血糖・血圧・脂質の同時強化介入が大血管合併症を抑制 J-DOIT3、EASD2017で発表

糖尿病患者の血糖・血圧・脂質の管理指標がより厳格なものへと見直しが進むかもしれない。
約2,500人の糖尿病患者を対象とした大規模臨床試験(J-DOIT3研究)で、これらの管理指標を現行よりも厳格に設定すると、2型糖尿病患者の心筋梗塞や脳卒中といった大血管合併症リスクの低減につながる可能性があることが分かった。

血糖・血圧・脂質を同時に強化介入することで大血管合併症を減らせることを大規模な研究で示したのは世界初。今後、国内外の糖尿病診療指針に影響を与えるものと注目される。

研究結果は、東京大学病院糖尿病・代謝内科教授の門脇 孝氏と国立国際医療研究センター研究所糖尿病研究センターのセンター長を務める植木浩二郎氏らが第53回欧州糖尿病学会(EASD 2017、9月11~15日、ポルトガル・リスボン)で発表し、詳細は「Lancet Diabetes & Endocrinology」にも掲載される予定だ。

J-DOIT3(Japan Diabetes Optimal Integrated Treatment study for 3 major risk factors of cardiovascular diseases)研究は、糖尿病に伴う心筋梗塞や脳卒中などの大血管合併症の発症や進行を抑制する介入法を見出すため、2006年に厚生労働省の研究事業の一環として開始された臨床試験。
全国81の施設から2,542人の大血管合併症のリスクが高い2型糖尿病患者が参加した。

対象の2型糖尿病患者を、現行のガイドラインに沿った治療を行う従来療法群または血糖・血圧・脂質の管理指標を厳格に設定して強化介入を行う強化療法群にランダムに割り付けて、平均で8.5年間追跡した。

現行の管理指標は、合併症予防のためのHbA1c値は7.0%未満、血圧は130/80mmHg未満、LDL-コレステロール(LDL-C)値は120mg/dL(冠動脈疾患の既往がない場合)であるのに対し、強化療法群ではそれぞれ6.2%、120/75mmHg、80mg/dLの目標達成を目指した。
主要評価項目は心筋梗塞、冠血行再建術、脳卒中、脳血管血行再建術、死亡と定義した。

追跡期間中の治療状況をみると、強化療法群と従来治療群ではそれぞれ平均HbA1c値は6.8%、7.2%、平均血圧値は123/71mmHg、129/74mmHg、平均LDL-C値は85mg/dL、104mg/dLであった。

解析の結果、主要評価項目の発症率は、従来療法群と比べて強化療法群では有意ではないものの19%抑制されたほか、患者登録時の喫煙状況などの危険因子を調整した解析では、強化療法群で24%有意に抑制されていた(P=0.042)。

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また、事後解析によると、総死亡および冠動脈イベントの発生率には両群間で有意な差はみられなかったが、脳血管イベント(脳卒中および脳血管血行再建術)の発生率は強化療法群で58%有意に抑制されていた(P=0.002)。

なお、細小血管合併症のうち、腎症や網膜症の発症や進展に関しては強化療法群で有意に抑制されたものの(それぞれ32%;P<0.001、14%;P=0.046)、下肢の切断などについては両群間で有意差はみられなかった。

両氏らの研究グループによると、今回の強化療法群では心筋梗塞や脳梗塞による死亡例は1件もみられなかったほか、10年以上前に日本行われた同様の小規模な臨床試験よりもこれらのイベント発生率には50%以上の低下がみられた。

このことから、両氏らは「現行のガイドラインによる治療法でも心筋梗塞や脳梗塞は減少しているが、血糖・血圧・脂質をより厳格かつ総合的に介入を行うことで大血管合併症の発症をさらに抑えられるのではないか」と述べており、国内外の糖尿病診療指針も厳格な治療を目指す方向で見直しが進む可能性があるとの見解を示している。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2017年9月25日
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