生活習慣病とADL低下は認知症リスク因子の可能性 日本人の大規模オンライン調査結果

国立精神・神経医療研究センター(NCNP)などの研究グループが実施した大規模調査から、「風呂に入る」「洋服を着る」などの日常生活動作(ADL)に支障が出ることと、糖尿病やがんの既往、抑うつ、慢性的な痛み、聴力の損失は認知症のリスク因子である可能性のあることが分かった。

研究を率いたNCNP脳病態統合イメージングセンターのセンター長を務める松田博史氏は「認知症の予防には、日常生活レベルを保つために社会活動に積極的に参加すること、そして生活習慣病の予防や治療を適切に行うことが不可欠だ」と話している。
詳細は「PLOS ONE」5月17日オンライン版に掲載された。

2015年の厚生労働省の発表によると、日本の認知症患者数は2025年までに700万人を突破すると推計され、早急な対策が求められている。
一方で、認知症、中でもアルツハイマー病(AD)の根治薬の開発が困難を極める中、軽度認知障害(MCI)や早期ADの患者を対象とした臨床試験を行うためにも効率的な患者の登録方法の確立が求められている。

こうした背景の中、2016年7月に、日本医療研究開発機構(AMED)の支援により、NCNPなどは認知症の発症予防を目指したインターネット健常者登録システム(IROOP)の運用を開始した。
認知症予防を目的に、公的機関が主導して40歳以上の健康な男女を対象に数万人規模のインターネット登録システムを運用するのは日本で初めて。
研究グループは今回、IROOPの登録者を対象に、認知機能の低下と関連する因子について調べた。

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対象は、2017年8月までに初回の全ての質問票に回答し、10単語記憶検査を完了した1,038人(平均年齢59.0±10.4歳、男性400人)と追跡時に行った質問票に回答し、2回目の10単語記憶検査を完了した353人(同60.2±10.0歳、男性139人)。

質問票では健康状態全般や気分、QOL(生活の質)、睡眠習慣、食習慣、病歴、現在抱えている疾患などについて尋ね、10単語記憶検査から得られた記憶機能の指数(memory performance index;MPI)と関連する質問項目を調べた。

ステップワイズ重回帰分析の結果、「風呂に入る」「洋服を着る」「スケジュールを立てる」などのADLの支障度とそれに伴う気分の落ち込み、意欲の低下が認知機能の低下と関連する因子であることが分かった。
さらに、糖尿病やがん、頭部外傷の既往、慢性的な痛み、聴力を失うことが認知症のリスク因子として浮かび上がった。

これらの結果から、研究グループは「日常生活が難しくなると自宅に引きこもりがちになるため、社会活動への参加は認知症予防につながると考えられる。
また、認知症にならないためには、糖尿病などの生活習慣病の予防が重要であることも示された」と結論づけている。
IROOPでは今後も半年ごとにアンケートを実施したり認知機能検査を無料で提供し、データ分析も行う予定だという。

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軽度認知症に関する基本情報

参考情報:リンク先
HealthDay News 2018年6月18日
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