血清シスタチンC測定が動脈硬化の早期発見に有用な可能性 日本人2型糖尿病患者180人を解析、東北大

頸動脈に肥厚がみられない2型糖尿病患者で、血清シスタチンC値は動脈硬化の早期進展度を表す血管壁の弾性率と独立して強く関連することが、東北大学大学院糖尿病代謝内科学分野の澤田正二郎氏らの研究グループの検討で分かった。

2型糖尿病患者において、血清シスタチンCの測定は早期の動脈硬化症の有用なマーカーとなる可能性があるという。
詳細は「Diabetes Research and Clinical Practice」2月15日オンライン版に掲載された。

2型糖尿病患者の心血管疾患を予防するためには動脈硬化症を早期に診断することが重要であり、早期診断に有用なバイオマーカーの確立が求められている。
研究グループは今回、腎機能の指標として使用されている血清シスタチンCに着目した。
2型糖尿病患者を対象に、頸動脈超音波検査により血管壁の弾性率を測定し、血清シスタチンCを含む複数の動脈硬化因子との関連を調べる横断研究を行った。

対象は、2012年1月~2015年12月に同大学病院に血糖管理のために入院し、超音波検査による頸動脈内膜中膜複合体(IMT)測定で動脈硬化が検出されなかった(IMTが1.1mm未満)2型糖尿病患者180人。
対象患者の平均年齢は52.0±15.6歳で、約6割が男性、糖尿病罹病期間は平均で8.0年であった。
対象患者の血清シスタチンC値と推算糸球体濾過量(eGFR)値、尿中アルブミン/クレアチニン比(ACR)を測定し、超音波位相差トラッキング法を用いた頸動脈の血管壁弾性率およびIMT、心臓足首血管指数(cardio-ankle vascular index;CAVI)との関連を調べた。

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多変量線形回帰分析の結果、血清シスタチンC値は早期の動脈硬化の指標と考えられる血管壁弾性率と有意に関連した。eGFR値およびACR値と血管壁弾性率との間には関連は認められなかった。
また、血清シスタチンC値はIMT、CAVIよりも血管壁弾性率と最も強く相関し、動脈硬化の中でも特に早期状態を反映するものと考えられた。

さらに、対象患者を血管壁弾性率の高値群と低値群で分けて解析したところ、血管壁弾性率低値群では血清シスタチンC値と血管壁弾性率との関連性は消失し、動脈硬化が始まっていない患者ではこれらは関連しないことも示された。

以上の結果を踏まえて、研究グループは「頸動脈超音波検査のIMT基準で動脈硬化症がない2型糖尿病患者において、血清シスタチンC値は血管壁弾性率と強く関連したことから、血清シスタチンC値の測定は無症候性の早期動脈硬化症の有用なマーカーとなる可能性がある」と結論づけている。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2018年2月26日
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