、現実との乖離が認められた。仮に、実際に起きている死亡リスクの差を年齢による感染リスクの違いで説明しようとすると、高齢者の感染リスクを非現実的なレベルの大きさに設定しなければならなかった。

 他方、「高齢者は感染後に重症化しやすい」という2つ目の仮説に基づくモデルで行ったシミュレーションの結果は、基本再生産数が異なっても死亡者の年齢分布はほぼ同一であり、世界で観察されている実際のデータと一致した。

 以上の検討から大森氏らは、「COVID-19による死亡が高齢者に偏っているのは、COVID-19への感染しやすさではなく、感染後の病状の進みやすさが年齢によって異なるためと考えられる」と結論づけている。その上で、「COVID-19重症化の年齢依存性メカニズムの解明により、治療の進歩が期待される」と付け加えている。

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HealthDay News 2020年11月2日
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