2型糖尿病患者の腎症リスク、正確な評価には血圧手帳よりも血圧計の記録値を

2型糖尿病患者が家庭血圧計で血圧を測定後に血圧手帳に記録した報告値は、血圧計が記録した測定値に比べて正確性に欠けており、その血圧変動はアルブミン尿と関連しない可能性のあることが、京都府立医科大学大学院内分泌・代謝内科学教授の福井道明氏、牛込恵美氏、松本しのぶ氏らの研究グループの検討で分かった。2型糖尿病患者が合併する腎症リスクを正しく評価するには、血圧手帳よりも血圧計が記録した測定値を参照する必要があるという。詳細は「American Journal of Hypertension」7月31日オンライン版に掲載された。

 これまでの研究で、2型糖尿病患者では外来血圧よりも家庭血圧の方が血管障害と強く関連することが報告されている。研究グループは既に、家庭血圧計が記憶した血圧の平均値と変動(変動係数;coefficient of variation)は2型糖尿病患者のアルブミン尿と関連する一方で、患者自身が血圧計で測定後に血圧手帳に記録した報告値と血圧計が記録した測定値の平均一致率は78.6%であり、血圧手帳で報告した値の方が有意に低く、変動も少ないことを見出している(Hypertens Res 2014; 37: 741-745)。

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 そこで今回、福井氏らは、既報の横断研究データを用いて、2型糖尿病患者自身が血圧手帳に記録した報告値(平均値と変動)が、血圧計が記録した測定値と同様にアルブミン尿と関連するのかについて事後解析を行った。

 対象は、外来通院中の2型糖尿病患者276人(平均年齢65.9歳、男性が156人)。対象患者には、メモリー機能を搭載した血圧計を用いて起床時と就寝前の血圧測定(各3回)を14日間連続して行ってもらい、測定結果を血圧手帳に記載させた。

 その結果、患者自身が血圧手帳で報告した早朝の収縮期血圧(SBP)は平均値および変動係数ともに、血圧計が記録した測定値に比べて有意に低かった(いずれもP<0.0001)。また、早朝SBPの平均値は、血圧手帳の報告値と血圧計が記録した測定値の双方でlog尿中アルブミン排泄量(UAE)と有意に関連したが、早朝SBPの変動係数については、血圧計が記録した測定値のみがUAEと有意に関連していることが分かった。

 以上の結果について、福井氏らは「患者は血圧記録時に自身の予測した血圧値から外れた測定値を、高くても低くても削除する傾向があるため、SBPの平均値は血圧手帳と血圧計が記録した測定値による差はわずかだったのに対し、変動は両者の間で差が顕著に表れやすかったことが影響している可能性がある」と指摘しつつ、「2型糖尿病患者が血圧手帳に記載する報告値は、患者による選択が影響して不正確となる可能性があり、変動が過小評価されやすい。そのため、SBP値の変動とアルブミン尿との関連が減弱した可能性がある」と考察。糖尿病腎症リスクを正確に評価するには、血圧計で記録した測定値を参照する必要があると述べている。

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HealthDay News 2017年8月7日
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