糖尿病網膜症の硝子体切除術、手術時間で術後出血リスクを予測 阪大


PPVは糖尿病網膜症や黄斑浮腫などに広く施行される手術だが、術後の合併症に及ぼす全身状態や周術期の指標について検討した報告は限られている。
岩橋氏らは今回、硝子体出血に対するPPVを施行した糖尿病網膜症患者を対象に、血糖コントロールや手術に関連した因子などの周術期の指標とPPV施行後の再出血の関連について調べた。
研究では、2010年4月~2014年3月に、同大学病院で増殖糖尿病網膜症による硝子体出血へのPPVを施行した患者64人(平均年齢63.2歳)の72眼を対象に後ろ向きに調査し、術後の再出血に関連する周術期の因子(BMI、血圧、術前の空腹時血糖値、術後1週以内の低血糖の発生、抗血小板薬や降圧薬の使用、レーザー凝固療法の有無、手術時間、白内障手術の有無など)を探索した。

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その結果、術後の再出血は12眼で確認され、このうち術後1週以内が5眼、4週以内が3眼、12週以内が4眼であった。
年齢と術前のHbA1c値で調整したロジスティック回帰分析の結果、術後12週以内の再出血リスクには手術時間の長さだけが有意に関連していた。
また、ポアソン回帰分析の結果、術後1年以内の再出血頻度(出血の重症度を加味したもの)には、手術時間の長さのほか、手術直前の空腹時血糖値、周術期に抗血小板薬の投与がないこと、また周術期に降圧薬の使用があることも関連する因子として浮かび上がった。
以上の結果から、岩橋氏らは「PPV施行後の再出血リスクの予測因子として手術時間が有意な因子となる可能性がある。PPV施行後には、手術時間が長いほど術後の患者を注意深く観察する必要のあることが示唆された」と述べている。

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